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2016年5月22日 (日)

女が男を裏切ったら女全員が反省するべきですか(福士蒼汰)変な男を好きになってしまったら変な女ですか(門脇麦)私は罪な女(飯豊まりえ)

罪を憎んで人を憎まずという「理想」がある。

しかし・・・たやすく人は人を憎む。

一方で人はたやすく人を愛する。

愛する人を誰かに傷つけられたら・・・その誰かを人は憎むこともあるだろう。

しかし・・・だからといって・・・人間全体を憎むのは普通ではない。

日本人が外国人に殺されたら日本人は外国人全体を憎まなければならないのだろうか。

そんなおかしなことを・・・賢そうなニュースキャスターたちがさもまともなことのように話している。

過去の戦争の結果・・・敗戦国に与えられたペナルティーと・・・個人が犯す犯罪とは全く別なものである。

世界のどこかで日本人が犯罪を犯したら・・・日本人は全員切腹するべきだと誰も思っていないくせに・・・妙なことを言う人がいるよなあ・・・。

本気で・・・戦争によって確定したルールを替えようと思うなら・・・戦争する覚悟が必要なのである。

その覚悟を相手が本気にした時・・・初めて交渉が始るのだ。

何が善で・・・何が悪なのか・・・何が罪で・・・何が罰なのか・・・このドラマのとりとめのなさが・・・そういうものを象徴しているように見える。

ヘレンケラーが三重苦の少女ではなく、視覚と聴覚が不自由な少女として表現される現代社会に私は馴染めない。そして・・・少し馬鹿になっていると思う。

で、『お迎えデス。・第5回』(日本テレビ20160521PM9~)原作・田中メカ、脚本・尾崎将也、演出・南雲聖一を見た。人間が自意識の中に善意と悪意を見出すのは何故なのだろう。霊魂の問題を考える時に・・・その根本に・・・なんらかの因子があるのではないかという仮説が成立する。つまり・・・善の超素粒子や、悪の超素粒子の存在の仮定である。人体や宇宙を構成する物質そのものに善と悪があるのではないか・・・という妄想である。そんな馬鹿なというのは簡単だが・・・時に人は・・・「絶対的な悪」や・・・どう考えても「善いこと」というものを感じるものである。それが・・・「経験」や「教育」によってもたらされたものなのかどうかを・・・誰も断定できないわけである。洋の東西を問わず・・・人は死後・・・何故か・・・裁かれる。それが神であろうと地獄の王であろうと・・・何らかの罪を問われるわけである。つい・・・そう考えてしまうのだ。それは・・・身体の中に善と悪が存在し・・・それが自意識に働きかけるからではないのか。信じるかどうかはあなた次第だ。ちなみに私は信じない・・・おいっ。

高校時代の同級生である千里(門脇麦)の告別式に出席してから・・・死後、幽霊として現世に滞在中の「存在」を視認できるようになった明櫻大学の学生・堤円(福士蒼汰)・・・。

同様の能力を持つ阿熊幸(土屋太鳳)の導きによって・・・死後四十九日の間に昇天するように・・・この世に未練の残る幽霊を説得する死神二課のアルバイトを開始する。

給与形態は未だに不明の妖しいビジネスである。

幽霊である美樹(野波麻帆)の説得に失敗し、怨霊と化した美樹によって幸は負傷。

円も・・・怨霊と化した美樹が自己破壊によって消滅するという後味の悪い結末を体験する。

結果を入院中の幸に報告している円の前に・・・死神組織の監視から逃れ、幸の家に潜伏中だった逃亡霊の千里が姿を見せるのだった。

「どうも・・・」

「どうも・・・」

「彼女は事情があって・・・成仏停止中なの・・・このことは死神たちには秘密にしてね」

幸は円に頼む。

死神界では・・・幽霊の自主性を重んじる二課のナベシマ(鈴木亮平)と怨霊化阻止の観点から強制昇天を主張する一課のシノザキ(野間口徹)が対立し、消息不明の千里の霊をめぐる対立が生じていた。

