勇者ヨシヒコと導かれし七人(山田孝之)四股踏んじゃった(木南晴夏)
ついに・・・福田雄一作品をレギュラーでレビューするのか。
まあ・・・コンプリートを目指す姿勢です。
なにしろ・・・そこそこ面白いので・・・レビューする意味がないという立場じゃなかったのか。
まあ・・・面白い人には面白く・・・そうでない人にはそうでもない作品だからな。
だからまあ・・・あまり深く考えずに・・・妄想していきたいと考えました。
「勇者ヨシヒコと魔王の城」(2011年)、「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(2012年)に続く第三シリーズである。
本ブログの文中でも前フリなんかではちょこちょこ言及しているからな。
ファミリー・コンピュータの「ドラゴンクエスト」(1986年)から三十年である。
昭和だったか・・・昭和だったねえ。
で、『勇者ヨシヒコと導かれし七人・第1回』(テレビ東京201610080018~)脚本・演出・福田雄一を見た。「物語」には送り手と受け手があるのが基本である。ロールプレイングゲームはそこに「受け手参加型」というひとつの展開を持ちこんだ。本来、語り部と聴衆は「対話」を潜ませているものである。拍手や歓声、野次から・・・質疑応答・・・さらに・・・受け手の解釈まで・・・物語は常に一方通行のものではないのだ。しかし・・・それでも・・・物語の登場人物の行動を受け手が選択できるというシステムは・・・画期的なものだったのである。
物語の中で・・・受け手が生きていく・・・それは恐ろしいことなのである。
それを知ってしまった世代が・・・すでにそのことに郷愁を感じる時代である。
「懐かしくて珍しい」・・・面白さの基本を背負って・・・「ドラクエのパロディー」が開始されたのだった。
ダンジョンを進み・・・魔王の城に乗り込んだ・・・勇者ヨシヒコ(山田孝之)はお馴染みのパーティー(仲間たち)と共に決戦に挑む・・・いきなりクライマックスというネタである。
百戦錬磨の戦士ダンジョー(宅麻伸)、ちょっとした特技を持つ村娘のムラサキ(木南晴夏)、あまり役に立たない魔法使いのメレブ(ムロツヨシ)・・・すでに登場するだけで認知のドーパミンにより気分が高揚するメンバーたちなのだ。
しかし・・・待ちかまえる魔王バルザス(声・中井和哉)は四人を嘲笑う。
「百年早い・・・しかし・・・百年後では寿命が尽きておる」
四人はかごを背負っていて・・・かごの中身は「薬草」である。
メレブは危険を察知する。
「ラスボス相手の対戦で・・・回復アイテムが・・・やくそう・・・ってまずいよね」
「そうなんですか」
ヨシヒコは素直な性格なので・・・メレブのアドバイスは真面目に聞くのだ。
「だって・・・これ・・・ほら・・・回復力最低じゃない・・・ここは逃げるを選択するべきだよ」
「魔王相手に・・・逃げるのですか」
「それは・・・ちょっと無理なんじゃないの」
ムラサキが疑問を呈するのだった。
「いや・・・戦っても死ぬだけだから・・・ここは逃げるに賭けるべきだ」
「逃げましょう」
しかし・・・魔王の攻撃が四人にヒットするのだった。
「逃げられなかったじゃねえか」
「ここはやくそうで回復しましょう」
「しかし・・・こうしてみると・・・やくそうの使い方がわからないな・・・」
「え」
「ほら・・・ドラ・・・クエ・・・ではコマンドでつかうだけだから」
「何の話ですか」
「とにかく・・・ぬるのか・・・それとも飲むのか・・・ムロ鍋にするのか」
「とにかく食べてみよう」
ダンジョーがやくそうを口にする。
「少しも効き目がないな」
「おっさん・・・それ毒消しじゃないの」
「そうか」
「よし・・・私が食べてみます」
ヨシヒコは薬草を食べた!
