好きな人と手をつなぐこと(桐谷美玲)真夜中の水族館(三浦翔平)俺のオムバーグ(山崎賢人)
今年も夏が来た。
夏が来るとなると胸騒ぎがするものだが・・・そうではないとなると・・・青春が終わったんだな。
青春とは夏を待つ季節だからな。
「ラヴソング」シリーズを毎回やるのかと・・・思ったら・・・今回はなしだ。
主題歌の方から圧力がかかったか・・・まあ・・・珠玉の名曲と比べられてもアレだからな。
今年は五輪の夏でソワソワもするわけである。
それにしても・・・ロシアのドーピング問題、選手村のトイレの水が流れない件・・・いろいろと騒然としているなあ。
まあ・・・始ってしまえばお祭り騒ぎはそれなりに盛り上がるのだろう。
なんてったってサンバがあるからな。
とにかく・・・ベタな夏のラブストーリーを月曜日は何も考えずに楽しみたい。
で、『好きな人がいること・第3回』(フジテレビ20160725PM9~)脚本・桑村さや香、演出・田中亮を見た。憧れの先輩・柴崎千秋(三浦翔平)に誘われ、千秋の経営する海辺の町のレストラン「Sea Sons」でパティシエとして働くことになった櫻井美咲(桐谷美玲)・・・。しかし、千秋の元カノである高月楓(菜々緒)が現れ美咲は委縮する。そんな美咲を千秋の弟でカリスマ・シェフの夏向(山崎賢人)は海へと誘いだし・・・とっておきの夕陽で慰めるのだった。しかし・・・千秋と楓がキスしているのを見た美咲の心は晴れたわけではないのだった。
だが・・・夏の湘南なのである。爽やかな風とともに・・・美咲はレストラン「Sea Sons」をオープンするのだった。
「Sea Sons」の人気メニューは「オムバーグ」・・・父親の代から受け継いだ秘伝のデミグラスソースが・・・客の心を鷲掴みにするのだった。
「ラヴソング」より「食い物」で釣る作戦か・・・。
一方・・・謎の美少女風の西島愛海(大原櫻子)はサーフショップ「LEG END」のオーナーである日村信之(大原櫻子)にレストラン「Sea Sons」の柴崎三兄弟について訊ねる。
「イケメン三兄弟か・・・長男は五軒の店舗を経営する青年実業家・・・次男は性格に難があるカリスマシェフ・・・三男は調理学校に通っているプレイボーイだけど・・・」
「タクミはいないのですか・・・」
「タクミ・・・それは聞いたことないな」
愛海は「タクミ」を捜しているらしい。
主人公にミステリアスな部分がないので・・・愛海が補完しているのだな。
噂をすれば影・・・なので三男の柴崎冬真(野村周平)が現れるが・・・愛海は逃げるように去っていくのだった。
「なんだか・・・美少女風だったよね」
「だね・・・なんでもタクミを捜しているらしい」
「タクミって誰?」
「さあ?」
ちなみに冒頭で通りすがりの井上苑子(18)、藤田ニコル(18)、武田玲奈(18)登場する。
冬真のプレイボーイぶりをアピールしていたらしい。シンガー・ソング・ライターにファッションモデルにグラビアアイドルってどういうトリオなんだ・・・。
いや・・・考えるな・・・感じるんだ。
外出から戻った美咲は・・・柴崎家の玄関先で・・・冬真と・・・調理学校の同級生である二宮風花(飯豊まりえ)がキスしているのを目撃して思わず身を潜めるのだった。
「学校やめるなんて・・・冗談でしょ」
「そんなこと言ったっけ・・・」
二人の会話を聞き流し・・・風花が去ると・・・美咲は冬真を問いつめるのだった。
「彼女のことが好きなの」
「別に・・・」
「でも・・・キスしていたじゃないの」
「好きでなくたってキスぐらいするさ・・・外国じゃ・・・挨拶の一種だろう」
「・・・外国では・・・」
留学中の楓が千秋とキスしていたのは・・・挨拶だったのかもしれないと考えなおす美咲である。
「それじゃ・・・ボクとキスしてみる?」
「しません・・・」
「美咲ちゃんは・・・好きじゃない人とキスしたことないの」
