結婚前に相手の素性を確かめないと洗脳される場合があるよ(山田孝之)
性善説を信じるものは幸いである。
寝言を寝ずに言う者だからである。
性善説を信じるものは現実から目をそむける。
世界が善で満ちていないことを信じない。
それでも善を信じる者は幸いである。
悪は恐ろしく気分の悪いものだ。
悪は敵意そのものである。
性善説を信じるものはこの世に生きるものはすべて味方だと信じる。
敵の存在を認めない。
性善説を信じるものはどんな出会いも大切にする。
そして・・・運が悪ければ酷い目にあうのだった。
性善説を信じようが信じまいが運が悪ければそれまでだ。
で、『闇金ウシジマくん Season3・第6回』(TBSテレビ201608310128~)原作・真鍋昌平、脚本・福間正浩(他)、演出・山口雅俊を見た。リオ五輪終了後・・・いよいよ本格化した原作の「洗脳くん」編にあたる部分の・・・まゆみ調教の件・・・惨い話である。その口当たりの悪さに闇金融「カウカウファイナンス」の上客・エース丸山(平田実)が登場して「かわいいものしりとり」がスタートする。丸山が前回登場したのはソチ五輪(2014年)の頃だったんだなあ。まあ・・・味を整えようとして・・・ますます激辛になるんだよなあ。
「かわいいものしりとりスタート・・・コアラ・・・かわいい」とウシジマくんこと・・・丑嶋馨(山田孝之)・・・。
「ライチ・・・かわいい」と高田(崎本大海)・・・。
「チューリップ・・・かわいい」と柄崎(やべきょうすけ)・・・。
「プー様・・・かわいい」と受付嬢・エリカ(久松郁実)・・・。
「マントヒヒ」と丸山満男・・・。
「かわいくない」と一同。
「そんな・・・第一、プー様って何なの」
「くまのプー様しらねえのかよ」
「それ・・・くまのプーさんでしょう・・・んがつくから様付けなんておかしいじゃない」
「リスペクトだよ・・・何・・・クレームつけてんだよ」
「ご・・・ごめんなさい」
「罰ゲーム・・・」
ハラペーニョ100%ジュース一気飲みである。ハバネロでないところがウシジマくんの優しさだ・・・。
「うげげげげ・・・」
一同爆笑である。
犯罪領域のいじめだが・・・顧客との楽しいひとときを過ごす一同なのである。
彼らの生きる世界では・・・どちらかといえば・・・のどかな光景なのである。
「第二回、かわいいものしりとりスタート!・・・モモンガ、かわいい」
ファッション雑誌「ノマド」の編集部で・・・男日照りの編集長(小嶋理恵)は異変を感じ取っていた。
優秀な編集者だった上原まゆみ(光宗薫)の無断欠勤が続き、仕事に支障が生じていた。経理からは・・・上原まゆみが使いこみをしているのではないかとチェックが入る。
「必要経費の計上があきらかに・・・おかしいのです」
「そんな・・・あの子が・・・まさか」
編集長は・・・信頼していた部下の裏切りから目を背けようとする。
まゆみはすでに・・・悪魔である神堂大道(中村倫也)によって極限状態に追い込まれていた。
自分の部屋で・・・軟禁されているのである。
ドアに鍵はかかっていないのだが・・・自らの意志で・・・ドアを開けて脱出することができないのである。
「大麻吸引」の証拠写真を用いて・・・警察に駆けこむ選択肢を封じられたまゆみは・・・暴力と性行為の反復行為で・・・次第に意志の力を奪われ・・・飲食や睡眠を禁じられる拷問により・・・正常な判断力を失う。餓えや渇きが・・・支配者への依存を深め・・・奴隷として調教されつつあった。
「お・・・お水をください」
「まゆみさん・・・どうして・・・私の愛がわからないのです・・・あなたを苦しめているのは・・・私の愛を受け入れない・・・あなたの頑なな心のせいなのですよ」
「す・・・すみません」
「さあ・・・とにかく・・・私のために五百万円をどうしたら・・・用意できるか・・・もっと真剣に考えてください」
「五百万円」
「そうですよ・・・それができたら・・・ご褒美をあげますよ」
「ご褒美・・・」
