あなたが愛したクエストとダンジョンそして賢者の石(山田孝之)
佳境である。
冒険者たちは試練に挑み、経験を積んで成長し、ついには最強の敵を倒して世界を破滅から救う。
RPGの世界では素晴らしい結末が用意されているのが普通である。
「北方領土をとりもどせ!」というゲームがあるならば・・・「平和的解決」というものの困難さは明らかである。
相手は「魔王」ではなく「人類の一部」なのである。
そしてプレイヤーは「絶対に武力行使できない」という超絶的な難度の「縛り」を自らに課している。
ほとんど「無理ゲー」なのである。
プレイヤーから見れば・・・相手は条約を破棄して家事場泥棒のように領土を不法占拠しているわけだが・・・勝てば官軍であり、実効支配を七十年間積み重ね、安全保障上の問題からも「返還など問題外だし、指定されたエリアはすでに自国の領土以外の何物でもない」と主張する。
「第二次世界大戦の結果、取得した」と相手が言っている以上・・・「第三次世界大戦」の戦勝国にならない限り・・・プレイヤーは「北方領土」を取り戻すことができない。
それでも・・・権謀術策を重ね、あらゆる非合法活動を展開し、武力以外の方法で・・・目標達成は可能かもしれない。
ただし・・・「話し合い」で解決することは無理だろう。
七十年かけて無理だったのだから。
「話し合い」を続けているうちにほとんどの人間は一生を終える。
つまり・・・「引き分け」である。
「引き分け」とは現状維持のことなのだから。
プレイヤーは「臥薪嘗胆」を続け、「憲法改正」をして「核武装」を達成し・・・「相手国」を滅亡させる覚悟で・・・挑む必要があるが・・・基本的に・・・一般市民はそんなことで「流血」するのは好まないものだ。
だから・・・せめて・・・「魔王」は滅ぼしたいのである。
で、『勇者ヨシヒコと導かれし七人・第11回』(テレビ東京201612170018~)脚本・演出・福田雄一を見た。「空飛ぶお城」に乗って「魔王の城の門」に到着した勇者ヨシヒコ(山田孝之)と賢者のメレブ(ムロツヨシ)、バトルマスターのダンジョー(宅麻伸)、そして魔法使いのムラサキ(木南晴夏)である。キラーマシン(監督)は「最終回直前」を口上する。はじまればおわめのがこの世界の宿命なのである。季節はすでに最終回のシーズンに突入しているのだった・・・。
「なんか・・・いつもより本格的だな」とメレブ。
「パシフィコ~横浜」と仏(佐藤二朗)が登場し、ヨシヒコはウルトラアイを装着。
すでに手を添えずにウルトラアイが顔から落ちないヨシヒコだった。
「正式名称・横浜国際平和会議場という神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目にある世界最大級の国際会議場と展示ホールとホテルからなるコンベンション・センターを使っただじゃれは・・・いいから」
「そんなあ・・・みんなに喜んでもらおうと思って・・・」
「いいから本題に入れよ」
「魔王の城へと続くダンジョンに・・・三つの宝が隠されている・・・七つのオーブで選ばれし六人を召喚した後・・・魔王を倒すためには三つの宝が必要なのだ・・・一つ、ムラサキのための賢者の石、一つ、ダンジョーのための炎の刃、一つ、ヨシヒコのためのトドメの剣・・・この三つのアイテムを入手すれば魔王戦はクリアできます」
「え・・・」
「なにか」
「私にはないのか」
「鼻と口の間に・・・ブラック・ダイヤモンドがある・・・無敵である」
「・・・」
「ありのままで・・・」
「ペヤングフェイスのバカ」
ヨシヒコたちは・・・「仮面ライダー」的な洞窟風(栃木県宇都宮の大谷石採掘場)のダンジョンへ入った。
「あ・・・あんなところに宝箱があるよ」
「本当ですね」
「よせ・・・ヨシヒコ・・・それはきっとミミック(宝箱に擬態した魔物)だ」
「あけちゃった」
ヨシヒコは「賢者の石」を入手した。
「そんな・・・簡単に・・・」
「私のだ」
ヨシヒコは「賢者の石」をムラサキに渡した。
「あああああ・・・入ってくる・・・入ってくるよ・・・呪文が」
すべての呪文がムラサキにインストールされた!
