黒い十人の女(成海璃子)人間のクズたち(バカリズム)
まだ九月なのに次から次へとスタートするのだった。
なんていうか・・・季節感がな。
日本は四季のある国じゃないのかよ。
五輪の間・・・枯れていた人たちがな・・・。
もう辛抱しきれん感じなんだよな。
どういう感じなんだよ。
正妻と九人の愛人の物語である。
風松吉を船越英二が演じてから56年後・・・56才の船越英一郎が演じるのだった。
2002年に小林薫も演じているから三代目だけどな。
オリジナルは正妻双葉が山本富士子、愛人市子が岸惠子、三輪子が宮城まり子、四村塩が中村玉緒である。
2002年版は双葉が浅野ゆう子、市子が鈴木京香、三輪子が小泉今日子、四村塩が深田恭子であった。
オリジナルでは九番目の愛人は十糸子(倉田マユミ)である。
今回は・・・九番目の女が久未なのでネーミングからして違う話になっているのだな。
で、『黒い十人の女・第1回』(日本テレビ201609292359~)原作・和田夏十、脚本・バカリズム、演出・渡部亮平を見た。才能あふれる美少女であるだけになかなかに作品に恵まれているとはいえない成海璃子(24)だが・・・その存在感は抜群である。一方で・・・ハーフであることからどうしてもセリフに違和感があるトリンドル玲奈(24)も・・・「役」に恵まれているとは言い難い。今回は女優役であり・・・なんとなく大根な感じが見事にフィットしている。ベテランの水野美紀(42)と佐藤仁美(36)も持ち味が活かされている。これはキャスティングの勝利だな。
テレビ局の受付嬢である神田久未(成海璃子)は顔がテカテカしている中年男に食事に誘われるがお断りする。交際相手がいたからである。しかし、失恋して再び、中年男に声をかけられ・・・なんとなく付き合ってしまう。
そういう関係になってから・・・男が・・・ドラマプロデューサーの風松吉(船越英一郎)で妻帯者であることを知らされる。
不倫と知って・・・松吉と別れることが出来ずに悶々とする久未なのであった。
ここで幼児教育番組風のお姉さんになった久未は・・・かわいい風なキャラクターと語りあう。
「女には二種類あるんです」
「そうなの?」
「不倫と知って醒める女と・・・醒めない女」
「お姉さんは醒めないタイプだったんだ」
「でも・・・そういう女が必ず不倫するわけじゃないの」
「?」
「妻帯者と知りあいになる・・・その男が好ましく思える・・・相手にも好かれる・・・相手がアクション起こしてくる・・・いろいろな条件が整う必要があるのよ」
「でも・・・結局・・・最終的な決断があるわけでしょう」
「それは・・・流されてというか」
「人間のクズってことだね」
がっかりさせない美少女にクズって言いたかったんだな。
一方・・・いかにもなミスリードで・・・松吉とベッドを共にする如野佳代(水野美紀)が登場。
久未から松吉への電話をチェックするのである。
佳代の部屋を出てタクシーに乗った松吉は久未の電話を受ける。
「ごめん・・・シャワー浴びてた・・・今、移動中・・・わかってるよ・・・君の誕生日を忘れたりしないさ」
ちょっと嬉しい久未だった。
喫茶店「カフェwhite」で友人たちに恋愛相談をする久未。
「食欲ないんだ」
「だから・・・不倫なんてやめとけばって言ったのに」
文坂彩乃(佐野ひなこ)は同情しつつアドバイスである。
少し・・・ぼんやりした感じの池上穂花(新田祐里子)は頷きつつパスタを頬張るのだった。
この久未、彩乃、穂花は素晴らしいインターネットの世界でほのぼのラインを展開する。
スタンプの応酬である。
そして・・・穂花は変なスタンプでボケて・・・久未の(笑)を引きだすのだが・・・その自然に癒される空気感が秀逸なのだった。
ニヤニヤするだけで・・・哀しい女心を浮上させる成海璃子はさすがなんだな。
不倫している女は・・・基本・・・哀しい女なのである。
人間のクズだしな。
そんな久未に佳代が電話をかける。
てっきり佳代が松吉の妻だと思いこむ久未・・・。
松吉からプレゼントされたドラマ「恋人たちの食生活」で不倫女を演じる女優・相葉志乃(トリンドル玲奈)のように「泥棒猫」と蔑まれ・・・コップの水をかけられる・・・。
