妹思いですがなにか(岡田将生)一泊ですがなにか(松坂桃李)執行猶予中ですがなにか(柳楽優弥)据え膳ですがなにか(島崎遥香)看護師ですがなにか(石橋けい)出番少なめですがなにか(吉岡里帆)未練ですがなにか(安藤サクラ)
今回は主人公である坂間正和(岡田将生)が徹頭徹尾・・・話の中心となり・・・ふりかかる火の粉をなんとか払いのけようとする悪戦苦闘が描かれる。
物凄く普通のドラマである。
つまり・・・すべてのフリが終わって・・・本題に突入しているわけだな。
そういう意味では「グッドパートナー」も「世界一難しい恋」も・・・オーソドックスな展開なのである。
それなのに・・・物凄い落差を感じるのは・・・演出力の違いとか・・・好みの差異とか・・・複雑な問題を孕んでいるよなあ。
2016年の春ドラマは・・・なんとなく「男たちの物語」である。
(火)の「重版出来」は主役は女性だが・・・結構、男臭い話が続いている。女流漫画家がまだ一人しか出てこないしねえ。
(月)の「ラヴソング」は本来、女の子の物語にするべきところを男性主人公が妨げてしまっているような感じなのが残念なんだな。
で・・・なんとなく・・・重苦しいわけである。
男は基本・・・重苦しいものだからな。
男が三人よれば・・・重苦しい。
タモリ曰く「夢と友達は基本的に必要ない」なのである。
本当は必要ない「ともだち」や「夢」をもてあます男たちの話なのである。
ある程度、重苦しくなるわけである。
で、『ゆとりですがなにか・第6回』(日本テレビ201605222230~)脚本・宮藤官九郎、演出・鈴木勇馬を見た。「みんみんホールディングス」から居酒屋「鳥の民・高円寺店」に店長として出向中の坂間正和(岡田将生)は交際中である上司の宮下茜(安藤サクラ)と友人で童貞の山路一豊(松坂桃李)との仲を怪しみ骨折したあげくに交際終了を申し出るがレンタルおじさん(吉田鋼太郎)の息子で妻子あるガールズバー店長の道上まりぶ(柳楽優弥)が就職活動中の妹のゆとり(島崎遥香)に手を出したと知り殴りこみをかけたのだった。
正和の乱である。
出迎えたまりぶの妻ユカ(瑛蓮)は乳児をあやしながら叫ぶ。
「なんか飲むか・・・飲むなら買って来い」
「その前に・・・紹介してくれ」
「ユカ・・・親父」
「お前か・・・不倫まみれの父親か」
「最初に言っておくが・・・ユカとは入籍していない」
「え」
「男としてキチンと籍は入れないと」
「入籍中に不倫したお前に言われたくない」
「私、ピザ切れてるから無理だけどね」
ユカ・・・日本人じゃなかったのかよっ。
爆買いツアーで来て不法滞在中らしい・・・。
「俺は最初から浮気するって宣言してる」
「有言実行ね」
「まりぶには腹違いの兄がいまして・・・優秀でして」
「何度も不倫してたのか」
「四、五回です」
「父親のことはどうでもいい」
「誘ったのは・・・向こうから」
「なんで・・・連絡先を・・・」
「お兄さんに渡した名刺・・・」
「え」
「セキュリティーが甘いよね」
「そういう問題じゃないだろう」
「友達の妹だと思うから・・・箸を止めようとした」
「それなのに・・・どうして」
「言ってることはわけがわからなかったけど・・・かわいかったから」
「・・・」
「手を出したの」
「だまってろ・・・ものには順番があるだろう」
「で・・・どうなんだ」
「やっちゃいました」
「ああああああああああ」
「病気よ」
「関係ないよ・・・親がどうだろうが・・・浪人生だろうが・・・関係ないよ・・・妻子あるくせして・・・俺の妹とやっちゃうことが問題なんだよ・・・このモラトリアム野郎が・・・」
「ごめんなさい・・・お兄さん」
「お兄さんって言うな・・・」
しかし・・・まりぶとの交際によって心身充実したゆとりは苦戦していた就職活動が軌道にのり、内定寸前の微妙な時期である。
「別れ」を切りだすのは「内定確定後」と約束させる正和。
「え・・・会っていいの」
「メールで励ませ」
「やるのは・・・」
「ダメに決まってるだろう」
爽やかな坂間家の朝・・・。
母親の和代(中田喜子)はゆとりの就職が決まりそうなので上機嫌である。
電動歯ブラシ使用中の正和にゆとりが身を寄せる。
「お兄ちゃんにだけは・・・言っておこうと思って・・・」
「ういいいいいいん」
「大きいお兄ちゃん・・・浮気しているみたい・・・」
「うぃぃぃぃぃぃん・・・えっ」