思わず・・・夏向の強引なキスを思い出す美咲。
「おやおや・・・あるみたいだね」
「違います」
ちなみに美咲は二十代だが・・・心は中学生なのだった。
童貞・・・じゃなくて処女かっ。
もう・・・そんな設定ばかりだなっ。
脚本家の考える普通の二十代の女性は女子なんだなあ。
いくつになってもかわいい女というのは物凄い幻想だからな。
それは・・・いい年して・・・という攻撃からの耐久力を求められるのである。
どんな女性でも感情移入できる主人公を求めることは大切だが・・・そこにはうらやましさや・・・そうなってみたいと感じさせる魅力を付加する必要もある。
一回目、二回目ではパティシエとしての能力が強調されていたが・・・今回は「味のわかる女」というだけである。起承転結で言えば「転」にあたる今回・・・「ラブソング」という「恋」に対する憧れや、「パティシエ」という生きるための武器を・・・ひっこめて・・・「ただの女子」を強調したのは失敗だったと思う。もう少し上の視聴率を狙ってせっかくついたお客を逃がしてどうする。今や・・・月9はフタケタとれたら満足しなければならないコンテンツというのが前提だぞ・・・。
もはや・・・女湯が空になる時代ではない。
前世期の話かよっ。
まあまあ・・・夏ドラマなんだから・・・そんなに本気と書いてマジにならなくても。
ああ・・・そうですか。
オーソドックスな展開では・・・主人公の美咲に対してヒロイン・ポジションは夏向である。
主人公は初恋の人である千秋を追いかけているが・・・いつしか・・・夏向を愛しく感じることになるという展開である。
そういう予定調和をどこまで崩すかが腕の見せ所になるわけである。
もちろん・・・話を破綻させる手はいくらでもある。
夏向は主人公を好きになるが・・・最後は千秋と美咲のゴールを祝福するという主人公とヒロインのポジションチェンジ。
誰も予想しない冬真とのただれまくったゴール。
全員と関係してしまった美咲が誰の子供かわからない子供を出産するクライマックス。
もはや「月9」ではないぞ・・・。
とにかく・・・男と女のラブゲームでは「気持ちのいいことしよう」が合言葉である。
なんてったって、恋愛は悪いことである。
たとえば・・・お父さんが女にうつつをぬかし、仕事もせずに家に帰ってこない。
お母さんが男に首ったけで仕事もせずに家に帰ってこない。
子供が恋に夢中で勉強もせずに家に帰ってこない。
家庭は崩壊し御先真っ暗だ。
とはいえ・・・恋愛して子作りしなければ人類は滅亡する。
人間に仕組まれた「自然」という神の壮大な罠である。
ものごとというものは・・・すべて極端であってはいけないというのが基本だ。
日常では折り合いこそが大切なのだ。
そこそこ仕事をしてそこそこ恋愛する。
そういう生き方こそが安心安全なのである。
そんなのなんだかみみっちい。
ちっとも面白くない。
いけないことがしてみたいと思う年頃がある。
思うだけでしないのが・・・まともな人間だと考える人々がいる。
ドラマはそういう人々の夢の世界でもある。
前回は・・・夏向が「盗んだボート」で美咲に「素晴らしい夕陽」を見せるのだ。
「犯罪行為」は「いけないこと」の象徴である。
なにしろ・・・本当の恋愛で生じる痴態は本来、「子供には見せられないもの」だからだ。
「恋愛」と「殺人」はものすごく似たもの同志なのである。
頭のおかしな人が無差別殺人することと好きでもない人と愛し合うことは同じだからだ。
・・・おい、脱線しているぞ。
とにかく・・・今回は「いけないデート路線」をお相手を変えて主人公がエンジョイするわけである。
結局・・・アトラクションとしての恋愛を描くレベルなんだなあ。
とにかく・・・夏向が・・・美咲を本気で愛しはじめ・・・美咲が千秋ではなく夏向をパートナーとして選択することが・・・ナチュラルに描ければ・・・素敵なことだと考える今日この頃なのである。
まとめかっ!
