関白殿下が得た安らぎを太閤様も遅かれ早かれ得るでしょう(長澤まさみ)
誰が殺した関白秀次・・・。
それは私・・・と秀吉が言った。
それは間違いないことなのだろう。
しかし・・・何故、そうなったのかは謎に包まれている。
戦国ミステリの一つである。
それに比べれば・・・真田昌幸の妻の出自が謎に包まれていることはそれほど問題ではないのだろう。
だが・・・それはそれで面白いわけである。
男尊女卑の時代にあっても・・・子を想う母、母を想う子の情愛は時に深い。
織田信長の偏執は・・・実母に愛されなかった生い立ちにあると考えるものもいる。
戦国を生き抜いた真田信之(信幸)にとっては実母の山手殿(ドラマでは薫とされる)は孝養を尽くす存在だった。
それゆえにわが母は今出川家(菊亭家)の娘という虚飾がなされたという推測も成立する。
秀吉などは母が日輪の子を宿したと言い張っていた。
信幸の父、真田昌幸には複数の側室がいたと考えられている。
弟の信繫が豊臣秀次の娘を側室にしたとすれば・・・秀次の室の一人、一の台の父が菊亭晴季であることから・・・菊亭家と真田家は無縁ではない。
ひょっとすると昌幸もまた菊亭家の娘を側室にしたのかもしれない。
それが山手殿の出自を飾るためのヒントになった可能性はある。
同様に・・・石田三成の舅である宇多頼忠の甥・宇多頼次(石田頼次)に昌幸の母親未詳の娘(趙州院)が嫁いでいることから・・・宇多頼次が娘の一人を真田昌幸に側室として送り込んだ可能性もある。
国衆から戦国大名に出世した真田昌幸の愛した女には・・・武田信玄の養女もいれば・・・宇多頼忠の娘も・・・菊亭晴季の娘もいた・・・そういう複数の女が・・・山手殿に仮託されているのかもしれない。
歴史は常に一抹の真実を含んでいるものだ。
誰が山手殿を生んだのか・・・。
それは私・・・と名もなき女が言う。
で、『真田丸・第29回』(NHK総合20160724PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・保坂慶太を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は主人公・真田信繫の正室(継室)とされる春(大谷吉継の娘あるいは妹あるいは養女とされる)、後の竹林院の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。ついに正室キターッ!・・・でございますね。それにしても高梨内記の娘・きりはいつになったら信繫の側室にしてもらえるのか。脚本家は彼女を愛しすぎて嫁にやりたくない父親の心境なのかもしれませんな。他の男にあの豊満な胸乳を愛撫なんかされてたまるかよ・・・なのでしょうか。きりもかなりすごいおとぼけキャラクターに設定されていますが・・・しっかりものようで実はくわせものだった梅といい、父・秀次を蔑んでいたたかといい、無邪気すぎるのか計算高いのか不明の春といい・・・なんか・・・全員がやっぱり猫が好きなあの女優を彷彿とさせるんですけど~。気のせいでございましょうかねえ。今回はあの夜に下駄を投げられて前歯を折る予定の・・・とり様の実家・河原家の継承者・綱家の出番多めでしたな。軽くウォーミングアップでしょうか。病は気からと申します・・・夏本番を前に画伯もご自愛くだされませ~。
文禄四年(1595年)七月十五日、高野山にて豊臣秀次は切腹。木村重茲は京都山崎にて切腹。二十八日、豊臣秀吉は聚楽第の破却を命ずる。秀次の築城した近江八幡山城も破却され、居城していた京極高次は大津城に移る。八月十九日、前野長康、景定父子切腹。九月、秀吉は方広寺で大政所の法要を営む。十月、入京した秀吉が発病し伏見城に戻る。朝廷はお神楽を奏して秀吉の病平癒を祈願した。十二月、快気した秀吉は大坂城に入る。文禄五年(1596年)一月、秀吉の病が再発する。二月、再び快気した秀吉は大坂城で諸大名の出仕を受ける。五月、秀吉は秀頼を伴い入京。秀頼は初めての参内。徳川家康は正二位内大臣に任じられる。閏七月九日、伊予国で大地震。十二日、豊後国で大地震。十三日、京・伏見で大地震。