地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子(石原さとみ)Lassieならお嬢さんだけどな(本田翼)Lassyだとフェアトライアル系よね(足立梨花)
ラッシーといえば大腸菌じゃないのか。
菱沼聖子かよっ。
・・・・かって文章を書くことは一つの能力だった。
まず・・・他人が読みやすい文字を書く必要がある。
今は・・・打てばどんなフォントも思いのままだ。
企画書を書くのも才能の要求される仕事だった。
今はある程度フォーマットに従えばそれなりのものが書けるらしい。
キッドのバッグは巨大で・・・中に情報源である俳優名鑑とか、広辞苑とか、現代用語の基礎知識とか、20世紀全記録とか、プロ野球データブックとか、オールアイドル大全とか、アニメ年鑑とか、週刊誌の最新号のすべてとかが収納されていたのである。
何しろ・・・出典を求められるのだ。
今はちょっと検索すればいいのである。
なんていう時代だ。
昔はひどかったなあ・・・。
で、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子・第1回』(日本テレビ20161005PM9~)原作・宮木あや子、脚本・中谷まゆみ、演出・佐藤東弥を見た。原作のタイトルは「校閲ガール」である。小説「書店ガール」が「戦う!書店ガール」になったように・・・なんかつけたがるのはそうでもしないと自分の存在感を維持できない人々の哀しい習性のようなものである。平均視聴率が*4.8%だった「戦う!書店ガール」のようにならないことを祈りたい。
お仕事ドラマというものは・・・「北海道の子にゴキブリを見せると感動する」的な「あなたの知らない世界を紹介する」という一つの要素がある。
しかし・・・素晴らしいインターネットの世界で「自分の職種」がとりあげられれば黙っていられない人々がなんだかんだ囁く時代である。
だから・・・あくまでフィクションなのである。
今は・・・テレビ局も出版社も小奇麗になっているが・・・昔はもっと汚い場所だった。
こんなところで・・・あんな華やかなものを作っているのかと思ったりもする。
しかし・・・新築されてテレビ局や出版社がテレビドラマのようなものに変貌してあっと驚いたりもするわけである。
ドラマの中の世界は基本的にあなたの知らない世界なのである。
林真理子が長澤まさみのスタイルを見て遺伝子について自虐するのはリップサービスなのだ・・・なんの話だよ。
田舎の高校生だった河野悦子は景凡社のファッション雑誌「Lassy」を見て・・・おしゃれの世界の虜になり・・・雑誌「Lassy」の編集者を目指して苦節十年・・・気がつけば二十八歳である。
高校を卒業してから十年間・・・景凡社に対する就職活動を続けているフリーターである。
現在はおでん屋「大将」の二階に間借りしている。
悦子の就職活動は景凡社受付の佐藤百合(曽田茉莉江)が知っているほど有名である。
「また君か」
面接官が呆れるほど・・・毎年、就職活動をしているのだ。
しかし・・・新人の受付嬢である今井セシル(足立梨花)は雑誌から抜け出したようなダサいくらいに派手に決めた悦子のファッションセンスに魅了されるのだった。
そもそも・・・校閲部のあるような大出版社に・・・就職するためには・・・ある程度の学歴が必要なのである。
悦子はそういう常識的な部分が抜け落ちているのだった。
世間は狭いので・・・雑誌「Lassy」には悦子の高校時代の水泳部の後輩である森尾登代子(本田翼)が編集者として勤務している。
「がり勉でデブ」だった森尾は大学を卒業して普通に就職をしているのだった。
そのことを再会するまで悦子は知らない。
森尾は・・・悦子の知らない世界を知っている女なのである。
だが・・・文芸編集部から校閲部に移動になり面接に参加した部長の茸原渚音(岸谷五朗)はネクタイピンがピアスだったことを見抜いた悦子に心を奪われる。
そんなことで・・・大手出版社に採用されるかどうかは・・・ともかく・・・悦子は・・・恐ろしいオヤジ転がしの魔性を持っているのである。
おでん屋「大将」に集まる常連客・・・東山(ミスターちん)、西田(長江英和)、北川(店長松本)や大将の尾田大将(田口浩正)は・・・悦子の就職祝いにエディターズ・バッグをプレゼントするくらいなのであった。・・・おいおい。
もちろん・・・高卒でアルバイトしながら・・・ファッション雑誌に掲載されているブランド商品でおしゃれするためには・・・オヤジを転がすしかないではないか。
