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2016年11月 1日 (火)

完全無欠のトップランナーの逃走(山田涼介)

「カインとアベル」が登場する「旧約聖書」の「創世記」の著者は「モーセの十戒」で知られるモーセであると信仰されている。

モーセは紀元前13世紀ごろ実在したとされる古代イスラエルのユダヤ人指導者の一人である。

当時、ユダヤ人はエジプト人によって支配されていた。

アムランとヨケベトの次男として生れたモーセはエジプト王の「人口抑制政策」により間引きされかかる。

ナイル川に流されたのである。

しかし、モーセはエジプトの王女に拾われ養育される。

モーセには兄であるアロンがいた。

ある意味では・・・アロンとモーセの関係は・・・カインとアベルの関係のモチーフとなっていると言える。

成長したモーセはユダヤ人のためにエジプト人を殺害する。

エジプト王によって指名手配されたモーセは国外に逃亡するのだった。

ここでは・・・弟であるモーセは兄であるカインのように殺人の罪により追放されるわけである。

やがてモーセは潜伏中に「神の言葉」を聞き、ユダヤ人を「約束の地」に導く指導者となるのであった。

「カインとアベル」では・・・あっさり殺される弟だが・・・「アロンとモーセ」では・・・水子にされかかった弟が英雄になるのである。

そして「カインとアベル」でも・・・カインは弟の血の呪いによってエデンの東から追放される。

アベルとモーセが・・・「弟」という要素を共有しているところが面白いのである。

トップを走るランナーは風圧を受ける・・・二番手はその分、有利であると言われている。

で、『カインとアベル・第3回』(フジテレビ20161031PM9~)脚本・阿相クミコ、演出・葉山浩樹を見た。主人公を弟に設定しながら・・・原案を「旧約聖書 創世記 カインとアベル」とすることが非常に興味深いわけである。高田総合地所株式会社の経営者一族の子供として自由奔放に育った高田優(山田涼介)がいつ・・・兄の長男で副社長の高田隆一(桐谷健太)に殺されるのか・・・それは最終回までひっぱるのか・・・そんなことで面白くなるのか・・・それとも途中で殺されてゾンビとして復活するのか・・・手に汗握るわけである。しかし・・・ここまでのところ・・・そういう気配はなく・・・やんちゃでのびのび育ったお坊ちゃまくんと・・・後継者としてのプレッシャーで張り詰めたお兄ちゃんとの「釣りバカ日誌」にしか見えないのだった。

主人公が釣りバカであり・・・釣りバカは社長の隠し子の噂があったわけである。

このドラマでは・・・ハマちゃんがスーさんの実子であるに過ぎないのだ。

まあ・・・ドラマなんてみんなどこか似てるわけだが。

ちなみに今回、案件を落札するのは「鈴建」である。

白状なのか・・・白状しているのか。

罪は犯したが罪状は否認か。

まあ・・・オープニングがソビエト共産党に迫害されかかったショスタコーヴィチがトルストイの「社会主義リアリズムの高尚な理想を示している」という好意的な評価により復活する「交響曲第5番第4楽章」だからな。

