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2016年8月 1日 (月)

気高い暴君、御仏の如き悪鬼、鷹の羽を持った鶯、豺狼の牙を隠す禿鼠・・・大いなる英雄の黄昏(長澤まさみ)

歴史は大河のようなものだ。

悠久の時をただ上流から下流へと流れていく。

振り返れば遥か彼方の水源は幻のように霞んでいる。

現在を生きる人間はその流れの中で悪戦苦闘しているわけである。

大陸や半島の国家に生きる人々に気を使いすぎて・・・自国の英雄を辱めるのはなんだか情けないことだ。

戦乱に明け暮れた下剋上の世界を平らげ・・・次へのステップを踏み出した英雄は・・・敬愛すべきご先祖様の一人なのである。

志半ばで・・・天寿を全うすることになったのは残念だが・・・それが歴史的運命と言うものだろう。

どんなに素晴らしい英雄でも・・・やがて・・・老いて死ぬことも必然だ。

輝きが強いほど・・・闇も深くなる。

「秀吉」の末路をこれほど抒情的に描いた大河ドラマの仕上がりは近年、まれに見る快挙と言えるだろう。

真田信之の正室・小松姫が、天正十九年(1591年)に長女・まんを、文禄二年(1593年)に次女・まさを生み、次男の信政を生むのが慶長二年(1597年)だという通説があったり、側室とされる清音院殿が長男の信吉を文禄四年(1595年)に生んでいた・・・としても・・・正室・側室、同時出産の構図が面白いと思ったフィクションぐらい許容範囲であると考える。

そもそも・・・信吉も小松姫が生んだ説もあるくらいなわけである。

真田本家の血を引く清音院殿と・・・徳川家の養女説のある小松姫・・・それぞれの生んだ二人の・・・真田の兄弟が・・・また新たな歴史を刻んでいく。

生まれた時に・・・すでに波乱含み・・・そういうことは本当に面白いわけなんだな。

大河ドラマらしい大河ドラマを見ることができて・・・今年は本当に幸せだ。

で、『真田丸・第30回』(NHK総合20160731PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・田中正を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は待望のヒロイン・北信濃の清和源氏の血脈である高梨内記の娘・きりの第二弾描き下ろしイラスト大公開で万歳でございます。素晴らしい・・・大人になったきりの花が咲いておりますねえ。しかし・・・このドラマのきりはいったい・・・いつ信繫の寵愛を受けられるのか・・・手に汗握る中盤戦でございますよね。「義」というものは・・・基本的に自己犠牲の精神ですが・・・誰に・・・あるいは何に身を捧げるのか・・・という問題がございます。真田家に身を捧げ・・・黒く染まった叔父・真田信尹・・・上杉家を守るために覇者に靡いたかっての主君・景勝・・・天下人たる秀吉の豊臣家と・・・出自である真田家との「義」の板挟みとなる主人公・・・。思い悩む主人公に・・・養父となった大谷吉継が「誰のために生きるかくらい・・・自分で選んでよいのではないか」とアドバイスする。・・・なんというホームドラマでございましょうか。こんなところで・・・「サザエさん」的世界が展開するとは・・・。血沸き肉踊る一言でございましたな。東京では夏の首都決戦が展開・・・彼女が勝つのは最初からわかっていたとしても・・・今後も都政の義理や闇がいろいろと難ありでも・・・一人一人が誰かを選ぶことができる権利を与えられている現代の尊さを・・・噛みしめてもらいたい今日この頃でございます。