「さあ・・・それでは・・・名簿の上から順番に電話をかけてみましょう・・・あなたの知り合い全員にお金を振り込んでもらうよう依頼するのです」
「お金を・・・」
「ことわられたら・・・悪態をつくのを忘れずに・・・ふざけんな・・・このクソブタ野郎」
「ふざけんな・・・このクソブタ野郎」
「てめえなんかとっとと死ねばいいんだよ」
「てめえなんかとっとと死ねばいいんだよ」
編集長から着信がある。
(上原・・・どうしたんだ・・・今日は企画会議だぞ)
「す・・・すみません・・・具合が悪くて」
(・・・)
「あの・・・今日は編集会議なので・・・出社したいのですが」
「そんな暇はありませんよ・・・今度は・・・お母様を泣き落すのです」
「・・・」
「お母さん・・・私・・・どうしても今日二十万円必要なの」
(まゆみ・・・あなた・・・どうしたの親戚中に変な電話をかけて・・・)
「お母さん・・・二十万円ないと・・・神堂さんとの結婚がダメになってしまうのよ・・・」
(神堂さん・・・わかったわ)
すでにまゆみの母親は娘の婚約者である神堂と不倫関係になっている。
「よくできましたね・・・さあ・・・銀行からお金をおろしてきなさい」
「はい」
「銀行についたら電話・・・お金をおろしたら電話・・・忘れてはいけませんよ」
「銀行についたら電話・・・お金をおろしたら・・・電話」
極度の疲労により・・・現実と夢の境界線が曖昧になるまゆみ・・・。
「電話をどうしたのです」
「電話がありません」
「まずいですね・・・あの電話には・・・警察に見られてはいけない画像が入ってるのを忘れたのですか」
「銀行に忘れたのかもしれません」
「私があなたの携帯に電話をしてみましょう・・・もし・・・いい人が拾っていたら無事かもしれません」
「もしもし・・・私・・・その携帯の持ち主です」
(・・・警察に届けようか・・・迷っていたところよ)
「警察には届けないで・・・私に返してください」
(じゃあ・・・とりにきて・・・上原まゆみさん)
「あ・・・ありがとうございます」
外出するまゆみ・・・最悪の事態を免れたことで・・・幸せを感じるまゆみだった。
すでに・・・なにが幸せでなにが不幸なのか・・・判断する能力はまゆみから奪われているのだ。
神堂は次の獲物である子連れの中年女・岸田陽子(照喜名円)に婚約指輪を渡す段階になっていた。
自分が悪魔の口の中に首を突っ込んでいるとは思わない獲物だった。
神堂は・・・魔女である占い師の勅使川原先生(三田真央)に連絡する。
「資産状況の調べはついたのか」
「岸田家の資産については次回の占いで細部について確認します」
「それでいい」
悪魔の欲望には終わりがない。
この世を食いつくすまで・・・悪の炎は消えることがないのだ。
うらぶれたアパートにたどりついたまゆみ。
「上原まゆみです」
「ゴミ捨てを手伝って」
「ゴミ捨て」
「電話を返してあげる換りよ」
「はい」
暗い目をした女・・・松田明日香(市橋直歩)はまゆみに重いバッグを渡す。
その表情は・・・まゆみと同じである。
つまり・・・松田明日香もまた悪魔の餌食なのである。
「電話の指示通りに捨てるのよ」
「はい」
明日香の指示に従い・・・水辺に向う。
(海に捨てるのよ・・・誰にも見られないように)
バッグの中は臭気を放つ肉団子だった。
「これは何ですか」
(生ゴミよ・・・一度に全部捨てないで・・・)
「はい」
(少しずつ違う場所で捨てるのよ・・・誰にも見られないように)
バッグの中身は空になった。
神堂から着信がある。
(まゆみさん・・・今・・・どこにいるのです)
「海です・・・生ゴミを捨てるように頼まれて」
(おかしいですね・・・そんなもの・・・海に捨てるなんて・・・まゆみさん・・・あなたはとんでもないことをしてしまったのではありませんか)
「とんでもないこと」
(人に知られないように何をすてるというのです)
「人間の・・・死体・・・」
(そうかもしれません・・・だとすれば・・・あなたは死体遺棄の罪を犯したことになります)
「大変・・・警察に行かないと・・・」
