べっぴんさん(芳根京子)四葉のクローバーZ(百田夏菜子)戦争が天使のドレスを作らせたのさ(谷村美月)
谷間かっ。
谷間です。
水曜日は谷間ということで・・・まずは連続テレビ小説から。
毎日でも書きたいくらいだぞ・・・それはちょっと。
まあ・・・前作があまりにもひどかったのでお口直し的にはちょうどいいよね。
売れない芸人の書いたコントみたいな半年だったよな。
まあ・・・楽しめた人もいるんだから・・・いいじゃないか。
それもそうだ。
一方・・・今回は素晴らしいヒロイン、ねっとりした脚本、終戦ではなく敗戦の気配が濃厚な演出。
天国のような朝ドラだよな。
しかも・・・姉妹になかよしトリオに宿命のライバルと・・・ヒロイン周辺要素もバッチリである。
笑いの止まらない朝ドラだよねえ。
某ドラマの悪徳弁護士が語る朝ドラヒロインから逸脱したヒロインは結構いる。
たとえば・・・「あまちゃん」は苛められっ子である。
「ちりとてちん」ではB子だ。
「ゲゲゲの女房」は売れ残り・・・おいおいおい。
しかし・・・それなりにたくましさはあった。
今回は・・・脚本家が変態なので・・・ヒロインの口が重いという・・・画期的な攻め口である。
素晴らしいの一語に尽きるな。
言いたいことが言えないヒロインで・・・すでに四週目に突入中である。
毎朝が素敵な感じになりましたねえ。
で、『べっぴんさん・第1~22話』(NHK総合20161003AM8~)脚本・渡辺千穂、演出・梛川善郎(他)を見た。ある意味で・・・長い前フリが今朝終わったのである。振り返ってみよう・・・主人公である坂東すみれ(芳根京子)は貴族院議員で服飾商社「坂東営業部」の経営者である父親・五十八(生瀬勝久)と天国からすみれを見守っている母親・はな(菅野美穂)の娘である。すみれより8歳年上の幼馴染・野上潔(高良健吾)に憧れを抱くが、気の強い姉・ゆり(蓮佛美沙子)に奪われても文句も言えずに無口でおとなしく几帳面な性格の紀夫(永山絢斗)を婿養子に迎える。時代は十年戦争の末期に突入。男たちは出征し、すみれはさくら(乾沙蘭→河上咲桜)を出産する。やがて大日本帝国は連合軍に無条件降伏し・・・お嬢様だったすみれは・・・あらゆるものを鬼畜米英に奪われてしまう。母親の形見のウェディングドレスさえ・・・焼け焦げてしまったのだ。
茫然とするすみれだったが・・・元々・・・茫然としているのでマイペースで前へと進み始める。
復員した潔は子分の岩佐栄輔(松下優也)を連れて戦後の闇市で商売を開始する。
目指すのは「坂東営業部」の復活である。
一方・・・坂東家の女中と夫の帰りを待つすみれは貯金を切り崩して糊口をしのぐ日々。
「いつまでも・・・小嬢ちゃんではいられないんやで」
潔に言われたすみれはもがくように前に進み始める。
すみれに「ものづくり」の素晴らしさを教えてくれた靴店「あさや」の主人・麻田茂男(市村正親)の店で手芸雑貨の販売を始めるのだが・・・食うや食わずの焼け跡時代なので需要はないのだった。
すみれの心にあるのは特別な誰かのために・・・特別な思いで作る一品・・・つまり「べっぴん」である。
やがて・・・すみれからすべてを奪った敵国人である新聞社通訳のジョン・マクレガー(ドン・ジョンソン)と身重の妻エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)と遭遇したすみれは・・・憂鬱なエイミーのためにおしめを売ろうとするが・・・西洋人には和風のおしめは受け入れ難いものだった。
西洋人のおしめを求めて・・・すみれは女中のマツ(中島ひろ子)の娘で・・・看護師の小野明美(谷村美月)に頼る。
しかし・・・かねてから「お嬢様」を憎悪していた明美は簡単には応じないのだった。
「甘いで」
だが・・・母親の示した「四葉のクローバー」の福音が・・・すみれを加護しているのである。
霊的アイテムとしての四つ葉のクローバーはそれぞれの葉に希望・誠実・愛情・幸運を宿している。
(ドラマでは母親は勇気、愛情、信頼、希望と言い換えています・・・本来の三つ葉は信仰の杖を示すもので従順(愛)、謙虚(潔白)、忠実(不変)を示すもの・・・これでも敬虔な信者として生きるには充分ですが四枚目が加わることは奇跡を現します・・・つまり、それが幸運なのでございます)
明美はすみれの「希望」なのである。
死んだ妹の代わりにすみれを愛する栄輔はすみれが「西洋風のおしめの生地」を求めればどこからか調達してくる使い魔である。
すみれはそういう「幸運の持ち主」なのである。
