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2016年8月25日 (木)

異常に怠惰な女を育んだ家(北川景子)か細い声の女(工藤阿須加)心のふるさとを捜して(仲村トオル)

人間には信じるタイプと信じないタイプ・・・そしてどちらでもないタイプがある。

ほとんどの人間は三番目のタイプに属していると思われる。

人間には裏切るタイプと裏切らないタイプ・・・そしてどちらでもないタイプがある。

ほとんどの人間は三番目のタイプに属していると思われるのだ。

結局、人間が他人を信じることで困ったことになるのは・・・この組み合わせの妙によるものである。

信じるタイプと裏切らないタイプの出会いは奇跡なんだな。

カップリングのゲームでプレイヤーとしてプログラムされたシステムはいくつかの戦略を持つことができる。

ゲームは信じることについてのオンオフと裏切ることのオンオフで点数を競い合う。

信じ合えば3点。

信じる相手を裏切れば2点。

信じて裏切られれば1点。

お互いに裏切れば0点である。

全員が信じあうことが出来れば全員が3点で・・・喜ばしいことだが・・・裏切れば次の相手を求めることができる。

二回裏切れば4点である。

こうして・・・世界は泥仕合に突入していく。

で、『家売るオンナ・第7回』(日本テレビ20160824PM10~)脚本・大石静、演出・猪股隆一を見た。ダメな人間を見れば人はダメだと思うが・・・ダメな人間がダメになった理由を知ればなるほどと思う場合がある。悪魔は人間の性質を直感的に見抜く能力を持っているのでダメ人間がダメでないフリをしていてもやがてダメになる可能性を吟味する。人間同志の場合は・・・隠れダメ人間がダメを露呈した場合・・・見る目がなかったと言われるのである。上に立つ人間は自分の見る目がなかったことで・・・下々のものが編集室で目を真っ赤にしていたり・・・ギリギリの予算なのに・・・取り直しを命じなければならない時に・・・己の不明を恥じておへそを噛みたい気持ちになるのだった。

まあ・・・人間の世界ではよくあることです。

早朝から・・・上得意である竹野内工業の社長(大河内浩)に呼び出され営業に出たテーコー不動産株式会社・・・新宿営業所売買営業課の屋代課長(仲村トオル)・・・。

竹野内社長の要件は三十路を目前にした三女・佑奈(華子)のお見合い相手募集のお知らせだった。

縁談がまとまった暁には新居マンション購入という餌付である。

佑奈はキッチン・スクールの師範という社長令嬢である。

しかし・・・何故か・・・売れ残っているらしい・・・。

この枠の春ドラマ「世界一難しい恋」でも主人公のお見合い相手だったので二期連続である。

屋代課長が留守のために・・・朝礼を仕切るのは営業チーフ・三軒家万智(北川景子)だ。

不動産屋の稼ぎ時である土日のアポどり(顧客との面談予約)状況を挙手で確認する三軒家。

10件のアポがある人・・・O人

5件のアポがある人・・・足立聡(千葉雄大)

3件のアポがある人・・・八戸(鈴木裕樹)

2件のアポがある人・・・布施誠(梶原善)、宅間剛太(本多力)

0件の人・・・白州美加(イモトアヤコ)

三軒家はシラスミカに週末に三千枚のチラシ・ポスティングを命じる。

サポタージュを許さないためにタクマにシラスミカの監視を命じるのだった。

タクマとシラスは明らかにカップリングされているようだ。

デザートのプリンも禁じられ・・・「ゴー」を出されるシラスミカ。

営業に出る足立に盛んにアプローチをするが・・・足立にはまったく「その気」はないのだった。

もしも「その気があるという意外な展開」があったらお茶の間にパニックが起こるだろう。

なぜか・・・シラスミカの支配下に入るタクマは・・・お似合いなのだった。

そこへ・・・シラスミカの母親・白洲貴美子(原日出子)がやって来た!

夫の保(モロ師岡)が浮気した上で離婚届けを置いて家を出たために・・・離婚に応じ土地付の自宅を売却する覚悟の貴美子である。

シラスミカは両親の離婚に反対し・・・自分の育った家の売却にも反対する。

しかし・・・三軒家が現れ・・・営業を開始するのだった。

「お母さん・・・ダメよ・・・この人にまかせたら・・・本当に家が売れちゃう」

「お願いします」

「私に売れない家はありません」

「ひでぶ」

見事なオープニング(ツカミ)である。

シラスミカというダメ人間が・・・キャラクターとして定着したところでの絶妙なフューチャリング・・・本当に凄腕だな。

一方・・・ちっとも具体的ではないが・・・水面下で進行する・・・課長と庭野と三軒家の三角関係も見事にいい感じに仕上がっていく。

脱帽するしかないぞ。

課長は・・・部下の査定を行う。

「足立は・・・どうした・・・」

「アポがあって外出中です」と事務員の室田まどか(新木優子)は出番を確保。

三軒家は白州家の内見に出かけ・・・シラスミカは消息不明。

男たちは顧客名簿でアポどり電話をかけまくっている。

足立・・・独身主義×

八戸・・・パッとしない×

宅間・・・論外×

庭野・・・△

年下だが・・・身長は高いし・・・人柄は誠実である。

屋代課長は・・・お見合い相手候補として庭野を選択した!