妊娠活動中にも関わらず・・・素晴らしいインターネットの世界で性風俗店の画像を検索していた長男の宗貴(高橋洋)は嫁のみどり(青木さやか)に激しく責めたてられるのであった。
「こんなもの見てどういうつもり・・・なんて日だ」
「いや・・・これは・・・単にえっちなあわびたちであって」
「浮気するなんて最低!」と吐き捨てるゆとり。
つまり・・・ゆとりは・・・自分が不倫中だとは夢にも思っていないのだった。
兄として正和は身悶えするのだった。
本社に出社した正和は・・・伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを手にとる。
「あ・・・お茶の方がよかったですか」
「いや・・・」
妙に腰の低い山岸(太賀)である。
直属の上司・早川道郎(手塚とおる)とのミーティングで・・・取引先の仕出し弁当屋「大盛軒」の経営不振を上申する山岸だったが・・・。
正和の目にも・・・早川の目にも・・・取引を打ち切られていることが明瞭だった。
「三月まで・・・順調だったのに・・・」
「他社に乗り換えられてるんじゃないか・・・」
「えええ・・・そうかなあ」
「そうかなって・・・薄々気がついてたんだろう」
「いやあ・・・まさかと思って・・・」
「・・・」
自分を本社から追いやった張本人である・・・山岸をも・・・後輩として面倒を見てしまう正和なのである。
人がいいにも程があるのだった。
「大盛軒」の担当者である野上(でんでん)にそれとなく探りを入れる正和。
「うちの・・・山岸・・・どうですか」
「心を入れ替えてがんばってるよ」
「それにしては・・・取引が・・・」
「季節的に肉より魚なんだよ」
「今日はチキンカツですよね」
「まあ・・・俺も社長の方針には逆らえないからね」
「しかし・・・長年のお付き合いじゃないですか」
「いや・・・そういうことは・・・努力の成果をみせてくれないとね」
のらりくらりと追及をかわす野上だった。
他者の食材によってつくられた仕出し弁当を山岸と試食する正和・・・。
「うちの製品の方が・・・上質だな・・・価格は」
「同額です」
「じゃ・・・なんで・・・」
「接待じゃないですかね」
「しかし・・・お前だってがんばってるだろう」
「野上さん・・・ゲスですから・・・フィリピンパブから北欧系で南米系・・・最後に富士そばのおばちゃんまで口説きます・・・」
「敵は・・・それを上回るのか・・・」
「・・・」
山岸が・・・使えないけれど・・・それなりに成長したことを嬉しく感じる正和・・・。
だから・・・人がいいのにも程があるだろう。
一方・・・「阿佐ヶ谷南小学校」の教頭(原扶貴子)も伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを・・・。
「みんみんホールディングス」と「阿佐ヶ谷南小学校」の点と線が繋がる展開らしい。
そして・・・まんじゅうにはカピバラの肉は入っていないらしい。
学習障害のある転校生・大悟の加入によって・・・4年2組の授業が遅れるのではないかというクレームが父兄から寄せられたのだった。
母親の奈々江(石橋けい)を交えたミーティング。
「やはり・・・算数だけは別室でということになりますか」
「しかし・・・児童たちにどう説明する・・・大悟くんはクラスの人気者なのに・・・」
「僕が・・・話します」
担任の山路は立ち上がるのだった。
「ゆとり教育」と黒板に記した山路は児童たちに話しかける。
「昔・・・土曜日も授業がありました・・・」
「えええ」
「先生たちの時代から・・・土曜日の学校はお休みになったのです」
「へええ」
「一日、お休みを多くして・・・いろいろなことを覚えるよりも・・・ゆとりをもってゆたかな心を育てようということになりました」
「ふうん」
「その結果・・・少し・・・お勉強ができなくなって・・・先生たち、ゆとり教育を受けた人間は・・・ちょっと馬鹿なんじゃないかという人もいます」
「ひでえ」
「でも・・・ゆとり教育にもいいところがあります」
「・・・」
「大悟くんは・・・算数が苦手です・・・そういう子供は昔なら・・・見捨てられていました。でも、今は人をおとしめることは悪いことだとみんな知っています」
「・・・」
「大悟くんのせいで・・・授業が遅れて困ると思った人がいますか・・・だから・・・大悟くんを見捨てるべきだと思いますか」
「だめ~」
「じゃ・・・どうすればいいと思う?」
「電卓使えばいい」