やがて・・・高級腕時計に導かれ・・・すみれは女学校時代の手芸倶楽部の仲間である「誠実」な良子(百田夏菜子)と再会する。
雨漏りをどんぶりで受ける掘立小屋で愛児とともに夫の帰りを待つ良子は・・・裁縫の達人であった。
すみれと良子は・・・最後の一人・・・「愛情」の君枝(土村芳)を訪ねる。
姑の村田琴子(いしのようこ)のガードをかいくぐり・・・邂逅する仲良しトリオ。
君枝は天才「デザイナー」だったのである。
「西洋風のおしめの生地」で英語の話せる看護師・明美を攻略したすみれは・・・エイミーの赤ちゃんのための「べっぴん」の発注を獲得する。
母の形見であるウェディングドレスの焼け残った部分の生地を使い・・・「商品」を再生しようと試みるすみれ・・・。
お嬢様ゆえに・・・自分が商売をすることに抵抗がある良子と君枝も・・・大好きな手芸行為にたちまち我を忘れるのだった。
君枝がデザインし、パタンナー(造型者)の良子が型紙を作り縫製し、すみれが仕上げに刺繍をする。
四葉のクローバーの魔法の光の中に・・・天使のドレスが誕生するのである。
「楽しい」
「楽しいわ」
「楽しいぜえっと」
幼児を抱える若き母親たちは・・・針と糸と布で・・・戦後を開拓するのである。
人間の営みは複雑である。
時には希望を持たなければならない。
時には何かを愛さなければならない。
時には何かを信じなければならない。
時には勇気を持たなければならない。
人と人とはそれぞれに立場を変えて営みを行う。
その果てに・・・幸福が成立することがある。
それが幸運なのである。
物語には・・・これくらい魔法がかかってないとね。
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コメント
おお。じいやの朝ドラ記事だわ。
ですよね…谷間ですよね。ここは(笑)
前が酷かったのもありますが、今期の朝ドラはファンタジーっぽくて初回からウットリでしたわ。
菅ちゃんのママナレーションの何と可愛らしくて落ち着いたことよ…。(金曜のドラマの方が可哀想すぎてもう(ノД`) )
まあ、朝ドラですから油断はできませんが、整合性を欠いた脚本が多い中、今のところはツッコみ所はあれど楽しく見れています^^
ゆっくりゆっくりと半年間進んで行ってほしいですね。
(と、開き直ってゆっくりゆっくりまだ引っ越し活動中の私が言う……)
カワイイ物や綺麗な物がたくさん見れそうなのもポイント高いですわ。セレブ万歳!!
投稿: くう | 2016年10月27日 (木) 21時44分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
今宵はエリお嬢様の特製カボチャスープでおもてなししております。
ハロウィン限定サービスでございまする。
「ぺっぴん」というのはいろいろな意味で差別的な言葉でございますので・・・すでに反逆の狼煙があがっているタイトルでございますよねえ。
案の定・・・アンチ朝ドラマヒロインが造形されて
ベタを通り越してうさんくさい香りがした
前作のヒロインと比較するだけでも
心が爽やかになる感じでございますよ。
お嬢様で・・・妹で・・・刺繍が好きで
天使のように優しくて・・・口が重い・・・。
これだけ萌え要素を並べられたら
うっとりするしかございません。
そして舞台はエレガントとは無縁の
敗戦後の世界に突入・・・。
あの夏休みの昼ドラマに近いテイストでありながら
寸止めが心地よい感じですな。
ハリボテ感の強かった前作の戦後とは
一線を画しております。
「つづき」が見たい感じがいたしますから~。
母親の形見のドレスというアイテムだけでも
丁寧に話を運んで行く・・・。
主人公が毎日ワープして別世界に到達していくような
前作の拙さが微塵もございませんよねえ。
そうせずにはいられない・・・心がしっかり描かれていますからねえ。
たしかに・・・最後までこのペースで行けば
傑作間違いなしですが
そこは長丁場ですからねえ。
はたして・・・どうなるものか。
脚本家としては初めての代表作が出来るかどうかの
瀬戸際と言えるかもしれません。
まあ・・・キッド的には
ずっと注目してきた脚本家なので
天国から見守る母親の気分で楽しみたいと考えます。
ふふふ・・・金曜日のドラマも
谷間に登場するまでには
もう少し方向性を見いだせているといいのですな。
やはり原作なしだと
よろめいちゃうのが困りものでございます。
投稿: キッド | 2016年10月27日 (木) 23時26分