「どうだ・・・それとも誰か決まった人がいるのか」

「意中の人はいますが・・・相手にされていないので」

「無理強いはしないぞ」

「考えさせて下さい」

庭野は・・・恋仇である自分を・・・課長が追い払おうとしているという疑念を持つ。

しかし・・・それはもやもやとした気持ちを生じさせるだけである。

そして・・・課長にはまったくそういう邪心はない。

あわよくば家が売れるという邪心だけである。

なにしろ・・・浮いた話が浮上しない物語なのである。

潜水艦か。

まあ・・・恋の弾道ミサイルはまもなく発射されるのかもしれない。

白州家の三軒家は・・・貴美子に査定結果を伝える。

「家屋は・・・築年数が経過しているので・・・取り壊して更地として売った方がよろしいと思います・・・五千万円ほどでいかがでしょうか」

「構わないわ・・・一刻も早く引っ越したいの」

「家と土地の名義がご主人のものであれば許可が必要ですが」

「大丈夫・・・親の残した遺産で・・・私が買った家なので・・・家も土地も私の名義よ・・・引越し先も捜してくれる」

「では・・・こちらの申込書にサインをお願いします」

「うちの子・・・どうですか・・・少し図々しいところがあるけど・・・素直な子なんです・・・なんとかやってますか」

「まったくやっていません。このままでは解雇されるでしょう」

「まあ・・・そんなに」

そこへ・・・シラスミカの父親の匂いが存分に醸しだされる夫の保が帰宅する。

どうやら・・・浮気相手に見放されたらしい。

「何しに来たんです」

「すまん・・・昨夜の話は忘れてくれ」

「忘れられるものですか」

「昨日はどうかしてた・・・魔がさした」

前夜の「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」からの連続ゲスト出演の俳優である。

確かに前夜は異常犯罪者として逮捕されていたからな。

「こちら・・・どなた」

「不動産屋です」

「この家をこちらの方に売ってもらうの」

「え」

「離婚もするし・・・家も売るの」

「そんな・・・」

そこへ・・・シラスミカが乱入する。

「離婚しないで・・・家も売らないで・・・」

「いいえ・・・離婚もするし・・・家も売ります・・・あなたは仕事をがんばりなさい」

「そんな~・・・」

「ゴー」と貴美子。

「三軒家チーフ」とシラスミカは三軒家にすがりつく。

「申し込み書にサインはもらいました」

「やめてください・・・私の家族が壊れてしまいます」

「家を売るのが私の仕事です・・・家族が崩壊するかしないかは不動産屋が関知するところではありません」

(あなたの家族がどうなろうと知ったこっちゃありません)とは口に出さない三軒家だった。

しかし・・・三軒家の胸中には何かよぎるものがあるようだった。

親の離婚と・・・生家の売却。

ありふれた出来事だが・・・妻に捨てられた過去を持つ屋代課長の胸に迫るものがある。

三軒家の過去の一端に触れた庭野は・・・シラスミカへの同情心と・・・三軒家の心に触れたい下心から・・・なんらかの解決策を・・・三軒家に求める。

「ちょっと私のことを知ったくらいで・・・わかったような口を聞くな」

返り討ちである。

庭野は屋代課長に甘えるのだった。

「三軒家チーフのことをどう思っているんですか」

「そんなことを言われても」困る屋代課長だった。

BAR「ちちんぷいぷい」のママ・珠城こころ(臼田あさ美)は問わず語りで身の上話を始める。

「私にとってこの店が故郷みたいなもの・・・幼い頃・・・学校帰りに・・・母のやっていたこの店に寄って・・・母の作るソースヤキソバを食べて・・・宿題をして・・・店が終わるまで片隅で眠ったりして・・・」

ママの幼少時代に想いをはせ・・・うっとりである。

そして・・・ヤキソバタイムだ・・・毎週食べているな。

庭野は見合いを決意する。

「僕は・・・見合いをしようと思います・・・チーフは見合いしたことありますか」

つまり・・・庭野のお見合いしちゃうぞ攻撃である。

「ある」と答える三軒家である。

三軒家はパートナー募集中の女なのだ。

玉砕する庭野。

「二人きりの場合、男性はコーヒーか紅茶を注文し、よきところでスイーツを勧める。話題は自分の得意分野について話し、社会性を披露する。最後は必ずタクシーで相手の家まで送ること」