裁判沙汰になって慰謝料を請求されたらと思うと・・・財布の中身も気になるのだった。
しかし・・・佳代の呼び出しに応じ・・・喫茶店「「カフェwhite」に出向くのだった。
支配人の冬樹を始め、ウエイトレスの秋子、夏美、春江たちは何も聞いていないフリで「他人の不幸」を味わうのだ。
「私・・・カフェラテ・・・あなたは」
「同じもので・・・」
「食事はいかが」
「いえ・・・」
「じゃ・・・私はオニオン・グラタン・スープ」
「すみません・・・私・・・知らなかったんです・・・もう・・・彼とは逢いません」
惨めさに涙を流す久未。
なによりも・・・松吉に未練があるのだった。
「え・・・どうして・・・もしかして・・・私のこと・・・彼の奥さんだと思った?」
「え・・・」
「じゃ・・・あなたは・・・」
「愛人よ・・・」
思わず・・・奥の席へ移動しながら・・・錯乱する久未。
「どういうこっちゃ・・・」
周囲に気遣い・・・筆談を始める佳代。
(八年前から愛人なのよ・・・あなたと同じ)
(一緒にすんな私なんか別れようと思えば別れられるクソババー、クソババー、クソババー)
緊張が解けてクソババーが止まらなくなった久未。
思わずコップの水で水冷式を試す佳代。
売られた喧嘩をカフェラテで返す久未。
「え・・・カフェラテって・・・こういう時は水でしょう」
「・・・すみません」
そこへ・・・松吉の下でアソシエイト・プロデューサーを勤める弥上美羽(佐藤仁美)が現れる。
「あんた・・・私が遊んでるって彼に言ったでしょう」
「だって・・・彼が性病もらって・・・それを私がもらっても困るし」
美羽は佳代のカフェラテぶっかけ攻撃である。
(二度もカフェラテかけられた・・・)と慄く久未。
しかし・・・二人を仲裁する勇気はない。
しかもテーブルにはオニオン・グラタン・スープが届く。
(殺傷力が高すぎる)
そこで・・・消灯サプライズのバースデーケーキが別席に届く。
気勢を殺がれる美羽だった。
「この子は?」
「彼女も・・・じゃ・・・八人目?」
「九人目よ」
「何の話ですか」
「あら・・・知らなかった・・・彼には愛人が九人いるの・・・」
「奥さん入れると十またかけてんのよ」
「ええええええええええええええええ」
奈落の底に沈む久未だった。
それでも・・・松吉と別れようとは思えないのだった。
人間の屑だからな。
「あんた・・・若いんだから・・・あんな男とは別れた方がいいよ」
(まさか・・・九人の愛人を八人にする狙いで)
「でも・・・そう簡単に・・・別れられないよね」
(ですよね)
「ねえ・・・今度・・・私の処に遊びに来ない」
(ええええええええええええええ)
ほのぼのラインである。
(十またって)
(イタリア人)
(ピザ)
(なんでピザ)
(イタリア人のスタンプなかた)
(笑)
その頃・・・松吉の愛人である相葉志乃はデートをすっぽかされた腹いせに・・・バラエティ番組のプロデューサーである浦上紀章(水上剣星)にピザを奢らせていた。
松吉は主人公の友人役に・・・高畑充希は無理だったので志乃をキャスティングした新・ドラマ「三人の淡い男」の台本打合せ中だった。
脚本家は皐山夏希(MEGUMI)である・・・皐・・・すなわち五月なのでおそらく五人目の愛人なんだな。
とある朝・・・いつものように松吉を送りだす佳代は・・・いつもより・・・性的にアピールするが・・・松吉は仕掛けないのだった。
松吉が部屋を出ると・・・クローゼットから久未と美羽が飛びだす。
「五時間もいたわよ」
「ごめん・・・まさか・・・来ると思わなくて」
「仕掛けられたらどうするつもりだったの」
「そりゃ・・・するけど」
「するのかよ」
「でも・・・彼は御無沙汰だから・・・」
「あたしのとこもよ」
「あんたは・・・」
「ええ・・・」
「してるのかよ」
まあ・・・まだ半年だしな・・・がっかりさせない二十代だしな。
馬鹿馬鹿しいほどリアルな不倫物語・・・始りました。
もちろん・・・女の敵は死ねばいいと思うよ。
人間のクズだからな。
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