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2016年6月 9日 (木)

消せない恋をつかまえた(大野智)憎み切れない意気地なし(波瑠)元史上最高社長の修正平手打ち(北村一輝)

ふふふ・・・最終回直前まで・・・ウジウジを貫くとは・・・。

この脚本家は・・・やはり・・・骨の髄まで腐ってやがる・・・。

もはや・・・凄えと感服するしかないな・・・。

一方・・・シャアを捨てブライトさんになってしまった北村一輝・・・なんでもありだな。

しかし、来週は「見せてもらおうか・・・鮫島ホテルズの結婚式とやらを・・・」とか言いそうだな。

腐ってもオレザクの人だからな。

とにかく小学生の夏休みの宿題で「旅館の池」を造園してしまう・・・恐ろしいほどの才能だよね。

とんでもない男と出会ってしまったのだから・・・それなりの覚悟で挑む元学級委員・・・。

なにしろ・・・金魚鉢とか虫籠に獲物を入れて飼育したいだけの相手だからな・・・。

まさに・・・あなたに抱かれて蝶にならないといけない展開なのだから・・・。

一歩間違えたら・・・防腐剤を注射されちゃうんだものねえ。

いよいよ・・・今年の春が去っていくんだなあ・・・。

で、『世界一難しい恋・第9回』(日本テレビ20160608PM10~)脚本・金子茂樹、演出・菅原伸太郎を見た。おそらく・・・この春の最高傑作をあげるとなるとコレは確実に候補になるだろう。しかし・・・何が最高かは人それぞれで・・・キッドは基本的にそういう決めつけはしない方向で記事を書いてきた。ただ・・・この脚本家のドラマとしては「プロポーズ大作戦」以来の完成度を感じる。オリジナルでコレを仕上げるのは素晴らしい才能だと素直に認めたい。片思いの人はみんなストーカーだし・・・成人したのに童貞の人は可哀想だという観点からニヤニヤするしかないドラマだとしても。

「なぜ・・・あなたの欠点を認めなくてはならないのですか」

「本当の愛を始めるためです」

「それでは・・・条件があります」

「どんな条件でも承る」

「では・・・今夜はこれでお引き取り下さい・・・次の条件はメールで指示します」

「ありがとう・・・いさなみすやお」

「・・・」

鮫島零治(大野智)は夜の街で叫ぶ。

しかし・・・柴山美咲(波瑠)は振り返らない・・・。

けれど・・・首の皮一枚・・・残っているような気がする。

それは・・・ほとんど死んでいるよね。

鮫島ホテルズ社長室の朝・・・。

零治は秘書の村沖舞子(小池栄子)を笑顔で迎える。

「おはよう・・・」

「おはようございます・・・社長・・・何か、いいことがありましたか」

「いいことなんかありゃしねえ・・・みささんからのメールを待って・・・12時間経過しているし」

「彼女とコンタクトできたのですか」

「・・・俺は成長できたのかな」

「もの凄く・・・」

その時・・・着信がある。

《しばらくお会いしたくありません》

「・・・」

「・・・」

零治は絶望の一歩手前で踏みとどまる。

訣別した相手と・・・コンタクトしたことを堀まひろ(清水富美加)に報告する美咲・・・。

「えええ・・・ストーカーじゃないですか」

「でも・・・あの時は・・・私も少し冷静さを失って・・・怒りすぎたかも」

「美咲さんは・・・何も悪くありませんよ・・・自分からキスしなかった上に・・・美咲さんがキスしようとしたら拒絶するなんて・・・女のプライドズタズタじゃないですか」

「・・・」

「そのあげくにつきまとうなんて・・・男らしくないにもほどがあります」

まひろの正論に頷くしかない美咲だった。

だが・・・正統派学級委員である美咲は・・・ダメな子を見捨てられないタイプなのである。

零治は・・・悩む。

美咲のメールに対して返信していいものなのか・・・しかし・・・我慢することはできない。

《了解しました・・・しばらくはお互いに仕事に励みましょう・・・いさなみすやお》

《御理解いただきありがとうごさいます・・・おやすみなさい》

零治は癇癪を起こし・・・一度は破り捨てた「いさなみ夫婦の絵」を見つめる。

いさなみしほが帰ってくる日があるのかどうか・・・心は乱れるのだった。

そんな零治の苦悩とは無縁の三浦家康(小瀧望)は毎朝の自転車通勤の途中でステイゴールドホテルに出勤する美咲とすれ違い挨拶をしているという。

「明日から・・・俺も・・・」

「会わないという約束を破るのですか」と秘書。

「会うのではない・・・偶然すれ違うだけだ」

自転車すれちがい大作戦(シティサイクル篇)