三軒家のお見合いマニュアル披露である。

お嬢様育ちの竹野内佑奈は物静かな女性だった。

中森明菜のような繊細な声で話すので・・・庭野は話を聞きもらすのだった。

難聴なのか・・・じじいなのか・・・庭野・・・。

庭野はうろたえている状態が正常という人格のために・・・コーヒーと紅茶を注文し・・・住宅展示場でデートをして・・・専門知識不足を商売仇に指摘されてしまう。

お嬢様育ちの竹野内佑奈は笑顔を絶やさない。

庭野は・・・お見合いをそつなくこなしたつもりだったが・・・見る人が見れば大失態の連続であることは間違いなかった。

白州家にはついに買い手がついて・・・ローンの審査に入る。

「家を壊さないでください・・・」と哀願するシラスミカ・・・。

「審査が終わったら解体します」といつもの三軒家。

「私が家付で売ります」

一同は・・・シラスミカの「やる気」に首を傾げるが・・・。

「白洲美加が積極的に仕事をする気になったのは稀有な事です」と三軒家は許可するのだった。

「しかし・・・審査が終わったら解体します」

死に物狂いで・・・現地販売を開始するシラスミカ。

入社以来はじめて本気になったらしい・・・。

その情熱にほだされて・・・布施はとっておきの顧客を紹介する。

まもなく・・・子供が生まれる夫婦に・・・「土地代だけで・・・(資産価値ゼロの)家がついてくる」という売り文句である。

内見に来た客はその気になるが・・・病院で検診を受けた妻から・・・「三つ子だった」と連絡が入る。

「三つ子じゃあ・・・手狭だよね」

「ですね」

そして・・・顧客のローン審査は通り・・・白洲家の解体が決まるのだった。

解体当日・・・シラスミカは立ち退きを拒否し・・・家に立てこもるのだった。

「厄介な事態です」と三軒家。

「私は~・・・絶対に~・・・私の生まれた家を~・・・壊させない~」

「このまま・・・お願いしちゃいますか」と解体スタッフをふりかえる布施。

「そんなことができるか」と屋代課長。

「私が説得します」と三軒家は解体スタッフのハンマーを借用する。

一同は・・・恐ろしい情景を思い浮かべるのだった。

ガラスを破り侵入する怪物サンチーに備え・・・机の下に批難するシラスミカ。

そして・・・問わず語りで身の上話を始める三軒家だった。

「私が高校二年生の時・・・両親が死に・・・莫大な借金が残りました。助けてくれる大人は一人もいませんでした。すべてを失った私は公園で暮らすホームレスとなったのです。住んでいた家を追い出されたあの日・・・雨が降っていました。私はそれ以来・・・心に穴があいてしまったのです。その穴を埋めるために・・・私は家を売りました。家を売ってまた家を売って・・・家・・・家・・・家・・・家・・・家・・・それでも心にぽっかりと開いた穴は埋まりません。シラスミカ・・・あなたには私のようになってもらいたくない・・・。家にこだわるのはやめなさい。心を解き放ち・・・自由な人生を生きるのです」

シラスミカは・・・落ちた。

家を飛び出したシラスミカは屋代課長に抱きついて泣きじゃくる。

「私・・・解き放たれました・・・家から自由になりました」

「そ・・・そうか」

白洲家は解体され・・・更地となって売却された。

白州美加は・・・母の新居を訪ねた。

ベランダに出ると母は娘に双眼鏡を渡す。

「これね・・・三軒家さんが引越し祝いにくれたのよ」

双眼鏡を覗いた実加は・・・遠くで手をふる父の姿を見る。

「あの人もね・・・引越し祝いに双眼鏡をもらったの・・・あっちは賃貸だけどね」

「・・・」

「私たち・・・時々・・・デートするのよ」

離婚した二人は・・・適当な距離をおいて・・・新しい関係を構築しているらしい。

「三軒家さんて・・・いい人ね」

白州家は全員・・・落ちているのだった。

庭野は・・・穏やかな家庭に逃げ込むことを回避した。

庭野が恋しているのは嵐のような上司なのである。

「すみません・・・お見合いの件・・・お断りします」

「そうか・・・気にするな・・・先方から断られているから」

「え」

「コーヒーと紅茶を注文するようなうろたえた男はダメだそうだ・・・知ったかぶりして失敗したのもまずかったな・・・」

「ええええええええ」

エレベーターから・・・どこかで見たような女が降りてくるのに気がつく布施・・・。

「ええと・・・どちら様でしたっけ」

「昔・・・屋代の家内だったものです」

屋代課長を捨てた女・・・理恵(櫻井淳子)の登場である。

エピローグの後のクロージング(引き)も抜群である。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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