自宅謹慎ですがなにか(岡田将生)人間ですがなにか(松坂桃李)父親ですがなにか(柳楽優弥)ありますがなにか(吉岡里帆)ないですがなにか(島崎遥香)
鬱屈につぐ鬱屈。
ぬかるみにつぐぬかるみ。
ドロドロな展開の果てに「ゆとり」という名のクズ(太賀)炸裂で・・・なんじゃあこりゃあなお茶の間も・・・。
いよいよいつものクドカンマジックにはまってきた頃合いである。
本作は大人計画的キャスティングは控えめで・・・いつものテイストではないように見えるが・・・。
まず・・・イケメンがブスと付き合っているところからクドカンなのである。
しかも、イケメンの兄嫁がブスなのであり、兄弟そろってブス専なのだった。
そして・・・バンビとモー子のように・・・童貞がダイナマイトと交際開始しているわけである。
さらに・・・ついに登場人物の口から「ブス」が炸裂した今回。
アイドル畑からは島崎遥香(AKB48)も参戦しているし・・・美人のお母さん枠には中田喜子が抜擢されている。
気がつけば・・・クドカン・ワールド全開で・・・。
東京の造り酒屋で近くに温泉がある主人公の実家はあたかも桃源郷のようだった。
「ふぞろいの林檎たち」では姑が嫁にきつくあたるのだが・・・ここでは・・・きつくあたらないようにしているのがきつい姑の嘆きがある。
「早く孫の顔が見たい件」では「やることやっちゃいなよう」なのである。
すべての女性の登場人物たちに漂うそこはかとない石原真理子感・・・。
特に「茜ちゃん」こと安藤サクラが岡田将生と松坂桃李を弄ぶというブスのくせに調子にのってる感じが炸裂しています。
もはや・・・一同爆笑につぐ一同爆笑だよね。
で、『ゆとりですがなにか・第3回』(日本テレビ201605012230~)脚本・宮藤官九郎、演出・相沢淳を見た。「いとしのエリー」ほどの名曲は欠いているが・・・そもそもそういうインパクトのある男性ボーカルのいる凄いバンドが不在の時代なのである。まず・・・色もの先行で・・・突然、名曲バラードというパターンでないとアレだしな。最近だと・・・セカオワとゲス乙女とか・・・なぜかスキャンダルでつぶされてるしな。意味不明の「拝啓、いつかの君へ」もまあ・・・いいんじゃないかと思い始めた今日この頃である。
「土下座しろってんだよおおおお」
ゆとりモンスターと称される後輩社員・山岸ひろむ(太賀)の傍若無人なクレームを持て余す坂間正和(岡田将生)、宮下茜(安藤サクラ)、そして、早川道郎(手塚とおる)のトリオ。
もはや「ヤマギシ」の言動は・・・ゆとりというよりはやくざであるが・・・ゆとりとやくざはある意味、同義語かもしれないのだった。
弁護士と労働組合に守られたヤマギシは底辺の強みをゴリ押しするのだ。
学級が崩壊したように・・・社会もこうして崩壊していくのかもしれない。
なにしろ・・・何が「正しい」のか・・・わかったもんじゃない・・・社会なのである。
全員が「アンチ」で構成された世界は目前なのかっ。
このような透明性を高めようとすればするほど不透明になっていく社会において・・・外見は明らかに「ヤクザ」である第三の男・・・道上まりぶ(柳楽優弥)はゆっくりとウォーミングアップを開始するのである。
とにかく・・・自殺した男の母親である明子(真野響子)に託された「忍耐」の文字の刻まれたアクセサリーを握りしめ・・・理不尽に耐えた正和だった・・・。
「お前なんか電車に飛び込んでしまえばよかったんや」と誰もが思うところだが・・・ゆとりなので甘い正和は精神的苦痛を耐えしのぶのだ。
「飲み会の強要があったとか」
「新入社員なのに・・・四十人の飲み会の幹事やらされました・・・何度もしつこく・・・念を押されて」
(普通のことだな)と弁護士は思う。
「毎日、電話で確認されて」
(面倒見のいい先輩じゃないか)と労働組合の幹部は思う。
「うつになりましたよ」
「ということで・・・解決金ということでどうでしょう」
「お金を払えと・・・」
「裁判にしますか・・・」
「示談ということですか」
「問題を解決したいということです」
「一万円くらいですか」
「百万円だよ」
全員が狂人を見る目で「ヤマギシ」を見つめる。