Sanada030文禄五年(1596年)九月、豊臣秀吉の嫡男・拾丸は禁裏で元服し藤吉郎秀頼と称する。改元後の慶長元年(1596年)十一月、服部半蔵正成が死亡。服部半蔵正就が家督を相続。十二月、豊臣秀頼が大坂城に移り、朝廷がこれを祝す。十月のスペイン船サン=フェリペ号の漂着を受けて秀吉は二度目の禁教令を発する。スペインとポルトガルの国際紛争やイエズス会とフランシスコ会の宗教的対立が・・・国内の治安維持の問題として浮上したためである。京都奉行・石田三成は京都・大坂で捕縛したフランシスコ会のペトロ・バウチスタなど宣教師や修道士、および日本人信徒20人を長崎にて処刑する。慶長二年(1597年)一月、秀吉は伏見城より大坂城に移り、秀頼は伏見城に在城。前田利家が従二位権大納言を辞任。二月、第二次唐入りのための諸大名の出陣・部署が定まる。総勢14万1500人の軍勢となる。三月、秀吉は伏見城に戻る。四月、秀吉は上洛し参内。五月、伏見城天守閣が再建される。矢沢頼綱が没する。六月、小早川隆景が没する。七月、小早川秀秋を元帥とする日本軍は藤堂高虎・脇坂安治・加藤嘉明の指揮する水軍が元均の指揮する朝鮮水軍を壊滅させる。その後、慶尚道・全羅道・忠清道を制圧した日本軍は南岸の城塞(倭城)を補強し、防衛戦に転ずる。翌々年に大攻勢を予定し、半数の日本軍を一時帰還させるための戦略だったとされる。在番(朝鮮駐留軍)以外の諸将は帰還した。慶長三年(1598年)一月、築城中の蔚山城を朝鮮・明連合軍が急襲。加藤清正らが篭城し、餓死寸前まで追いつめられる。毛利秀元らが援軍となり連合軍の撃破に成功する。二月、秀吉は醍醐寺諸堂の再建を命じ、庭園を造営する。三月、羽柴秀吉、醍醐寺三宝院において「醍醐の花見」を行う。秀吉の御伽衆・六角義賢は前日に死去した。

