スタンプとスタンプの間の殺人(成海璃子)
素晴らしいインターネットの世界で社会的ネットワークを構築可能にするサービスの一種における絵文字機能の使用によって楽しませるドラマである。
基本的にコミュニケーションのツールというものは危険なものである。
早い話、口論から殺人事件に至ることはままあることだ。
平和愛好家たちが「武器よさらば」と口にするのはたやすいが結局、誰かが開発し、生産し、所有してしまうので「非武装の世界」は実現しない。
「しゃべるな」と言ってもしゃべるのが人間なのである。
理想は理想として・・・現実に折りあうことは常に大切である。
グローバル化によって富とともに貧困も流入する。
人類を殺すウイルスは地球を循環する。
耐震設計の想定外の巨大地震は発生する。
機械化された労働力によって人間の仕事は奪われる。
一人の小さな手は何もできないが・・・みんなが手をにぎったらとんでもないことになるのが定番なのである。
自由とは破壊であり平和とは管理なのだ。
個人的なコミュニケーションツールは・・・情報操作の温床なのである。
そういう意味で不倫をする人間は殺人もするのだった・・・おいおいおい。
で、『黒い十人の女・第9回』(日本テレビ201611242359~)原作・和田夏十、脚本・バカリズム、演出・山本大輔を見た。東西テレビの受付嬢である神田久未(成海璃子)はプロデューサー・風松吉(船越英一郎)との不倫関係を完全に清算するために正妻の風睦(若村麻由美)と九人の愛人で結成された「風の会」の総意に従い・・・十二時間の間に全量摂取すれば死に至る薬剤を十等分して所持し・・・それぞれが責任を持って松吉に摂取させることで松吉を殺害することを決意するのだった。
一年前の久未の設定
殺人 OFF
不倫 OFF
半年前の久未の設定
殺人 OFF
不倫 ON
現在の久未の設定
殺人 ON
不倫 ON
・・・ということである。
風松吉殺害計画実行の朝・・・。
目覚めた久未は思う。
(私はきっとおかしくなっているのだろう)
「風の会」は素晴らしいインターネットの世界で戦線を構築していた。
スポッ!おはようおはようおはようおはようおはようおはようございます。(≧∇≦)
トップバッターは三番目の愛人・卯野真衣(白羽ゆり)である。
松吉は朝九時に真衣の経営するアロママッサージ店に予約を入れていたのだった。
「お疲れのようねえ」
「そうなんだよ」
「左側がとくに凝っているわ」
最後のアロママッサージを入念に施術する真衣・・・。
松吉は気持ちよく寝入ってしまう。
「終了したわよ」
「気持ちよかった」
「いつものハーブティー、お飲みになる」
「うん」
いつものハーブ・ティーには死ぬ薬1./10が混入されていた。
「撮影、今日で終わりでしょう」
「うん」
「今夜はゆっくり眠れるわね」
「だね」
(永遠にね)
スポッ!任務完了1st stageクリアGOOD LUCK!!おめでとうおつかれさまでした。(≧∇≦)
不倫の終わりが命の終わりに直結することはよくあることだ。
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松吉がプロデューサーを務める東西テレビのドラマ「淡い三人の男」は前代未聞の低視聴率のために八話で打ち切りが決まっていた。
ゴールデンタイム(月曜午後10時)で平均視聴率*2.4%か・・・腰が抜けるな。
二番手はマネージャーの長谷川冴英(ちすん)である。
彼女は愛飲しているグリーンスムージーに毒を仕込んでいた。
「健康にいいんですよ」
「俺・・・青臭いの苦手なんだよ」
「飲んでください」
(そして・・・死んでください)
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スポッ!2nd stage clearやったね乙ですおめでとうございます。(≧∇≦)
三番手は愛人歴一年の女優・相葉志乃(トリンドル玲奈)・・・。
手作りクッキーをスタッフに差し入れつつ・・・松吉のためには特別の品(毒入り)を用意している。
「ありがとう・・・後で食べるね」
「今食べてください・・・食べているところを見たいから」
(そして死んでください)
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すかさず、四番手のヘアメイク・スタッフの水川夢(平山あや)が紙コップ入りの紅茶を差し出す。
「気が利くね」
しかし・・・飲み干さない松吉である。
仕方なく追跡する夢。
「どうしたの?」
「飲み終わったカップをいただこうと思って」
「大丈夫・・・自分で捨てるから」
「私・・・男の人の喉仏が動くところが好きなんです」
「え・・・そんな趣味あったの」
難航する夢の任務遂行・・・そこへ脚本家の皐山夏希(MEGUMI)が救援に駆けつける。
「私も好きだなあ・・・風さんの喉仏」
「え・・・」
「みせてくださいよ」
「しょうがないなあ」
「わあ・・・素敵」
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五番手の夏希は冷たいお茶で連続攻撃である。
「もう一回見たい」
「もう・・・無理だよ」
「アンコール」
(死ね)
「アンコール」
(死ね)
「アンコール」
(死ね)
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「うわあ・・・もう・・・腹がジャブジャブで・・・」
しかし・・・任務を終えた二人の女は足早に去っていくのだった。
「淡い三人の男」はスタジオ・セットで最後の撮影に入っていた。
「ご注文は・・・」
「アイスキャラメルラテで」
「私もそれでいいわ」
「それから・・・カニラーメン」
「まるでラーメンドラマみたい」
「ラーメンドラマだろう」
「不倫ドラマです」
「沖田くん・・・何とか云いなさいよ」
「近藤さんにまかせています」
「切腹よ」
「幕末感醸しだしてますね」
「ここだけてみたら意味不明ですよね」
「全編見ても意味不明よ」
「脚本書いててわけわからなかったもの」
「低視聴率脚本家のレッテルが・・・」
「超低視聴率で逆に話題に」
「ここまで悪いとCM契約的にも苦しくなるんですよね」
「このドラマの場合は出演者に問題ないわ」
「でも・・・ほとんどの人が見ていないので結果だけが独り歩きするんですよ」
「あるある」
六番目のヒットマンは・・・仕事が雑と周囲に指摘されているAPの弥上美羽(佐藤仁美)である。
仕出し弁当のから揚げに薬をふりかけようとするが失敗。
薬は床に・・・。
かっては修羅場を演じた冴英がフォローする。
「大丈夫・・・ゴミが入っているけど」
「平気です・・・どうせ・・・死ぬんですから」
しかし・・・毒入り弁当は・・・他のスタッフの元へ・・・。
「うわあ・・・なんだこれ・・・ジャリジャリしている」
「大丈夫かしら」
「1/10ですから」
ポスッ!失敗しましたBBABBABBAヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`Д゚)・;
ポスッ!予備をバイク便で着払い了解です。(゚▽゚*)
「遥かなるサンフランシスコ」のチラシと共に薬が到着。
しかし・・・再び失敗する美羽。
ポスッ!失敗しましたBBABBABBAヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`Д゚)・;何してんだコラ!