運転手の石神剋則(杉本哲太)の用意した自転車はサドルの位置に問題があったが・・・零治は困難を克服する男なのである。

しかし・・・三浦家康(小瀧望)の絶妙のタイミングを真似ることはできない。

一番遅く出社する家康よりも遅く到着する零治。

「会えましたか・・・」と秘書。

「・・・」

「三浦くんは会えたそうです」と運転手。

自転車すれ違い大作戦(ロードバイク篇)

サドルの位置の問題は解消されないが困難に挑む零治。

お約束でナイスタイミングの家康より先着してしまうのだった。

「彼女に会えたのか」

「ハイタッチしました」

「ハイタッチ・・・」

「彼女がおはようと手をあげたのでイエーイと・・・」

息のあったコンビネーションでハイタッチを再現する家康と運転手を睨む秘書だった。

「だめだ・・・このままでは・・・この世に棲息しているはずの・・・ダイオウイカを目撃できないまま・・・一生が終わってしまいそうだ」

「ダイオウイカは・・・映像で捉えることに成功していましたよね」

「そうだ・・・ここはNHKスペシャルのスタッフを見習って・・・多角的な作戦運営に乗り出そうと思う」

今や・・・美咲は零治にとって謎の深海生物と化したらしい。

社長室分室をステイゴールドホテルの正面に賃貸しちゃおう大作戦

「社長・・・やりすぎです」

「何がおかしい・・・私が作業スペースを必要として・・・たまたまみささんの勤務するホテルの正面に優良物件があった・・・それだけのことだ」

「それでは白鳥麗子になってしまいます・・・彼女は明らかにストーカーです」

秘書の注意中も・・・双眼鏡で・・・美咲の動向をチェックする零治だった。

明らかに・・・不審者である。

零治は美咲の通勤路の途中にイベントスペースがあることに気がついた。

そこでは・・・。

着ぐるみに入って彼女と触れ合おう大作戦

横浜市中区のマスコットキャラクター「スウィンギー」の握手&撮影会が催されていた。

あの中に入れば・・・通りかかる美咲を間近で見ることができる。

零治は・・・スウィンギーの本当はいない中の人(上島竜兵)に掛け合うのだった。

「なんで・・・ホテルの社長がゆるキャラに入りたがるんだよ」

「ホテル・ビジネスの基本は顧客に対するサービスです・・・お客様と直接触れ合う機会を得たいというのが社長の御意向です」ともっともらしいフォローをする秘書だった。

「見習い期間はギャラなしだけど・・・」

「金はこちらが払う・・・レンタル料金とお考えいただきたい」

簡単なレクチャーを受け・・・大桟橋生まれのカモメであるスウィンギーに変身する零治。

「はい・・・笑って」

「しかし・・・顔は見えないだろう」

「本当はいない中の人の喜怒哀楽が・・・大切なんだよ」

「そういうものなのか・・・」

頑張って笑う零治だった・・・。

やってきた最初のチャンスで思わず握っていた風船を空に解放するスウィンギー。

無邪気に微笑みかける美咲の輝きに失神寸前の零治だった。

「彼女が・・・僕にもう一度笑顔を見せてくる日がくるだろうか」

落ち込む零治を励ます秘書。

「大丈夫です・・・そんな日がきっと来ます」

おそらく・・・秘書には・・・零治にも美咲にも見えない何かが見えているのだろう・・・。

スウィンギー零治の前に再び美咲がまひろを伴って現れる。

美咲はスウィンギーがお気に入りなのである。

まひろが撮影を担当し・・・スウィンギーと記念撮影にチャレンジする美咲。

「もっと・・・くっついて・・・」と指示するまひろ。

調子に乗った美咲は・・・スウィンギーに抱きつくのだった。

愛しい人に抱擁されて・・・動顛する零治。

去りゆく二人を目で追ううちに・・・着ぐるみの頭部を脱いでしまう・・・。

あわてて・・・子供たちの目を塞ぐ母親たち。着ぐるみ師も飛び出す。

「なんて・・・ことを・・・これは・・・目の錯覚ですから・・・」

「見てはいけない世界」である。

騒ぎに振り返った時・・・すでに零治はスウィンギーに収納されていた。

「お前はクビだ」

いつものセリフを着ぐるみ師に言われる零治だった。

零治は落ち込んだ。

「社長・・・」

「私が望んでいるのは・・・あんな抱擁じゃない・・・」

だから・・・抱擁のチャンスはいくらでもあったではないか・・・と言っても童貞相手では虚しいばかりだ・・・。

たまたま新聞記者が撮影した「ゆるキャラ情報」で新聞に掲載された美咲とのツーショットも・・・喜びを分かち合う人の不在を明らかにするだけなのである。

零治に残されたのは・・・家路を徒歩に変更するという手段のみ。

しかし・・・美咲とは遭遇しないのだった。

似ている人を追いかけても他人・・・。

