Chef〜三ツ星の給食〜(天海祐希)学校給食で星ひとつ取っちゃいました(川口春奈)
小学校を舞台にしたドラマを作る力が・・・失われているのか・・・それともお茶の間に・・・子供を見たいと思う人がいなくなってしまったのか・・・。
このドラマの視聴率推移はいろいろと考えさせるところである。
*8.0%↘*7.0%↘*6.2%↘*4.9%↗*8.0%↘*7.3%↘*6.6%↗*8.0%↘*6.2%・・・なのである。
このドラマには三つの舞台がある。
一つは主人公の本来の職場である三つ星レストラン。
一つはオーナーと対立しレストラン業界を追われた主人公がたどり着く学校の給食室。
そして・・・主人公が開業するフレンチ屋台である。
欲張りすぎたので・・・視聴率は底辺まで落ちた。
この後も視聴率は乱高下するが・・・ドラマが「主人公の人間性の回復物語」であることに気がついた一部お茶の間はそれなりに好感度をあげて・・・最終回にたどり着いたものと思われる。
結局、子供たちは・・・主人公が「心を取り戻すための道具」なのである。
やがて・・・主人公がとある理由で子供を捨てた母親であることが明らかになり・・・「彼女の理由」が許容範囲かどうかで・・・お茶の間の反応は再び分かれたと思われる。
主人公が作るそれなりに工夫された「最高に美味しいもの」はお茶の間を釣る切り札にはならなかったようだ。
同じ・・・「腕が自慢の女性主人公」が驚異的な視聴率を獲得していることを考えると・・・色々と参考になるが・・・まあ・・・そういうことを分析してもあまり意味はない。
なにしろ・・・ここは谷間なのである。
で、『Chef〜三ツ星の給食〜・第1~最終回(全10話)』(フジテレビ20161013PM10~)脚本・浜田秀哉、演出・平野眞(他)を見た。脚本家は原作ありだがドラマ「ナオミとカナコ」(平均視聴率*7.5%)で一部お茶の間のそれなりの興味を集めた人である。「ラストホープ」とか「破裂」とか一応の作品を仕上げているので・・・このドラマもそれなりによくできているのだが・・・少しパンチが足りない気がしました。まあ・・・今回はオリジナルなので・・・色々と欲張っちゃったのか・・・注文が多かったのか・・・どちらかなのではないかと。
「The Red Star Guide」というレストランの評価を星の数で表すことで知られるレストラン・ホテルガイド「レッド・ミシュラン」を模したフィクションが基調となっていて・・・主人公の星野光子(天海祐希)は有名フレンチレストラン「ラ・キュイジーヌ・ドゥ・ラ・レーヌ」で三つ星(最高)の評価を受けているシェフである。
しかし・・・オーナーの篠田章吾(小泉孝太郎)と・・・経営上の問題で衝突し・・・光子は「食中毒」の濡れ衣を着せられてフレンチ業界から追放されてしまうのだった。
バラエティー番組のプロデューサー・矢口早紀(友近)は光子の存在に注目し、彼女を学校給食の世界に導く。
三つ葉小学校の給食室には栄養士兼調理師の荒木平介(遠藤憲一)がいて・・・「美食」とはほど遠いが・・・「食べ残し」の少ない「美味しい給食」を求めて奮闘しているのだった。
給食室のメンバーは・・・元力士(荒川良々)、元ホスト(池田成志)、過食症で買い物依存症(伊藤修子)、謎の女子大生アルバイト・高山晴子(川口春奈)という顔ぶれ。
光子と荒木は当然の如く衝突するが・・・やがて・・・「料理のプロ」としてお互いの存在を認め合うようになっていくという趣向である。
「自分が作る最高の料理」を目指していた光子は・・・いつしか・・・「他人のために最高の料理を作る喜び」を感じるようになるのだった。
まあ・・・どこがどう違うのかは・・・そう思える人とそうでない人がいると考えます。
何故か執念深い篠田オーナーは・・・なんとか料理人として再起しようとする光子をあの手この手でつぶしにかかる・・・。
終盤で・・・家庭と仕事の選択を夫に迫られた光子が・・・離婚し・・・幼い娘の親権を奪われた過去が判明し・・・高山晴子が本名・桜井ひかりという実の娘だったという展開・・・。
ひかりは・・・悪い母親と教え込まれていた光子の・・・実際の姿を知り・・・和解するのでした。
こういう大体・・・予定調和のところが・・・もう一工夫必要なんだな・・・きっと。
そして・・・学校給食が給食センターに統合されるという給食室の危機が発生。
同時に「ラ・キュイジーヌ・ドゥ・ラ・レーヌ」を引き継いだシェフの奥寺健司(豊原功補)のオリジナリティーにも問題が生じ・・・格下げの可能性が・・・。
そこで・・・オーナーは「光子の料理のファンで・・・独占できないなら・・・誰にも食べさせたくなかった」という・・・なんだかなあ・・・の本音が炸裂するのである。
「戻ってきてほしい・・・」
オーナーの言葉に揺れる光子。
給食室の存亡をかけて・・・「しいたけ・ピーマン・セロリ・ねぎ(ニンジンじゃないのかよ)」という子供の苦手な食材四種を使った給食イベントを開催する給食室チーム。
そのイベントに「The Red Star Guide 」の日本人審査員・益子洋一(丸山智己)が参加していたのだった。
結果として・・・「ラ・キュイジーヌ・ドゥ・ラ・レーヌ」は星二つに評価を下げるが・・・三つ葉小学校の「給食」が星ひとつを獲得してしまうのだった。
「The Red Star Guide 」の星を獲得した給食を失うわけにはいかないと行政が動くのだった。
給食室の存続は決まったが・・・「なんで私の料理が星ひとつなのよ」と憤慨する光子。
こうして・・・光子は・・・「星三つの給食」を目指し・・・給食室の女王になるのだった。
まったく悪くはないが・・・これはもはやどうしても見たいドラマではないのだと考える。
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