控えめの大人計画ゾーンは「みんみんホールディングス」の傘下にある居酒屋「鳥の民・高円寺店」のアルバイトたちである。
バイトリーダーの村井(少路勇介)は「うぬぼれ刑事」のバーテンダー・ゴローでおなじみ、バイトの中森(矢本悠馬)は「ごめんね青春!」のサルだ。
ギター漫談の堺すすむの「なんでか?フラメンコ」のパクリで焼き加減を指導するのだった。
「油少なめでもダメなんだ・・・な〜んでか!?」
しかし・・・この世の理不尽をヤキトリに叩きつける正和は聞く耳を持たない。
ヤマギシに退職の意志はなく・・・「加害者」と「被害者」を同じ職場に置き、問題を再発させないという配慮の「マニュアル対応」で・・・「営業部」に戻れず・・・「店舗担当」の続行の可能性が大きいのである。
「結果」を出しても「本社」に戻れない。
そういう・・・正和の「正攻法」に・・・茜は複雑な表情を見せる。
茜は「勝ち組」なのであり・・・「負け組の夫」を受け入れ難い「自分」に凹むのである。
しかし・・・「イケメンの彼氏」を手放す意志はないのである。
正和は・・・茜の葛藤を知らないのか・・・知らないフリをしているのか・・・まだ明らかではないが・・・ゆとりだからな。
そもそも・・・「アンチ」というのは自分を省みない存在である。
反雀じゃなかった反省するより他人の所為の典型だからな。
円周率3.14が3だったら三時十四分は三時なので十五分までは遅刻でないことになる。
つまり・・・アンチの正義というものを主題歌は否定しようとしているわけである。
一方、胸元に必殺パンチを内蔵した教育実習生・佐倉悦子(吉岡里帆)と秘密交際中の指導担当の山路一豊(松坂桃李)は必要以上に敏感な佐倉の危機探知センサーによって阿佐ヶ谷南小学校4年2組の児童に問題が発生していることを知らされる。
女児児童のカラーペン一式紛失事件の発生である。
「音楽発表会の指揮者で女児Aと女児Bが立候補、クラスにA派とB派が出来、どちらにも属さなかった唯一の女児Cは孤立、女児Cの持ち物がゴミ箱から発見される。いじめが発生しています」
「いじめがどうか・・・結論を急ぎ過ぎないで」
「すぐに・・・親と連絡をとりましょう」
「え」
「本人と親と教師が一体となって情報を共有し、対処するのがいじめ対策の基本です」
「だれがそんなことを・・・」
「素晴らしいインターネットの世界の情報です」
「えええ」
学級の全児童を前に糾弾を開始する教育実習生サクラ・・・。
「いいですか・・・これはクラスみんなの心の問題です・・・誰かが誰かを仲間はずれにしたり・・・いじめたりすることは神に対する反逆です」
「ちょ・・・ちょっと待った・・・みんな・・・目をつぶって・・・先生は怒ったりしないから・・・心当たりのある人は手をあげて・・・」
手をあげたのは女児Cだった。
「エレンちゃん・・・なぜ」
「ごめんなさい・・・彩香ちゃんとちょっとわだかまりが残ったのでペンを忘れたことにして借りることができればきっかけになるかと思って・・・」
「い、いじめじゃないのね」
「ごめんなさい」
教育実習生サクラの危険な胸に飛び込む女児Cだった。
しかし・・・常に世界の主導権を握っていたい教育実習生サクラは・・・自分の推測が間違っていたことを認めないのだった。
そもそも・・・問題の存在をまったく認識していない一豊が「悪い」のである。
何が何でも論点をすり替えることを教育実習生サクラは決意する。
何故かマエケンを思い出し涙腺が緩む教師・円山(加藤諒)はなんとなく一豊に反感を抱いており・・・教育実習生サクラと一豊の間の亀裂に身をこじいれる涙ぐましい努力を開始するのだった・・・。
学校における大人計画要素の学年主任・太田(小松和重)もそこはかとないいつもの役立たず感を醸しだす・・・。
反省文を書き終えた正和は印鑑を捜す。
「母さん・・・印鑑どこ・・・」
そこへ・・・就職活動中の悩み深い妹・ゆとり(島崎遥香)が登場。
「お母さん・・・ヤキソバ食べたい~」
「母さん・・・印鑑・・・」
「お母さん・・・ヤキソバ・・・どこ~」
長男の嫁・みどり(青木さやか)も参戦。
「お義母さん・・・お醤油がきれたんですけど」
ゆとりに満ちた空間の演出者・和代(中田喜子)は亡き夫の仏壇の前でため息をつくのだった。
