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2016年9月12日 (月)

あっけないにもほどがある(大泉洋)

平野長泰は慶長二年(1597年)に豊臣姓を下賜され従五位下遠江守に任じられた。
賤ヶ岳の七本槍としては遅い出世である。
妻は土方雄久の娘である。
徳川家康暗殺の疑いで改易された土方雄久だが会津征伐では徳川軍に加わっている。
つまり・・・暗殺計画そのものが謀略だったと言われる所以である。
北国では前田家が利長と利政の兄弟が東西に分かれるが二人の従兄弟である土方雄久が利長を東軍に誘致したとも言われる。
雄久の娘の一人は織田信長の側室の一人であり、九男の信貞を生んでいる。
織田信貞は西軍として伏見城攻めに参戦しているが許され家康の家臣となっている。
平野長泰は秀忠軍の一員として上田城攻めに参戦しているわけである。
そしてそのまま秀忠の家臣となる。
平野家は徳川幕府にあって交代寄合となる。
織田信貞の家系は高家旗本となる。
そして、土方雄久は一万石の大名となる。
織田家や豊臣家の家臣たちもしぶとく生きていくのだった。

で、『真田丸・第36回』(NHK総合20160911PM8~)  脚本・三谷幸喜、演出・小林大児を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は真田信幸の正室・小松姫ことの描き下しイラスト大公開でお得でございます。史実にほぼ忠実に添いながら・・・馬廻衆の先輩から始まり・・・攻め手の交渉役として現れる平野長泰の伏線につぐ伏線と言い・・・人質だった稲姫が沼田城に現れる段取りといい・・・考え抜かれた展開が実に見事でございますね。信繁と信幸の阿吽の呼吸による戸石城攻防戦、小山田氏や堀田氏によるゲリラ戦・・・そして信繁の本陣急襲未遂・・・関ケ原との時差を埋める佐助の韋駄天・・・主要登場人物を無駄なく使いきって・・・第二次上田合戦のひとつの真相に迫っていく・・・ワクワクさせてくれますねえ。きりの父親である高梨内記が少し老いてきた感じを醸し出すように俳優陣もよどみなく歳月を感じさせてくれます。どうして・・・どうして・・・毎年、これができないのか・・・本当に不思議でございまする。

Sanada36慶長五年(1600年)七月、下野国犬伏の陣で真田昌幸と嫡男・信幸が訣別。十八日、西軍総大将毛利輝元が伏見城の鳥居元忠に退去を命ずる。元忠はこれを拒否。二十四日、徳川家康が下野国小山の陣に到着。二十五日、小山評定。八月一日、西軍先鋒の鈴木孫一が元忠を撃取り、伏見城落城。八月二十三日、福島正則、池田輝政らの東軍は織田秀信の岐阜城を攻め落とす。九月一日、徳川家康江戸城を出陣。二日、徳川秀忠が信濃国小諸に着陣。三日、真田昌幸は秀忠に助命を嘆願する。四日、昌幸は秀忠を挑発する。五日、真田信幸が戸石城を攻略。六日、秀忠は上田城を包囲。八日、徳川軍が苅田を開始。真田勢の奇襲を信幸の義兄弟である本多忠政などの徳川軍が逆襲。敗走した真田軍を追撃した徳川軍を待ち伏せした真田軍が奇襲。徳川軍本陣を真田信繁が裏手から強襲。混乱した徳川軍は小諸城まで撤退。九日、秀忠に家康から「美濃国赤坂で合流せよ」と命令が下る。十四日、家康が赤坂に着陣。深夜、出陣。十五日、家康を追い美濃国大垣城から石田三成が出陣、関ヶ原に誘導される。先着した西軍は東軍を包囲する布陣を展開。東軍福島隊、西軍宇喜多秀家隊が激突。西軍の小早川秀秋の裏切りによって勝敗が決する。大谷吉継は自刃。石田三成は戦線を離脱する。この頃、直江兼続が長谷堂城を攻めて敗北。黒田如水は豊後国攻めを開始する。


遠江国浜松城は堀尾吉晴の嫡男・忠氏の居城となっていた。

しかし、すでに家康に調略を受けていた堀尾氏は・・・東軍の進軍に際して城を提供。

浜松城は家康の臣下となっている旧武田家臣の一人、保科正光の預かりとなる。

正光の正室は真田昌幸の娘である。

舅である真田昌幸の東軍離脱は背筋の寒くなる行為だったが・・・義弟である信幸が東軍に留まったたために安堵した上・・・家康の信任が厚かったことに驚いた。

小牧・長久手の合戦、小田原征伐と軍功を重ね・・・徳川の一将として下総国に一万石の領地を持つ身だが・・・譜代の家柄ではない。

だが・・・父の保科正直が家康の異父妹・多劫姫を妻に迎え、異母弟の保科正貞を生んだことで一門衆に近い立場を得たのである。

正光には子がないために・・・正貞は二十七歳年下の弟を養子としている。

多劫姫はこの年六月に黒田長政の継室となった栄姫も産んでいる。

つまり・・・正光は・・・真田信幸の義兄であり、黒田長政の義兄でもある。

「おじきのやることにぬかりはないの・・・」

いつのまにか・・・義母の兄である家康は・・・正光の伯父という立場になっているのである。

正光はいくら・・・舅が西軍についたとしても・・・追従するわけにはいかない身上なのであった。

「あれも・・・気苦労するな」

正光は・・・江戸にいる正室の心情を思いやった。

「だが・・・必ずしも・・・徳川が勝つと決まったわけではないからの・・・」

正室の連れてきた真田の忍び・高遠丸は・・・正光の斥候忍(うかみのしのび)となっている。

高遠丸は上田で・・・舅の昌幸と義弟の信繫が・・・徳川勢を撃退したという報告を正光に知らせてきたのである。

「さすがは・・・舅殿じゃ・・・」

報告する高遠丸の声もどこか弾んでいた。

そこには真田の忍びとしての誇りが潜んでいるのだろう。

(従弟殿も・・・御苦労だったな)

舅の昌雪が籠る上田城を攻め損じた徳川秀忠は正光の従弟にあたるのである。

しかし・・・と正光は思う。

秀忠の軍勢が加わっても加わらなくても勝つ算段を・・・伯父・正二位内大臣徳川家康はしているだろうと。

その日・・・九月十五日・・・すでに・・・見た目は互角だが・・・調略によって戦う前から圧倒的な勢力になっていた東軍はひとにぎりの西軍を殲滅していた。

関連するキッドのブログ→第35話のレビュー

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