しかし・・・そこを描く気はないらしい。
配属先が校閲部と知って・・・卒倒しそうになる悦子を・・・茸原部長は猫撫で声で騙す。
「有能だと認められれば希望の職種に転属も夢ではない」
「!」
先輩の校閲部員・藤岩りおん(江口のりこ)は前途多難を予感する。
試みに・・・校閲の第一段階である校正(誤字脱字や文法上のチェック)を悦子に命じると・・・。
小説「黒と赤/是永是之」の作者名を「ぜえいぜえ」と読む悦子。
「これながこれゆき」は実は折原幸人(菅田将暉)のペンネームであるが・・・それは伏されている。
「之をえって読みましたよ」
りおんは部長に報告するが・・・「こうのえつこ」を略してコーエツという「面白さ」にはまっている部長は意に介さない。なにしろすでに転がされたオヤジなのである。
部署には小説の登場人物の住居模型を作り、登場人物の行動チェックするのが趣味の米岡光男(和田正人)なども配置されている。
青木(松川尚瑠輝)、坂下(麻生かほ里)、目黒(高橋修)などその他の部員もいい味出しているのだった。
そして・・・何故か・・・仕事は手抜きをするが・・・校閲部員を見下している嫌な編集者・貝塚八郎(青木崇高)は・・・「ちかえもんの世界」からここに来たわけだな。
雑誌丸暗記という特技を持つ悦子は・・・基礎学力の不足を根性で乗り越えて・・・「有能さを示して編集者に転職するために」・・・残業に次ぐ残業でサービスするのである。
転がされている部長は・・・健気な悦子に目を細め・・・発行部数百万部の大作家・本郷大作(鹿賀丈史)の校閲を任せるのだった。
なにしろ・・・エロティック・ミステリ・・・略してエロミスの作家である本郷はたちまち転がされるのだった。
「そうかあ・・・最近の女子高校生はチョベリグって言わないのか」
「今は・・・地味にスゴイ・・・とか」
「タイトル来たねえ」
つまり・・・このドラマは悦子が男を転がすドラマなのだ。・・・違うぞ。
しかし・・・本郷の新作「武蔵野の情事」にある「立田橋」が二人の関係を危ういものにするのだった。
有能であることを示すために・・・完璧を目指す悦子は・・・それが「立日橋」であると主張する。
なにしろ・・・多摩川に架かる都道149号線の橋は左岸・立川市、右岸・日野市で「立日橋」なのである。
現地に調査に赴いた悦子は写真館で・・・幸せそうな本郷一家の写真を発見し・・・本郷夫人に連絡を取ろうとして・・・作家の逆鱗に触れるのだった。
本郷夫妻は・・・息子がまだ幼い頃に離婚していたのだった。
一時は失職の危機に陥る悦子だったが・・・なにしろ・・・すでに転がしている相手である。
「息子が・・・舌足らずに・・・たったばしと言うのが可愛かったのだ」
甘い心情を吐露するオヤジだった。
作家の別れた息子・・・それはもう大学生になっているのでは・・・。
ある日・・・悦子は折原幸人と出会いがしらに衝突という古典を演じる。
そして・・・突然・・・時が止まった。
就職が決まったので繁殖の季節なのである。
しかし・・・男性をダンサーと発音する舌足らずな森尾は・・・ファッション誌「Lassy」編集長・亀井さやか(芳本美代子)や波多野副編集長(伊勢佳世)に命じられ専属モデルを捜索中に・・・すでに折原をキャッチしていたのである。
そして・・・家なき子である折原に「ウチ、来る?」と誘うのであった。
つまり・・・森尾は・・・悦子の熱望するものを簡単に入手する女なのである。
一言で言うと・・・やり手だ。
この物語は・・・やり手とオヤジ転がしの真田丸なのである。
全然違うわっ。
「世界一難しい恋」「家売るオンナ」と傑作を連打したこの枠だが・・・これは・・・もしかすると少しベタかもしれないね。
この世界には「百恵二世」はたくさんいるわけだが・・・一学年上の別事務所の上戸彩がまもなく出産明けである。
本家ホリプロの「百恵二世」の一人である石原さとみも三十路を目前にして絶対に負けられない戦いをしているとも言える。
2005年の大河ドラマ「義経」でうつぼを演じた上戸彩に対して石原さとみは静御前だった。
この絶妙な対比が・・・醸しだされる色気の差異として存在する。
どうしても色気勝負では石原さとみの方が無理してる感じがするわけである。
持ってる武器の性能差か・・・おいっ。
しかし・・・まあ・・・それもまた「味」だからな。
東京出身の二人の女優の戦いがまた始るのだ。
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