ナベシマに恋する幸は・・・円に片思い中の千里に同情し・・・猶予期間を与えているのである。

恋する乙女同志の絆なのである。

しかし・・・「恋愛」について未発達な円は・・・千里の死後に何故、能力が発現したのかという点をあまり・・・考慮せずに・・・研究対象として幸との交際を求めているという童貞なのであった。

「この度は・・・ご愁傷様でした」

「本人にお悔み言う人は・・・人類史上・・・まれかもしれないわ」

「まれ・・・ですか」

「まれ・・・よ」

呪文に呼び出されて・・・ガッキーの領域を狙う「あさが来た」系の女子大生(吉岡里帆)といい勝負の「まれ系」の女子大生・利恵(飯豊まりえ)が召喚されるのだった。

大学で加藤(森永悠希)が祖母・嘉子(佐藤玲→藤田弓子)の葬儀のために休んでいたことを知る円・・・。

嘉子の幽霊は加藤とともに・・・大学に現れる。

「あら・・・あなた・・・私が見えるの?」

「僕があなたを見えることを加藤は知りません」

「そうなのね・・・聞きたいことがあるんだけど・・・」

「なんでしょうか」

「この大学に・・・経済学の前田先生がいるって聞いたんだけど・・・」

「前田教授なら・・・あの人です」

前田教授(中山龍也→西岡德馬)は加藤にレポートの再提出を命じているところだった。

「君のレポートは百パーセントがコピペだ・・・もう少しなんとかしないと単位はやれない」

「そんな・・・コピペだって・・・知識の立派な編集作業じゃないですか」

「学業というものは単なる模倣ではない・・・次の段階へ進もうとする意欲だ」

「おっしゃっていることがわかりません」

「勉強したまえ」

「あの通り・・・厳しい教授です」

「うちの孫は少し馬鹿だったのね・・・」

「教授とはお知り合いなんですか」

「あの人は私の初恋の人・・・私たちは駆け落ちをしようとしたの」

「若かったあの頃・・・何もこわくなかったのですね」

「私たちの時代は蔦のからまるチャペルで祈りを捧げるのよ」

「ひとまとめに昭和ですみません」

「まだ誰もが大学に行く時代じゃなかった・・・私は進学したかったけれど・・・家庭の事情で就職したの・・・でも・・・どうしても大学に通いたくって・・・仕事がお休みの平日にニセ学生として大学にもぐりこんだの・・・」

