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2016年5月10日 (火)

俺にまかせろ(福山雅治)終わらない半減期(藤原さくら)子供を捨てる女の血が流れている私(夏帆)再生回数どこまでも(菅田将暉)

「終わらない歌/ザ・ブルーハーツ」は1987年のアルバム「THE BLUE HEARTS」の収録曲である。

もう・・・29年も前の歌なんだぜ。

それでも2011年からCMソングになっているので・・・数年前の高校生が学園祭で演奏していてもおかしくはない。

幻想としては・・・高校生は永遠にブルーハーツにはまるものだという考え方もあるのだ。

ちなみにヒロインの最初の愛唱曲である「500マイル」(日本語詞 ・ 忌野清志郎)は1991年のアルバム「日本の人」の収録曲である。

どちらも名曲だが・・・二十年以上の歳月は・・・知る人ぞ知る世界を構築するものだ。

どちらも「スタンダード」と言っていいんじゃないか。

それは専門度によるからなあ・・・。

そういうものが・・・インパクトを持つものかどうか・・・それは神のみぞ知るのだった。

ドラマの中の「動画」は素晴らしいインターネットの世界に「【公式】500マイル/佐野さくら 」としてアップされている。

オンエア終了から三時間ほどの時点で視聴回数は52,452であった。

で、『ラヴソング・第5回』(フジテレビ20160509PM9~)脚本・神森万里江、演出・平野眞を見た。脚本家の変更が予定通りのリレーなのか・・・なんらかのアクシデントによるものなのかは妄想するしかないが・・・新人からほぼ新人へのリレーであり・・・初々しさはそれほど変わっていないようだ。まあ・・・あらゆる芸術作品はチャレンジによって成立する・・・という考え方では・・・これはこれでいいのかもしれない。まあ・・・芸術家というものはできれば最初から最後までやりたいと思うものだと思いたいけどね。とくに処女作ならなおさらね。

