天地人を思い出せとでも言いたいのか・・・若かったあの頃を・・・今となっては虚しい日々を(長澤まさみ)
実在すると言われる真田信繁の側室の一人・・・高梨内記の娘。
このドラマでは「きり」と名付けられ・・・「死の天使」の役割を担っている。
高梨内記は北信濃の名族清和源氏井上氏の一族で・・・真田昌幸の兄・真田信綱の正室・高梨政頼の娘の縁者なのであろう。
真田信幸の最初の正室が信綱の娘である以上・・・信幸の家老となってもおかしくないのだが・・・高梨内記が信繫に従ったのは・・・舅の縁があったからだろう。
高梨内記の娘は信繫との間に二人の娘を儲けたとされるが・・・一人は早世し、一人は竹林院が産んだとする説もある。
そのために・・・「きり」は霧隠才蔵のポジションに虚構化されているわけである。
本能寺の変以後は・・・河原一族の出自を持つ真田昌幸の生母の侍女として人質人生を送る。
信繫の最初の室である堀田作兵衛の妹の死後、秀吉の人質となった信繫に従い、上方に登ると・・・北政所の侍女として潜入し、関白豊臣秀次に見染められたりする。
そして・・・秀次の死後・・・聖母マリアに憧れた秀次の思い出に寄り添いキリシタンのきりとなるべく・・・細川ガラシャに接近していくのである。
恐ろしいことだ。
細川ガラシャの運命を知る一部お茶の間にとって・・・きりはまさに「死の天使」だし・・・どうしてこの子は危険な場所へと自ら足を踏み入れてばかりいるのかという・・・ドタバタ劇における一同爆笑ポイントとなっている。
そして・・・今回はついに・・・くのいちとして・・・細川忠興の石田三成襲撃を真田信繁に通報しているのである。
大坂城細川屋敷から伏見城真田屋敷まで韋駄天走りなのだ。
ああ・・・大河ドラマにおける彼女はいつでもくのいちだったんだなあ・・・と今さらながらに思うのだった。
「功名が辻」(2006年)・・・小りん(甲賀の忍び)
「天地人」(2009年)・・・初音(真田昌幸の娘で忍び)
「真田丸」(2016年)←今ココ!
なんだろう・・・やはりモスラを呼んじゃう小美人出身だからなのか・・・。
で、『真田丸・第34回』(NHK総合20160828PM8~) 脚本・三谷幸喜、演出・渡辺哲也を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は美声で直江状を朗読する戦国の悪態名人・直江兼続描き下ろしイラスト第二弾大公開でお得でございます。判官贔屓の皆様にとって時の権力者をこきおろす負け組の遠吠えは・・・やんやの大喝采なのでございますよねえ。弱い犬ほどよく吠えるの典型なのに・・・でございます。まあ・・・上杉景勝・直江兼続主従が・・・もう少し・・・上手くゲリラ戦を展開していれば・・・日本の歴史は変わっていたかもしれないわけですが・・・まあ、それは禁句でございますれば・・・一方の局地戦では無敵な上田城の真田父子は・・・大勢に影響なし・・・。細川父子は必死の攻防・・・そして明智光秀の娘は・・・九州では黒田官兵衛が加藤清正とやりたい放題・・・毛利は「また騙された!」ともう・・・色々と血沸き肉踊る・・・第三のクライマックスが急接近ですねえ。本編の人間関係ドラマが十分面白いので・・・戦が割愛されてもそれほど気にならない仕上がりなのに・・・それなりに合戦も見せてくれる今年の大河・・・。果たして・・・どんな関ヶ原が・・・どんな上田合戦が・・・待っているのか・・・。それにしても・・・みんな死んじゃうんだなあ・・・お別れは近いんだなあ・・・と茫然といたしますねえ。