厨房に夏向。フロアに千秋と美咲という物凄い少数精鋭で観光シーズンの海辺のレストランがまわるかどうかは・・・別として・・・戦い済んで陽がくれる。
夏向が美咲に出すマカナイは「ミニ・オムバーグ」である。
まあ・・・スレンダーな桐谷くんなら充分の量だな。
「足りません」
「材料費が高騰してんだよ」
「・・・」
そこへ・・・殺人鬼ではなくピアニストの楓がやってくる。
思わずしゃがみこみ、厨房器具の影に隠れる美咲。
「殺意でも感じたのか・・・お前は小動物なのか」と夏向。
「一杯どう・・・結婚式の幹事としての打ち上げに」と千秋を誘う楓。
「じゃあ・・・美咲も一緒に」と美咲を誘う千秋。
夏向に背中を押されて穴から飛び出した美咲は・・・。
「せっかくですから・・・お二人で・・・」と心にもないことを言うのだった。
バーで楓は・・・「復縁」を千秋に迫るが・・・やんわりと拒絶されてしまうのだった。
美咲を障害物と認定した楓は・・・「抹殺モードの安全装置」を解除するのである。
沸騰する「サイレーン」愛好家の一部お茶の間の皆さん・・・。
潮風に吹かれるテラスに美咲を呼び出した楓。
「お友達になりましょう・・・」
「え」
「これは・・・結婚式のケーキの御礼」
公認の「呪いのブレスレット」である。
「ええっ」
「私とおそろいなの・・・」
「えええ」
「わたしねえ・・・家族に恵まれていなくて・・・そんな時、いつも千秋が心の支えだった・・・留学して・・・離れてみてわかったの・・・千秋がいない人生なんて虚しいって・・・」
「・・・」
「あなた・・・好きな人いるの」
「・・・いません」
本当のことなんか言えない空気が醸しだされています。
「じゃあ・・・私と千秋のことを友達として応援してくれないかしら・・・」
「・・・はい」
肉食獣を前にうつむく草食系である。
「そんなのダメですよお」
後輩の石川若葉(阿部純子)に電話で恋愛相談をする美咲である。
若葉は鍼灸エステ中で顔面針だらけで応答するのだった。
世にも恐ろしい光景である。
スタッフの誰かが奇妙な拘りを持っているようだ。
「次回のロケで針を刺してもいいですか」
「針を・・・」
というようなやりとりがあったわけだからな。
「女には好きな男を好きな女を探知するレーダーが完備されていますからね・・・GPSをとりつけて駆除する方向ですよ・・・恋愛の基本じゃないですか・・・簡単に排除されてどうするんですか・・・」
「でも・・・」
自己防衛本能が強すぎておかしなことになっている美咲なのである。
そんな臆病者を上から目線で叱咤する夏向。
「簡単にあきらめるのは・・・大切なものを想う気持ちが軽かったってことだよ」
「重い女は嫌われるのでは」
「体位に制限ができるからな・・・」
「体重のことなら自信があります」
「し・・・それは大きな声で言ってはいけない」
一方、自信過剰の日村から・・・業務用デミグラスソースを推奨された夏向は・・・材料費のことで千秋が悩んでいると知り・・・愕然とする。
味を落して価格で勝負するべきなのか・・・問題である。
美咲が恋に・・・夏向が仕事に悩みを抱えているところで・・・千秋が「日曜日のおでかけ」を伝える。
「デートのお誘い」と考えた美咲は楓の呪いのブレスレットの重みに悩むが・・・結局、「結婚式のケーキの御礼」で・・・料理を担当した夏向への約束のサーフボードの受け取りを兼ねての「おでかけ」だと判明する。
千秋は・・・弟思いの兄なのだった。
「昔・・・マウンテンバイクをねだったら・・・兄貴がバイトして買ってくれたんだ」
そこまでするのは・・・何か理由があるという暗示である。
まあ・・・そういう兄弟もいるけどな。
同性愛者なら・・・弟を可愛がるのはカムフラージュになるしな・・・おいっ。
おでかけ先は「江の島」だった・・・地元民にとっては近所の公園に散歩レベルである。
しかし・・・「デートではない」と言い聞かせて「おでかけ」した美咲ははしゃぐのだった。
砂浜で千秋の足跡を踏み、江の島神社に詣で、海老煎餅を食べ、ラムネを飲む。
