上野国は関東の宝庫だ・・・そこに沼田城がそびえたつ・・・あたかも宝剣のように・・・(長澤まさみ)
関東制覇を狙う・・・北条家、上杉家、そして武田家・・・。
上野国沼田城は・・・各勢力の衝突する・・・地理的特性を供えている。
ただそれだけのことで・・・戦国の世が終息しようという・・・この時になっても・・・紛争の火種なのである。
武田家の系譜を継承する真田家が・・・主家の滅んだ後・・・そこに旗を立てている。
領地こそが・・武家の存在意義だからである。
大勢力である北条家の攻勢に・・・徹底抗戦し続けた真田勢・・・。
やがて・・・天下統一の機運が高まり・・・関白豊臣秀吉の惣無事令により・・・武力による勢力図の変更が禁じられる。
その瀬戸際で・・・北条家は・・・秀吉政権に臣従する代償として上野国沼田の割譲を求める。
血と汗の結晶である領土を・・・主人の命令一つで・・・返上する・・・。
真田昌幸の苦渋・・・。
なにしろ・・・領土を失えば・・・家臣は路頭に迷うのである。
どう考えても・・・真田昌幸の陰謀が始る他ないのである。
で、『真田丸・第21回』(NHK総合20160529PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は物語の主人公・真田信繁いよいよ青年期と天下統一に王手をかけた関白太政大臣の豊臣秀吉の二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。大学卒業して社会人になりました的な信繫と・・・中央で天下を見下ろす感じの関白秀吉・・・妄想広がる素晴らしい構図でございましたね。北条勢の退場間近ですが・・・あくまでマイペースでお願いいたします。虚実のかけひきが実に見事な今年の大河・・・。今回は・・・真田信幸の最初の妻で・・・真田信綱の娘である「こう」の立ち場の描き方が見事でしたねえ。真田昌幸の母である「とり」は「こう」にとっては祖母ですから・・・孫として世話を焼きつつ・・・肉親としての厳しさも見せている。トレビアンでごさいます。さらに・・・なんといっても・・・信幸の正室となった「稲」は・・・徳川家康の養女という設定。つまり・・・長篠の戦いで討ち死にした父親の仇の娘が・・・夫の新しい妻ということですからね。もう・・・心に眠るすべての力をふりしぼって対抗するしかないのでございますよねえ。幼い「静」から若さの「動」へ・・・。ベテラン女優のなかなかの演技プランに感嘆でございました。
天正十七年(1589年)五月、豊臣秀吉の側室の茶々が淀城にて棄(鶴松丸)を出産。徳川家康は北条氏政に「豊臣家への出仕を拒否すれば氏直の室・督姫(家康・次女)を離別させる」と通告。氏政は弟の氏規と評定衆の板部岡江雪斎を上洛させ、「十二月上洛」の代償として真田昌幸の支配下にある「沼田領」の引き渡しを秀吉に求める。六月、秀吉は肥前の大名・龍造寺政家に肥後一揆鎮圧への参戦を命じ、浅野長政を軍監として派遣する。島津義久は刀狩による刀・脇指三万腰を秀吉に進上。大友義統の嫡子・大友義述は豊臣姓を下賜される。豊臣秀吉の養女として後陽成天皇女御となった藤原前子(近衛前久の娘)が第一子を懐妊。敦賀五万石の領主・蜂屋頼隆が死去し、豊臣秀勝(秀次・弟)が遺領を相続。大谷吉継が二万石を分与され代官となる。後に秀勝は甲斐・信濃二十三万石に転封され、大谷吉継が敦賀五万石の大名となった。大仏殿(方広寺)造立作業で蒲生氏郷が巨石を運搬し功名する。真田昌幸は上洛して秀吉と密談。千利休が聚楽第の築庭を指図する。京都と大坂の大名屋敷の建設進む。秀吉は越後宰相・上杉景勝に南部信直の上洛の便宜を図るように通達する。七月、家康は領国の総検地を開始する。
