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2016年9月19日 (月)

見よ・・・ついに真田の命運をこの手に握り・・・つもりにつもった恨みを晴らす家康を(長澤まさみ)

ドラマの中で真田安房守昌幸が「お~い」と呼んで酒を所望する相手が大井政吉である。

大井氏は信濃の国衆の中で大族である。

家康配下となった依田信蕃・信幸兄弟が討ち死にした天正十一年(1583年)の岩尾城の守将が大井行吉である。

大井行吉は結局、家康の家老の一人である柴田康忠に降伏する。

佐久の耳取城には大井政成がいてすでに天正十年(1582年)に依田信蕃の組下になっている。

大井政成の嫡男が政吉である。

柴田康忠の娘が政吉に嫁しているので・・・本多正信配下で第二次上田合戦に参戦した康忠の嫡男・康長とともに陣営にいたわけである。

そして・・・蟄居を命じられた昌幸・信繁父子の目付(監視者)を命じられたわけだ。

大井をお~いと呼ぶのはフィクションだが・・・そこに大井政吉がいることには史実的な裏付けがある。

こういう神経の通い方が大河ドラマには本来求められていると考える。

真田も大井も信濃の国衆であり・・・かっての武田家の家臣だった。

それが・・・敵味方に分かれ・・・一瞬邂逅する。

音に聞こえた真田昌幸に声をかけられ・・・大井政吉はうれしかったに違いない。

そういうムードが臨場感を形成するのである。


で、『真田丸・第37回』(NHK総合20160918PM8~)  脚本・三谷幸喜、演出・田中正を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。二文字による各話タイトルを重ねてきて・・・ここで「信之」と来る・・・。しびれますねえ。三度の飯より戦が好きな真田昌幸と・・・自分が死ぬかもしれないので戦が嫌いな徳川家康の・・・見事な対比を描いてきて・・・ここでついに決着がつく。少なくとも昌幸の生存中には・・・大好きな戦をさせてやらないからね・・・という家康のいけずっぷりに一同大爆笑でございました。同じ人質出身の武将でありながら・・・好対照の二人が・・・宿敵になっていくという・・・作り話のような歴史的事実を堪能させてくれる今年の大河ドラマ・・・やはり二十一世紀最高傑作なのかもしれません。今回は・・・真田信幸あらため信之、その舅の徳川最強武将・本多忠勝第二弾、そして、逃亡中の敗軍の将・宇喜多秀家の三大描き下しイラスト大公開で大満足でございます。


Sanada37慶長五年(1600年)九月十五日、 小早川秀秋の東軍参戦と吉川広家の不参戦によって・・・戦力的均衡を失った西軍は壊滅的打撃を受け全軍が敗走という完敗を喫する。そもそも徳川家康と石田三成では格が違いすぎて戦にならなかった。十八日、佐和山城落城。二十日、家康は大津城に入城。徳川秀忠軍が合流する。二十一日、逃亡中の三成が田中吉政によって捕縛される。二十四日、西軍総大将の毛利輝元は不戦のまま大坂城を退去。二十七日、家康は大坂城に入城し、豊臣秀頼に拝謁。三十日、上杉景勝は西軍の敗北を知る。十月一日、六条河原にて三成は斬首され、首は三条大橋に晒された。三日、長束正家自刃。宇喜多秀家は薩摩国に逃亡する。十日、毛利家120万石は36万石に厳封処分。十二日、加藤清正は小西家の肥後国宇土城を開城させる。十一月、島津義弘が家康に謝罪。十二月、真田昌幸・信繁父子に高野山での蟄居が沙汰される。真田信幸は信之と改名し、上田・沼田領を合わせ九万五千石の大名となった。慶長六年(1601年)一月、昌幸と信繁の妻子は高梨内記ら少数の家臣とともに九度山での配流生活に入る。上杉家は会津120万石から米沢30万石に減封となった。慶長七年(1602年)、小早川秀秋は病死して小早川家は断絶。慶長十一年(1606年)、宇喜多秀家は八丈島に流罪となる。
大坂城西の丸の家康の元に・・・本多忠勝が真田伊豆守を伴って参上したのは十二月の朔日だった。