(何を言ってるんですか・・・警察なんかに行けば・・・あなたが殺したと疑われるに決まっているじゃありませんか)
「私が・・・」
(そうです・・・まゆみさん・・・あなたは人殺しになったのですよ)
「私が・・・人殺し」
まゆみの心は壊れた。
まゆみは責任を取らなければいけないと朦朧とした意識の中で考える。
「私は・・・人殺し」
まゆみは高いビルから飛び降りた。
取り立てを終えた柄崎はウシジマくんに業務連絡をする。
(なんだか・・・騒がしいな・・・)
「女が飛び降り自殺したみたいです・・・野次馬が集まってます」
ウシジマくんは利息を払いに来た生活保護受給者の小瀬(本多力)を睨みつける。
「り・・・利息を下げてもらえませんか」
「この金は・・・どうした」
「働いて・・・」
ウシジマくんは小瀬の手をとる。
「仕事は何?」
「お年寄りの家の修理とか・・・」
「そう・・・今度話を聞かせてよ・・・場合によっては利息を下げてもいいよ」
「・・・」
地域ボランティアの学びの場であるNPO法人「峠のやまびこ」にニート仲間の飯野(野澤剣人)やトーキー(水間ロン)と参加している小瀬。
高齢者夫婦の伴侶が死亡し・・・二階の寝室から遺体を下ろす作業をした三人は一人千円の謝礼をもらう。
「峠のやまびこ」の代表(西洋亮)は三人を指導する。
「クレームが来たぞ・・・ご遺体の扱いが雑だったって」
「重たかったんだよ」
「臭かったんだよ」
「千円じゃやってられねえよ」
「あんた・・・搾取してるんだろう」
「あああああああ」
飯野とトーキーは脱落するのだった。
小瀬は・・・祖母に似た老婦人・千代(恩田恵美子)と良好な関係を構築していた。
素晴らしいインターネットの利用で孫への電話代が浮いたと喜ぶ千代。
千代の高齢者仲間たちは・・・小瀬にパソコン指南を求めるのだった。
人から感謝される喜びを噛みしめる小瀬。
老人を利用した企業を起業することを目論む飯野は小瀬に「老人向けのパソコン教室を始めたるべきだ」とアドバイスする。
「一回・・・三千円だよ」と小瀬。
「三回で九千円かい・・・高いよ」と千代。
「おばあちゃん・・・パソコンで商品を注文できるようになれば・・・凄く割引になるんだよ・・・元なんかすぐにとれるよ」と飯野が割り込む。
小瀬の良心と・・・飯野の良心は・・・微妙な齟齬を孕むのだった。
立ち食いそば屋でJP(福山翔太)は・・・ウシジマくんのライバル企業・闇金融「ライノー・ローン」の女経営者・犀原茜(高橋メアリージュン)と腹心・村井(マキタスポーツ)に捕獲される。
「あんた・・・ホストをボコボコにしただろう」
「それが・・・どうした」
「あのホストは・・・借金してんだよ・・・あんたのおかげで回収できなくなったんだよ」
「だから・・・」
「あんたには三つの選択肢がある・・・一つ、三千万円を払う、二つ、東京湾に沈む、三つ、組の盃をもらう」
「今さら・・・極道の下っ端で・・・便所掃除なんか・・・できるかよ・・・三千万円を用意すればいいんだろう・・・できなきゃ・・・魚の餌になってやるよ」
「ああ・・・そうかい・・・」
犀原はJPに猶予を与えた。
JPは元カノの美奈(佐々木心音)をキャッチする。
「三千万円・・・いるんだよ」
「・・・」
JPは・・・女の身体が金の作り方を知っていると考えていた。
しかし・・・美奈は・・・別のことを考えた。
奇妙なファッションセンスの男・K.(金田誠一郎)の「一攫千金の話」である。
「なんだ・・・てめえ・・・」
「金が欲しいのか」
「欲しいよ・・・」
「いくら・・・欲しいの」
「三千万円だ」
「ちょっと待ってね・・・」
K.は電話連絡をする。
「いいってさチャレンジしなよ」
「・・・」
もちろん・・・何か恐ろしいゲームが待っていることは確実である。
だが・・・金が用意できなければ・・・東京湾が待っているのだ。
東京湾の底にどれだけの死体が眠っているのか・・・多くの人は知らないだろうが・・・。
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