「九月には一万石以上の大名の妻子はみな・・・京に集めるでのん」
秀吉は聚楽第の寧々に告げる。
「お屋敷はあらかたできちょるんだね・・・」
寧々は大名の妻子の頂点に立つ者として・・・秀吉に役割を与えられている。
豊臣家となった・・・亭主・秀吉の留守を守って歳月を送って来た「家」である。秀吉の女房は並の女に務まるものではない。
場合によっては秀吉以上に怜悧な北政所は・・・秀吉直臣の妻子で構成される侍女の官僚団を組織していた。
「関東は・・・もうひと荒れありそうだがや」
「北条たら言うお殿様が・・・大人しく従わんのかね」
「なにしろ・・・生まれついてのお殿様だもんで・・・気位高くてかなわんでのん」
ぼやきながら秀吉は奥の間を出た。
聚楽第の内にある千利休屋敷を経由して・・・大坂城に下るのである。
秀吉が去ると・・・寧々は顔に不機嫌さを見せる。
「弥兵衛を呼んでちょうだい」
小浜八万石の大名であり京都奉行でもある浅野長政は寧々の義弟である。
寧々の妹の祢々の夫だった。
「寧々様・・・お呼びで」
「茶々のことだがね」
「いい加減になさりませ」
「勝俊の放った門徒衆は存外頼りなかったわ」
「・・・ただいま・・・北条の縁者が上洛中でございます・・・」
「で・・・」
「北条には風魔という忍び衆がおりますれば・・・」
豊臣家の奥からの密命を聞き蒼ざめる板部岡江雪斎・・・。
「そのようなことをして・・・殿下が・・・」
「なにもしなければ・・・奥の機嫌を損じますぞ・・・」
仕方なく・・・警護のために同行している風魔龍太郎に相談する江雪斎だった。
「淀城攻め・・・ですか・・・」
「無理か・・・」
「暗殺は・・・風魔一族の得意とするところ・・・おまかせくだされ・・・」
風魔龍太郎は五人の下忍を連れていた。
しかし・・・その内の一人・・・雨宮源内は・・・徳川の草であった。
聚楽第に逗留中の本多正信は鞍馬流の忍者であり・・・修験者忍びの真田家とは特殊な繋がりを持っている。
「信繫殿・・・」
正信に呼び出された信繫は蒼ざめる。
「それは・・・」
「信繫殿は・・・淀城の使い番・・・父上・・・上洛中に不始末があれば・・・ただでは済みますまい・・・」
「・・・」
「徳川としても・・・北条の忍びに・・・しでかされては一大事でござる」
草木も眠る丑三つ時。
淀城の石垣に黒い影がとりついた。
しかし・・・石垣には先に真田の忍びが張り付いていた。
「お」
二人の風魔の乱破が刺殺されて川に落下する。
二人の風魔の乱破は真田の忍びと揉み合い水中に落ちた。
石垣を登り切ったのは龍太郎のみである。
しかし・・・淀城内は殺気に満ちている。
「これは・・・」
「真田佐助と申す・・・」
佐助は・・・昌幸と共に上洛していた。
「噂に聞いたことがある・・・たしか・・・猿飛の」
龍太郎が佐助の異名を口にした時には背後に回った城内警護の影の忍者が心臓を一突きにしていた。
「これは・・・いつぞやの・・・お手数をかけ申した」
「死体はお持ち帰りくだされ・・・」
「おおせのままに・・・」
「今夜のことは・・・他言無用でござる」
「願ってもないことで・・・」
佐助は赤い仮面をつけた影の忍者に頭を下げると龍太郎の死骸を担いで城外に飛び去った。
こうして・・・真田の忍びたちは寧々の悋気をまたしても闇に葬ったのである。
淀城内で・・・茶々と赤子は安らかな寝息を立てている。
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