慶長四年(1599年)二月、大老前田利家は伏見城徳川屋敷で大老徳川家康と手打ち。家康は大坂城前田屋敷で病床の利家を見舞う。閏三月、前田利家死去。加藤清正、福島正則、黒田長政、細川忠興、浅野幸長、池田輝政、加藤嘉明の七将が石田三成の大坂屋敷を襲撃。三成は佐竹義宣の助勢により大坂を脱出し、伏見城治部少輔丸に篭城。七将は追撃し、伏見城下に集結。徳川家康は大老として喧嘩を仲裁し、七将に撤兵させ三成に蟄居を申しつける。三成は佐和山城に退去。堀尾吉晴の手引きにより家康は伏見城本丸に入城。七月、浅野長政、増田長盛、長束正家の三奉行は家康の命により諸将に帰国の沙汰を伝える。上杉景勝、前田利長、毛利輝元、宇喜多秀家の四大老、黒田如水、細川忠興、加藤清正など有力大名は領国に戻る。九月、家康は大坂城に入城。高台院は京に移住し、家康は西の丸に入る。十月、浅野長政が謀反の疑いで武蔵国府中へ流罪となる。前田利長を謀反人として成敗することを諸将に命ずる。細川忠興にも疑いがかかり忠興は三男光千代を人質として江戸に送る。利長も生母・芳春院(まつ)を江戸に人質として送る。慶長五年(1600年)一月、豊臣秀頼とともに大坂城で家康は諸将の年賀を受けた。堀尾吉晴は五万石、細川忠興は六万石の加増を受ける。三月、越後国の堀秀治、出羽国の最上義光それぞれが会津帰国中の上杉景勝の戦支度を通報。上杉家の家臣・藤田信吉が出奔し景勝の謀反を告発。家康による上洛命令に対し直江兼続が怪文書で拒絶。家康は会津征伐を宣言。秀頼は黄金二万両・兵糧米二万石を征伐軍に下賜。六月、家康は大坂城を出陣。七月、大谷吉継と石田三成が大坂城西の丸を奪還。毛利輝元を総大将とする反徳川軍が決起する。家康に先行して出陣し上田城から関東に出た真田昌幸と信幸・信繫兄弟は徳川秀忠軍に属し犬伏に在陣していた。
大坂城・真田屋敷には人気が絶えている。
残っているのは・・・夫人たちと留守居役のものだけである。
そこにふらりと流浪の僧侶が立ち寄る。
真田源内幸家である。
「義姉上・・・ご無沙汰しておりました・・・」
「おう・・・源内殿か・・・」
真田昌幸夫人の薫は夫の年若い弟を迎える。
幸家は夫・昌幸の父・幸隆が晩年に産ませた庶子で・・・まだ三十前だが叔父の幸景の跡を継ぎ真田の山家修験者頭となっている。
「忍び座敷を借り受けたい」
「お城で・・・変事がございましたか・・・」
「石田治部少輔様が戻っておられます・・・」
「なんと・・・」
「おっつけ・・・ここにも石田方の侍衆が参りましょう」
「お急ぎなされ」
事情を察した薫は忍び座敷の鍵を渡す。
昌幸の居室に隣接する忍び座敷には入れば暗闇となる籠りの間が整えられている。
真田源内は・・・漆黒の闇の中で心気を凝らす。
下野国の犬伏の陣に向って野を駆けていた真田佐助は・・・心に繋るものを感じた。
木陰に身を潜ませた佐助は息を整え・・・修験の印を結ぶ。
たちまち・・・佐助は没我の境地に入る。
(さすけ・・・か)
(げんない・・・さま)
(いしだみつなり・・・おおさか・・・むほん)
(・・・)
二人の会話を真田昌幸は犬伏の陣屋で聞いていた。
側には真田の忍び頭・真田幸村が控えている。
「幸村・・・三成が挙兵したぞ・・・」
「御意」
「信幸と信繫を呼べ」
「父上・・・信繫はここに」
すでに・・・信繫は姿を見せていた。
幸村が・・・信幸を呼びに去ると・・・昌幸は・・・信繫を見つめた。
「聞いたか・・・」
「石田様が・・・決起したとのこと・・・」
「ここまでは・・・読み通りだ・・・しかし」
「恐ろしいほどに五里霧中でございますな」
「これほど・・・先が見通せぬとは・・・異なことだ・・・」
「おそらく・・・ここは・・・時の大きな分かれ目なのでございましょう」
「分かれ目か・・・」
「凶と出るか吉と出るか・・・修験の道をもってしても見極められぬものがあると・・・父上が教えてくれたではありませんか」
「そうだ・・・だが・・・忘れておった・・・あれは・・・天正十年・・・信長が本能寺で討たれた時・・・あの時のようじゃ・・・」
「いかがなされますか・・・」
「のるか・・・そるかじゃ・・・侍として生まれて・・・これほど心躍ることは・・・またとないぞ」
「御意」
「石田がどれほどの兵を集めるのか・・・家康がどう動くか・・・」
昌幸は熱病にうなされたような表情になる。
幸村と信幸が近付いてくる気配があった。
真田一族の命運が揺れる夜が始る。
それは・・・慶長五年七月十七日のことだった。
家康はまだ江戸城にいた。
関連するキッドのブログ→第33話のレビュー
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