ゾンビに噛まれて(山田孝之)
なんていうか・・・十年に一度の傑作タイトルだな。
「風に吹かれて/ボブ・ディラン」(1963年)の単なるパクリじゃないか。
そう思いたい奴にはそう思わせておけばいい。
第一、風に吹かれたらどうなると思うんだ。
風化するよな。
つまり・・・答えははすべて風化するんだよ。
風化する答えを求めて・・・問いかけを続ける愚かな人間は・・・ゾンビに噛まれればいいと思う。
道に何人の浮浪者が倒れていれば・・・通行人は救急車を呼ぶ気になるのか。
救急隊員がやってきてゾンビだと気がついた時には手遅れだ。
悲鳴が聞こえても見て見ぬフリで通りすぎるのが悪だとしても責めてはいけない。
生存者は逃げ足が速いものなのだ。
忘却しなければ人生は辛すぎるし、風化しなければ世界は邪魔くさいのだから。
いつだってゾンビは噛むものだ。
で、『勇者ヨシヒコと導かれし七人・第2回』(テレビ東京201610150018~)脚本・演出・福田雄一を見た。(水)の「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」のオープニング・テーマ「12月の雨/chay」は荒井由実の4thシングル(1974年)のカヴァー曲である。「時は・・・昨日を物語に変える」というのは・・・「風に吹かれて」のアンサーソングと考えられる。風に吹かれた答えがどうなるのかという一つの答えなのである。「学生街の喫茶店/GARO」(1972年)でさえボブ・ディランの歌は過去のものだったのである。時は流れたのだ。そして作曲者のすぎやまこういちは1986年「ドラゴンクエスト」のゲーム音楽を手掛けるのだった。・・・そこかっ。
世界を滅亡させる魔王を倒すために三度目の冒険の旅に出た勇者ヨシヒコ(山田孝之)と仲間たち。
仏(佐藤二朗)によって・・・ヨシヒコたちの能力はリセットされたらしいが・・・レベルは下がっても・・・過去の冒険の旅によって深まった絆はそのままらしい。
お互いのことを知りつくした様子は・・・「敵と戦う組織」としてはそれなりに成熟を感じさせる。
ムラサキ(木南晴夏)が強力な攻撃魔法「メラゾーマ」を習得したままなのかどうかは別として・・・メレブ(ムロツヨシ )は「ヨシズミ」や「スイーツ」よりもかなり高等な感じの「スモーデ」や「ワキガンテ」を習得するのも・・・歳月を感じさせるのだ・・・そうなのか。
仏が現れ、ヨシヒコはウルトラアイを効果音付で装着する。
円谷プロダクション公認である。
「それ・・・仏が怪獣みたいな気になる」
「怪獣みたいなもんじゃねえか」
仏の世界に宅配便が到着し、応対に出る仏に代わり仏の子さとし(小山春朋)が登場する。
ドラマ「まれ」(NHK総合)で紺谷希(土屋太鳳)と圭太(山﨑賢人)の間に生れた長男を演じた小山春朋は佐藤二朗似と一部お茶の間で噂されたことからの虚構間フィード・バックである。
「好きなものあるの」
「肉」
「肉にもいろいろあるでしょう」
「肉全般」
「・・・」
「まれをやってるとき・・・二朗さんは山﨑賢人くんとデスノートやってた」
「まれとはなんですか」
真面目なヨシヒコは楽屋話につっこむのだった。
この手の楽屋話は低俗なので忌避するべきだが・・・このドラマはほぼ低俗な成分で成立しているので許容するしかないのだった。
ドラマ「デスノート」(日本テレビ)ではL(山﨑賢人)で捜査一課主任・模木完造(佐藤二朗)というキャスティングだった。
二時間サスペンスによく出るもみあげのおっさんに似ていると指摘された戦士ダンジョー(宅麻伸)も熱血漢として苦言を呈するのだった。
「誰が法医学教室の事件ファイルだ」
「仏に似ていることでいじめられたりしないのか」
「それはないです」
宅配便は要冷凍のワケアリカニノアシだったらしい。
仏の導きによって・・・ヨシヒコたちは「導かれし玉人」を求めていつもの村のようなカルバド村に到着する。
しかし・・・昼日中だというのに・・・村には人影がなかった。
「これ異常だな」とメレブ。
「シェスタ(午睡)かもよ」とムラサキ。
空腹に耐えかねたムラサキとダンジョーは食堂の料理に手をつける。
「あ・・・それ絶対に拙いやつだ」
「なにがよ」
「お前たちブタになるぞ」
「誰が室井佑月になるって」
木南晴夏が豚化すると1970年生れの小説家で高橋源一郎の不倫が原因で離婚した室井佑月似になるらしい。
食べて豚になるのは長編アニメ「千と千尋の神隠し」へのオマージュである。
「俺は名前取られちゃってメイとかメレとかメルになって働かせられちゃうの・・・顔があるのにない感じの魔物とお使いにいくよ」
「食べて寝たら牛になるんだろう」
「ウシヒコ」か・・・。
