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2016年11月22日 (火)

汝、兄の婚約者とイチャイチャすることなかれ(山田涼介)

原案である「旧約聖書 創世記 カインとアベル」には人類は四人しかいない。

だから・・・カインとアベルは一人の女を巡って争奪戦を繰り広げたりはしないわけである。

あるとすれば・・・母であるイヴを巡っての争奪戦で・・・別の意味で危険である。

カインはアベルを殺した後でエデンの東を追放され・・・名もなき妻を娶るが・・・女がイヴしかいないので・・・その女は実の妹であることになり・・・別の意味で危険なのだ。

もちろん・・・神話世界の出来事であり・・・アダムとイヴは多くの子女を生み、子女たちは近親婚を重ねて子孫を繁栄させるのでカインの妻は第三世代以後の女かもしれない。

なにしろアダムの寿命は930才である。

昔の人は長命だったのだ。・・・あくまで「聖書」の話である。

だが・・・人が「神の愛を疑ったり」「神の心を裏切ったり」することを表現しようとするとどうしても「恋愛がらみ」にしたくなるわけである。

「カインとアベル」をモチーフにした小説「エデンの東/ジョン・スタインベック」(1952年)では兄弟の母親は売春婦という設定になっている。

映画「エデンの東」(1955年)でも兄の恋人が弟と心を通わせる描写はかかせないわけである。

とにかく・・・現代に置換すれば・・・「神の愛」よりも「色恋沙汰」なのである。

「カインとアベル」の作者であるとされるユダヤの指導者の一人モーセは神から「十戒」を伝授されるわけだが・・・「十戒」も宗派によって些少の差異があるが・・・基本的にはこんな感じである。

一つ、神様と言えるのは私だけ

二つ、気安く神の名を呼ぶな

三つ、日曜日は大切

四つ、親孝行すること

五つ、殺すな

六つ、姦淫するな

七つ、盗むな

八つ、嘘をつくな

九つ、他人をうらやむな

十、アイドル禁止

カトリック教会ではアイドルは禁止しないが・・・「姦淫するなかれ」の上で「隣人の妻を欲してはならない」と不倫を禁じている。

つまり・・・いくらグラマーな兄の恋人の胸を背中に押し付けられても弟は欲情してはいけないということである。

神への信仰を別にすれば・・・現代の日本人の倫理は概ね・・・十戒をそれほど抵抗なく受け入れることだろう。

不倫が叩かれる由縁である。

で、『カインとアベル・第6回』(フジテレビ20161121PM9~)脚本・阿相クミコ、演出・葉山浩樹を見た。原案を「旧約聖書 創世記 カインとアベル」とする以上、クリスチャンとしての教養は要求されるだろうが・・・あくまでドラマである。ここまで明らかなことは・・・「神の愛への嫉妬」が・・・「親子関係」や「恋人関係」のもつれにレベルダウンしていることは明らかである。まあ・・・神の愛を押しつけられてもお茶の間は困惑するばかりだろうしな。

少なくともキッドは悪魔なので立場上、神の愛は求めていません。

高田総合地所株式会社の社長である父親の高田貴行(高嶋政伸)から米国の高級リゾート経営企業「Draymond Hotel & Resort」」との提携事業についてのプロジェクト・リーダーに抜擢された次男の高田優(山田涼介)は残業中だった。

そこへ・・・長男で副社長の高田隆一(桐谷健太)の婚約者の矢作梓(倉科カナ)が現れ、優を背後から抱きしめるのである。

淫乱な性格である梓は・・・マリッジ・ブルーに陥り・・・優に甘えているらしい・・・おいおい。

最近・・・ノイローゼという言葉は流行っていないようだが・・・長年に渡って抑圧を受け、人格を歪ませた貴行の破綻しかかった精神状態を何と呼べばいいのだろう。気の迷いか?

とにかく・・・出来の悪い弟が突然、頭角を現し、父親の愛が分散する可能性に怯える兄は・・・弟と職場を共にする婚約者が・・・自分を裏切る可能性に気が付き疑心暗鬼になってしまった。

社長夫人は専業主婦でなければならないと確信しているわけでもないのに貴行は「俺と弟、どっちを選ぶ」と言い出して・・・結婚もしたいし仕事もしたいという梓を不安に陥れる。