伏見城、東寺、天龍寺などが倒壊、死者は千人を越えたとされる。朝鮮から帰国中の加藤清正は大坂城にいたとされる。秀吉は伏見木幡山に臨時の築城を命ずる。九月、秀吉は来朝した明使節と謁見し・・・明国が降伏していなかったことを知り激怒。交渉は決裂し、秀吉は再度の朝鮮出兵を命ずる。交渉役の小西行長は切腹を命じられるが前田利家などのとりなしで許される。十月二十四日、天変地異を理由に文禄から慶長に改元。福島正則は秀次の旧領地・尾張国二十四万石を受領。その他の旧領地も分割され石田三成ら奉行衆が管轄する。福島正則とともに秀次自刃の検使を務めた福原長堯(石田三成の妹婿)は一万石が加増された。前野長康の旧領は小出吉政(大政所の甥)に与えられた。
関白秀次の事件はキリシタンの小西行長の母・マグダレナから高山ジュスタ(高山右近の正室)を経て大坂城・細川屋敷のガラシャ(細川忠興の正室)の元へと届いた。
夫の細川忠興は朝鮮半島から帰国の途上にある。
屋敷には忠興の父・細川幽斎が滞在中である。
「父上様・・・関白殿下が・・・謀反の罪で切腹申しつけられたそうでございます」
幽斎は一瞬で事情を察した。
「案ずるでない・・・」
「けれど・・・わが夫は・・・関白殿下と懇意の仲・・・唐入りのための借金もございます・・・それに・・・ちょうが・・・」
「皆まで申すな・・・松井佐渡守を呼ばれよ」
「・・・」
細川家は秀吉の臣下の中でも格別の家柄である。
幽斎は今は滅びた室町幕府の直臣であった。
そして・・・ガラシャは・・・新参とは言いながら最後の将軍・足利義昭に仕えた明智光秀の娘である。
幽斎は謀反人の娘を守ることに慣れていた。
出征中の嫡男・忠興は・・・軍費を賄うために関白秀次から借金をしている。
「あの狐どもめが・・・何をたくらむかわかったものではないの」
幽斎は石田三成たち・・・秀吉側近の顔を思い浮かべていた。
「自分で自分の首をしめるような真似をしくさって・・・アホやないか」
まもなく・・・松井康之が現れた。
古き源氏の血を引く忍び武者である。
「三河の松井殿を頼って・・・家康殿にお願いの儀をお伝えせよ」
「徳川家に・・・」
「金子を用立ててもらわにゃならん・・・太閤は存外、吝嗇な性分や・・・金さえ返せば文句は言わんやろ・・・それに・・・もうひとつ・・・おちょうのことだ・・・」
忠興とガラシャの娘であるちょうは関白秀次の筆頭家老である前野長康の嫡男・景定に嫁いだばかりだった。
「前野父子は・・・腹切らされるかもしれん・・・そやから・・裁きが下る前に離縁させねばならん・・・それも家康殿に口をきいてもらうんや・・・」
「御意」
松井はすでに姿を消していた。
家康は伏見の徳川屋敷にいた。
三河松井衆の口添えで・・・伊賀の服部半蔵が松井佐渡守に応対する。
「それは・・・急を要しますな」
「なにとぞ・・・おとりつぎ願いたい」
「暫時、待たれよ」
服部半蔵正成の影武者である服部半蔵正長は座敷に松井佐渡守を残して消える。
奥の間では徳川家康が・・・本多正信と密談中だった。
正長と同じ半蔵の影武者である半蔵正時が退出していく。
「今度は誰が来た・・・」
「細川の御家中の松井殿でござる」
「そうか・・・金の相談じゃな・・・」
「それから・・・婚家の前野家のことでございます」
「前野の助命は難しいぞ・・・」
「前野家に嫁いだおちょう様の離縁の儀でございます」
「おお・・・あれは・・・美しい姫だったの・・・」
「両親が美男美女ですからなあ」と本多正信が受ける。
「なんとか・・・なりそうか」
「手配いたしまする・・・」
「そうか・・・細川には恩を売っておきたいからのう・・・」
家康は笑みを浮かべた。
「細川の使者には・・・おまかせあれと伝えよ」
「は・・・」
服部正長と入れ替わるように・・・服部正忠が現れる。
「今度は・・・誰じゃ」
「浅野家の御家中でございます」
「なんと・・・浅野もか・・・」
家康は恩義を売りまくった。
関連するキッドのブログ→第28話のレビュー
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