その頃、ボルダリングジムで偶然を装い、密会する一豊と・・・茜である。
「今日は・・・彼は・・・」
「いろいろあって・・・結婚しようとか言い出しそうだから・・・」
「?」
「私は・・・純粋に結婚がしたいのよ」
「?」
「いろいろあって・・・何かのためにする結婚じゃなくて・・・」
「?」
「童貞が純粋にセックスしたいのと同じよ」
「意味がわかりません」
茜はイケメンの童貞に興味津々なのだった。
茜の野心にも気付いていない正和の長男夫婦には子供がないお約束の設定である。
嫁の妊娠活動にあまり協力しない息子に母ははっぱをかけるのだった。
「跡取りが生まれないことでプレッシャーをかけないようにするプレッシャーがきついのよ」
「俺だって・・・まず家業を軌道にのせたいんだよ・・・子作りはそれからでも」
「ウダウダ言ってないで・・・おやんなさいよ」
苦労の絶えないゆとりの母だった。
結局・・・「ヤマギシ」に対し、正和が解決金五万円を払うことで決着する「パワハラ事件」・・・。
「いっそ・・・裁判するか・・・」と温情を見せる上司。
「いや・・・あいつが・・・生きてただけで・・・良かったです」
「一度は死んだかと思ったものな・・・」
そういう温めの決着に妥協する男たちにドス黒い眼差しを注ぐ茜だった。
上昇志向の強い茜にとって・・・敗北は「悪」そのものなのだ。
ゆとりのあふれる街に・・・ぬるま湯が満ちる夜。
金髪の舎弟(長村航希)を連れて・・・まりぶが「鳥の民」にやってくる。
「あれ・・・彼は・・・」
「謹慎中です」
「えええ」
「彼に焼き方を教えたのは私ですから」
「俺はね・・・ヤキトリ食べに来ているわけじゃないよ」
奥のお座敷では例の件について・・・豊作ではなかった一豊が糾弾されていた。
可愛い教育実習生サクラを挟み・・・なんとなく味方をする学年主任と極上のブサイクたち。
「だから・・・悪いことは悪いって認めようよ」
「とにかく・・・問題があることに気がつかなかったわけだから」
「サクラちゃんに謝るべきだよ」
「・・・」
「AちゃんとBちゃんの派閥争いで・・・クラスが割れて・・・Cちゃんがあることないこと言われる可能性だってあったわけだし・・・」
「そんな・・・僕の学級は大手芸能事務所じゃありません」
「先生は・・・児童をもっと・・・深く知るべきではないのですか」
「だからって・・・児童を傷つけたりしたら逆効果だし・・・」
「私が悪いって言うんですか」
「いや・・・」
そこへ・・・乱入する・・・まりぶだった。
「おっぱいタイムですか」
「なんです・・・君は・・・」
「いや・・・そっちのブサイク・・・無理と知りつつ・・・おっぱい先生を狙ってるんですよね・・・メガネのおっさんも・・・ダメでもともとでおっぱい先生をなんとかしたいんでしょう・・・だったらおっぱいパブでもりあがりましょうよ・・・いいおっぱいありますよ」
「・・・」
「部分白髪のおばさんや膨張したおばさんも・・・頭の中はカラアゲのことしかないみたいだし・・・誰かが誰かを攻撃したって・・・何もいいことありませんぜ」
「先生のお知り合いですか・・・」
言いたいことがあると・・・涙ぐんでしまう一豊である。
「ぼ、ぼくは・・・ただ・・・子供たちを疑う前に・・・信じてあげてほしいと・・・いい先生になれなくても・・・いい人間になってもらいたいと思います・・・」
「・・・」
そして・・・教育実習生サクラは・・・一豊の胸に飛び込むのだった。
「初めてちゃんと叱ってもらった気がしました」
誰にも叱られたことのない人間が教師になる時代である。
サクラをタクシーに乗せた後で思わずスキップする一豊だった。
しかし・・・一部お茶の間は・・・見たことある展開に・・・沸き立つのだった。
「あれはなに・・・」
「童貞だからな・・・」
結局・・・正和と・・・一豊と・・・まりぶはものすごく馴染んでいくのだ。
まりぶの妻・ユカ(瑛蓮)は叫ぶ。
「あんたたち・・・まさか・・・泊まる気じゃないよね」
しかし・・・泊まり込む正和と一豊。
まりぶは微笑んで・・・ゆとりの十一浪人生として受験勉強に励むのだった。
本社営業部に戻れなくなった正和は取引先の野上(でんでん)に挨拶に出向く。