「助命のことか・・・」

家康は顔を顰める。

伊豆守は顔を伏せたまま言上する。

「父には切り札がございます・・・」

「真田には・・・凄腕の密殺忍びがおるそうだのう・・・」

「わが姉にございまする」

「ふむ・・・しかし・・・徳川には服部半蔵がおるぞ・・・」

控えていた本多正信が声をかける。

「じゃが・・・安房守の命を助けたとして・・・命を狙われるのは同じではないか」

家康は微笑んだ。

「父は・・・天下の行く末を見定めたことと存じます・・・もはや・・・上様のお命を狙うことはありますまい」

「その証はなんじゃ・・・」

「上様の影にお尋ねくださいませ・・・」

「何・・・」

家康の背後からゆらりと影が立ち上がる。

秀吉の死後・・・服部半蔵は家康の影に潜んでいたのだった。

同時に伊豆守の影から・・・真田忍びのくのいち初音が飛び出した。

本多忠勝は素早く、家康の前に進み、警護の姿勢をとる。

伊豆守は舅の忠勝の前に体を進める。

その頭上で二つの影が交錯する。

ゴロリと床に転がったのは服部半蔵の首であった。

「どうじゃ・・・家康・・・獲ろうと思えば・・・お前の首も今・・・」

影は姿を見せず家康の耳元で囁いた。

家康は微笑んだ。

「見事なものじゃのう・・・」

「姉上・・・そこまでじゃ・・・」

伊豆守は囁く。

しかし・・・初音の声は容赦がない。

「家康・・・返答やいかに」

「あいわかった・・・安房守の命は獲らぬ」

「よし」

すでに・・・初音の殺気は消えていた。

家康は息をついた。

「あれは・・・もはや達人というより・・・魔性のものじゃな・・・」

「御意にございまする」

伊豆守は平伏した。

本多忠勝は何事もなかったように・・・その傍らに戻る。

「寒気がしたわ・・・」

家康は爪を噛んだ。

「火の気をお持ちしましょう」

本多正信が立ち上がった。

家康はようやく・・・転がった忍びの首を見て・・・瞑目した。

次の瞬間・・・首は音もなく消えた。

半蔵組の忍びたちは・・・初音を追ったが・・・誰も追いつくことはできなかったという。

関連するキッドのブログ→第36話のレビュー

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コメント

キッドさん昨日は関係ないことをたくさん書いてしまってすみませんでした!(>_<)
なにかニュースの報道の仕方やネットの感想を見てたら道路工事できるのかとか、国や選手が可哀想なことにならないかとかものすごく不安になってしまって今、夜も眠れない状態になってる最中でついつい....
ご迷惑をおかけしてすみません。

真田丸は三成さんの扱いが酷かったですね(^^ゞ天地人でも死に様は時間とって書いてたのに~!真田からみた関ヶ原なら丁度いいのかもしれないですね。

そのかわり大谷さんは主人公の舅だからかもう少し時間とって書かれていましたね。
最近のテレビの限界か結局病気について突っ込んで書かれることはありませんでしたが。
それにしても秀秋は幻覚に出てくるのは死んだ三成さんや大谷さんではなくて宇喜多さんなのはなぜかしら?真田家にとっては辛い別れでしたね信之改名のシーンはぐっときました!

投稿: 出雲 | 2016年9月19日 (月) 09時31分

~~☀~~出雲様、いらっしゃいませ~~☀~~

基本的にキッドも自由に書いているので心配ないですよ。

あまりにもひどいコメントの場合は公開せずに削除していますので大丈夫です。

何が関係していて何が無関係なのかキッドなりに吟味いたしますので。

情報過多の時代には
二つの視点が必要です。

①誰の言うことも信じない

②自分の判断も信じない

その上で・・・。

①幅広く知識を求める

②得意なジャンルを決める

あらゆる情報は誰かが得をするために流通しているので
なるべく複数のメディアをチェックすること。

その場合はメディアの系列に注意すること。

お気に入りのオピニオン・リーダーを作らないこと。

何か一つの情報について深く把握すれば類推力が高まります。

そして・・・すべてのことが自分とは無関係だと考えることも大切です。

自分自身を客観視することが基本でございますね。

まあ・・・悪魔ですので・・・目指すところは「虚無」でございますが。

三成さんについては一部に熱狂的なファンがいるので
それなりに配慮された最後だったと考えます。
石田一族は滅んだわけですが
我こそは三成の子孫という方が全国に分布しておりますからねえ。

ここには・・・明治維新という「チェンジ」も関係しているわけです。

歴史的な善悪もチェンジいたしますので。

大谷さんの病状についてはお茶の間への配慮もありますが
歌舞伎役者としての「顔」へのこだわりもあるでしょう。
やはり・・・美しいのが基本でございますので。

このドラマでは秀秋さんが裏切ったのは
義兄弟である宇喜多さん一党なのでございます。

そもそも豊臣一族である秀秋さんにとって石田や大谷は家臣であって対等の存在ではないのですね。

家臣の分際でさしでたことをしでかしたくらいに思っていたということでございます。

また、毛利勝永は伏見城攻めの戦友ですし、出自は尾張の森氏、明石全登は宇喜多家の忠臣で二人とも大坂の陣で活躍が期待されるので顔見世興行でもあったかもしれませんね。

真田幸村の視点では信之は凡庸に描かれることが多いのですが
今回の信之は様々な意味で重厚に描かれていますね。

真田信繁=真田幸村という光と影のコントラストが浮かび上がる仕掛けではないかと考えています。

ここからが・・・本番ということでございましょう。

「真田丸」最高だ~!

投稿: キッド | 2016年9月19日 (月) 15時53分

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