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2016年8月30日 (火)

好きな人を捜しにいくこと(桐谷美玲)尾道まで電車で行って自転車に乗りました(山﨑賢人)子供を捨てた女(紺野まひる)

血縁をめぐる生い立ちの話である。

ちなみに公式による柴崎三兄弟の設定年令は以下の通り。

柴崎 千秋(29)

柴崎 夏向(24)

柴崎 冬真(21)

ついでに櫻井 美咲(27)である。

千秋が五才の時に・・・夏向が捨てられたということは・・・夏向は生まれてすぐに捨てられたのである。

夏向の母を演じる紺野まひるの実年齢は(39)なので・・・15~6才で夏向を生んだことになる。

それから・・・消息不明になるなんて・・・夏向の母の実家にも凄く問題がありそうな感じである。

夏向の実の母はレストラン「Sea sons」で働いていたわけだが・・・アルバイトの高校生だったのではないか。

もちろん・・・夏向を演じる山崎賢人の実年齢は(21)だし・・・夏向の実の母は年齢不詳である。

実の母はなんちゃって四十代なのかもしれない。

しかし・・・夏向の実の父が不明である以上・・・千秋や冬真の実の父にも疑惑の眼差しを注がざるをえない。

アルバイトの女子高校生を妊娠させたレストラン店長疑惑だ・・・おいっ。

本当は親に捨てられた子供で・・・実子ではなかった・・・「成人した息子のことで母親が謝罪しなければならない社会」では・・・心を揺らす要素なのかもしれない。

しかし・・・悪魔は親が誰であろうと・・・子が何をしようと・・・その人はその人にすぎないと思うのだった。

もちろん、一夜をともにした相手の親が有名人だった場合、驚愕することはあります。

で、『好きな人がいること・第7回』(フジテレビ20160829PM9~)脚本・大北はるか、演出・森脇智延を見た。脚本家のチェンジである。連続ドラマで複数の脚本家が存在することについてキッドはいいことだとは思わないが・・・新人育成ということを考えると教育実習を受ける生徒のような気分で・・・受けとめる必要があるのかもしれない。相手はあくまで新人脚本家なのである。その不手際を責めるよりはフレッシュさを味わった方が前向きと言えるのだ。若いって素晴らしい・・・だ。

五輪で一週飛んで・・・連続ドラマとしては二週間のご無沙汰だしな。

主人公の恋のお相手に出生の秘密があった・・・もう・・・ずっとそんな月9が続いている気がするよ。

「ラヴソング」のさくらは養護施設育ち。「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は主人公もヒロインも両親を幼くして亡くしている。「5→9」のお坊さんも祖母に育てられている。「恋仲」はヒロイン一家が夜逃げ。「ようこそ、わが家へ」は恋愛要素希薄である。ずっとか・・・ずっとなのか。両親健在のふつうの家庭で育つと恋はできないとでも言いたいのか。「デート」は・・・まあ、いいか。