悪を越えたウシジマくんとお人好しすぎて悪いヨシヒコの合体か・・・闇金勇者ウシヒコくんか。
みんな豚になるが・・・それは夢だった。
誰もいない村の誰もいない宿に宿泊する一行。
しかし・・・ゾンビが襲来するのだった。
「ゾンビとはなんですか」
「腐った死体だよ」
「それは・・・当然なのでは」
「彷徨う死者だ」
この物語では貧乳設定のムラサキは・・・胸の薄さでピンチを脱する。
ダンジョーはゾンビを斬り倒すが・・・もちろん・・・たちまち復活してしまうのである。
「死んでるから死にません」
「何かがおかしいだろう」
「デッドがウォーキングなので」
「意味がわからない」
続々と現れるゾンビの群れからなんとか逃れる一同である。
夜明けを迎えたが・・・いつの間にかゾンビに咬まれたムラサキは・・・死霊化しつつあった。
「メイクに金がかかっている」
「なんだかんだ・・・予算増えてるよな」
「タイアップ的なものか」
しかし・・・ムラサキは半分ゾンビでも元気いっぱいだった。
「なんとかしなさいよ」
「わかった」
しかし・・・ムラサキをあからさまに避けるヨシヒコだった。
そこに・・・カルバド村のゾンビ処理係ロビン(滝藤賢一)が現れる。
「そんな係が・・・」
「この先の山にいる噛みの神に噛んでもらうと浄化されます」
「ゾンビが治るのですか」
「ですね・・・噛まれてから三日を過ぎるとダメですけど」
「ブラックな言葉をさらっと言い放つ人だ」
一行は魔物と戦いながら山を目指す。
「くさったしたい」が現れた。
「ゾンビ系じゃないか」
「ムラサキ・・・行け・・・お前ならもうゾンビにならない」
しかし・・・くさったしたいはムラサキを避けた!
野宿をする一行。
メレブの呪文を覚えたタイムである。
「ブラズーレ」は男女に関わりなくブラジャーがずれたことが気になって仕方がなくなる呪文。
「ああ・・・気になる」とムラサキ。
「ああ・・・気になる」とヨシヒコ。
「ああ・・・気になる」とダンジョー。
男は当然のようにオネエ化するらしい。
夜が明けると・・・全員がゾンビ化しているのだった。
睡眠中に空腹を感じたムラサキが全員を噛んでしまったらしい。
メレブとダンジョーは普通にゾンビ化したが・・・ヨシヒコはゾンビ菌が噛まれた右腕から左手に直進し突出してしまったらしい。
左手で知性化したゾンビ菌は言葉を用いる。
「お前・・・しゃべれるのか」
「シャベレル」
「ヨシヒコがしゃべっているようにしか見えないが・・・」
「オレハヨシヒコジャナイ」
「じゃあ・・・名前を付けなければ」
「左手だから・・・ヒダリーというのはどうだ」
「イイナマエダ・・・オレハヒダリー」
ちなみに偶然よく似た感じの寄生獣はミギーである。
もはや・・・ドラクエのパロディーじゃないよな。
巨大化したヒダリーのために黒子が登場するが・・・ドラマ的には黒子なので登場していない。
噛みの神の祠にたどり着いた一行。
しかし・・・噛みの神(片岡愛之助)はゾンビ化していた。
「何故・・・神がゾンビに・・・」
六代目片岡愛之助は女優・藤原紀香と結婚したばかりだが・・・これまでにも隠し子騒動や愛人騒動など女好きで知られている歌舞伎役者である・・・おいおいおい。
祠から爆乳ゾンビ(手島優)が現れた。
充分に間をとって事情を察する一行。
「神よ・・・エッチなことをしたのですか」
「神様だって・・・ムラムラする」
「絶望だ」
「この先に行けばゾンビ菌を浄化するカラクリがあるぞよ」
「え」
「魔物が護ってるので・・・誰も近寄れないがな」
カラクリを守護する魔物と対決する一行。
ヒダリーは鎌化して貴重な戦力となる。
ついに魔物は退治され・・・カラクリが起動するのだった。
「プラズマクラスタアアアアア!」
シャープの空気清浄器である。
タイアップなのか。
たちまち・・・ゾンビ菌は駆逐され・・・村人たちも人間に戻る。
「ヒダリーお別れだ」
「サヨナラヨシヒコ」
哀しい別れである。
導かれし玉人はゾンビ処理係のロビンだった。
股間から所持する緑のオーブを取り出すロビン。
陰毛つきのオーブでいつでもロビンを召喚することが出来るらしい。
二人目の導かれし玉人を求めて旅立つヨシヒコたち・・・。
そんなヨシヒコを心優しい妹のヒサはこっそり陰から見守っている。
そこへ怪しい魔物が現れた!
「何にでも化けられる変化の杖があるよ」
「それなら兄さまに見つからないですみますね」
「一杯つきあってくれたらあげるよ」
「はい」
「一杯だけだからね・・・やらしいことはしないから」
またもや・・・疑うことを知らないヒサに・・・慶応大学広告研究会的な魔手が迫るらしい。
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