天野空一(菅田将暉)は同じ施設で育った佐野さくら(藤原さくら)を特別な存在として考えている。幼馴染であり、仲間であり・・・そして生涯の伴侶としたいと・・・。

しかし、さくらの心には神代広平(福山雅治)の存在が大きくなっていた。

親から充分な愛を与えられずに育ったものたちの鬱屈。

空一は分かりあえるのは自分たちだけだと感じている。

さくらも・・・そう思わないわけでもない・・・だが・・・さくらが恋をしたのは・・・広平なのである。

広平は優しく微笑んでくれる。

それは・・・さくらの心に澱む・・・失われた何かを刺激する。

空一はさくらの唇を無理矢理奪うが・・・さくらは空一の欲求を拒絶した。

「ごめん・・・」

「・・・」

「忘れてくれ・・・そんで・・・友達のままでいてくれ」

「・・・」

「俺・・・応援する・・・さくらの歌を・・・応援するから」

「・・・」

「だって・・・歌いたいんじゃろう・・・」

広平の心は揺れていた。

広平の心に燻り続ける「音楽」の炎。

「歌姫」であるさくらと出会い・・・・ただ見守ろうと思った。

しかし・・・さくらのチャンスはたやすく摘み取られた。

広平に「謎の宍戸春乃(新山詩織)事件」の関係者であるうさんくさい音楽制作会社の桑野喜和子(りりィ)は呪いの言葉を投げつける。

「あの子には運がなかった・・・それだけの話さ」

桑野の無慈悲な言葉が・・・結局・・・広平のハートに火をつけたらしい。

広平は昔の音楽仲間であるレコード会社「トップレコード」の弦巻竜介(大谷亮平)を尋ね・・・「さくらのライブ音源」を託すのだった。

「僕は・・・現場にはノータッチなんですよ」

「ただ・・・お前の感想が聞きたいだけだ」

「本当に・・・聞くだけですよ」

広平には分かっていた。

「さくらの声」を聞いたものが・・・それだけですむはずがないことを・・・。

世の中は不公平なものだ。

恵まれた家庭に育ち・・・何不自由なく暮らすものもいる。

そして・・・望んでも手に入らない生まれつきの特別な才能を持ったものもいるのだ。

「特別な才能」を売るビジネスをするものは・・・それを見逃すことはできないのである。

もちろん・・・桑野のように見切りをつけるものもいる。

だが・・・そうでないものもいるのである。

広平はすでに・・・さくらの才能から目を離すことができない。

「知り合いの・・・レコード会社の人間に・・・君の歌を渡してきた」

「・・・」

広平は・・・無造作にさくらの指先に触れる。

「ギターだこが・・・あるね・・・練習している証拠だ」

「ひひひ・・・一人でも・・・歌えるように・・・」

「また・・・ライブをやってみないか」

「・・・ままままだ無理・・・」

「大丈夫・・・俺がギターを教える・・・そして・・・一緒にステージに出る」

「・・・」

「もう一度・・・一緒にやろう・・・」

美しいカウンセラーと「もぐら」との会話に・・・その他大勢の女子社員たちは興味津々である。

「先生と・・・何を話していたの・・・」

「カカカカカウンセリング・・・」

「ああ・・・どどどもりのちちちち治療のはははは話ね」

女たちは意地悪な顔を隠して揶揄する。

さくらは・・・嘘をついた。

そして・・・少しだけ・・・同僚たちを見下した。

空一は広平をさくらの部屋に呼び出した。

「さくらを売りだすために・・・動画を作って・・・アップする」

「なるほど・・・」

「先生は・・・ギターを弾いてくれ・・・」

「わかった・・・」

さくらは・・・女の子の部屋でエア・ギターをつま弾き「500マイル」を歌う。

渡辺涼子(山口紗弥加)の協力で・・・「さくらのチラシ」を備品盗用でコピーする空一。

またもや・・・さくらの足を引っ張る犯罪行為だが・・・空一にとって・・・この世のすべては・・・奪えるものなら奪っていいものなのである。

それを見逃すかどうかは・・・神の匙加減に過ぎない。

空一はつぐないをしなければならない。

涼子は・・・空一の女であるさくらを冷たい視線で見つめる。

ライブハウス「S」でギターのレッスンに励むさくらと広平。

「君はどんな歌が歌いたい・・・」

広平の問いに・・・さくらは答えることができない。

一生懸命にチラシを配布する空一。

さくらは・・・空一とともに・・・動画を見た初めてのファンに遭遇する。

「とても素敵でした」

見ず知らずの人間からの賞賛に・・・さくらは眩暈を感じる。

吃音症の治療中に・・・さくらは宍戸夏希(水野美紀)に心中を吐露する。

「みみみ・・・みんなが・・・わわわわたしなんかに・・・ききき期待して」

「・・・まあ」

「ににに逃げ出したくなる」

「あらあら・・・」

「でででも・・・ぜぜぜ絶対に・・・ににに逃げちゃいけないって・・・わわわ解ってる」

「何が・・・一番問題なのかしら」

「ううう歌いたい歌・・・」

「・・・」

「せせせ先生に聞かれたけど・・・こここ答えられなかった」

夏希は・・・広平の女であるさくらを冷たい視線で見つめる。

