闇金ウシジマくん Season3(山田孝之)十日で五割の利子は法外です(綾野剛)
さて・・・意外と楽しい夏ドラマのラインナップである。
(月)「好きな人がいること」・・・爽やかな夏の風に吹かれてどストレートなラブストーリー。
(火)「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」・・・夏に相応しい異常犯罪者の乱舞。
(水)「家売る女」・・・売って売って売りまくるビジネス物語。
(木)は関東ローカルではオンエアが前後するが・・・コレだ。桐谷美玲→波瑠→北川景子とものすごい美女祭りの後で・・・ウシジマくんである。美女も出るが・・・ドス黒さも極まるのだった。
(金)「神の舌を持つ男」はものすごい美女の木村文乃も出るがドタバタである。
(土)「時をかける少女」は口直しとしてちょうどいい感じの美少女ライトノベル的ファンタジーである。
そして・・・(日)はお馴染みの「真田丸」・・・四年に一度くらいの傑作大河ドラマだ。もちろん美女は出る。
どれも大ヒットドラマにはならないかもしれないが・・・今年の夏も・・・作り手はそれなりに頑張ってるよなあ。
で、『闇金ウシジマくん Season3・第1回』(TBSテレビ201607200128~)原作・真鍋昌平、脚本・福間正浩(他)、演出・山口雅俊を見た。原作コミックのいくつかのエピソードを同時進行で散りばめる独特の構成。一種の群像劇だが・・・「底辺世界」という奇妙な迷宮への旅行感覚も味わえる素晴らしい仕掛けだ。人生一寸先は闇だと言うが・・・まさに奈落へ落ちた人々が無明の中でのたうちまわる地獄絵図である。Season2では闇に消えたパピコのことがパピコのCMとともに蘇るのである・・・なんのこっちゃ。さあ・・・ウシジマくんが待っている。
とある・・・刑務所。
恐ろしい事件を引き起こした犯罪者が仮釈放となり・・・私物を変換される。
「携帯電話・・・スマートフォン、白、一点。蝶の絵(本人・画)・・・二点・・・」
刑務所の門から娑婆に出た上原まゆみ(光宗薫)は刑務官(桜まゆみ)に深々と頭を下げる。
服役中の規則正しい生活が・・・まゆみを正気に戻していた。
ふりかえったまゆみは・・・一人の男が立っていることに気がつく。
(誰だっけ・・・いい人・・・悪い人・・・とにかく・・・お金を借りたらいけない人だ)
ウシジマくんこと・・・丑嶋馨(山田孝之)である。
まゆみは・・・眩暈を感じる。
恐ろしい事件のフラッシュバックが・・・高速走馬灯でまゆみの脳裏に蘇る。
あれは・・・今は遠い五月のことだ。
まゆみはファッション雑誌の編集者だった・・・。
男日照りの編集長(小嶋理恵)は部下のまゆみを叱咤激励する。
「これ・・・やりなおして」
「すみません」
同僚たちは慰める。
「やつあたりよ」
「合コンしまくっても」
「高望みがすぎるから」
実家の母親が職場に電話してきた。
「忘れてないでしょうね」
「忘れるわけないでしょう」
「あなたもなんとかしなさいよ・・・お父さんだって心配してるんだから」
「あの人が心配なのは・・・世間体だけでしょう」
母親の広子(武藤令子)を疎ましく感じるまゆみ。
週末には・・・妹のみゆき(今野鮎莉・・・キョウリュゥピンク)の結婚式があるのだ。
「とにかく・・・今・・・仕事中だから・・・」
女子会は合コンより盛り上がる・・・。
話題は「男のこと」である。
「あなたは・・・いいわよね・・・イケメンの彼氏がいて」
女友達のユカ(三浦葵)はまゆみを茶化す。
「ダメよ・・・あいつは・・・将来性がない・・・古着屋をやりたいとか口ばかりでね」