さて・・・ドラマにおいて「小道具」はアイテムとして重要である。

「思い出のアクセサリー」は基本だ。

アイテムで・・・話が展開する場合がある。

店舗の譲渡についての契約書

櫻井美咲(桐谷美玲)の憧れの先輩・柴崎千秋(三浦翔平)が経営する海辺の町のレストラン「Sea Sons」・・・。

弟でシェフの夏向(山崎賢人)にまつわる出生の秘密を守るために千秋を飼いならしたい変態企業家の東村了(吉田鋼太郎)の脅迫に負けてサインである。

そこへ・・・「店を売るってどういうつもりだ」と事情を知らない夏向とパティシエの美咲が到着。

答えることができない千秋。

そこへ・・・夏向の実の妹である謎の美少女風の西島愛海(大原櫻子)を連れて三男の柴崎冬真(野村周平)が到着。

何故か・・・すべての事情を察している冬真である。

「秘密を守るためなんだろう」

ええと・・・冬真は・・・東村の千秋への脅迫内容を・・・いつ知ったんだっけ。

きっと・・・お前が見逃しているだけだよ。

・・・そうなのかな。

「夏向は・・・本当の兄弟じゃなかったんだよ」

三歳年上の兄に・・・両親の溺愛を感じて・・・ひねくれた育った三男なのである。

その怨みが・・・激情を生みだしたらしい。

おそらく・・・実子ではない夏向への両親の特殊な愛情を・・・冬真は自分より深く愛されている証拠と勘違いしてしまった・・・ということになるのだろう。

よくあることである・・・そうなのか。

まあ・・・単にひがみっぽいと言うこともできます。

「すみません・・・そんなことを今さら・・・言えた義理ではないのですが・・・母親は・・・再生不良性貧血で輸血が必要なのですが・・・珍しい血液型んので・・・夏向さんに・・・お願いするしかないのです」