広平がカウンセラーとして勤務する病院の入院患者に湯浅志津子(由紀さおり)は病室に現れた別の医師に問う。

「いつもの・・・先生は・・・」

「今日は欠勤です」

「女・・・ね」

牝犬に特化した認知症患者ほど不気味なものはない。

野村健太(駿河太郎)との結婚の準備に追われる中村真美(夏帆)は漠然とした不安を感じていた。

「お義母さん・・・私のことを嫌ってるんじゃないかしら」

「そんなことはないよ・・・ただ・・・お節介なだけだよ・・・」

「・・・ごめんなさい」

真実には真似るべき・・・親はいない。

真実には親の記憶がない。

妊娠している真実だが・・・母親というものがどういうものなのか・・・全くわからないのである。

結婚のために・・・真実がキャバクラ嬢を引退する日がやってきた。

真実は・・・さくらと・・・店の人々に贈る別離の手作りのクッキーをパッケージする。

「みみみみんな・・・よよよ喜んでくれるかのう・・・」

「さあ・・・どうかしら」

「・・・」

「私・・・こわいの・・・店をやめて・・・自分の居場所がなくなっちゃうことが」

「でででも・・・ののの野村さんがいるじゃない」

「わからん・・・いつか・・・私の親のように・・・あの人や・・・お腹の子を裏切るかもしれん」

「ううう生みたいって言ってたろう・・・」

「生みたいよ・・・でも・・・こわい・・・逃げ出したくなるわ」

「・・・」

夏希は広平を呼び出した。

「さくらちゃんに会ったよ・・・いろいろ・・・おしつけてるみたいね」

「ギターを教えているだけさ」

「まさかと思うけど・・・さくらちゃんに特別な感情を抱いてるんじゃないでしょうね」

「あの子が・・・前へ進むために・・・手を貸したいと思っている」

「まさか・・・空一くんとはりあってる・・・とか」

「・・・昔の自分と・・・はりあっているのかもな・・・」

「・・・」

夏希は揺れる。

妹として・・・神聖な姉を冒涜される惧れに・・・。

自分ではなく・・・さくらを選ぶ広平の情熱の行方に・・・。

広平は部屋に戻り・・・さくらの動画を見る。

その瞳に浮かぶ情念の正体は・・・秘密である。

そこへ・・・さくら本人が急襲する。

「う歌いたい歌・・・わわかった・・・」

「そうか・・・じゃあ・・・明日」

「い今じゃなきゃ・・・だだめなんじゃ・・・」

「しかし・・・明日・・・早いんだよ」

さくらは部屋に入ろうとするが・・・阻止する広平。

つまり・・・部屋にあげたら・・・さくらに手を出す可能性があることを・・・広平は自覚しているのだった。

二人は・・・夜の公園で・・・レッスンを開始した。

真実の最後の勤務は終わった。

キャバクラ嬢ラムの引退・・・。

ラムの寿退社を・・・同僚たちはあまり祝福する気はないらしい。

だって・・・うらやましくてまぶしくて・・・どうしていいのかわからないのだ。

真実はそれを察し・・・置手紙を残して業界を去る。

夜の街を抜け家路につく真実の心細い足取り・・・。

「あら・・・帰ってたの」

「マミーにううう歌う歌をれれれれ練習してた」

「私に歌ってくれるの」

「でも・・・間に合わんかった・・・」

「いいじゃない・・・歌ってよ・・・」

「だめじゃ・・・サプライズにならん」

「いいから・・・歌って・・・今・・・歌って」

「マミー・・・」

自分にとって・・・実質上の母親である真実の動揺に気付くさくら・・・。

さくらは・・・未完成の「終わらない歌」を披露する。

「世の中に冷たくされて一人ボッチで泣いた夜・・・もうダメだと思う事は今まで何度でもあった・・・」

真実の中で蘇る高校時代の情景。

真実の初恋の少年は・・・学園祭で・・・その歌を演奏していたのだ。

あれは・・・高校三年生・・・施設にいた最後の季節・・・。

「へたくそ・・・」

「だから・・・まだ練習中なんじゃ・・・」

真実はさくらを抱きしめた。

「ありがとうな」

「ママミ~はいつもお菓子作ってくれた・・・ママミ~は哀しい時にいつもそばにいてくれた・・・ママミーはいいお母さんになれるに決まってる・・・」

「・・・」

「さささわってもいいか」

「お腹・・・?」

「ほほら・・・ここの子は・・・マミーがいいって言うとるもんね」

「・・・」

「わしにはわわかるんじゃ・・・」

「さくら・・・」

「けけけ結婚式のスピーチ・・・わわしにまかせろ」

「おう・・・頼むわ」

二人は親の血をひく姉妹よりも固い契りの義姉妹なのである。

広平は関係者を「S」に集めた・・・。

「俺は・・・さくらちゃんのための曲を作るつもりだ・・・」

「・・・」

「そして・・・レコード会社の人間に・・・ここでお披露目する」

「・・・」

「空一・・・さくらちゃんを俺にまかせてくれ」

「え」

ついに・・・広平はさくらの夢を一緒に叶える気になったらしい・・・。

明日には笑えるように・・・。

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