まゆみの交際相手のハシくんこと橋本(ジェントル)は「アルバイトをさぼりたい」「なんか奢って」が口癖のダメ男だった。
「あなた・・・その石って・・・」
「パワーストーン・・・」
「ご利益があるの・・・」
「先生にいただいたのよ・・・」
「先生って・・・占い師・・・」
「すごく当たるのよ・・・」
「・・・それってお金は・・・」
「一回、五万円」
「・・・」
ユカの目に浮かぶ・・・蔑みの気配をスルーするまゆみ。
馬鹿ね・・・先生の素晴らしさを知らないから・・・そんな目をして・・・。
まゆみは良きアドバイザーである勅使川原先生(三田真央)を信頼していた。
もちろん・・・依存していたということである。
まゆみはすでに・・・危険な坂道を転落しつつある。
だが・・・本人に・・・その自覚はない。
資産家の両親との折り合いが悪いまゆみは・・・鬱屈をスピリチュアルな世界で晴らそうとしていた。
そうしないと不安でたまらないのだ・・・。
揺れるまゆみの心が・・・やがて・・・両親や妹を巻き込んで恐ろしい世界へと導くことを・・・まゆみはまだ知らなかった。
まもなく・・・まゆみは橋本がユカにも奢ってもらっていることに気がつく。
「カウカウファイナンス」の柄崎(やべきょうすけ)と高田(崎本大海)は「キャバクラ」で遊んでいた。
「結局・・・女はイケメンがいいんだろう・・・」
「そんなことないだお」
キャバクラ嬢たちは・・・お愛想を口にするのだった。
「あ・・・ジュリアじゃねえか」
柄崎はかっての顧客を見つけて声をかける。
「柄崎さん・・・守秘義務ですよ」と高田は注意する。
ジュリア(佐々木麻衣)に似た女は否定する。
「人違いですよ・・・」
柄崎や高田は・・・知りあいであることを自慢できるような男たちではなかった。
二人は闇金業者なのである。
「すずさん・・・御指名です」
二人のテーブルからキャバクラ嬢のすず(伊藤花菜)が抜け出る。
すずを指名したのは常連客の川崎(ムートン伊藤)だった。
「遅いじゃないか」
「お待たせして・・・また・・・アフターに連れてってくださいね」
「アフターのアフターを頼むよ」
「またまた~」
「やらせてくれよ~」
すずの股間に顔をうずめる川崎だった。
川崎は・・・「カウカウファイナンス」の顧客でもあった。
ウシジマくんの指示に従い・・・受付嬢・エリカ(久松郁実・・・「ごめんね青春!」の巨乳女子高校生・佐久間りえである)は現金を用立てる。
「また・・・女?」とウシジマくんはお愛想を言う。
「キャバクラの女がもうすぐ・・・落ちそうなんです」と川崎。
客が去ると柄崎が陰口を始める。
「まったく・・・キャバクラにはまるなんて馬鹿な奴だぜ」
「金を何に使うかは客の自由だ・・・女に貢ごうがギャンブルで溶かそうが俺たちには関係ない」と釘を刺すウシジマくん。
柄崎は過去にギャンブルで痛い目にあっているのだ。
スーパーマーケットのパートタイマーである結城恵美子(倖田李梨)はパチンコで金を溶かす中年女である。
勤務態度も悪く・・・店長にマークされている。
監視カメラの死角をついて・・・売り物の弁当を盗み食いする恵美子・・・。
「安い時給でこき使いやがって・・・弁当くらい食わせろっての」
だが・・・スーパーの裏口でアジフライ弁当を取り上げる・・・ウシジマくんのライバル企業・闇金融「ライノー・ローン」の女経営者・犀原茜(高橋メアリージュン)だった。
恵美子の自転車を蹴り飛ばす犀原・・・。
「このアジフライ醤油がついてねえぞ」
「アジフライは普通ソースです・・・私はタルタルソースですけど」
犀原の腹心・村井(マキタスポーツ)が口をはさむ・・・。