「情報に対する価値観の相違ですが・・・それは明らかに犯罪ですよ・・・講義泥棒です」

「ま・・・いいじゃないの・・・彼は・・・私がニセ学生と知っても優しくしてくれた学生さんだったの」

「教授が・・・」

「私たちはすぐに恋に落ちた・・・でも私には親が決めた縁談があって・・・」

「かけおちしたんですか」

「待ち合わせの場所に・・・私は行かなかった・・・結局、彼を裏切って・・・親の決めた人と結婚したのよ」

「それでいろいろあって・・・加藤が生まれたんですね」

「そういうこと・・・でも・・・どうしても・・・彼のことが気になって・・・一目お別れしようと思って・・・」

「そういうものなのですか」

「そういうものなのよ・・・」

「気をつけてください・・・四十九日を過ぎると・・・恐ろしいことになりますから」

「そういうの迷信だと思っていたけど・・・こうなってみるとよくわかる・・・大丈夫よ・・・そんなに長居はしないから・・・」

「・・・」

女の約束ほど信用できないものはないと知りはじめた円であった。

女に翻弄される運命に生まれたらしい前田教授に危機が迫っていた。

加藤と同様にレポートの再提出を求められた学生の利恵が教授の研究室を訪れていた。

「教授・・・どこを修正すればいいのか・・・教えてください」

「自分の頭で考えたまえ」

「仕方ありませんね・・・」

突然、自分で服をはだけた利恵は・・・叫びながら廊下に飛び出す。

「誰か・・・助けて・・・」

通りすがりの加藤が利恵の餌食となるのだった。

教授は性犯罪の容疑者となったのであった。

「あの女学生は嘘をついている」と円に訴える嘉子・・・。

「しかし・・・幽霊が目撃者では・・・教授の無実を証明することは困難です」

「そんな・・・」

仕方なく・・・入院中の幸に相談することにした円だった。

疎遠だった父親(飯田基祐)の病院に入院中の幸は・・・離婚後も険悪な母親(高岡早紀)と父親の関係に心を痛める。

怨霊による業務中の負傷のために・・・上司として幸に謝罪するナベシマとゆずこ(濱田ここね)である。

「でも・・・円くんは幸さんを見習って・・・仕事に励むことにしたようよ」

「本当ですか?」

ゆずこは・・・幸の女心をくすぐるのであった。

そこに円が嘉子を連れて現れる。

「彷徨う幽霊を自分で助けようとするなんて・・・円くんはアルバイトの鑑だね」

円を賞賛するナベシマ・・・。

死神組織・・・結構、ブラック体質なんじゃないか。

ナベシマたちが死神会議のために去ると逃亡霊の千里も参加し・・・前田教授を救う会が開催される。

「結局・・・嘘をついている学生を改心させないと・・・」

「でも・・・相手は女子だし・・・」

幽霊の顔色を窺った幸は千里のために提案する。

「そうだ・・・千里ちゃんに手伝ってもらったら・・・」

「え」と円。

「どうかしら・・・」

「私・・・やります」

「ありがとう」と嘉子。

証人として利恵に利用されている加藤が・・・彼氏きどりなのを利用し・・・接近する円と千里である。

「幽霊の存在を認めさせるのよ」と千里。

「君は嘘をついているね」と単刀直入に切り出す円。

「なんですって」と警戒する利恵。

「実は・・・あの部屋には幽霊がいて・・・すべてを見ていたんだ」

「ふざけているの」

「幽霊しか知らない情報を伝えるのよ・・・彼女・・・さっきトイレで手を洗わなかったわ」と千里。

「君は・・・トイレで手を洗わなかったそうだ・・・」

「・・・変態なの・・・」

「え」

「それとも・・・私に気があるのかしら・・・いいわよ・・・付き合っても・・・あなた・・・結構、素敵だし・・・」

色仕掛けを開始する利恵。

すでに・・・怨霊化の気配を見せる千里の嫉妬の炎が燃えあがる。

ポルターガイスト現象である。

周囲のものは振動し・・・利恵のバッグが宙に浮く。

「なにこれ・・・手品なの・・・そんなことで私が騙されると思ったの・・・」

物質主義者の利恵は・・・超常現象を否定するのだった。

「ごめん・・・逆効果だったみたい」と千里。

「いや・・・失敗を反省する点では・・・幸さんより・・・のびしろがあるよ」

「のびしろ・・・ね」

大学を追放されることになった前田教授は研究室で私物の整理をしていた。

そこに・・・提出したレポートを返却してもらうために現れた加藤。

机の上に置かれた古い写真を発見する。

「この人・・・僕の祖母の若い頃にそっくりだ」

「その人は・・・なんというお名前ですか・・・」

「嘉子ですけど・・・」

「そうか・・・嘉子さんに孫が・・・あの人は元気ですか・・・」

「先日・・・亡くなりました」

