ガードセンター24~広域警備指令室(中島健人)自己満足男が苛立たしい女(栗山千明)私はイチゴではありません(谷花音)蜩の鳴く個室(川栄李奈)
連続ドラマの話数がどんどん短縮されて・・・五輪の夏の後は長めの谷間になりそうだ。
その谷間を埋めるのが二時間ドラマである。
結局、スタッフもお茶の間も低視聴率の長丁場に耐えられなくなってしまったのか・・・。
そういう枠ではキワモノ企画のおためしのような傾向が生じる。
日本テレビの秋ドラマには・・・「ラストコップ」という2015年のおためし企画が連続ドラマ化されて登場するわけだが・・・「太陽にほえろ!」の制作局がなぜかストレートな刑事ドラマが苦手になってしまったのは面白いことだなあ。
テレビ朝日が量産するベタなミステリに・・・何故か正面から挑めない日本テレビ製作陣である。
そして・・・投げる球がすべて暴投気味なんだよな。
まあ・・・「デカワンコ」みたいな怪作も時々出るからいいけどね。
今回はガードマンものである。
帝国アイドル縛りなので・・・いろいろとアレだが・・・需要と供給のバランスの一種のさいはてと考えればしみじみするものはある。
で、『ガードセンター24 広域警備指令室』(日本テレビ20160916PM9~)脚本・蛭田直美、演出・松原浩を見た。BS放送局のDlifeのドラマ「東京ガードセンター」(2014年)のリニューアルであり、スタッフは一部重複している。新人である主人公を調教する安藤心は・・・安西心に改名しているが仇名が「安心」であることは変わらない。主人公は・・・人並み外れて慎重な性格だったが・・・アイドルが主人公であるために・・・家族思いで短絡的な若者にキャラクター・チェンジしている。顧客相手に自分のことを「俺」って言っちゃうところで脱落するお茶の間も多いだろうが・・・そういうビジネスである。ホストクラブかっ。
大手警備会社「セキュリティ24」の警備員・篠宮守(中島健人)は・・・中枢指令室であるセキュリティ・ガードセンターの指示に従わず、逸脱行為が多いことが問題視されていた。
一戸建ての住宅に・・・不法侵入者があり・・・警報を探知したガードセンターは警備員の出動を要請する。
警備員・篠宮は出動し・・・ガードセンターの監視員・安西心(栗山千明)の指揮下に入る。
警備会社の仕事はあくまで警備であり・・・犯罪者の確保は警察の仕事である。
しかし・・・住民の少年を見た監視員の指示を無視して・・・窃盗犯と格闘してしまう。
「篠宮警備員・・・何をしている」
「つかまえました・・・大丈夫!大丈夫!」
「犯人確保は我々の仕事ではない」
「でも・・・子供が側にいたんで」
「だったら・・・なおさらだ・・・顧客の安全を確保するのが私たちの仕事よ」
「・・・」
「退避しろと言われたら退避しなさい」
安西は・・・篠宮警備員に苛立つのだった。
現場での滞在時間の長さでワースト記録を持つ篠宮は・・・「余計なこと」をしでかすタイプだったのである。
だが・・・センター長の野々村省吾(上川隆也)は篠宮の業務記録を分析して・・・何故か、監視員に抜擢する。
篠宮監視員の指導係を命ぜられた安西は茫然とするのだった。
こうして・・・「大丈夫くんと安心ちゃん」のコンビが結成されたのだった。
両親と死別したあと・・・高校生の次男・譲(岩橋玄樹)と小学生の双子の弟を養育する篠宮はのしかかる責任から生じる不安を打ち消すために「大丈夫」が口癖になっていた。
危機に遭遇して不安に陥った顧客に口癖の「大丈夫」を連発する篠宮を厳しく指導する安西。
「危機が去っていないのに・・・安易に大丈夫と口にして・・・顧客に被害が及んだらどうするつもり」
「・・・」
「今度・・・大丈夫って言ったら百円な」と体育会系の外木場秀道(ケンドーコバヤシ)は揶揄する。
ガードセンターには超ベテランの新川仁一郎(中村梅雀)、セキュリティー・システムのエンジニア・王子俊一(田中圭)、お客様対応のプロフェッショナル・港麻美子(堀内敬子)など精鋭が揃っている。
一同は・・・篠宮の監視員としての力量を危ぶみ、野々村センター長の意図を計りかねる。
そして・・・ついに研修を終えて監視員としての業務に就く篠宮。
緊急度最高を示す赤ランプが点灯した。
顧客はストーカー被害に遭っている小川愛(川栄李奈)だった。
「セキュリティ24・・・ガードセンターの篠宮です・・・どうされましたか」
「駅から・・・男に尾行されて・・・公園のトイレに隠れています」
「大丈夫ですよ・・・ただちに警備員を派遣しますから」
しかし・・・指示の遅い篠宮に苛立つ一同。
仕方なく・・・警備員の手配などのバックアップを開始する。
「ひぐらしが鳴いてますね」
(え・・・)
「ひぐらしですよ」
(・・・)
「俺には弟がいるんですけど・・・蝉を大量に捕まえてきて家で放し飼いをしようとしたことがあるんです。もう・・・家中・・・蝉だらけになっちゃって・・・」
篠宮の思い出話はヒートアップして・・・思わず顧客も笑ってしまうのだった。
ドラマだからな。
「現場の公園に警備員一名到着」と外木場。
「警備員付きました・・・もう大丈夫ですよ」と篠宮。
「だめよ」と安西。
小川愛はノックの音に思わず個室の扉を開く。