「いい考えだね・・・だけど・・・それで・・・大悟くんだけが電卓を使って一番になったらどう思う」
「みんなで電卓を使えばいい」
「ふふふ・・・だけど・・・算数で計算の仕方を覚えることはものを考える手順を頭の中に形作るために必要だと考える人たちもいる」
「・・・」
「眼鏡も電卓も道具だけれど・・・今はまだ・・・電卓を使った授業は認められていない・・・だから・・・大悟くんだけは・・・算数の授業を別の教室で特別にすることにします」
「えええ」
「これは・・・大悟くんをみんなから切り離すことじゃない・・・みんなと一緒に学び・・・みんなと一緒に卒業するための特別なやり方です・・・いいかな」
「は~い」
涙ながらに・・・素晴らしい児童たちに感激する大悟の母親の奈々江・・・。
「ありがとうございました」
「いいえ・・・みんな・・・いい子だから・・・」
「最初・・・山路先生が担任と聞いて・・・年下で・・・ゆとりで・・・しかも童貞なんて・・・大丈夫なのかと思いました」
「ど・・・」
「でも・・・今は山路先生が担任で本当によかったと思っています」
「どうも・・・」
心温まる小学生たちの出番が終了すると・・・居酒屋「鳥の民・高円寺店」で正和はバイトリーダーの村井(少路勇介)とバイトの中森(矢本悠馬)が伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを食しているのを目撃する。
「これは・・・」
「エリアマネージャーからの差し入れです」
無駄に発達した推理力により茜が旅行に行ったことを察知する正和だった。
「茜ちゃん・・・伊豆に・・・」
「友達と一泊してきたの」
「友達って・・・俺も知ってる人・・・」
「そうよ・・・」
「一人しかいないんだけど・・・」
「山路とだよ」
「それは・・・」
「だって友達だから別にいいでしょう・・・私たち別れたんだし」
「でもさ・・・仮に・・・俺が女友達と一泊したら・・・」
「誰よ・・・そんな人いるの」
顔色が変わる茜・・・一瞬で滲みでる「別れたけれど正和は私の男だ・・・だれにも渡さない」的女の業である。役者だなあ・・・。
友人と不倫している妹・・・別れても好きな上司・・・手のかかる馬鹿な後輩・・・。
正和の・・・人がいいにも程があるが炸裂する夜だった・・・。
閉店間際の店に次々と顔を見せる正和の友人たち。
「大悟くんのお母さん・・・看護師だった」
正和の悶々とした気持ちを軽々と越えて行く童貞・山路・・・。
そこへ・・・女子大生・佐倉悦子(吉岡里帆)からの着信がある。
山路を襲う・・・小暮静磨(北村匠海)の呪い。
思わず・・・語気荒く応じる山路だったが・・・悦子本人だった。
「あの・・・近くまで来たので」
「はい」
看護師のおっぱいも気になるが・・・女子大生のおっぱいも気になる山路だった。
「私のおっぱいも気になるらしいのよ」
茜は・・・本心とは別の・・・見栄を張るのである。
そんなことをしても得はないのは分かっているが・・・心が疼くのだから仕方がない。
そして・・・素直に身悶える正和なのである。
山路は・・・悦子と共に長男の宗貴を伴って戻ってくる。
宗貴は・・・坂間酒造の銘酒「鬼嫁の涙」と「小さな小姑」を抱えていた。
風俗店閲覧の罪により深夜の営業を母と嫁に命じられたらしい。
そこへ・・・世を忍ぶまりぶも到着。
「あの・・・励ましのメール送って良いですか」
「文面チェックする・・・」
「・・・」
「最期の愛してるは削除しろ」
「はい」
たちまち・・・ゆとりからの着信。
「昨日はごちそうさまって何だよ」
「ごはんだけです」
「俺の目を見て言えるのか・・・」
「・・・言えません」
まりぶはゆとりと昨夜も激しい性交渉をもったらしい。
一部お茶の間のアイドル納税者の皆さん・・・これはフィクションですのでご注意ください。
まりぶとゆとりの関係はまりぶと正和だけの秘密なのである。
そして・・・正和と茜の別離も・・・まだ周知の事実ではない。
長男の宗貴はまだ知らず・・・弟の交際中の上司である茜に銘酒を売り込むのだった。
のほほんと・・・銘酒を楽しむ悦子。
悦子も・・・山路が茜と一泊したことを知らないが・・・もう・・・ほとんど知らないからってどうなんだというキャラクターとして仕上がっているわけである。
そこに・・・野上を接待中の山岸からSOSが入電する。
野上を接待攻勢しているライバル会社「アイアイフーズ」の営業マン(中尾明慶)は優秀すぎて勝てる気がしないようだ。