そのあげく・・・梓は心の安定を求めて・・・コントロールしやすい上司に甘えにきたらしい。

そして・・・優もまた・・・仕事にやりがいを感じさせてくれた「目の前の人参」として梓をそこはかとなく慕っているわけである。

「どうしたの」

「わかんない」

「兄と何かあったの」

「わかんない」

「・・・」

「はい・・・ここまで・・・お仕事がんばってください」

お茶の間、騒然である。

いろいろな解釈の仕方があるだろうが・・・梓は神の言いつけに背き蛇の誘惑に踊らされるイヴの末裔と言うことなのだろう。

つまり・・・倫理的に問題のある人格なのである。

だが・・・それは今の処・・・優だけに特別に見せる裏の顔という寸止めにチャレンジする梓なのだった。

しかし・・・優にとっては辛抱たまらん下半身なのであろう。

帰宅した優は・・・兄と梓の関係について立ちいることはしない。

一方・・・隆一は・・・梓と弟の仲を直感的に疑っているので・・・ことさら・・・結婚について強調するのだった。

「今日も結婚式の準備を彼女と進めていたんだ・・・お前も結婚について真剣に考えろ」

「いや・・・僕はまだ・・・結婚なんて」

「彼女はいないのか」

「いませんよ」

「まさか・・・童貞じゃないだろうな」

「ノーコメントです」

タイ国におけるデペロッパー「BDC」との合併事業のための資金調達に躓き、弟の援助によって窮地を脱した兄は・・・人格が崩壊するような精神的危機にあった。

新事業のリーダーを父親が弟に決めたこともダメージとなった。

困難を克服し・・・無理に無理を重ねて築いた人生のすべてを「出来の悪い弟」に奪われる・・・そういう被害妄想が脳内に膨れ上がっている隆一なのである。

これは・・・まさにノイローゼだよねえ・・・。

クレイジーだし・・・精神に問題のある人だよねえ・・・。

人は誰しも狂っているところがあるから・・・そういう言葉は駆逐されやすいんだよねえ。

つまり・・・心が呼吸困難になってチアノーゼ(青紫変色)になってしまったと。

もちろん・・・梓が悪いわけではないが・・・お茶の間的には悪女境界線上の女になっていることは明らかなのである。

隆一は心を安定させるためにあがく・・・。

一つ、梓を弟から切り離すために専業主婦にすること。

二つ、弟の仕事に介入して父親の信頼を独占すること。

だが・・・恋人の梓は「仕事に生きがいを感じている」と言うし、父親の貴行は「あの仕事は優に任せる」と言うのだった。

(何故だ・・・何故なんだ・・・何故・・・俺をないがしろにする)

隆一は「完全無欠」を追及するあまりに・・・「自分を過信」してしまったのである。

神の如く・・・孫の心理を見抜く・・・祖父で会長の高田宗一郎(寺尾聰)は隆一に「経営者にとって一番大切な心得」を説く。

「経営者にとって必要なことは何か」

「孤独に耐える心です」

「自分の周囲に心を許せる人間を多くもつことだ」

「そして・・・韓国の大統領のように傀儡と後ろ指をさされるわけですか」

「・・・」

問題は求心力である。

「君のためなら死ねる心」をどれだけ集めるかだよね。

そうなのか!