犀原は村井を平手打ちにする。
「利子の七万円の返済日だ・・・」
「・・・」
「アジフライはくれてやる・・・とっとと働いて金を作りな」
犀原は恵美子の口にアジフライを押しこんだ。
恵美子の娘の美奈(佐々木心音)は自堕落な母親を嫌って家出し・・・ネットカフェで暮らしていた。
ワリキリと称して売春をし・・・その日暮らしである。
「お前・・・いい体してんな」
「ほめられちゃった・・・」
「だけど・・・匂うぞ・・・」
「毎日・・・シャワー浴びてるけど・・・」
「家に帰れよ・・・」
「嫌だよ・・・金があったら・・・ウイークリーマンションに引っ越すんだ」
「・・・お前の母親と3Pできたら・・・七万円払うぞ・・・」
「3P・・・」
客に言われて考え込む美奈・・・。
美奈は母親を訪ねる。
「携帯くらいもっとけよ」
「余計なお世話だよ・・・金ならないよ」
「あのさ・・・私とママとで3Pしたら・・・七万くれるって・・・」
「3P・・・って馬鹿言ってんじゃないよ」
だが妻子持ちの情夫である亀井(仲俣雅章)から「三万円」を無心される恵美子。
娘に「やろうか・・・」と伝えるのだった。
初回から快調に飛ばすな・・・。
劇場版とネタがかぶっているけどな。
ニュアンスが違うだろう。
ギャンブル依存と売春は闇金の花だよ。
生活保護も忘れるな。
家賃保証業者の取り立てを居留守で回避する小瀬(本多力)・・・。
エロ動画を視聴するために・・・有り金で電池を購入してしまう愚か者である。
カビパンを吐き出した小瀬は・・・生活保護の申請に赴く。
「小瀬さん・・・働けますよね」
「鬱なんです・・・診断書があるでしょう」
「しかし・・・就労できない状態ではないようです」
「・・・」
素晴らしいインターネットを検索した小瀬は神を召喚する。
NPO団体「貧困ネットワーク」の主催者・嘉瀬正義(福田優)の登場で・・・小瀬は生活保護を勝ち取るのだった。
牛丼弁当を買い・・・夢中で食べる小瀬。
「美味い・・・牛丼・・・最高」
満ち足りた小瀬は・・・自慰行為に耽る。
射精した小瀬は・・・身動ぎをする。
「・・・退屈だ」
人間だ・・・あまりにも人間的だ。
ウシジマくんは・・・幼馴染の情報屋・戌亥(綾野剛)と駄菓子屋にいた。
「ココアシガレットの煙草感が薄れてるよね・・・」
「・・・」
顧客の吉岡(あべかつのり)から取りたて中の柄崎&高田から着信がある。
「警察に走るってほざいてます」
「違法だ・・・俺は払わねえ」とわめく顧客。
「電話をかわれ・・・おい・・・借金してることがばれたら・・・生活保護は打ち切られるぞ」
「・・・」
「酔っ払いが・・・」
ウシジマくんは顧客を鞭打つ。
雨が降っていた。
勅使川原先生から「傘はアンラッキーアイテム」と言われたまゆみは雨宿りをする。
そこへ・・・高級車に乗った男が現れる。
「傘をどうぞ・・・」
「そんな・・・」
「困っている女性を見過ごすわけにはいきません」
男(中村倫也)を不気味に思うまゆみだったが・・・結局、傘を受け取る。
傘には・・・「神堂大道」と氏名が記されていた。
勅使川原先生から着信がある。
「今日は・・・あなたと一緒にいたかったのよ」
「・・・どうしてですか」
「あなたにとって・・・運命の出会いがある日だから・・・」
運命の出会い・・・。
まゆみは・・・神堂大道のことを想い浮べていた。
もちろん・・・すべては・・・仕組まれているのだ。
それが・・・ウシジマくんの棲む世界の掟である。
ウシジマくん・・・万歳!
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