たたりなんてみんなかなしいはなしです(向井理)もののけ姫とBRAVE HEARTS 海猿の挟撃だと!(木村文乃)誰か私たちのことも見てください(佐藤二朗)
「ゆとりですがなにか」→「家売るオンナ」→「神の舌を持つ男」と続くボルダリングの連鎖である。
みんな・・・運動不足が不安なんだな。ボルダリングに憧れてるんだな。
「神の舌を持つ男」は「カミのシタを持つ男」なので「神の下を持つ男」でもあるのだな。
「いてて・・・何するんだ・・・」かよっ。
「髪の下を持つ男」なら「禿つかみ」だよな。
どうした・・・疲れてるのか。
朝から・・・リオ五輪の日本VSナイジェリア戦を見たからな。
ノーガードの打ち合いみたいで楽しかったじゃないか。
一試合で九つのゴールなんてなかなか見られないからな。
さあ・・・五輪中継の海にドラマの漂う夏の始りである。
で、『神の舌を持つ男・第5回』(TBSテレビ20160805PM10~)原案・堤幸彦、脚本・櫻井武晴、演出・堤幸彦を見た。二時間サスペンスドラマ・横溝系の後編である。一種の漫才システムである。作品の中で・・・登場人物がボケて登場人物がツッコむスタイル。アニメ「銀魂」の標準スタイルだよな。誰もがわかる「ボケ」で「お茶の間」にツッコんでもらうのが正統派だとすれば・・・これは邪道とも言える。まあ・・・「男はつらいよ」だって寅さんのボケに登場人物一同ツッコみまくるけどな。わかるやつだけにわかればいいという潔さがないよな。さらに言うとツッコミ入れても伝わらない場合もあるしな。とにかく「吉岡さ~ん」とか「黙れ小僧」とかに「舐めて」で対抗するのは絶望的な挑戦と言えます。
後編なので謎解きに次ぐ謎解きである。
主題は・・・「誤解の招いた悲劇」と言うことなのだろう。
毛増村温泉郷の唯一の温泉旅館「波外ノ湯」の仲居である六つ子の老婆(松金よね子・田岡美也子・その他)や村人たちに「刃無の時期なのに刃物を持ちこんでたたりを誘発した」と責められる伝説の三助・朝永平助(火野正平)の孫である人間成分分析器・朝永蘭丸(向井理)、古物の行商人・甕棺墓光(木村文乃)、そして宮沢賢治の心象スケッチを諳んじる宮沢寛治(佐藤二朗)のトリオである。
たたり信仰の主導者である「雷神寺」の住職・神村精進(石橋蓮司)と対立する村長の赤池慎太郎(きたろう)によってなんとか窮地を救われる一同。
住職の次女である神村町子(臼田あさ美)の口から説明される「たたり」に纏わる話。
昭和初期・・・村に他所者の夫婦が住みついた。
しかし・・・女房は浮気症で亭主は嫉妬深い。
ある夜・・・ついに爆発した亭主の狂気は村の男たち十一人を次々と惨殺・・・ついに村の男たちに返り討ちに合う。しかし・・・亭主を仕留めた男たちも落雷によって全滅する。土砂崩れの現場に出現した白骨はその名残りと推定される。
続いて・・・六つ子の老婆たちは・・・村に伝わる「毛増村の蹴鞠歌」・・・略して「毛鞠歌」を披露する。
驚異の身体能力で妙技を披露するおそ松婆さんである。
「おそ松さん」からの六つ子ネタ。「おそ松くん」ストレートじゃないコネタの選択がださいんだよな・・・まあ・・・いいんじゃないか・・・そういう狙いなんだろうから。どうせ、おそ松さんネタなら・・・木村文乃の笑い皺からの「チビ太」連想とかも欲しいよね。誰もわからんわっ。
他人の女房と浮気をしたなら背中刺されて死ぬけ~の~
女にまたがれて射精したなら腹をさされて死ぬけ~の~
十一人の男たちの死に様を歌い十一番まであるという「毛鞠歌」だった。
「卑猥だ・・・よくある艶歌じゃないか・・・」と寛治。
「二人の犠牲者と一致する死に様がありませんね」と蘭丸。
「もういい・・・エロすぎるからやめて」と甕棺墓くん。
全国・・・どれだけのライターが・・・「かめかんぼ」の一発変換で「甕棺墓」が出てくることに驚愕したことだろう。
そして・・・六つ子の仲居の出生の秘密が明かされる。
彼女たちは・・・他所者夫婦の娘たちだったのである。
「闇っ子」と呼ばれた彼女たちに村長の祖父が情けをかけ・・・引きとって育てたらしい・・・。
まあ・・・実は・・・村長の祖父の種による娘の可能性もあるわけだよね・・・。
一人息子の辰也(柄本時生)の帰りが遅いことを案ずる女将で村長の妻である栄子(真飛聖)・・・。
「どうせ・・・住職の娘の町子と契っているのだろう」と村長。
町子との相思相愛に傾いていた寛治にとって衝撃の事実である。
「えええええええええええ」とは言わずに表情で示す寛治だった。
そういうとこ・・・なんだよな。
まあ・・・お茶の間は・・・達也・町子・寛治の三角関係にほとんど興味ないからな。
しかし・・・翌朝・・・辰也の死体は住職によって発見される。
しかも死体は・・・毛鞠歌の三番目の歌詞のように「吊るされて斬られた」状態だったのだ。
だが・・・現場に残された出血量から・・・「斬られてから吊るされた」と推測する蘭丸。
「横溝系ではたたりに見せかけた殺人が定番なのよ」と大見得を切る甕棺墓くんである。
そこへ・・・麓の藪クリニックの藪医師(赤星昇一郎)が土砂崩れをボルダリングで乗り越えて到着する。
藪医師は・・・温泉芸者ミヤビ(広末涼子)と関係するあのスキンヘッドの男だった。
