闇金ウシジマくん Part2(山田孝之)金属バットと五円玉の夜明けにクズを見た(門脇麦)
夏ドラマも続々と最終回を迎え・・・谷間の季節である。
もうすぐ・・・彼岸なのだ。
2006年から始めたこのプログも十年目に突入して・・・そろそろ潮時を感じることがある。
ただし・・・2010年~2011年にかけて中断していた時期があり・・・十年をコンプリートしているわけではないのだった。
そのために・・・この十年で・・・結構、重要と思えるドラマのいくつかは・・・欠損している。
「闇金ウシジマくん」も第一シリーズは2010年の秋ドラマで・・・語っていないわけである。
実に残念なことだ。
キッドのブログにおける「闇金ウシジマくん」は「映画 闇金ウシジマくん」(2012年)で始り、続いてドラマ第二シリーズ(2014年)・・・そして現在のドラマの第三シリーズ(2016年)のレビューという中途半端なものになっている。
しかし・・・まあ・・・それが人生というものだからな。
第二シリーズと第三シリーズの間に存在する映画「闇金ウシジマくん Part2」が漸くオンエアされたわけである。
中途半端がパーフェクトに近付く・・・そういう密かな喜びを感じる。
で、『闇金ウシジマくん Part2(2014年劇場公開作品)』(TBSテレビ201609120050~)原作・真鍋昌平、脚本・福間正浩(他)、監督・山口雅俊を見た。架空の登場人物に恋をすることは実に愚かなことだが・・・ある種の人間にとってはかけがえのないことなのである。山田孝之が演じるウシジマくんというキャラクターはまさにその種の輝きを放っていると言えるだろう。そこから・・・ウシジマくんワールドが広がる。綾野剛、菅田将暉、窪田正孝、柳楽優弥という今をときめく若手俳優陣もウシジマくんワールドの中では独自の存在となっていくわけである。そして・・・このPart2では・・・ホストに貢いで転落していくティーンエイジャーを演じる門脇麦が物凄く生々しいエロチシズムを放つのだった。まさに・・・浮草稼業の極みである。だって・・・それは永遠なのだから。
競馬狂いの男・下村(バカリズム)は闇金融「カウカウファイナンス」の債務者である。
社長のウシジマくん(山田孝之)が柄崎(やべきょうすけ)と高田(崎本大海)をひきつれて喫茶店で取り立てをしている。
「親戚中に無理を言って・・・お金を都合しました」
下村の妻(後藤ユウミ)は札束を積み上げて出刃包丁を取り出す。
「もう・・・これきりにしてください・・・この人に関わらないで」
しかし・・・下村は・・・「虫歯の治療がしたい」と言ってまた融資を申し込みに来るのだった。
そんな修羅場の後で・・・ウエイトレスの藤枝彩香(門脇麦)き客の落した五円玉を拾う。
「ありました・・・」
「五円なら・・・いいよ」
「五円だって大切なお金ですから」
彩香は中卒である。
彩香の父親(芦川誠)は失業中で・・・彩香は高校に進学できなかったのだろう。
彩香の姉(大島なぎさ)は「妹が中卒のフリーターなんて恥だ」と彩香を蔑む。
ゲームセンターで・・・トップスコアを叩きだす彩香。
隣の席の男が声をかける。
「凄いな・・・」
「私・・・一番になったことがないから・・・ゲームでも嬉しいの」
「俺も一番を目指してるのさ」
男は彩香に名刺を渡す。
ホストクラブ「AIR」の神咲麗(窪田正孝)と彩香の出会いである。
ホストクラブ「AIR」の尚樹(落合モトキ)は客の明日菜(國武綾)のツケを詰めさせるために「カウカウファィナンス」から200万円の融資を受けさせ保証人となる。
しかし・・・デリヘル嬢として尚樹に貢いでいた明日菜は消息不明となり・・・回収のためにウシジマくんは「AIR」に乗り込む。
尚樹のために・・・ホストクラブの太客である里中美奈子(大久保佳代子)は札束を取り出すが・・・理由を聞いて尚樹を張り倒す。
「お前が夢を見させてくれる男なら・・・女はどんことをしても金を作るもんだよ・・・もう・・・お前じゃ夢なんか見れやしない」
事務所に連れこまれた尚樹はかわいいものしりとりの餌食となる。
今回は・・・「子ブタ」→「たらこ」→「小鹿」→「カチューシャ」→「やかん」で罰ゲームだった。
ホストクラブ「AIR」は若琥会の縄張りである。
若琥会の幹部の一人・・・熊倉(光石研)に呼び出されるウシジマくん。
同業者で闇金融「ライノー・ローン」の犀原茜(高橋メアリージュン)は凄む。
「若琥会のシマで勝手なことするんじゃねえよ」