靴紐を結び直しても時間は稼げない・・・。

万策尽きた零治に衝撃的なニュースが届く。

恋愛マスターである和田英雄(北村一輝)がステイコールドホテルの社長から勇退してしまったのだ。

社長の座を弟の英彦に譲った和田は・・・山村生活をエンジョイしていた。

「なんでだよ」

何故か・・・和田の暮らす古民家に殴りこむ零治だった。

「ここは・・・私がリゾート開発を頼まれた・・・土地だ・・・しかし・・・この雄大な自然に触れた時・・・私は天啓を受けた」

「・・・」

「どんな栄光も一瞬だ・・・世界一のホテル王になってしまったら・・・いつかはその座を誰かに奪われる日を案じて暮らさなければならない・・・しかし・・・本当の幸せはそんなところにはない・・・」

「本当の幸せ?」

「お前は・・・幸せか」

「いや・・・」

「私は・・・この周辺の土地をすべて買収して・・・手つかずの大きな自然に囲まれて・・・この小さな家で暮らすことで・・・満ち足りている」

「大山林の小さな家か・・・金持ちの道楽じゃないか」

「その茶碗を持って見ろ」

「・・・あったかい・・・」

「その温もりが・・・幸せというものだ・・・」

「師匠・・・」

「喝」

いきなり零治を平手打ちする和田・・・。

「何をする・・・」

「お前は・・・こんなところでのんびりしていいのか」

「だって・・・」

「お前は・・・柴山美咲を追いかけて右往左往するべきだ」

「何故だよ」

「だって・・・その方が面白いもの」

「でも・・・接見禁止だし・・・」

「会えないから何もできない・・・お前の限界はそんなものか・・・」

「・・・」

和田に翻弄されて都会に戻る零治だった。

極秘密諜報員におまかせ!

「ダイオウイカの存在感に圧倒されて・・・戦略の基本を失念していた」

「社長・・・」

「相手のことを知らないのでは話にならない」

「情報収集ですね」

「三浦家康を呼べ・・・」

何故・・・家康なのかは不明だが・・・諜報活動させても仕事に影響ないからだろう。

社長の極秘プロジェクトとして・・・美咲の情報集めを開始する家康。

「太陽にほえろ」のような聞き込みスタイルだが・・・追い込むのは白浜部長(丸山智己)や音無静夫部長代理(三宅弘城)たち・・・社長室企画戦略部一同である。

たどり着いた結論は・・・一番仲のいいまひろの尋問である。

「彼女の靴のサイズは」

「知りません」

「彼女の指輪のサイズは」

「知りません」

「何にも知らないじゃないか・・・」

激昂する社長だった。

「どんな些細なことでもいいから・・・」と取調を続ける家康・・・。

「社長は・・・美咲さんが・・・なぜホテルに就職したか御存じですか」

「いや・・・」

「彼女にはおじい様の残した土地にホテルを立てる夢があるのです」

「そうなのか・・・」

「社長が・・・美咲さんの夢を叶えてあげたらどうでしょうか」

「馬鹿なことを言うな・・・夢は自分で叶えるものだ・・・応援は出来ても手伝うことはできない」

「えええ」

しかし・・・この作戦は・・・意外な効果をあげるのだった。

「ひどいのよ・・・社長ったら・・・美咲さんの夢に手を貸す気はない・・・夢は自分の力で叶えなければ意味がないって・・・」

「え・・・」

「別れて・・・正解よ」

「そんなことを言う人だとは思っていなかった・・・私・・・彼のことを何も知らなかったのかも」

「でしょ・・・」

「いいえ・・・とてもいいことをおっしゃったと思うのよ」

「え・・・」

「そんなことを言ってくれる人だったなんて・・・」

「私・・・美咲さんが何を言っているのか・・・わからない」

愛する人と一緒に歩いていくが・・・自分の夢は自分で叶える・・・美咲の信条にジャスト・フィットする零治なのである。

美咲は・・・零治のことをもっと知りたくなり・・・旅に出るのだった。

たどり着いたのは「鮫島旅館」だった。

翻る真田家と同じ「結び雁金」紋・・・。

美咲の祖父が好きな武将は大谷家の家来・・・。

そして・・・家康。

関ヶ原が匂い立つのだが・・・本筋とは関係ありません。

零治が経営再建したという伝説の旅館。

出迎える零治の父親・鮫島幸蔵(小堺一機)・・・。

「この旅館のことは・・・雑誌か何かで・・・」

「実は・・・私、鮫島ホテルズの社員だったことが・・・」

「まさか・・・社長にクビにされたのでは・・・」

「そのようなものです」

「もうしわけありません・・・しかし、それは・・・あなたのせいでも・・・社長のせいでもなく・・・この私の責任です・・・息子をあんな冷淡な性格にしてしまったのは・・・私の不徳の致すところなのです」

