初陣の夜にも落城の朝にも惜しむ命などない覚悟(堺雅人)
久しぶりの高梨内記の娘・きり(長澤まさみ)の未登場回である。
虚構性の高い真田十勇士的発想では真田幸村(信繫)には猿飛佐助と霧隠才蔵がつきものであり・・・佐助が忍者として登場している以上・・・きりはくのいちなのであろう。
ドジッ娘に見えるが・・・これはもちろん擬態である。
高梨内記は真田信綱の正室・高梨政頼の娘・於北に連なる家柄である。
きりの母が真田家の出自を持つことは濃厚であろう。
もしかしたら、昌幸の娘であるくのいち・初音(長澤まさみ)なのかもしれない。
少なくとも・・・妄想大河の上では瓜二つだしな。
で、『真田丸・第23回』(NHK総合20160612PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・田中正を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は北条氏政の軍師・板部岡江雪斎のイラスト描き下ろし大公開でお得でございます。江雪斎の実家の田中家は北条時行の子孫を称するので・・・内心「俺が北条本家だ」と思っているといつも妄想してしまいます。氏政の子の一人・太田氏房の家老でもあった江雪斎は・・・後北条氏の始祖・北条早雲と太田道灌の故事についても想像していたでしょう・・・。最近の研究では早雲こと伊勢宗瑞は道灌より二十歳ほど若かったという説もありますが・・・太田氏房の正室の父である①太田氏資、その父が②太田資正、その父が③太田資頼、その父が④太田資家で、その父が⑤道灌の弟(資忠あるいは資常)となっていて・・・①北条氏政②北条氏康③北条氏綱④北条早雲と・・・一代不足するのでちょうどいいわけですな。俗説では・・・太田道灌暗殺の黒幕である北条早雲。・・・太田道灌暗殺は文明十八年(1486年)、翌年の長享元年(1487年)に早雲は・・・太田道灌がバックアップしていた駿河館を襲撃して今川家当主としての道を今川氏親に用意するわけです。ちなみにこの年、北条氏綱が誕生しています。太田道灌が刺客に襲撃されるのは風呂上りです・・・。黒幕だったかどうかは別にしても有名人である太田道灌の死にざまは早雲の心に深く焼きついたことでしょう。臨戦体制の御北条氏の裏の家訓には「戦時においては風呂に入るべからず」とあったのかもしれませんな。だから・・・氏政は「家訓に従っているだけじゃ・・・けして臆病なわけではない」と言いたかったのかもしれません。
天正十八年(1590年)三月、関白豊臣秀吉は沼津より進撃を開始。松田康長の山中城を豊臣秀次二万、徳川家康三万、池田輝政、堀秀政など二万あわせて七万の大軍で包囲。数日で周辺の鷹之巣城、足柄城などの支城を含めて落城させる。北条氏規の韮山城では織田信雄の二万が攻城に失敗、蒲生氏郷、細川忠興、蜂須賀家政などによる包囲戦となる。北条水軍の根拠地である下田城は長宗我部元親、九鬼嘉隆などが急襲し、撃破する。四月、小田原城を関白軍が完全に包囲する。前田利家、上杉景勝、真田昌幸の北方勢により、大道寺政繁の松井田城は開城。降伏した政繁の勧告により、厩橋城、箕輪城が降伏。徳川勢の一部は武蔵国に侵入し、玉縄城、江戸城を落城させる。五月、浅野長政は下総国に侵入も小金城、臼井城、本佐倉城を落城させる。本多忠勝は河越城、岩付城を陥落させる。伊達政宗小田原に着陣。小田原城に降伏勧告が開始される。堀秀政陣没。六月、合流した北方勢と小田原別動隊の前田利家、浅野長政は鉢形城を攻略。上杉景勝と真田昌幸は八王子城を殲滅。鉢形城、韮山城が開城される。七月、石田三成、直江兼続、真田信繁の忍城攻略は難航中。
真田昌幸が婢に産ませた源太郎幸村は嫡男・信幸の影武者である。
信幸は岳父である本多忠勝に従い、徳川勢に加わっているが、幸村は昌幸と共に真田勢にあった。