それはさておき・・・このドラマではここまで・・・合理的にリスクを回避することは「企業」にとって「悪」で・・・「冒険心」が「善」ということらしい。

まあ・・・百歩譲ってバランスですよね。

この間まで「リスク・マネージメント」を叫んでいたのにね。

しかし、ノイローゼ状態で精神が脆弱な状態になっている隆一は「肩の力を抜け」という慰安の言葉が自分を「全否定」する言葉に聞こえてしまうわけである。

「新しいリゾートホテルのコンセプトは・・・自分だけの空間、自分だけの自然・・・にしようと思うんだ」

「すごくいいですねえ」

優の提案に賛同する営業部 5課の安藤(西村元貴)や三沢(戸塚純貴)の抜擢組。

営業部 5課の佐々木課長(日野陽)は「彼が遠くに行ってしまう」と残留組の柴田ひかり(山崎紘菜)の心を代弁する。

ひかりは再び「映画デート」を申し込んでなんとか優と繋がろうとする。

小料理屋「HIROSE」の女将・広瀬早希(大塚寧々)はひかりに「早く気持ちを伝えなさいよ」と発破をかけるが・・・ひかりにはそんな自信はないのである。

自分が傷つくことが恐ろしいのである。

だが・・・女の勘で・・・優の心が梓にあることは確信しているのだった。

直感的認知と・・・論理的認知の対立も繰り返される主張である。

隆一は梓に・・・「主婦」としての生きがいを提示することが求められるが・・・自分のことを第一に考えてもらいたい一心で・・・自己主張のみを重ねる。

「家庭に入って欲しい」

「私を縛りつけたいから?」

互いに自己保身の応酬をする恋人たちだった。

そもそも・・・梓はそういうことも充分に話し合わないで・・・隆一との結婚を決めているわけである。

しかし・・・「聖書」の世界では基本的に「女」は「愚か者」と相場が決まっているのだ。

なにしろ・・・「新約聖書」は夫ではなく神の子を受胎する聖母の話である。

それ以上はやめておけよ。

貴行は梓との婚約を社内に発表する。

玉の輿のサプライズに沸く社内。

弟の抜擢のニュースに兄が拍手を逡巡したように・・・兄の婚約のニュースに拍手することを逡巡する弟。

そして・・・神がすべてを見ているように・・・ひかりは優の「心の葛藤」を見逃さないのだった。

兄の婚約者に寄せる弟の「誠実だが不誠実な想い」を・・・。

「好きになっちゃったらしょうがない」は恋愛ドラマのセオリーだが・・・「失楽園」の世界では「ハッピーエンド」は許されない風潮もあるのだ。

すべての「愛」はある程度、「妥協」の産物なのである。

その道に踏み込む場合・・・主人公は・・・「邪悪」にならないようにガードをされる。

そのために・・・「女」が「邪悪」になるしかないのである。

梓は・・・隆一との結婚を否定しない上で・・・優にもたれかかってくるのだった。

隆一は弟の失速を求め・・・団衛営業本部長(木下ほうか)にさりげなく言葉をかける。

「弟のことでご心配をかけて・・・」

「いえ・・・なかなかよくやっています・・・私も目が覚める思いです」

隆一の求める言葉を・・・誰も発しないのだった。

父親の貴行も・・・「兄を見習え」と優に言った後で・・・優と親密な打合せを始める。

(この・・・俺の苦労を知りもしない弟が・・・俺から何もかも奪っていくのか)

ノイローゼの隆一の心に黒い渦が発生する。

邪悪なイヴを代表する自由奔放な女・桃子(南果歩)は貴行に思わせぶりな言葉を投げる。

「タイの一件・・・もう少し関心を持った方がいいわよ」

「あれは・・・隆一にまかせてある」

「そう・・・」

優は投資家・黒沢幸助(竹中直人)からの電話を受ける。

「あ・・・俺、俺」

「詐偽ですか」

黒沢に呼び出された人魚が水槽で泳ぐ紳士の社交場・・・。

「お前の兄貴も親父もダメだな」

「何を言っているんです」

「守りに入った経営者なんて食いものにすぎないってことだよ」

「しかし・・・あなたの融資で危機を乗り越えました」

「ガタの来ている車は一度修理したくらいじゃ・・・どうにもならんさ」

「そんな危険な投資を何故したのですか」

「そりや・・・桃ちゃんを愛しているからさ」

「・・・」

「それに・・・俺は優も愛している」

「え」

桃子がイヴなら・・・黒沢は蛇なのである。

その真意は不明だが・・・黒沢と桃子は・・・タイにおけるビジネスについて危惧を感じているらしい。

そのようなビジネスに巨額な投資をしている隆一は・・・守りに入っている経営者と言えないのではないかと考える。

「Draymond Hotel & Resort」の最高責任者スティーブン・ホールに対するプレゼンテーションを準備する優は日本支社のエリックから13点に渡るチェック・ポイントで「ダメ出し」をされる。

表現としてはギリギリの曖昧なビジネス描写の中・・・優は「大変な状況」を仲間とともに乗り切るのだった。

貴行は優に声をかける。

「仕事は順調か」

「楽しいです・・・僕がダメなのでみんながフォローしてくれます」

隆一は歯がゆいものを感じるが貴行は目を細める。

隆一は不条理なほどに「不公平さ」を感じるのだった。

「作戦会議だ」

小学生にもわかる駆け引きのポイントを優に伝授する貴行・・・。

「向こうは・・・ロイヤリティー(上納金)を30%要求してくる・・・そこでこちらは15%と回答する」

「・・・」

「そして・・・20%で折り合いをつけるのだ」

「双方歩み寄ったら20~25%の間になるのでは」

「話がややこしくなるから・・・それはいい」

お茶の間対策らしい。

奮闘するプロジェクトチームには・・・お遊びで木曜日のドラマ「Chef〜三ツ星の給食〜」の登場人物・高山晴子(川口春奈)が「奇跡のスープ」の差し入れを持って登場する。

美少女不足の月9が一瞬輝いたのである。

その分・・・去った後が・・・まあ、いいか。

そして、リゾートホテルの建設予定地を下見する優と梓。

「二人は名コンビです」と団衛営業本部長は貴行に追従する。

二人が行動を共にしていることに黒く染まる貴行の嫉妬心。

明らかに観光地でデート気分の優と梓である。

「気分転換に散歩に行きましょう」

夕闇の迫る海岸である。

「仕事って楽しいよねえ」

「仕事辞めるんでしょう」

「え」

「兄が・・・」

「そうか・・・」

「この間・・・兄と何かあったんですか」

「優くんて・・・不思議よね・・・優くんの前だと素直になれるのよ」

「・・・」

「泣きたい時には泣けちゃうし・・・」

「僕でよかったら・・・いつでも泣いてください」

見つめ合う二人である。

妄想で「あーっ」と叫ぶ隆一だが・・・それはほぼ現実化しているのであった。

「戦いの際中に何をやっている」

「あなたは少佐の邪魔をする悪い人」

「だって僕らはわかりあえるじゃないか」

「あなたが来るのが遅すぎたのよ」

「誰がシャアだって」

ガンダム禁止だと何度言ったら・・・。

地震が発生して津波が到来しているぞ。

ニュージランド地震の直後に東日本地震・・・2011年を思い出す・・・。

もっと重厚な三角関係の「べっぴんさん」のオンエアがないじゃないか。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

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