「昭和の話なのか」

「何もかも・・・唐突すぎる」

「あああああああああ・・・なんだかわからない」

混乱して・・・出て行く夏向である。

「なんで・・・そんなこと言うんだよ」と千秋は冬真を責める。

「なんで・・・ずっと隠してきたんだよ・・・いつか・・・わかることじゃないか」

「だけど・・・いきなり・・・言われたら・・・夏向がどんな気持ちになると考えてみろよ」

「俺だってそうなんだよ・・・今さら・・・本当の兄弟じゃないって知って・・・やりきれないんだよ・・・兄貴一人が・・・秘密を守っていい気になってただけなんだよ」

いたたまれない気持ちで出て行く冬真である。

残された千秋は・・・虚脱する。そして契約書を破り捨てる。

「あああああああああああ」

そして・・・誰もいなくなった。

さて・・・恋愛ドラマとしては・・・美咲の恋心の行方が気になるわけである。

基本的に好感度の高いのは「一途な恋」である。

もちろん・・・恋多き女の場合は・・・一部お茶の間の共感を得ることができる。

「片思い」もそれなりに評価されるが・・・相手に「決まった相手」がいる場合の是非は分かれる。

そこで・・・第二の相手が「本命」というこのドラマの場合・・・いつ乗り換えるかが重要なポイントだ。

第一の相手だった千秋が・・・元カノの高月楓(菜々緒)の事情を知って、元鞘に収まるというUターンをした後のひとときである。

「私は軽い女ではない」というモードで振る舞ってきた美咲だけに・・・「好きだ」と告白してきた夏向に簡単には乗り換えることができないのである。

そこで・・・用意されていたのが「出生の秘密」なのだった。

秘密が明らかになり・・・「三兄弟」に亀裂が走る。

「好きだった人」に協力しながら・・・行方不明となった「好きになる人」を捜しに行く・・・。

なかなかに・・・計算された展開なのだ。

もちろん・・・計算が鼻につく人もいるでしょう。

応答なしのスマートフォン

心配する美咲は夏向に電話をするが応答はない。

家庭用テレビゲームに逃避する冬真に気持ちをぶつける美咲。

「心配じゃないの」

「美咲も・・・夏向の味方かよ」

「そんなつもりじゃ・・・」

「ウチの家族は・・・昔から夏向ばかり可愛がってさ・・・まあ・・・本当の息子がダメだからしょうがないけどね」

優秀だった夏向と自分を比べて自己憐憫に陥った冬真である。

冬真は三才年上の夏向を名前で呼び捨てる。

つまり・・・対等であろうとし続けたのである。

三歳差の年齢差による実力差は基本的にに埋まらないので虚しい闘争である。

「俺は・・・愛されたかったんじゃない・・・認められたかったんだ」

深夜のマフィアアニメでファミリーの神経質な弟も呟くのである。

「ちー兄ちゃん」「かー兄ちゃん」とかで二人の兄貴を呼び分けていれば・・・可愛い末っ子ですんだのに・・・。

美咲と冬真が言いあっていると一時帰宅する夏向だった。

入れ替わりに出て行く冬真だった。

そして・・・冬真のことは・・・美咲にはどうでもいいことなのである。

塩味の目玉焼き

翌朝・・・美咲ははりきって夏向のために朝食を用意する美咲。

しかし・・・ベッドはもぬけのからである。

せっかく・・・夏向好みの・・・味付けにしたのに・・・と落胆する美咲。

千秋は封印していた思いを・・・美咲に語る。

「俺が五才の時・・・店で働いていた女性が赤ちゃんを残して消えた・・・それから・・・両親は夏向を弟だと言って俺に見せた。俺は弟が可愛くて・・・本当の弟じゃないなんて思ったことはない。夏向の母親に・・・俺の親父は連絡していたみたいだが・・・相手は別の家庭を作っていて・・・夏向の存在を隠していたらしい・・・そんなの関係ないと俺は思った・・・だって・・・夏向が本当の弟じゃないことを忘れていたから・・・だけど・・・もし・・・夏向が・・・自分が母親に捨てられた子供だったと知ったら・・・無茶苦茶可哀想じゃないか・・・だから・・・嘘をつき続けるしかなかったんだ」

「優しい嘘ですね」

「結局・・・嘘はばれたら人を傷つけるだけなんだけどな」

好きだった人の力になりたいと感じる美咲である。

そんな二人の話を楓が立ち聞きしていた。

海辺の街で・・・兄弟の失踪はたちまち伝播する。

サーフショップ「LEG END」の経営者・日村信之(浜野謙太)と奥田実果子(佐野ひなこ)の出番を確保するために愚痴る楓だった。

「もっと・・・私を頼るべきだと思わない」

「だよな」

「ですね」

何故か・・・楓に逆らうことは恐ろしいことらしい。

再び応答なしのスマートフォン

シェフが行方不明のために・・・レストラン「Sea Sons」は臨時休業である。

予約のお客様にお詫びの電話をした後で・・・自分の部屋から夏向に電話する美咲。

夏向の応答はないが・・・スマホの着信音が微かに聞こえる。

夏向のスマホは・・・夏向のベッドに放置されていた。

仕方なく・・・美咲は・・・夏向の部屋で手掛かりを探す。

住所の書かれたメモ

美咲は・・・西島愛海の住所の書かれたメモを見つけた!

そこには「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の大林監督尾道三部作で知られる尾道の住所が書かれていた。