ポスッ!予備をバイク便で着払い了解です。(゚▽゚*)
倍増した「遥かなるサンフランシスコ」のチラシと共に薬が到着。
調整室で口を開けて眠る松吉。
夢の中で・・・松吉は口の中に虫が飛びこむ夢を見る。
(直接かよ)
(直接か)
(直接)
美羽の雑な仕事ぶりに唖然とする愛人仲間たち・・・。
「ゲホッ」
咽かえる松吉・・・美羽は紙コップのお茶で強引に流し込ませる。
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「はあ・・・死ぬかと思ったよ」
(死ぬんだけどね)
スポッ!任務終了BBAハラハラさせやがる!(゚▽゚*)(o^-^o)(≧∇≦)
夕暮れのカフェで松吉を待つ七番手の久未と八番手の文坂彩乃(佐野ひなこ)・・・。
「二人で風さんを待つなんて・・・不思議な感じ」
「時間通りに来るかな」
「割と時間には正確だもの」
「じゃなきゃ・・・九人も愛人作れないよね」
「彼といて幸せだったことってある?」
「旅行とかも行ったけど・・・彼がお泊まりして・・・朝ごはんとか一緒に食べた時かな・・・いってらっしゃいって送り出して」
「私も・・・夫婦ごっこみたいな」
「こうやって結婚できない女が生み出されるのよね」
「略奪するほど根性ないしね」
「・・・今でも彼のこと・・・愛しているの?」
「愛してる」
「でも殺すの?」
「愛してるから」
「・・・私もだよ」
「お待たせ~」
到着した松吉は身体の不調を訴える。
「私・・・元気が出るクスリ持ってますよ」
久未はストレートに薬を出して・・・彩乃は水に薬を混入する。
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「ありがとう・・・」
「風さんにとって私との一番楽しかった思い出ってなんですか」
「久未ちゃんとは温泉に行ったよね」
「私は?」
「彩乃ちゃんとは海に行ったよね」
「行きましたね」
「これからも・・・仲良くしようね・・・友達として」
「それじゃあ・・・私たち、行きますね」
「え・・・もう行くの」
「風さんはゆっくり休まないと」
「・・・」
「さようなら」
「またね」
「私たち・・・今でも風さんのことが好きですよ」
「死ぬまでね」
(風さん・・・永遠に・・・さようなら)
久未と彩乃は胸を張って店を出る。
晴れ晴れとした別離・・・。
スポッ!任務終了御苦労様(^^)/コングラッチュレーション(≧∇≦)(≧∇≦)(゚▽゚*)
レストランで待っている九番目の刺客は最初の愛人・・・売れない女優・・・如野佳代(水野美紀)である。
重ねてきた誕生日サプライズのラスト・ターゲット!
「ハッピーバースデイトゥユウ・・・」
「え・・・」
バースデーケーキと共に花束を抱えた松吉。
「なんでこんなことするのよ・・・」
「まあまあ・・・ろうそくを吹き消して」
松吉が席を外した隙にゴブレットに薬を投入する佳代。
「私のどこが好きだったの」
「一緒にいて楽しいところ・・・」
「割と普通ね」
「君こそ・・・僕のどこがよかったの・・・」
「最初は優しさに魅かれたの・・・結婚したいとも思った・・・でも・・・美和さんを愛人にしたりして・・・それから九人も愛人を作ったりして・・・とんでもない男だと思ったけど・・・嫌いにはなれなかった・・・むしろ・・・どんどん好きになって・・・今でも殺したいほど愛しているの」
「今までありがとう・・・これからも・・・末永く・・・仲良くしてよ・・・」
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スポッ!ミッション終了!最後はよろしくお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますおまかせあれ。
松吉は帰宅した。
睦は笑顔で出迎える。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「お疲れのようね」
「なんだが動悸が」
「お薬飲みますか・・・」
「うん」
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スポッ!完了しました既読既読既読既読既読既読既読既読・・・。
風は血を吐いて倒れた。
女たちは「風の会」の通信記録を削除した。
佳代は「遥かなるサンフランシスコ」の舞台稽古に熱中していた。
「遅いんだよ・・・心のパスポートの有効期限が切れてんだよ・・・心の住民票からやりなおしやがれええええええ」
「はい・・・そこまで・・・いいね」
久未は受付嬢として飄々と過ごしている。
昨夜は合コンで・・・新しい出会いを求めて・・・二日酔いである。
その時・・・一通のメールが届く。
《風は生きている》
「え?」
なにしろ・・・最終回は来週なのである。
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