「そんな・・・私はただ・・・子供の頃の・・・社長のことをちょっとお訊きしたくて」

「いい子でしたよ・・・本ばかり読んで・・・内気で・・・後は生き物を飼育するのが・・・好きで・・・」

思い出のアルバムに写る泥だらけの少年。

「結構・・・わんぱくそうですが・・・」

「ああ・・・それ・・・あの子が鯉が飼いたいと言い出して・・・家には池がないからダメだと言うと・・・・自分で作ると言い出して・・・」

「はあ・・・」

「最初は私も従業員も笑って見ていたのですが・・・毎日・・・池を掘り進めて・・・これは本気だと思った私が手伝おうとすると・・・・これは・・・自分の夢だから・・・手を出すなと怒られましてね・・・」

「自分の夢・・・」

幸蔵は美咲を庭園にある池に案内した。

「結局・・・一人で・・・これを作ってしまいました・・・庭師が驚いていましたよ・・・」

「・・・」

池には無数の鯉が遊泳していた。

「あの子が・・・ホテルの経営者になるために留学すると言い出した時・・・周囲のものは危ぶんだのですが・・・私はあの子が凄いことをするんじゃないかと信じていました・・・なにしろ・・・この池を見ていますから」

「・・・」

「息子に冷たくされているのに・・・親馬鹿ですみません」

波打つ美咲の胸・・・。

少なくとも零治は・・・変な人だと確認できたのである。

そんな変な人を常識で量っても仕方のないことだと思う賢さを美咲は持っている。

何故なら・・・美咲だって・・・「おじい!まほうのくにを建てるよ!」的な変な人なのである。

美咲が鮫島旅館を訪ねたことは「幸蔵-家康」の親友ホットラインを通じて・・・零治に報告されるのだった。

「何故・・・お前が知っている」

「幸蔵さんと親友だからです」

「社長の父親と勝手に親友になるな」

「親の顔が見たいですね」

まあ・・・息子に「家康」と名付ける親の息子である。

零治は・・・故郷に向かうのだった。

不倫騒動で・・・迷惑をかけた秘書は車で待機するが・・・幸蔵は招き入れる。

「もう・・・昔のことだよ・・・」

「幸蔵さん・・・」

「一体・・・どうしたんだ」

「実は・・・社長と彼女は・・・短い間でしたが交際なさっておいででした」

「え」

零治は・・・美咲が・・・自分のことを知ろうと努力していることを察した。

その返礼を考えた零治は・・・考え抜いた贈り物を準備する。

異常な努力家だった零治の過去を示す膨大なホテル関係の蔵書・・・。

その中から・・・零治と秘書そして運転手が捜し出したのは・・・付箋にまみれた書き込みだらけの「ホテルの経営戦略(改訂版)/デヴィッド・フィリップス」だった。

家康の手で・・・美咲に届けられる零治からのプレゼント。

《私にはもう必要のないものだがあなたにはこれから必要なものです》

美咲は・・・本に残された零治の努力の痕跡を見る。

《社長には決断力が求められる→社員に対する責任》

《ターゲット フルスピード スリーマンス》

「一ヶ月・・・減ってる・・・」

美咲の心には・・・零治への愛おしさがあふれるのである。

美咲は・・・可愛いものが好きなのだ。

そして・・・運命の夜が訪れる。

偶然の再会を願ってステイゴールドホテルを通過する零治を・・・美咲が発見するのだった。

心の準備が整った美咲は・・・零治を追う。

お約束の横断歩道を渡り・・・階段を登りかけた零治を呼びとめる美咲。

「れいさん・・・」

振り向いた零治は思わずスウィンギーのジェスチャーでご挨拶するのだった。

一瞬で察する美咲。

洞察されたことを洞察する零治・・・。

超能力対決である。

「いや・・・違うんだ」

「お会いしない約束でしたよね」

「すまん」

「口にした約束は守る人だと思ってました」

「・・・すまん」

「世界一のホテル・・・本当に作るんですか?」

「え」

「鮫島旅館の池・・・どうして一人で作ったんですか」

「ええっ」

「みんなに手伝ってもらった方が・・・早くできたのに」

「・・・夢に早さは必要ない」

高みにある社長を見上げて問い質す元社員・・・。

「しかし・・・社訓にはターゲット フルスピード トゥーマンスと・・・」

「あれは目標に対するスタンスだ・・・夢と目標は違う」