大坂城の郊外にある小さな寺に真田家は悲田院を建てていた。

国内の合戦は絶えていたが孤児はいつの時代にも現れる。悲田院は仏教的な慈悲の思想に基づく孤児院であるが・・・真田家にとっては忍びの里である。

山野をかける戦忍びは真田の里で育成されるが・・・草のものとして諜報を行うものは街に馴染む必要がある。

時には才能あるものを神隠しで攫うことも・・・忍びの常道である。

才色に恵まれたものは・・・くのいちとして京の遊廓などに売られることもあった。

沼田城の忍びである横谷左近、横谷惣左衛門の兄弟は・・・忍び技の教官として真田の悲田院に棲む父・惣右衛門を訪ねる。

「おう・・・来たのか」

「若殿(信幸)のお供で伏見屋敷まで参りました」

「きり姫様より童を預かっておりまする・・・親は切支丹で・・・磔になったそうでござる」

「そうか・・・」

初老の惣右衛門は童女に微笑みかける。

幼い娘は恥じらいの表情を浮かべる。

「これは・・・よきくのいちになりそうじゃ」

気配を察して奥から小坊主が現れる。

「清海・・・粥でも食わせてやれ」

清海と呼ばれた小坊主は娘の手を引き・・・厨房へ導く。

「沼田のものは皆・・・達者かの」

「矢沢の大旦那が・・・往生を遂げられましたぞ」

「そうか・・・あのお方は百まで生きそうだったがの・・・」

「北条との戦にあけくれた頃を思えば皆・・・のどかなものでございます」

「鈴木右近様などは・・・腕をもてあまし・・・柳生の里で剣術修行をなさっているとか」

「ほう・・・」

鈴木右近忠重は北条征伐の発端となった名胡桃城代として落城を恥じて切腹した鈴木重則の嫡男だった。

「柳生といえば・・・徳川様に名人石舟斎が秘儀を伝授したとか」

「嫡男の宗矩殿が召し抱えられたそうです」

「武芸者の諸国修行は・・・忍びの道じゃからのう・・・」

「伊賀の半蔵が死んだという噂ですが・・・」

「さて・・・どうかのう・・・風魔の小太郎と同じで・・・半蔵が何人いるのか・・・わかったものではないからな」

「やはり・・・太閤様亡き後の・・・仕掛けの一つでしょうか」

「徳川は・・・伊賀者だけでなく・・・甲賀や・・・本多家の使う根来衆、近江の犬神衆を率いる藤堂様、そして柳生にも手を伸ばして・・・忍び戦に備えておるのじゃろうて」

「・・・」

「半蔵は家康様の守護神として・・・隠れたに違いないわ」

「大戦となるのでしょうか」

「ふふふ・・・天下分け目の戦という奴よ・・・もう・・・唐入りもしまいじゃ・・・」

「武者ぶるいがいたしまする」

「そんなもの・・・忍びには無用ぞ」

老いた忍者は若侍となった息子を睨んだ。

その気迫に・・・横谷惣左衛門は背筋が凍りつく。

戦いに明け暮れた男たちは・・・のどかな日々がかりそめのものだと知っている。

紅い山桜が風に散った。

関連するキッドのブログ→第29話のレビュー

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コメント

ご無沙汰してます
御家族の皆さまもお変わりありませんか
ここ数日は蒸して鬱陶しい天気になりそうですね
ご自愛くださいませ

歴史にとんと疎いので大河ドラマのコメントは差し控えていましたが
昨夜の終盤の秀吉と信繁のやりとりが秀逸すぎて
一夜明けても もの思いに耽ってます

たそがれ

いつか 必ず誰にも訪れるものですが
2人の名演技に魅せられ泣かされました

ただ秀吉没後 信繁には 別の選択をする事も出来たような気もして
今後の展開を考えると重い気分になったりもしました

番組終了直後には 小池百合子さんの当確が早々と報じられ
その早さにはビックリしましたが
都民でないので部外者ですが投票権があるのなら孤軍奮闘しているように
見受けられた⁇小池さんに投票したいと思わせる程
彼女は選挙巧者だった気がします

義にとらわれ 戦巧者であっても ある意味敗者でもある
信繁を今後 堺さんがどのように演じられるのか
楽しみでもあり 行く末を思うと重い気持ちになっています

投稿: chiru | 2016年8月 1日 (月) 10時09分

シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン

キッドの一族はみな元気でございまよ・・悪魔なので。

ただいま本家は一部改装中なので片づけが一苦労ですぞ。

夏の雨は濡れてもすぐ乾くのが爽やかですな。

夏本番ですのでchiru様も熱中症にはご注意くださりませ。

大河レビューは次のような基本構成になっています。

タイトル
今回はシェイクスピアの作品のもじりで。

前フリ
大雑把な歴史的感想と雑学的まとめ。

本題①
素敵なイラストを描いてくださる画伯へのメッセージに仮託したドラマの部分的な感想。

本題②
登場人物&マップとドラマに関連した定説的年表。

本題③
ドラマの時代背景についての妄想劇場

・・・というわけで・・・ドラマのシナリオからは一番離れたレビューになっています。

かなり・・・妄想強めなのでご注意くださりますように。

お茶の間的にはそれぞれ好きなドラマがあっていいわけですが
歴史を題材にしたドラマには特別の思い入れが生じますので
今回は・・・歴史に愛を感じる素晴らしい大河ドラマに仕上がっていると考えます。

キッドはこの脚本家をそれほど高く評価しませんが(嫉妬を含む)・・・今回は拍手を惜しみません。

どんな時代でもどんな地域でも
人が集まれば表と裏ができる。
「顔役」というのは・・・なるべく表も裏もない方が
いいわけですが・・・人間は複雑な生き物ですからな。

すぐに手を出すのは「おかしい人」だけで・・・。
まともな人はなるべく「喧嘩」しない・・・。
そうなると・・・いささか澱むのですな。

時には・・・そういう澱みをクリーンにする必要もある。

「姑息な人」や「いやな奴」より「かっこいい人」が選ばれた!

たまにはそういうスカッとすることがあった方がいいですな。

すべては劇場の出来事だったとしても・・・。

戦国時代の終焉・・・。
秀吉が仕事を終えると
地方分権派の家康と中央集権派の三成が競います。

そのために合戦をしなければならない時代。
大変でございますよね。

結果として・・・大平の世は緩やかな地方分権となる。

中央集権派が息を吹き返すのは幕末です。

そういう歴史のうねりの中で
戦上手な真田一族が最後の花を添える・・・。
ふりかえる人々は
いつでもそこに美しさを見出したいのでございます。
きっと・・・美しい真田丸を見せてもらえると推測しておりまする

投稿: キッド | 2016年8月 1日 (月) 22時26分

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