高級クラブのホステス・ユキミ(本仮屋ユイカ)を従えて上機嫌の熊倉はウシジマくんに300万円を強請る。
「お前たち・・・金融屋は俺たちの財布なんだから・・・黙って出しな」
即答はしないウシジマくんだった。
無職の未成年者・加賀マサル(菅田将暉)は盗んだバイクで暴走して・・・事故を起こす。
バイクの持ち主である暴走族「愛沢連合」ヘッド・愛沢浩司(中尾明慶)はマサルを捜し出しリンチする。
マサルは護身用のナイフで反撃するが・・・愛沢の腹部がぷよぷよだったために軽傷しか負わせることができない。
愛沢はマサルを「カウカウファイナンス」に持ち込み・・・二百万円で売ろうとする。
しかし・・・ウシジマくんがマサルに付けた値段は千円だった。
マサルは「カウカウファイナンス」の見習い社員となった。
愛沢は暴走族を維持するために闇金融「ライノー・ローン」から借金し・・・債務が二百万円に膨らんでいた。
落ち目となった愛沢に嫌気がさした妻の明美(木南晴夏)はホストに走っていた。
ホストクラブのオーナー慶次(徳山秀典)はホストたちに訓示する。
「三ヶ月過ぎて指名が取れないホストの給料はゼロです」
追いつめられた新人ホストの神咲麗は元美容師の母親・節子(丸木弥雪)を田舎から呼び出す。
「最初の指名客が母親かよ」と嘲笑するホストたち。
しかし、ナンバーワンホストの大成(相葉裕樹)は「お前たちも見習えよ」と麗を讃えるのだった。
興味本位で「AIR」を訪れた彩香は高級シャンパン「ドン・ペリニヨン」の白を入れて・・・五万円という料金に驚くが・・・華やかな夢の世界に心を奪われる。
麗はコルクで人形を作り麗にプレゼントするのだった。
「決めた・・・私・・・麗の夢を応援するよ・・・シャンパンお代りする」
「やめなよ・・・無理することないよ・・・」
そんな麗に大成はアドバイスする。
「人形を贈ったのはいいが・・・客の注文を辞めさせるのはやめろ・・・女たちはここに金を使いにくるんだ・・・そんなことをしても他のホストに金が流れるだけだ」
麗はまだ甘いのである。
そんな麗に転機が訪れる。
母親が・・・「ルームライト(室内灯)/由紀さおり」(1973年)を聞きながら自宅の浴室で練炭自殺したのだった。
母親の葬儀のために・・・「カウカウファイナンス」に融資を申し込む麗。
「うちは初回五万円からだ」
「おれ・・・がんばってナンバーワンになりますから」
「どんな仕事だって・・・がんばるだけじゃナンバーワンにはなれない・・・お前、なんでホストになったんだ」
「人の喜ぶ顔が好きだからです」
「・・・」
「闇金に金を借りに来る奴なんてクズばっかりですね」
マサルは麗を見送って嘯く。
マサルは・・・顧客名簿を勝手に持ち出し、他人名義の通帳を買って・・・独自の営業を始めていた。
客の反応の鈍さに・・・ウシジマくんは情報屋の戌亥(綾野剛)に調査を依頼する。
「わかった・・・それから・・・犀原茜は熊倉から妙な仕事を押しつけられたみたいだよ」
犀原茜は産業廃棄物処理現場で日雇い労働者を手配する仕事をしていた。
日給一万円で集めて作業着貸出料金や特選!冷やしカレーなどで搾取し、手取り三千円支給というビジネスである。
「ちっとも儲からねえじゃねえか」
犀原茜は手下の村井(マキタスポーツ)にあたる。
日雇い労働者の一人に蝦沼(柳楽優弥)がいた。
底辺を彷徨う蝦沼は・・・通りすがりの彩香に一目惚れをする。
蝦沼は彩香のストーカーとなった。
マサルの母親・みどり(屋敷紘子)も「カウカウファイナンス」の客の一人だった。
身を売ることになったみどりの裸の写真を撮影するように迫られたマサルは泣きをいれる。
「お前はクビだ」と宣告するウシジマくん。
「結構・・・使える奴だったのに」と柄崎。
「あいつは・・・クズたちの恐ろしさを舐めている・・・そういう奴はヤバイんだよ」
マサルの羽振の良さに目をつけた愛沢は若年チームとともに恐喝に乗り出す。
しかし・・・すでにマサルの口座は空になっていた。
戌亥の調査により・・・口座番号を抑えたウシジマくんが引き落していたのである。
追いつめられたマサルは・・・「カウカウファイナンス」の給料日に・・・銀行に引き落としに来た柄崎を襲う計画を愛沢に提示する。
麗に貢ぐために出会い系で売春を始めた彩香。
麗はナンバーファイプを賭けて売り上げを争っていた。
麗のライバルの客はドンペリの白、ロゼ、ブラック、ゴールドを飛ばしてプラチナ(60万円級)を開ける。
「プラチナありがとうございました」
来店した彩香に切羽詰まった顔で切りだす麗。