「・・・そうですか・・・」

「まさか・・・となりに写っている学生は・・・」

「私だ・・・私は嘉子さんと・・・いや・・・昔の話だ・・・嘉子さんは幸せそうでしたか」

「ええ・・・子供も三人いたし・・・孫もたくさんいるし・・・幸せそうに見えました」

「そうですか」

前田の人生は明らかにならないが・・・おそらく研究一筋の人生だったのだろう。

前田の胸に去来する青春の日々と寂寥感・・・。

加藤が退室すると・・・利恵を伴い・・・円がやってくる。

「あなたもしつこい人ね・・・」

「なんだね・・・君たちは・・・」

「教授は大学を追放されるそうだ・・・君は胸が痛まないのか・・・」

「当然の報いじゃない」

「何度も言うけれど・・・すべてを幽霊が見ていたんだ」

「馬鹿じゃないの・・・こんな老害・・・さっさと引退するべきだったのよ」

「なんてことを・・・」と利恵につかみかかる嘉子だが・・・幽霊は人間に触れられない。

しかし・・・怨霊化しつつある千里は・・・円の役に立ちたい一心で・・・スーパー・ナチュラル・パワーを発揮するのだった。

空中に浮揚する利恵。

「なんなのよ・・・こんな手品なんて・・・」

「種も仕掛けもない・・・みんな・・・怒ってる・・・」

「わかったわ・・・とにかく・・・おろして」

「教授がいけないのよ・・・理由もなく・・・レポートの再提出を命じるから・・・私、内定がとれたのに・・・単位がとれなかったら・・・とりけしになっちゃう」

「そんなにギリギリなの・・・」

「バカな子ね・・・教授はただ教育的指導をしていただけなのに・・・」

「嘉子さん・・・言いたいことがあるなら・・・僕の身体をお貸しします」

円は幽霊に憑依させられる特異体質だった。

「あのね・・・この人は・・・あなたのために・・・レポートを添削していたのよ」

「嘘・・・一度も修正してくれなかったわ・・・」

嘉子は・・・教授の添削した控えを取り出す。

そこには細かく意見が添えられていた。

「え・・・」

「いや・・・悪いのは私だ・・・もう少し・・・優しく指導するべきだった・・・しかし・・・彼女のレポートには見どころがあった・・・再提出を命じる度に・・・それが新しい世界を開拓していくことに・・・私は魅了されてしまったのだ・・・研究者としては当然だが・・・指導者としては失格だったかもしれない」

「教授・・・ごめんなさい・・・私・・・とりかえしのつかないことを・・・」

「いいんだ・・・研究は大学でなくても続けられる」

「いえ・・・教授の名誉を回復しなければ・・・」

「いや・・・偽証が明らかになれば・・・君の前途は台無しだ・・・君の謝罪だけで充分だよ」

「あなた・・・いくつになっても・・・女性に甘いのね」

「君は・・・本当に嘉子さん・・・」

「ええ・・・」

「君には御礼を言いたいと思っていたよ・・・」

「え」

「君に裏切られて・・・私は研究一筋の人生を過ごすことができた・・・素晴らしい人生だったよ・・・ありがとう」

「まあ・・・意地悪な人ね」

「君が幸せそうで・・・よかった・・・なにしろ・・・君は私が愛したただ一人の人だから・・・」

今回も男性との抱擁を免れた円だった。

何が正しくて・・・何が悪なのか・・・そんなことは円には分からない。

ただ・・・嘉子が・・・昇天する気になってくれて安堵したのだった。

「これでよかったのですか」

「ええ・・・ありがとう・・・ねえ・・・千里ちゃんのことだけど・・・」

「?」

「いえ・・・これは余計なことね・・・でも・・・彼女もいずれは旅立つ日が来るの・・・それを忘れないで」

「・・・」

円の報告を受ける幸。

「いいコンビじゃない・・・」

「そうかな」

「そうだ・・・千里ちゃん・・・円くんと同居すれば・・・」

「え」

「ほら・・・ここだとナベシマさんも来るし・・・」

「でも・・・円くんが・・・」

「僕は構わないよ・・・家においでよ」

「・・・」

朴念仁なので成立する展開だった。

一人になった幸は・・・自分抜きで案件が解決したことに・・・淋しさを感じる。

そして・・・気がつけば幽体離脱をしていたのだった。

怨霊を除霊できる病院の配膳係・魔百合(比留川游)・・・。

憑依体質の円・・・。

念力の強い幽霊・千里・・・。

そして・・・幽体離脱のできる霊能力者・幸の誕生である。

もう一人欲しいところだな。

いや・・・それより・・・千里はやはり怨霊化しかかってるんじゃないか。

ラスボスなんだろうねえ・・・。

そして・・・ヒロインの愛が勝つんだろうねえ・・・。

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