美咲は・・・千秋に報告するのだった。

「夏向さんは・・・病気のお母さんに逢うために・・・尾道に行ったのではないでしょうか」

「かもしれないな」

「私・・・迎えにいきます」

「え・・・」

「だって・・・自分が捨て子だって知ったら・・・ショックだろうから・・・側に誰かいないと」

「よし・・・俺も行く」

好きだった人と尾道観光である。

それはそれで悪くないわけだが・・・話を進めるために楓が割り込むのだった。

「街で情報収集したら・・・冬真くんの居場所がわかったよ」

「え」

「私・・・近くで張り込んでいるから・・・すぐに来て」

「行ってください」と楓に千秋を譲る風の美咲だった。

「私は尾道に行ってきます」

「わかった・・・夏向のこと頼んだぞ」

「はい」

こうして・・・美咲は次男を・・・千秋は三男を手分けして捜索するのだった。

連絡先に携帯電話番号ないのかよ・・・などとは突っ込まないでください。

辻褄よりもデートスポットとして風光明媚な尾道情景が優先です。

尾道までの切符

数時間のタイムラグがあって尾道に到着する美咲だった。

その頃・・・千秋は冬真の身柄を拘束。

「俺なんか・・・親父に料理を教えてもらえなかったし」

拗ねる冬真に・・・恋愛とは無関係のアイテム「冬真のために夏向が書いたノート」を突きつける千秋。

「親父は・・・お前に・・・教えたかったよ・・・だけど・・・お前はまだ子供だった・・・だから・・・夏向に頼んだんだ・・・お前に料理を教えてやってくれって・・・」

「え」

ノートには・・・夏向が冬真のために書いた「バカでもわかるレシピ」が満載されていた。

「ちくしょう・・・」

夏向の優しさが心に沁みる冬真である。

一足先に尾道に到着した夏向は・・・実の母親(紺野まひる)の入院している病室を訪ねる。

「あなた・・・どなた」

「・・・」

「愛海のお友達かしら・・・」

「そうです」

「まあ・・・あの子ったら・・・こんなイケメンのボーイフレンドがいるなんて・・・」

例の屋上で秘密の話をする兄と妹・・・。

「ごめんなさい・・・私も・・・柴崎さんからの手紙を読むまで・・・お兄さんのこと知らなかったの」

「・・・」

「でも・・・お母さんが病気になって・・・困ってしまって」

「どこに行けばいい・・・」

「え」

「輸血するんだろう・・・」

「いいんですか・・・」

「俺は善意の第三者だ」

自分を捨てた母親の命を救った夏向は海岸で黄昏るのだった。

漸く尾道に到着した美咲は・・・スマホに導かれ愛海の家に到着する。

着替えを取りに戻った愛海と再会する美咲。

「お兄ちゃんの彼女さんですか」

「いえいえ・・・従業員です」

「お兄ちゃん・・・何にも云わずに血をくれました」

「そういうところありますね」

「本当は彼女さんなんでしょう」

「シェフとパティシェの関係です」

ソーダ味のアイスキャンデー

「どんだけ・・・海が好きなのよ」

「お前・・・どうしてここに・・・」

「迎えに来たのよ・・・お店開けないと・・・給料出ないのよ」

「実の母親に会ったのに・・・全然実感わかなかった・・・だって・・・俺にとっての両親は・・・」

「だよね・・・とにかく・・・私についてこい」

ソーダ味のアイスキャンデーの当たりくじを突きあげる美咲である。

二人は・・・デートに最適なサイクリングコースを堪能するのだった。

身体を動かすことで・・・もつれた夏向の心は解き解されるのだった。

「解々か・・・」

「そうよ・・・ときほぐすって言葉は漢字にしたらかぶっちゃうのよ」

「遅いぞ・・・」

「あ~ん・・・待って~」

甘い二人だった。

東京タワーのキーホルダー

最後は西瀬戸自動車道「しまなみ海道」を構成する橋梁・・・因島大橋に沈む夕日を見てフィニッシュする二人だった。

おそらく・・・美咲としては・・・千秋から夏向に乗り換える儀式の終了だったのだろう。

しかし・・・身体の方はまだお預けである。

なにしろ・・・最終列車で尾道から江の島方面に戻らなければいけないのだ。

「ほら・・・忘れもの・・・」

「ありがとう」

美咲は・・・自分のプレゼントしたキーホルダーをもう一度、夏向に捧げた。

ペンギンの手人形

「ただいま」

「おかえり」

何事もなかったように夏向を迎える千秋。

「今日の損害分は給料から引いておくからな」

「うん」

「わかったら・・・明日の仕込みしてくれ」

「うん」

仕込みを始めた夏向。

厨房に現れる冬真。

「手伝うよ」

「まず・・・手を洗え」

「オムバーグ作ってもいいかな」

「十年早い」

疲れ果てた美咲は・・・ソファで眠っていた。

「ご苦労さん」

千秋は・・・美咲をお姫様抱っこでベッドに運ぶ。

部屋に残されたペンギンの手人形に気がつく千秋。

楓と別れている間・・・美咲の心を知らぬままに・・・デートのようなことをした思い出の水族館のおみやげである。

微笑む・・・千秋は・・・美咲の寝顔を見て・・・ムラムラするのだが・・・挿したりはしないのだった。

そういうキャラクターとして設定されていないからである。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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