・・・そんなことお茶の間には伝わらないと思うぞ。

仄かに思いを寄せるプロジェクトチームの年上の同僚・矢作梓(倉科カナ)にレストランに呼び出された優は自転車で駆けつける。

しかし、待ち合わせ場所には梓と歓談する兄・隆一と父親で社長の高田貴行(高嶋政伸)の姿があった。

しかも・・・隆一と梓は結婚を前提に交際中だと聞かされ・・・ショックを受ける優だがなんとか笑顔で祝福するのだった。

優はいかに尊敬できる兄かを示す一つのエピソードを披露する。

幼い頃・・・父親が海岸で愛用の万年筆を紛失した・・・六歳年上の兄と砂浜で捜索を開始した優。

しかし・・・万年筆は見つからず・・・優は根をあげる。

だが・・・兄は諦めずに捜し続け・・・ついに万年筆を発見。

父は万年筆を褒美として隆一に与えたのだった。

「僕は何をやっても中途半端なのに・・・兄はいつもやり遂げるのです」

「聖書」におけるカインとアベルでは・・・カインは父・アダムと農業に従事している。

それに対してアベルは牧畜で成果をあげる。

ここでは・・・「アウトレットモール建設」という新規事業が単なる不動産業に対するデベロッパー(土地開発)の在り方として描かれてるわけである。

カインとアベルの間には二つの「競争」がある。

ひとつは・・・配偶者としての梓をめぐる競争。

ひとつは・・・事業者としての成功をめぐる競争である。

隆一には橋本衆議院議員の娘である綾乃(宮地真緒)との縁談があったが・・・それを断るためにタイ国で勧めるデペロッパー「BDC」との合併事業に奔走する。

配偶者を得ることと事業の成功を両立させようとしたのだった。

一方、優は梓との共同作業により・・・仕事の面白さに目覚める。

梓と兄の交際を黙認する方向である。

しかし・・・梓に対する思いを削除したわけではない。

そのことを表現するために・・・まるで学生サークルのようなノリの営業部・第5課の同僚社員・柴田ひかり(山崎紘菜)は優と梓の関係を勘ぐり嫉妬する。

梓は・・・ひかりの気持ちを察して小料理屋「HIROSE」に誘うと・・・女将の広瀬早希(大塚寧々)の前で「恋人が別にいること」を明らかにするのだった。

もちろん・・・嫉妬深いひかりは・・・それだけでは疑いを解かない可能性もあるわけである。

一方・・・バンコクのデペロッパー「BDC」に巨大な負債があることが発覚し・・・資金繰りに追われる隆一だった。

すでに十億円を投資しているために・・・進退窮まりつつあったのである。

その頃・・・アウトレット建設地から地元の有力者である東白河商工会議所の兵頭光一会頭(イッセー尾形)がプロジェクトチームを率いる営業部長・団衛(木下ほうか)に面会を求めてくる。

団部長は優と梓とともに面談するが・・・兵頭は「建築に際して地元企業の入札参加」を求めてくるのだった。

ここで問題となるのは地域格差である。

いかにも福島県白川地方をイメージさせる東白河の地には・・・中央の建設会社の持つ技術力に対抗できない建設会社しか存在しないのである。

兵頭は・・・地元に利益を還元するために競争力を越えて地元建設会社と契約するように根回しに来たのである。

団部長は丁寧にお断りするのである。

すると今度は「白河湖の環境を守ろうの会」の代表を称する佐野(田中幸太朗)が現れる。

「アウトレット建設には環境破壊の惧れがあり容認できない」

団部長は・・・「環境には充分配慮する」と佐野代表を説得する。

しかし・・・翌日、佐野はデモ隊を率いて「建設中止」を訴えるのだった。

ここは・・・怪しげなボランティア団体に対するおちょくりなんだな。

お茶の間の多くは何らかの裏工作の気配を感じるが・・・団部長は困窮するのだった。

再度・・・コンタクトをとると・・・佐野代表は・・・「かねてから環境問題に配慮している地元企業の起用」を推奨するのだった。

問題発生の責任を負うことを危惧する団部長は・・・会社としては不利な契約に踏み切ろうとする。

しかし・・・素晴らしいインターネットの世界を利用したおぼっちゃまくんはたちまち・・・カラクリを見抜くのである。

地元建設会社にも「白河湖の環境を守ろうの会」にも兵頭が関与していたのだった。

それどころか・・・「白河湖の環境を守る会」という環境保護団体が別にあり・・・「白河湖の環境を守ろうの会」は偽物だったのである。

おぼっちゃまくんは・・・「白河湖の環境を守る会」と交渉し・・・建設賛成の合意を得た上で・・・代表を現地に派遣する。

「一体、あななたちは・・・どういう活動をしているのですか」

本物に問われた詐欺師の佐野と日雇い団体は退散するのである。

おぼっちゃまくん・・・いやハマちゃん・・・いやさ優の勝利を祝うファンファーレが地方都市にこだまする・・・。

その頃・・・隆一の心身に異常を見出した梓は問う。

「何か・・・困ってるんじゃないの」

「全然、平気さ・・・」

隆一にはぐらかされた梓は優に尋ねる。

「隆一さんは・・・何か困ってるのじゃないかしら」

「え・・・兄貴が困るなんて・・・そんなこと考えてもみませんでした」

「私は・・・そんなことはないと思うのよ」

隆一は最後の頼みの綱である「よつ葉銀行」の頭取・田島文彦(須永慶)から追加融資を断られ断崖絶壁に追い込まれていた。

夜更けに「思い出の万年筆」を持って優の寝室を訪れる隆一。

「お前は・・・記憶違いをしているよ・・・あの時、最後まで捜すのをあきらめなかったのはお前だったんだ・・・だから・・・これはお前のものだよ」

「兄貴・・・」

翌日、隆一は失踪した。

弟を殺す前に兄が自分で自分を追放してしまったらしい。

そんな「カインとアベル」はないと思うが・・・月9だからな。

なんだろう・・・このTBSの日9を目指しているのに日テレの土9みたいになっちゃいましたって感じは。

それは主人公が醸しだす高校生感が凄いからだろう。

いつまでも若く見えるのも考えものだよな。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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