「今夜いくら使える・・・」
「二十万円くらい・・・」
「それじゃ・・・ダメだ・・・コニャックのリシャールでも足りない・・・せめてレミーマルタン・・・ルイ13世じゃないと・・・」
「それ・・・いくらなの」
「七十万だ・・・」
「無理だよ」
「頼むよ」
麗は彩香の唇を奪う。
しかし・・・麗には日野牧子(キムラ緑子)という女実業家の太客がついた。
牧子からマンション、高級車を貢がれてトップの座に手が届きかける麗なのである。
家出をして麗のマンションに転がり込む彩香は・・・「カウカウファイナンス」の存在を知る。
「うちは・・・五万円からだ」
「・・・」
「なんなら・・・金になる仕事を紹介するぞ」
十八歳になる日・・・彩香は・・・AV嬢となった。
カメラの前で脱衣をして誕生日に下着姿でうつ伏せになる彩香。
男優は背後から下着を下し挿入する。
「どんな感じかな」
「・・・痛いです・・・痛いです・・・気持ちいいです」
彩香は前後に身体を揺らす。
愛沢たちは・・・銀行で高田と柄崎を襲撃して拉致することに成功するが・・・現金を入手することはできなかった。
柄崎からの連絡がないことに警察の手入れを惧れたウシジマくんは事務員の摩耶(久保寺瑞紀)に金を持たせて避難場所に退避させると・・・顧客名簿を処理し始める。
しかし・・・高田が機転をきかせて・・・携帯電話のスイッチをオンにしたために・・・愛沢たちの計画はウシジマくんに漏れるのだった。
銀行口座の暗証番号をウシジマくんから聞き出すために襲撃を企てる愛沢とマサル。
だが・・・戌亥が愛沢たちの行動をマークしていたのだった。
ウシジマくんは三百万円を用意して・・・熊倉の元へと向う。
犀原茜は熊倉に高級英国車ベントレーを上納するのだった。
熊倉はそれをユキミにプレゼントしてしまう。
店内の照明が消え・・・愛沢が殴りこむ。
手筈では・・・ウシジマくんの携帯が着信するはずだったが・・・鳴ったのは熊倉の携帯だった。
愛沢は闇の中で・・・熊倉を半殺しにしてしまった。
たちまち・・・熊倉の手下に身柄を拘束される愛沢だった。
ユキミはバカラ賭博に入れ込んでカウカウファイナンスに借金があった。
ウシジマくんは・・・ベントレーを回収した。
ナンバーワンの座を賭けて対峙する麗と大成・・・。
しかし・・・次々と太客を繰り出す大成に・・・。
牧子の資金も底をつく。
麗の敗北寸前・・・彩香が来店する。
「もうダメだよ・・・」
しかし・・・彩香は札束をテーブルに置く。
「五百万円くらいあるよ・・・」
「彩香・・・」
麗はついにトップに立った。
麗と彩香は・・・歓喜の一夜を明かす。
部屋にデリバリーを装って侵入する蝦沼。
「このホストが・・・俺の彩香を食いものにしやがって」
蝦沼は金属バットで麗の顔を粉砕する。
「彩香・・・もう・・・大丈夫だよ」
「あなた・・・誰?」
そこへ・・・ウシジマくんがやってくる。
「返済が遅れてるぞ」
ウシジマくんに襲いかかる蝦沼。
だが・・・ウシジマくんは人間の頭をめがけて金属バットでフルスイングできる男なのだ。
夜の公道・・・。
長距離トラックがフルスピードで通過する。
犀原茜は愛沢に保険をかけていた。
「死ななくていい・・・重度の障害で充分賄えるから」
「・・・」
愛沢は車道に身を投げた。
ウシジマくんは・・・借金まみれの保険屋のオバチャン(柳原純子)を使い・・・愛沢の妻・明美を受取人として愛沢に保険をかけていた。
明美は・・・返済の後に残った金を・・・大成に貢ぐのだった。
ホストとして通用しない顔になった麗は焼き鳥屋に就職する。
ウシジマくんは・・・毎度お馴染みの風俗店「エロリアーノ・ビヨンド」で葉山朋子(モコ)によく似た女・モナコ(希崎ジェシカ)とすれ違う。
「回収に来たぞ」
「今日はこれだけしかない」
風俗嬢となった彩香は金を渡す。
「今夜・・・客は何人だ」
「予約は・・・三人だけど・・・」
「じゃ・・・明日また来るよ」
「闇金って・・・クズね」
「五円・・・落ちてるぞ」
「・・・」
「拾わないのか・・・五円だって大切な金だろう・・・」
見つめ合う・・・ウシジマくんと彩香だった。
二人の間を・・・沈黙という名前の美しい天使が通りすぎて行く。
マサルはウシジマくんの暗殺を試みて袋叩きにあう。
「殺せ・・・」
「お前を殺して何の得がある・・・お前はうちの債務者じゃないか」
そして・・・素晴らしい世界は今日も続いて行く。
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