「社長にとって夢とはなんですか」

「夢は・・・世界が消そうとしても消えないもの・・・自分自身が自暴自棄になって消そうとしてさえ・・・消えないものだ・・・俺にとって夢は君に似ている・・・クビと何度も言いかけて言えず・・・ようやく口にできたのに・・・それでも心から追い出すことができない・・・君は夢にそっくりだ」

「クビアカトラカミキリよりもですか」

「どちらも・・・よく似ている」

「・・・」

「俺にとって・・・夢とは・・・みささんそのものだ」

零治を見つめるひたむきな美咲の瞳に吸い込まれるように足を踏み出す零治。

許可を求めるように停止する零治に小さく頷く美咲だった。

零治は階段を降りきり・・・静かに美咲に近づく。

おいでおいで・・・と誘うような美咲の真摯な顔。

誰もがキスへのチャレンジを期待するし・・・美咲にも覚悟ができたはず・・・。

しかし・・・零治は・・・昆虫を採取するような気持ちで距離を詰めているのだった。

忍び足で接近し・・・ついに獲物をキャッチである。

おずおずと・・・美咲を抱擁する零治・・・。

美咲の表情には戸惑いも浮かんでいるように見えるが・・・杞憂なのだろう。

零治の繊細さには・・・美咲も耐える必要があるのだ。

それが本当の愛なのだから・・・。

とにかく・・・零治は・・・失いかけたものを取り戻した安堵で満たされる。

だが・・・消えそうで消えない夢の成就への道はまだまだ相当に難しいだろう。

なにしろ・・・根性なしなので・・・最終回だって油断はできないんだからね。

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コメント

キッド様、こんばんは
再現度高めで嬉しいです。

鮫島の家紋が真田家と同じなんて、気づく筈もない私でした~
ちょこちょこ関ヶ原なんですね。

美咲が、スウィンギーくん大作戦に気づいたのは、私も変だと思いました(笑)
実は、ゴロゴロチューベッドの時も、「え?」って思いましたよ…普通、ベッドを改造したとは思わないですよね。もう、狂気の発明でしたから!
美咲は、前から零治をそっと観察していたから、零治が思いつきそうなアイデアを察する力があるってことで、ここはひとつ…。

最終回は、ドタバタわちゃわちゃで楽しく終わってほしいです
プロポーズ、できますかねえ

投稿: なつ | 2016年6月12日 (日) 01時01分

カイブツクンノトモダチハ?~なつ様、いらっしゃいませ~ヒロシクンデス

やはり・・・今季一番の完成度なので
うっかりすると限りなく再現してしまうので要注意でございます。

家紋とかの遊びをするゆとりがある・・・
そういうノリがスタッフの作品に対する
自信を感じさせますねえ。

やはり・・・やっててこれは傑作だって
わかるんですよね
素人じゃないから・・・。

反対に素人じゃないだけに
コレはヤバイ(本来の意味で)
・・・と感じているスタッフの皆さまは
本当に・・・難しい気持ちなんですよねえ・・・。

スウィンギーくん大作戦も
レッスンからして遊び心満載でしたな。
レッスン中の父兄の所在なさも素敵でした。

まあ・・・美咲はサービス精神の塊ですから
ものすごい洞察力を持っているわけですが
零治はそれを上回る「とんでもなさ」を
発揮するわけですよねえ。

とにかくゴロゴロチューベッドの時は
キスしようとして相手に顔をそむけられたことが
美咲の乙女心に重度の損傷を与えたわけです。
あの時の美咲は一種の瀕死だったのでございましょう。

美咲は追いかけられることに
慣れてるタイプなので
その後の展開は
一種の制裁プレーと判読可能なのでございます。

最期のシーンは
小動物を手なずけようとする調教師と
珍しい昆虫採集に夢中のコレクターの対決のようで
手に汗握りましたな。

まあ・・・恋愛は基本的に
どっちがどっちをつかまえたのか
よくわからないもの・・・なのでしょう。

そして・・・最終回・・・
どんな結末がまっていても・・・ここまで来たから
もうよろしいという寛容な気持ちで待機したいと考えます!

投稿: キッド | 2016年6月12日 (日) 13時57分

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