「私にも・・・私にも」
ムラサキは「賢者の石」をメレブに渡した。
「賢者の石」は砕けて散った!
「えええええ」
賢者の石とは中世ヨーロッパの錬金術師が用いた触媒的鉱物である。「ドラゴンクエストシリーズ」ではパーティ全体のHPを回復するアイテムであるが、「ハリー・ポッターシリーズ」ではあらゆる金属を黄金に変え、飲めば不老不死になる「命の水」の原料となる。ここでは使い捨てのムラサキ専用呪文データベースらしい。
「賢者なのに・・・賢者の石に拒否されるとは・・・」
「私はすべての呪文が使えるようになったよ」
「ブラズーレ」
「きゃっ」
「どうやら・・・ブラズーレを打ち消す呪文は知らぬらしい」
「解けよ」
「メレブ様・・・お願いしますと言え」
「くそお・・・」
ムラサキ、かわいいよムラサキである。
ちなみにブラズーレはノーブラでもずれた感じがする呪文である。
ヨシヒコは異様な紋様に囲まれた階段を発見する。
「階段って・・・どこにも通じていないじゃん」
「いや・・・これ、そういう風に見える表現方法だから」
「昇りましょう」
しかし、一歩踏み出したヨシヒコたちは滑るように紋様の外側に吐き出される。
動く床だった。
「一体これは・・・」
「よく見ろ・・・床に矢印が書いてある。踏み出す場所を間違わなければ階段にたどり着ける」
「はい」
しかし・・・ヨシヒコは馬鹿なので「正解」を発見できない。
「やめて」
「目が回る」
「ヨシヒコ・・・慎重に・・・」
ムラサキが正しい道筋を見つけた。
落とし穴に見える中間地点によるクリアである。
「ここだよ・・・」
しかし・・・ヨシヒコはうっかり道を踏み外す。
「ヨシヒコ~」
ヨシヒコ、馬鹿な子ほどかわいいよ、ヨシヒコである。
階段から逆算するのが基本である。
新しいフロアで洞窟奥の宝箱を発見する一同。
手前に「怪しい岩」があり、宝箱の直前には「怪しい龍の像」がある。
「行きましょう」
「待て・・・ヨシヒコ」
「龍の像」から炎が噴き出し・・・ヨシヒコは棺桶モードに移行した。
「ザオリク」
ムラサキはザオリクを唱えた!
ヨシヒコは生き返った!
「ドラクエⅤの火炎放射器の罠だな」
「ドラクエ?」
「よし・・・私の出番だな・・・私はアツアツのタコ焼きを丸のみできるタイプだ」
「おっさん」
「龍の像」から炎が噴き出し・・・ダンジョーは棺桶モードに移行した。
「ザオリク」
ダンジョーは生き返った。
「熱いのが平気とか・・・そういうレベルの話じゃないから」
「それではくぐりましょう」
「あ・・・ダメ・・・ヨシヒコ」
「龍の像」から炎が噴き出し・・・ヨシヒコは棺桶モードに移行した。
「ザオリク・・・マジックパワーポイントがなくなっちゃうよ」
「それでは飛び越えて・・・」
「待った・・・もう少し頭を使え・・・これは岩とかで塞ぐパターンだけど・・・ゲームの画面上ならまだしも・・・㌧ある岩なんか動かせないし」
「ゲーム?」
「動きます」
ヨシヒコは岩を動かし、「龍の像」の口を塞いだ。
しかし、行き過ぎた。
「龍の像」から炎が噴き出し・・・ヨシヒコは棺桶モードに移行した。
なんとか・・・宝箱にたどり着く一同。
「これは・・・炎の刃があるパターンだな」
しかし、宝箱はミミックだった。
ミミックはザラキを唱えた!