ウキウキワクワクのホリデーなのだった。
高揚した美咲は業務用のデミグラスソース問題で悩む夏向にアドバイスするのだった。
「簡単にあきらめるのは・・・大切なものを想う気持ちが軽かったってことなんじゃないの」
お約束のブーメラン的なお返しである。
痛いところを突かれて脱落する夏向。
最終目的地となったエノスイこと新江ノ島水族館で二人きりになってしまった美咲と千秋。
もはや「デート」なので「呪いのブレスレット」が呪縛効果を発動するのだった。
「さあ・・・行こう」
「いけません」
美咲は千秋を残して走り出すのだった。
「どこに・・・まさか・・・ポケモンをゲットするつもりじゃ・・・」
「女のケジメです~」
楓を求めて三千里である。
ピアニストとしてアルバイトする店で楓をキャッチした美咲。
「私・・・嘘をついてました」
「・・・」
「私・・・千秋さんが好きなんです」
「・・・」
呪いのブレスレットを楓に返却する美咲。
「これからは・・・友達ではなく・・・ライバルでお願いします」
「・・・」
無言の楓様ほど・・・恐ろしいものはないな。
「変な子」ぐらいつぶやかせてやってくれ。
本人に言う前にライバル宣言っていよいよ小学生レベルか・・・。
時空間を越えてエノスイに戻ると夜だった。
夏期の最終入場時間午後八時をはるかに過ぎて閉館時間らしく閑散としたエノスイ。
もう・・・「一緒に見たらカップルになるペンギン」を見ることはできないのだ。
どんなペンギンだよ。
「いいポケモンが見つかったかい」
「千秋さん・・・どうして」
「君はきっと戻ってくると思ったんだ」
千秋はペンギン手袋で時間をつぶしていたらしい・・・。
「裏声がもう一つですね」
「修行します」
しかし・・・千秋は「いけないバカップルモード」で美咲をエノスイの通用口に導く。
「きっと・・・竹野内豊に似た飼育員や杉本哲太に似た上司はミーティング中なんだよ」
不法侵入した千秋と美咲は・・・夜の水族館の幻想的な光景をエンジョイするのだった。
「これは・・・いけないことなのでは・・・」
「いけないことほど・・・ドキドキするから・・・」
「ドキドキ・・・」
「もはや少年Aでも少女Aでもすまない年頃だけどね」
「新聞沙汰ですか」
「ごらん・・・このクラゲ・・・」
「内部機関がハートの形ですね」
「それが四つ集まると」
「四葉のクローバー・・・」
「これを真夜中に見ると幸せになるという伝説がある」
「本当ですか」
「今・・・俺が作った・・・」
「あらあら」
そこへ・・・お約束で現れる警備員。
千秋は美咲の手をとって逃げ出すのだった。
密着して物影に隠れ・・・心臓が口から飛び出しそうになる美咲・・・いつの時代の表現なんだよ。
夜の海岸に脱出した二人は・・・ちょっといい感じになれそうなデッキに寝そべるのだった。
星がきれいな夜なのだ。
「綺麗ですね・・・」
しかし・・・空腹のためにお腹が鳴ってしまう美咲だった。
「おかしいな・・・楽しいと・・・脳内麻薬物質が分泌されて・・・空腹を感じないはずなのに・・・」
「ごめんなさい」
「僕はちっとも腹ペコじゃないよ」
意味深なことを言う千秋である。
厨房では・・・夏向がデミグラスソースを作っていた。
「明日の仕込みに来ました」と美咲。
「まあ・・・食え」
夏向はオムバーグをサービスするのだった。
いつもの味である。
「美味しいです」
「何点だ」
Vサインを出す美咲。
「二点かよ」
「二百点です」
和気藹々の二人である。
美咲は・・・スマホで千秋の画像付インタビューを示す。
「ここ・・・読んでください」
「なんだよ・・・うっ」
そこには・・・。
(弟の作るオムバーグが一番の好物です)・・・という千秋の言葉が書かれていたのだった。
美咲の放つ恋のボディブロウらしい・・・。
その頃・・・謎の美少女風の愛海からの電話をとる千秋。
「タクミを知りませんか」
思わず電話を叩き切る千秋だった。
なんか・・・不気味だものな・・・違うぞ。
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