そこに立っていたのはストーカーだった。
(きゃああああああああ)
「・・・」
驚愕する篠宮。
しかし・・・間一髪、ガードセンターからの通報で駆け付けた警察官が顧客の保護に成功する。
「あれほど・・・大丈夫と言ってはいけないと言ったのに・・・」
「す・・・すみません」
うなだれる篠宮にガード長が声をかける。
「震えていたな・・・」
「・・・」
「君自身が・・・恐ろしかったんだよな」
「・・・」
「それでいい・・・君は・・・被害者を落ちつかせることには成功した・・・現場でお客様が冷静さを取り戻すことは安全確保のためにとても重要なことだ・・・しかし・・・次からは・・・お客様にタメ口はなるべく控えるように・・・相手は君のファンじゃなくてお客様なんだから」
「・・・はい」
まあ・・・帝国的イメージの事情があるからな・・・。
なるべく・・・ドラマには持ち込まない方がいいけどね。
まあ・・・まともに敬語を使えない役だと考えるしかないけどね。
そんな人間にオペレーターが務まるのがどうかは別として。
お客様を危機一髪に追い込んだことに落ち込む篠宮。
久しぶりの休日だったが・・・弟たちから電話で呼び出される。
近所で催される産業祭のイベントにキッズアイドルグループ「ふるーつみるく」が出演するのでサイン用のCDを届けてほしいと言うのだった。
イベント会場に出かけた篠宮は・・・なんとなく様子のおかしい警備員(前田公輝)の存在に気がつく。
思わず・・・ガードセンターに照会する篠宮。
実は・・・本物の警備員は男にスタンガンで襲撃されて・・・男は装備を奪ったなりすましだった。
要請を受けて確認を行った安西だったが・・・擬装を見抜くことができない。
男は「ふるーくみるく」のメンバーである牧瀬いちご(谷花音)を狙う変質者だった。
いちごをスタンガンで失神させた変質者は車で逃走を開始する。
警備の途中で現場を離れる男の不審な行動に・・・思わずオートバイで追跡を開始する篠宮。
信号待ちのために停車した車の運転手に声をかけるが・・・逆襲され・・・無線端末を奪われてしまう。
その頃・・・警備本部では・・・警備員の装備強奪と・・・牧瀬いちごの所在確認が取れないことが問題となっていた。
上層部から・・・「警備会社として忌々しき問題だ・・・警察に通報する場合は判断を仰いでくれ」と命じられるセンター長だった。
一方、負傷しつつ・・・追跡を再開した篠宮は公衆電話から・・・センターに犯人の情報を報告する。
「お前が一番近い・・・追跡しろ・・・しかし・・・指示には従うこと」と命じるセンター長。
一方、篠宮の装備品とともに・・・車のトランクに閉じ込められたいちごは目覚めて叫ぶ。
「ここは・・・どこ・・・誰か助けて」
無線によってセンターに声が届き・・・思わず応答する安西。
「大丈夫よ・・・必ず助けるから」
変質者は山奥の別荘にたどり着く。
なんとか・・・尾行をやり遂げた安西だったが・・・肝心の現在位置がわからないのだった。
「おおよその場所は特定できた・・・退避して指示を待て」
しかし・・・その時・・・いちごの悲鳴が聞こえる。
「篠宮・・・自重しろ・・・」
「篠宮・・・行きま~す」
だが・・・返り討ちに遭い拘束される篠宮だった。
変質者は熱愛するいちごのために用意した「いちごの部屋」に少女を連れこむ。
「素敵だろう・・・いちごちゃんが・・・森に住みたいって言ってたから・・・」
「いちごはお仕事よ・・・虫嫌いだし・・・森に住みたいわけないでしょう・・・イチゴだって酸っぱいし、ぶつぶつが気持ち悪いし、本当は好きじゃない。一番嫌いなのはあんたみたいな勘違いの変態野郎よ」
「いちごちゃん・・・」
「いちごじゃないよ・・・本名・渡辺ひろみよ」
「きいいいいいいいいい・・・ニセモノかああああ・・・死ね・・・悪いいちごは死ね」
変質者はいちご(本名・渡辺ひろみ)を殴り飛ばすと・・・部屋に鍵をかけ・・・別荘に放火した。
拘束されている篠宮は・・・焦げ臭さに覚醒する。
「うわ・・・これは全然大丈夫じゃないな」
「誰か助けて」
「いちごちゃん・・・そこにいるのかい」
「あんた・・・だれ・・・」
「助けに来たけれど・・・悪い奴にやられて動けない・・・その部屋には窓はないかな」
「あるけど・・・高くて届かないよ」
「部屋の中には何がある・・・」
「いろんなものがあるよ・・・天井にはカメラもついてるし・・・」
「カメラってどんな・・・」
「S24って書いてある」
「うわあ・・・うちの警備対象かよ・・・いちごちゃん・・・何か固いものをぶつけて・・・窓ガラスを割れないかな」
「やってみる」
いちご(本名・渡辺ひろみ)は変質者の残したスタンガンを投げてガラスを割った。
ガードセンターにたちまち鳴り響く警報音。
「位置特定できました」
「ただちに・・・現場に急行中の緊急車両に連絡」
近付くサイレンの音を聞きながら・・・遠ざかる篠宮の意識・・・。
(大丈夫だ・・・俺は・・・守られているから・・・)
まあ・・・いろいろと問題はあるが・・・帝国アイドルのビジネスとしてはまあまあである。
一番活躍したのはいちご(本名・渡辺ひろみ)だけどな。
関連するキッドのブログ→黒崎くんの言いなりになんてならない
| 固定リンク
コメント