写真を見たわけでもないのにピンとくるトリオだった。
町子は愛する辰也の遺体にすがって泣く。
「おう・・・やはり・・・二人は愛し合っていたのですか」と寛治。
「・・・結婚を約束してました・・・辰也のマンガが完成したら・・・二人で村を出ようと」
哀愁のメロディーと寛治の失恋の沈黙が交差する現場。
「やはり・・・たたりはあったんですね」
「いいえ・・・これはたたりではありません」と蘭丸。
「さあ・・・舐めて」
甕棺墓にせかされて死体を舐める蘭丸にどよめく一同。
「おかしいと思うでしょうが・・・彼はこうやって数々の難事件を解決してきたのです」
しかし・・・第二の被害者の手を舐めた蘭丸は吐くのだった。
「そりゃ・・・気持ち悪いからな」と藪医師。
「違います・・・」
複雑な事件のために謎解きは二部構成になっているが・・・五輪中なのでまとめてお届けする。
最も疑わしいゲスト女将は単なる息子を失った悲しい母親だった。
辰也の奇妙なスタイルは・・・自作マンガの登場人物のコスプレだった。
けして「仮面ライダー」の赤いマフラーではなかったのだ。
自作マンガの主人公の持つ「カタナ」のモデルを捜していた辰也は甕棺墓くんの骨董品を発見し「黄色い取っ手のマイナスドライバー」で車のドアの鍵を壊し、「日本刀」を入手。
それを駐在に咎められ揉み合ううちに過失致死に至るのだった・・・。
想像の範囲の出来事を再現VTRで押し切るスタイルである。
第一の犠牲者である駐在は・・・あやまって抜かれた日本刀を掴んだ辰也が転んだ弾みで刺殺されてしまったのだ・・・まあ・・・目撃者どころか・・・加害者も死んでいるので本当かどうかはわからないわけだが。
黄色いドライバーから車の成分やら辰也の手から日本刀の成分やらが検出されたのでそうなるのだ。
第二の犠牲者の手からは・・・ドクセリの成分が検出される。
ドクセリ、ドクウツギ、トリカブトは日本三大有毒植物である。
フィクションではないのかよ。食用のセリに似ているために中毒事故を起こしやすい植物である。
しかし・・・毛増村では・・・ケマシグサと呼ばれ・・・殺された十一人の生まれ変わりとして摘まれることのない草だった。
被害者の妻(村岡希美)は浮気症の夫に苦しみ・・・夫が女将と浮気していると誤解して・・・散策の際に採取したドクゼリをセリと偽って夫に食べさせたのであった。
天麩羅になってたけど・・・誰が調理したんだよ。
しかし・・・夫は本気で夫婦仲を修復するつもりで新しい結婚指輪まで用意していたのである。
女将とは「サプライズ」の打合せをしていただけだった。
「ご主人から・・・この指輪を預かってました」と村長が夫の真心の証を示すのだった。
「馬鹿ね・・・サプライズとか・・・ろくなことがないのに・・・」
膝から崩れる被害者の妻である加害者だった。
そして・・・第三の犠牲者である辰也は・・・殺人事件の凶器として「雷神の祠」に保管された日本刀を狙い・・・侵入しようとしたところを住職に見つかり・・・揉み合ううちに住職が誤って刀を抜き・・・斬り殺されてしまったのである。
「祟りにみせかけようとして・・・吊るしたのが間違いでしたね・・・ロープにはあなたの皮膚の成分が残っているでしょう」
「儂の負けじゃ・・・」
蘭丸が舐めまくって追いつめた犯人の自白によって一件落着である。
日本刀に甕棺墓くんが執着したのは・・・それが蘭丸との出会いにちなんだ思い出の品だったのである。
室町時代の作と鑑定した刀を舐めた蘭丸が「確かに五百年前の味がします」と裏付けた。
それが・・・二人の出会いだったのだ。
っていうか・・・切れ味良すぎで・・・呪われた刀じゃないのか・・・。
町子の目にはベッカムに見えるらしい寛治。
町子は・・・寛治も愛していたらしい。
しかし・・・寛治は・・・町子を宮沢賢治の最愛の妹トシにたとえ・・・訣別するのだった。
「兄妹では結婚できませんから・・・」
そういう問題なのか・・・。
だが・・・町子はピンとこない様子だった・・・。
そして・・・ついに明らかになる・・・ミヤビとドクター・ヤブの関係・・・。
ドクター・ヤブは・・・ミヤビの主治医だった。
医師の守秘義務で病名は明かせないが・・・病気であることを明かすのはいいのか・・・ミヤビは病に冒されており・・・ドクター・ヤブは惚れた患者に薬を届けていたのだった。
それがミヤビの行く場所にドクター・ヤブが出没する理由だったのだ。
「ミヤビにはつきまとっている悪い男がいる・・・あんたになら・・・ミヤビを救えるかもしれん」
「・・・」
「ミヤビの次の目的地は大山温泉・・・夢見るぞ」と言い残しドクター・ヤブは去っていくのだった。
こうして・・・おかしなトリオは大山温泉を目指すのである。
いろいろと・・・おかしなところのある事件解決だが・・・目指しているところが・・・おかしな感じなのだから・・・これはこれでいいのである。
蘭丸は「幻の女」を求めて旅をする。
いつの世にも変わらぬ青春の旅路・・・。
夢見る頃は過ぎても・・・寛治も甕棺墓くんもついていかないわけにはいかないのだ。
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