グ・ラ・メ!~総理の料理番~(剛力彩芽)また密室政治だった(新川優愛)
土曜日の谷間である。
剛力彩芽といえば1992年度(1992年4月~1993年3月生れ)を代表する女優の一人であるが・・・作品に恵まれているとは言い難い。
キッドが一番高く評価するのは「ビブリア古書堂の事件手帖」(2013年)である。
作品的には「私の嫌いな探偵」(2014年)もそこそこ面白かったのだが「なぞの転校生」と争ってレビュー対象からはずれてしまった。・・・残念なことだ。
1992年度には有村架純、成海璃子、本田翼、石橋杏奈、桜庭ななみ、忽那汐里、足立梨花、石橋菜津美、岡本あずさ・・・と層々たるメンバーが揃っているので・・・激戦である。
そういう意味では仕事を選ばず女優として生き残った感じなのかもしれない。
一種独特の存在感があるのも・・・捨て難い味である。
「あすなろ三三七拍子」の視聴率的惨敗も残念だったが・・・明らかに以後は深夜枠にシフトしたよね・・・次はコメディーにチャレンジしてもらいたい。
ちょっと過激なドラマの方が似合うと思うので。
で、『グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜・第1回~最終回(全8話)』(テレビ朝日201607222315~)原作・西村ミツル/大崎充、脚本・山岡潤平(他)、演出・常廣丈太(他)を見た。テレビ朝日という政治的に特殊な局で「政治家もの」のドラマをやることがすでにマイナス要素なのであるが・・・ギリギリ人情もの風味で乗り切れたと思う。さらに・・・ドラマに美食を持ちこむスタイルもいい加減食傷気味だが・・・あまり料理内容に拘らないのもよかったと考える。基本的に政権与党が悪という色眼鏡も控えめだったしな。
だが・・・基本的にテロリズム賛成の傾向は伺えたぞ。
第3話では・・・小学校の理科教師(矢柴俊博)が予算縮小で大学の研究室が閉鎖されたことを怨み包丁を持って総理官邸に殴りこむわけだが・・・危機が回避された後・・・お咎めなしで解放されるのである・・・後に本人が自首・・・頭に血がのぼったら包丁振りまわすような奴に小学生を預けるのは生理的に受け付けられないと思うが・・・スタッフ的に平気なんだよな。
原作開始からおよそ・・・10年の時差があるので・・・自民党→民主党→自民党の政権交代でのドタバタがなかった世界の話である。
女性料理人(キュイジニエール)・一木くるみ(剛力彩芽)が官邸料理人として仕える現職総理大臣は阿藤一郎(小日向文世)である。
阿藤一郎は料亭政治を嫌い吉田茂以来60年ぶりに官邸料理人を復活させることで開かれた官邸をアピールしようとするのだ。
つまり・・・祖父に吉田茂を持つ麻生太郎第92代総理大臣(2008~2009)である。
・・・短命だったな。
もう・・・麻生総理のことなんか誰も覚えていないんじゃないか。
で・・・一木くるみをスカウトするのが・・・阿藤総理の政務担当総理大臣秘書官で帝都ホテルのレストランのシェフだった過去を持つ古賀征二(滝藤賢一)である。
一木くるみは料理にメッセージをこめることができる超能力を持っているらしい。
で・・・結局、総理との会食は密室政治なのである。
基本的に・・・総理に敵対する人間がゲストとして会食に招かれ・・・くるみのメッセージ料理に洗脳されて融和するというリフレインなのだ。
政治が結局、密室で決定するものだという象徴として・・・東陽テレビ政治部記者の立花優子(新川優愛)が登場する。
会食の前後で・・・ゲストに質問し・・・結局・・・「一体、何があったのか」と茫然とする役割である。
つまり・・・情報不足で・・・政治の動向が理解不能というマスメディアの自嘲である。
とんでもドラマなので・・・優子は・・・離婚した阿藤総理の妻が引きとって育てた娘である。
阿藤総理の方には優子の実の姉の理子(内藤理沙)がいて・・・何故か深夜の首相官邸を彷徨しているのだった。
官邸には官邸大食堂があって料理長は清沢晴樹(高橋一生)である。官邸大食堂の料理人と官邸料理人のくるみの立場は分かりにくいが・・・「相棒シリーズ」の捜査一課と特命係のバリエーションと考えるしかない。
だから・・・清沢とくるみは対立する。
「料理にメッセージなど不要・・・料理人は最高のもてなしを客に提供する存在」なのである。
くるみにとって「客」は料理で洗脳するべき「敵」であるために・・・その情報を収集する。
情報源は・・・古書店の書物である。
天才的な暗記力を持つくるみは立ち読みで情報を取得する。
古書店主の神田(片桐仁)はなんとか阻止しようとするが・・・くるみの魔手を逃れることはできない。
立ち読みは・・・一種の万引きである。
つまり・・・このドラマは万引きを推奨しているのだ。
その一点でも許し難いものがあるよね。
阿藤総理の最後の敵は・・・氷室誠之介(葛山信吾)・・・政権与党・日本進憲党(フィクション)のサラブレッド議員である。つまり・・・小泉進次郎である。
氷室は・・・政権与党が行き詰っていると断定し・・・氷室新党を視野に阿藤総理に退陣を迫る。
そうやって・・・与党が分裂してくれないかという野党シンパの哀しい願いらしい。
だが・・・優秀な秘書官の料亭政治的根回しによって梯子を外された氷室のクーデターは失敗に終わるのだった。
「潮時の意味には引き際だけでなく・・・絶好のタイミングがあります」
最後まで・・・よくわからないメッセージを残し・・・くるみは未来に向って去っていくのだった。
ケツメイシによる主題歌「カラーバリエーション」にのってダンスパフォーマンスを繰り広げる登場人物たち・・・。
政治家には良い面と悪い面があるが悪い面も含めて国民は愛さなければならないらしい。
そうすれば政治家は良い国民も悪い国民も愛してくれるのだろう。
寝言である・・・就寝前にはうってつけだったな・・・。
関連するキッドのブログ→ドクターカー
| 固定リンク
コメント