「どう?」
「少しだけ・・・体力が回復した気がします」
「だから・・・最初から言ってるじゃないか」
しかし・・・攻撃のターンなので無謀にも魔王に剣を振るうヨシヒコ。
魔王はノーダメージである。
「あ」
そして・・・魔王の攻撃を食らった四人は意識を失うのだった。
例の「教会」である。
毒舌の神父の前で三つの棺桶を従えて目覚めるヨシヒコ。
「レベル18で・・・魔王と戦うなんて・・・アホですか」
「レベル18・・・なんとなくスムーズにことが運んだので」
「サクサクですか・・・サクサクするプレイヤーに思わぬ落とし穴で~す」
「サクサク・・・」
「そういうとこ」
「どういうとこですか」
「ダンジョーさんは100ゴールド・・・ムラサキさんは80ゴールド・・・メレブは3ゴールドです」
「お金ありません」
「金も力もないなんて神をも恐れぬ振る舞いで~す」
小銭を稼ぐためにいつものモンスターと戦うヨシヒコだった。
スライムたちはザザザと逃げ、ゴーストはメダパニでヨシヒコを混乱させる。
復活した仲間たちとレベルアップの旅をするヨシヒコの前に例によって盗賊が現れる。
ここまで・・・盗賊と言えば・・・ビドー(細田善彦)、ザジ(青木崇高)、メンタリスト(戸次重幸)、エリザ(指原莉乃)、盗賊D(沢村一樹)、盗賊E(古田新太)などが登場したが・・・今回はいきなり・・・盗賊A(菅田将暉)である。
豪華ゲストは・・・広報しない方針らしい。
鈍感な盗賊Aは背後に・・・自分を暗殺しようとする忍者(戸塚純貴)がいるのに気がつかない。
「後ろにいるだろう」とメレブは忠告するが・・・盗賊Aは目に入らないくりかえしのギャグを展開する。
基本的に・・・あらゆることがチープであることがセールスポイントだが・・・豪華ゲストがくだらないことをするのも範囲内だ。
最後は背中で笑いをこらえる盗賊Aを楽しむのだ。
盗賊はヨシヒコの眠らせる魔力を持つ「いざないの剣」を罵倒する。
「相手を殺さずに眠らせるだけなんて・・・そんな甘いことがこの世界で通用すると思うのか」
ヨシヒコは先に忍者を眠らせる。
「この男は・・・」
「知り合いなの」
盗賊と忍者の関係に興味を持つムラサキ。
「奇跡的な再会だ・・・」
しかし、話の途中で盗賊も眠らせるヨシヒコだった。
「話、聞きたかったのに~」
「先を急がねばならない」
肝心なことはスルーというスカシの笑いも重要な要素である。
キラーマシンの連続攻撃にも対応できるレベルとなった一行。
焚き火を囲んで・・・語りあう夜。
「いくら倒しても魔物は出てくるね」とムラサキ。
「それが世界というものだ」とダンジョー。
「悪を倒し続ければいつか善だけが残る」とヨシヒコ。
「いいムードのところをなんだけど・・・レベルアップした時に新しい呪文を会得した」
「また・・・どうせくだらない呪文でしょう」
「スモーデ」
気に入らないことがあると相撲で決着をつけたくなる呪文である。
たちまち、横綱土俵入りを「テンツクテンテントンストトン」とサービスするムラサキだった。
「新しい呪文とは」
「ワキガンテ」
ヨシヒコの腋臭が増幅し・・・一同悶絶する。
「後はとどめを・・・」
「パーティーが自滅しています」
「改良の余地があるな」
ついにレベルが対魔王戦に対応できるまでにアップする。
再び・・・魔王に挑む四人は・・・武装も華々しい感じになっているのだった。
ヨシヒコとダンジョーの同時攻撃は・・・炎と雷の効果つきである。
ムラサキも攻守双方の強力な呪文で支援する。
メレブも「スイーツ」で花を添える。
「役に立ってないでしょう」とムラサキ。
「炎に焼かれ・・・雷に痺れいる上に・・・甘いものが食べたくてたまらないんだぜ・・・想像してみろよ」
「できんわ」
「甘いものが食べたい・・・」
魔王は最後の叫びを残して滅した。
勝利の余韻にひたる一行の前に・・・仏(佐藤二朗)が現れる。
3D眼鏡、日食グラスに続いてヨシヒコが仏を視るための道具はウルトラアイである。
「デュワッて言うのかと思ったわ・・・あのね・・・いい最終回だったみたいなムードでどうするの・・・初回だからね」
ここから・・・延々と仏のアドリブ独演会である。
「理想のくびれ・・・じゃなくて・・・あの魔王はいわば・・・舛添都知事みたいなものだから・・・本番はこれからよ」
「そうなのですか」
「魔王の七つの弱点を攻撃できる・・・運命に導かれし七人を求めよ・・・これが今回の大筋であ~る」
故郷ガボイに戻るヨシヒコ。
「兄さま・・・お帰りになったのですね」
美しい妹のヒサ(岡本あずさ)が出迎える。
「いや・・・これから旅立つのだ」
「え」
こうして・・・冒険の旅は始った。
「殺したがるばかどもと戦うために・・・私的制裁を加えるのが英雄の務め」なのである。
加害者に極刑を望む被害者遺族と国家による殺人を許さない善意の第三者のすれ違う世界の片隅で・・・物語は始るのだった。
性善説を信じれば詐偽の被害に遭う場合もあるので最後は自己責任で。
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