「そうか・・・あんな顔して共演女優を食っちゃうタイプだからな・・・」
そこで・・・正和は・・・まりぶを有効活用することにした。
野上を陥落させる「おっぱい最終兵器」投入である。
まりぶの「おっぱいパブダブルタップ」は山岸の命を救うのだった。
おい・・・原爆投下みたいな描写はやめろ~・・・気のせいです。
耐えがたきを耐え・・・忍びがたきを忍び・・・使えるものは妹の不倫相手でも使う・・・それが人間というものなのだな。
だから・・・無用に重ねるなって・・・。
まあ・・・核兵器が廃絶されたらたちまち通常兵器で大戦争が始るわけだからな。
まりぶはご褒美に「サービス券」を授与され・・・歓喜するのだった。
少しだけ修復される正和とまりぶの友情関係・・・。
茜は・・・銘酒の納品を試験的なものとして裁量する。
弟に感謝する兄・・・。
「売れるまで帰ってくるなと言われても・・・営業なんて初めてだったし・・・全然だめで・・・助かったよ」
「よかった・・・」
「俺だってやることはやってるのにな」
「・・・妊活の話か」
「風俗くらいいいじゃないか」
「それはどうかな・・・」
これ以上、不和の問題を抱えたくない正和だった。
なんとか・・・山岸は野上の接待に成功するのだった。
童貞をこじらせて・・・おっぱい凝視が過ぎる山路はまりぶと語りあう。
「誰か一人とすれば・・・他とはできなくなるじゃないですか」
「・・・」
「それに・・・やったら・・・自分も相手も変わってしまうし・・・」
「・・・」
「誰か一人とやって・・・残りをみんな捨てるよりも・・・やらなければ誰も捨てないってことでしょう」
「一人とやったら・・・またやりたくなるし・・・他でもやりたくなる」
「ですよね」
「俺は世界中の女とやりたい」
「わかります」
「わかるのかよ」
思わず突っ込む正和だった。
「恵ちゃんとは友達だし・・・いいお付き合いをしています」
「芸能人みたいなことを・・・」
「あいつら・・・みんなやってるけどな」
「おいおいおい・・・」
童貞と放蕩者のレベルの違う意気投合である。
「誰も傷つけないやつは・・・誰も幸せにできない」
明かされる・・・山路と茜の一夜。
「来なさい」と誘いをかける茜に応じない山路だった。
「友達だし・・・友達の彼女だし・・・」
「元カノだけどね・・・」
「・・・」
「いいじゃない・・・傷心旅行なんだから」
「・・・」
「そりゃ・・・ひどいことも言ったし・・・彼の愛を試してばかりだったわよ・・・でもまさか・・・彼から別れを切り出されるとは・・・思ってもいなかった・・・」
「・・・」
「ドジでグズで・・・頼りなくて不甲斐なくて・・・頑なで優柔不断で・・・要領悪くて・・・でもそれがマーチンだもの・・・そういうマーチンが好きなんだもの・・・ああ・・・別れたくなかったなあ・・・」
「・・・」
「いい話なのに童貞が話していると思うと泣くに泣けない・・・」とまりぶ。
しかし・・・正和は号泣しているのだった。
「だから・・・復縁しろよ」
「そんな話を聞いたら・・・余計戻ってきてって言えないよ・・・」
「・・・」
「だって・・・俺は変わりたいんだ・・・変わらなくちゃダメなんだ」
しんみりする男三人なのである。
ああ・・・重苦しい。
ついにゆとりの内定が確定した。
「噂の恋人にお祝いしてもらわなくちゃね・・・」
「そうよねえ・・・」
真相を知らないので呑気な嫁と姑だった。
薄氷を踏む思いの正和・・・。
「そう・・・合格したんだ・・・じゃ・・・お祝いを」
「フェイド・アウトでよろしく・・・」
「はい」
まだまだ油断はできないと思いつつ・・・本社の呼び出しに応じる正和。
本社は騒がしい。
「なんかあった・・・」と正和。
「知らないの・・・大盛軒が弁当で食中毒だしたのよ」と茜。
「え・・・」
「二重納品で消費期限切れ・・・野上さんならやらかしそうでしょう」
「山岸は・・・」
「連絡とれずなのよ・・・」
「現場に・・・」
「お願いね・・・それから・・・こんな時になんだけど・・・父です」
「え」
正和は・・・茜の父親・重蔵(辻萬長)と遭遇するのだった。
その様子から・・・重蔵は二人の交際を知っており・・・別離の件は知らない模様である。
正和は・・・ぼんやりとした。
いつものことである。
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