上杉の軒猿(忍者)である直江兼続はそのことを知っていたが・・・主君である上杉景勝は「真田のものたちはまるであやかしのようだ」と薄気味悪い心情を率直に口に出す。
「殿は・・・忍城攻めに参加してはなりませぬ・・・」と兼続は告げる。
「何故じゃ・・・城主不在の小城ではないか」
「真田が沼田の城主になって以来・・・たかが小城と侮って・・・北条勢は何度も憂き目にあっておりまする」
「それは・・・真田の忍びどもの手強きゆえであろう」
「忍城も同じでございます」
「ほう・・・」
「あそこは・・・風魔の巣窟なのでございますよ」
「北条の忍びどもか・・・」
「関白のお気に入りである石田三成が手柄欲しさにやってまいりますが・・・支援は私におまかせくだされ・・・」
「ふむ・・・うかつに手を出せば火傷するということか・・・」
「なんとか・・・石田三成の命だけは守っておくつもりでございます」
「真田はどうするかの・・・」
「おそらく・・・次男の信繫を出してくるでしょう」
「つまり・・・城攻め失敗の汚名を逃れるため・・・ということか」
「御意」
こうして・・・小田原城包囲網の分派隊として石田三成を中心に組織された関白勢一万人に直江兼続率いる上杉勢千人、真田信繁率いる真田忍者千人・・・合わせて一万二千人が忍城に向かった。
対する忍城を守備する人数は女子供を含めて三千人だが・・・全員が忍びである。
忍城とは文字通り・・・忍びの里なのである。
北条忍びを統括する明智遠山氏の手配で・・・風魔一族や、魔咲一族、甲神一族など・・・関東の主だった忍びの宗家が・・・忍城周辺に置かれている。
城主・成田氏長の娘・甲斐姫はくのいちとして超一流の素質ありと忍者の世界では評判なのである。
そこに・・・石田三成は・・・まんまと乗り込んだのだった。
「見よ・・・城構えと言うほどのものもない・・・本丸まで一気に攻め込もう」
「まずは・・・おまかせいたしまする」と兼続は応じる。
「真田殿は何か・・・意見がおありか・・・」
「石田様のお指図に従いまする」
石田三成の主力は正面から攻め込む。
突然、隠し堀(落とし穴)が出現した。
「なんじゃと・・・」
巨大な落とし穴は石田軍の主力をすべて飲み込んだのだ。
その穴の中に・・・燃える水が革袋で仕掛けられている。
落とし穴に落ちて我を失った石田軍に火矢が降り注ぐのだった。
「火攻めじゃ」
「あああああああ」
たちまち・・・業火が巻き起こり・・・地獄絵図が展開する。
信繫は佐助に命じた。
「石田様をお助けしろ・・・」
「それは・・・上杉の軒猿勢がする手筈になっております」
「そうか・・・では・・・こちらも脱出しよう」
真田勢は落とし穴の手前で軍を止めていた。
最初の突撃で・・・石田勢は半数の五千人を焼死させてしまったのである。
櫓の上で甲斐姫が燃えあがる石田兵を見ながら舌舐めずりをする。
「肉の焼ける良い匂いがしてくるのう」
「御意」
風魔小太郎は畏まった。
「攻め方には・・・上杉の軒猿や・・・真田の忍びがいると聞くが・・・他愛もないの」
「いえいえ・・・忍びの戦はこれからでございまする・・・次は石田が自慢の犬神衆が夜襲を仕掛けてまいりましょう」
「ほう・・・」
「しかし・・・こちらには・・・犬饅(犬用の毒殺具)が大量に備えてありますぞ・・・」
「ふふふ・・・犬を殺すのは少し・・・かわいそうね」
「戦に情けは禁物ですぞ・・・姫」
「・・・」
甲斐姫は年齢不詳の老忍者にあどけない微笑みを向けた。
その瞳が一瞬、黄金色に輝く。
その恐ろしいほどの色香に・・・風魔小太郎は戦慄を覚えるのだった。
(この姫・・・邪眼を使うのか・・・)
関連するキッドのブログ→第22話のレビュー
| 固定リンク
« 青空の下で僕は愛を見つけた(福士蒼汰)ご愁傷様デス(土屋太鳳)残念デス(門脇麦) | トップページ | すると俺は立ち去る・・・体裁つけて(福山雅治)愛してくれないなら一緒に音楽活動はできません(藤原さくら)弱虫じゃのう(夏帆)つきまとい勝ちじゃ(菅田将暉) »
コメント