「仕方ないな・・・俺が代わりにヤマギシにビシビシ言ってやるよ」
しかし・・・野上の土産ではない清酒を持ち歩く正和・・・やはりゆとりなのである。
清酒は・・・鉄道で飛び込み自殺をした青年の母親(真野響子)への土産だった。
「あの子のために・・・会社は二千五百万円払ってくれるんですって・・・」
「・・・」
「それって・・・高いのか・・・安いのか・・・よくわからないわ」
「不謹慎ですけど・・・彼が生きていて・・・ホッとしています・・・」
「・・・」
赤の他人の家庭に・・・深く関わりすぎている気がしないでもない正和。
しかし・・・それかもゆとりだからなのかもしれない。
なにしろ・・・人間というものは・・・正気と狂気の境界線で生きている存在なのである。
しかし・・・真野響子の中身が室田日出男だったらどうするつもりだ。
・・・意味不明だぞ。
謹慎期間に入った正和。
朝から低空飛行のゆとりが漂う。
「お兄ちゃん・・・何社受けたんだっけ」
「七、八社かな・・・」
「私・・・もう倍くらい受けてるのに・・・」
「俺も全然ダメだったよ・・・でも・・・面接で凄く私凄いんですオーラだしている女子大生がいて・・・そいつがもの凄かったんでついられてテンションあがっちゃって・・・その凄い奴が茜だけどさ・・・二人とも受かっちゃって・・・」
しかし・・・話を聞いていない縁側のゆとりだった。
「昨日・・・カフェでウエイトレスが・・・凄く生き生きとしていて・・・凄くいい笑顔で・・・ああ・・・この人には居場所があるんだなあ・・・ってうらやましくて・・・私を必要としてくれる人は・・・世界に一人もいないんだって思って・・・」
泣きだすゆとりだった。
「おい・・・ちょっと・・・ゆとり・・・そんなことはないよ」
家の電話が鳴る。
仕方なく電話に出る正和。
「まあ・・・ゆとりちゃん・・・どうしたの」
騒ぎ出す兄嫁。
「お義母さん・・・お義母さん」
「はい・・・酒蔵見学・・・ホームページを見て・・・あの・・・それ更新が遅れていて・・・先代から代替わりして・・・今は休止中で・・・」
「でも・・・来ちゃった」
「え・・・」
現れたのは・・・まりぶ・・・茜・・・一豊・・・教育実習生サクラである。
「ダブルデートかよっ」
突然・・・活況を呈する坂間酒造だった。
茜は・・・正和の交際相手として坂間家として紹介されまんざらではないのである。
ぎくしゃくした一豊とサクラの仲もスムーズな感じになる。
そして・・・「雑巾しぼりビール」は熟成不足だっただけで・・・すでに飲みごろになっていたことが判明する。
友、遠方よりきたりて・・・坂間家は春爛漫となったのであった。
なぜか・・・ゆとりはまりぶに心を奪われたらしい・・・。
そして・・・近所の温泉で・・・サービスに励む三人。
酒樽に酒がいっぱいで興奮するまりぶ・・・。
「ここ・・・本当に東京なの・・・」
「・・・隅っこですが」
素晴らしい環境に満足する客人たち・・・。
「基本・・・どこにも不幸の要素がないよな」
「基本的に・・・ゆとりだよな・・・」
つまり・・・就職がなかなか決まらないにしろ・・・変な後輩に嫌な思いをさせられるにしろ、童貞にしろ・・・それほど不幸ではないわけである。
本当に不幸な人は・・・他にいくらでもいるのだ。
その前提が今・・・明らかになりました。
「最近・・・君たち、まりぶの部屋で泊まったり・・・まりぶが君の実家に遊びに行ったりしてるんだって・・・友達になってくれてありがとう」
感謝するレンタルおじさん(吉田鋼太郎)・・・。
しかし・・・正和と一豊はまりぶとの友人関係を否定するのだった。
そして楽あれば苦ありの人生である。
正和との交際が会社で明るみとなり・・・激怒する茜。
暴露したのはヤマギシらしい・・・。
そして・・・阿佐ヶ谷南小学校には自称・サクラの男(北村匠海)があらわれた!
まあ・・・ダイナマイツ!・・・だからな・・・。
男を泣かせ・・・男に冷たくしても・・・寄り添う気持ちがあればいいんだよな。
女性シンガーが「いとしのイケメンたち」を歌えばよかったんじゃないのか・・・。
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