ヨシヒコは死んでしまった・・・。
「ザオリク・・・もうMPなくなっちゃった」
「これは一度回復する必要があるな・・・ダンジョン攻略の基本だし」
「でも・・・ダンジョンの外に宿屋なんてあったか」
「外にはないが・・・内にあった・・・」
ダンジョンの中で「宿屋」を発見した!
宿屋の女将は「千と千尋の神隠し」で湯屋「油屋」を経営する湯婆婆(声・夏木マリ)を連想させる徹子(池谷のぶえ)だった。
「やばい・・・メにされてしまう」
しかし、徹子は1泊1人1万ゴールドという高額な宿泊代を請求するが、旅人たちの苦労話に「女将の部屋」で耳を傾ける隙間産業の覇者だった。
ただし、芸人には厳しく、タモリでさえネタの披露を要求されるらしい。
「ここで回復して奥へ行ったものは・・・結局・・・誰も帰ってこなかったけどね」
女将の言葉に「復活できない完全なる死をもたらす魔王の力」を思い出す一同。
何故かメレブはヨシヒコと添い寝をするのだった。
一同は「宿屋」で回復した。
一同は青と白のストライプ柄に囲まれた宝箱を発見した。
「これは危険だな」
「でも毒の沼じゃないよ」
「いや・・・ビリビリくる奴だ」
「行きましょう」
「あ・・・だめ・・・」
ヨシヒコはダメージを受け瀕死となった。
「あれだ・・・HPが1になっちゃう奴だ」
「ヨシヒコ・・・動くな」
「ここはリレミト(ダンジョンの外に出る呪文)だ」
「リレミト!」
しかし、呪文は不思議な力でかき消された。
「ダメか・・・よし・・・ルーラでどこかの村に飛ぼう」
「ルーラ!」
しかし、一同は洞窟の天井に阻まれた。
「痛い」
ダメージを受けてヨシヒコは棺桶モードに移行。
「今回はドラクエあるあるだな・・・」
「あるある?」
一同はヨシヒコの棺桶を渡って宝箱を開いた。
「私を踏み台に・・・」
「靴は脱いだから・・・」
ダンジョーは「炎の刃」を手に入れた。
ダンジョーは最強のバトルマスターとなった。
強敵が現れた!
ムラサキはヒャダルコを唱えた!
強敵Aは一撃で倒された!
ダンジョーは剣を使った!
強敵Bは一撃で倒された!
メレブはチョヒャドを唱えた!
強敵Cはカーディガンを羽織りたくなる程度に肌寒さを感じた!
・・・一行は休憩した。
メレブが新しい呪文を覚えた!
「魔王に効くのかよ」
「マオーに効くね・・・だから私はこの呪文にアサダと名付けたよ」
「浅田真央っていうダジャレかよ」
「スケートだけによくすべる」
「この呪文をかけられたものは回転してジャンプしたくなる」
「かけてください」
「アサダ」
「ああ・・・ジャンプがしたい」
ヨシヒコは「シングルサルコウ」と「シングルトウループ」を飛んだ。
「陸上フィギュアって・・・結局、ダンスとどこが違うんだ」
「芸だから・・・あくまで芸だから」
一同は妖怪ウォッチの登場キャラクター・ジバニャン(トラックに轢かれて死んだ猫が成仏できず、地縛霊となったプリチー族の妖怪)に似たキラーキャット(声・小桜エツコ)に守護された宝箱を発見する。
「可愛いな」
「待て・・・ダンジョー・・・いつもこの手の奴に痛い目にあってるじゃないか」
メレブの危惧したように必殺技「ひゃくれつ肉球」で変顔(白目を含む)を披露する一同だった。
「強い・・・」
「アア・・・ツカレタ」
「怠け者なのでは・・・」
「ア・・・ニャーKB48ノらいぶガ気ニニャル」
アイドル好きのキラーキャットは持ち場を離れた!
ヨシヒコは宝箱から「とどめの剣」を入手した。
いよいよ・・・グランドフィナーレとなる魔王の待つ場所へと・・・冒険者たちは到着した。
はたして・・・いかなる結末が待っているのか・・・。
師走だ・・・師走だなあ・・・。
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