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2016年12月28日 (水)

わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた(多部未華子)恋を笑うものは恋に泣けばいい(大政絢)

「カインとアベル」ではなくて・・・こちらが「月9」だったら・・・。

「逃げ恥」と人気を分かち合ったのだろうか・・・それとも共倒れか・・・。

もちろん・・・平社員と家事代行業の恋と・・・カリスマ経営者とフリーランスのクリエーターの恋ではかなり違うわけで・・・後者の方がなんとなく・・・昔懐かしい香りは漂っている。

しかし、「変な男と変な女が恋をする」という意味ではまったく同じなのである。

もちろん・・・スペシャルドラマで駆け足でクリスマスに駆け込んだから成立しているという考え方はあるだろう。

この手の「甘い物語」は二時間ドラマとか映画の尺で足りると言うこともできる。

けれども・・・そういう「スイーツ」を毎週食べ続けることができるお茶の間の人々がいることを・・・「ダメな私に恋してください」「世界一難しい恋」「逃げるは恥だが役に立つ」という王道ラブコメが証明した2016年だったのだ。

そういう意味で月9はシリアスに傾き過ぎて・・・迷走しているんだよな。

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は名作だったけどな・・・「ラヴソング」「好きな人がいること」「カインとアベル」とどんどんわけがわからなくなっていくという・・・まあ、いいじゃないか。

で、『クリスマスドラマスペシャル わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』(フジテレビ20161220PM9~)脚本・大島里美、演出・波多野貴文を見た。大河ドラマ「花燃ゆ」で火達磨となった女性脚本家の一人だが・・・今回は軽妙な腕の冴えを見せている。劇中ゲームが「TOKUGAWA15将軍 ラブ幕府」であることが仄かに精神的外傷を感じさせるよねえ。

「シラノ・ド・ベルジュラック/エドモン・ロスタン」は19世紀の戯曲だがシラノ・ド・ベルジュラックは17世紀に実在した作家でもある。親友のクリスチャンのために恋人ロクサーヌに恋文の代筆をする片思いの達人である。

恋愛シミュレーションゲームのプランナーである白野莉子(多部未華子)のネーミングの元は・・・つまり「シラノ」なのだった。

高校時代・・・同級生の長谷川祐介(山田裕貴)にロマンチックなラブレターを書いた莉子は心ない長谷川のために手紙を悪友たちに回し読みされ、「ラブポエマー・リリック白野」と揶揄される。・・・以来、現実の男たちに見切りをつけて二十七歳を迎えた。

莉子が絶対に許せないものは「恋する気持ちをバカにする人間」で・・・仕事を通じて「恋する乙女たち」に「生きる希望と日々の慰安を与えること」が喜びであった。

アプリケーション制作会社の「TIMEIS(タイムイズ)」からの依頼でプランナーとして恋愛シミュレーションゲーム「TOKUGAWA15将軍 ラブ幕府」の制作に参加する莉子。

すでに名作ゲームを生みだしている優秀なプランナーである。

莉子の生み出すキラキラ王子様キャラクターや俺様キャラクターはある時は「いつでもそばにいるよ」ある時は「キスしてもらいたいんだろ」と乙女たちのハートをきゅんきゅんさせるのだった。

「TIMEIS」のコンテンツ部に所属する桃瀬はるか(大政絢)をはじめとする女性社員たちは莉子のプレゼンテーションにうっとりするのである。

そこに「TIMEIS」の最年少役員である緑谷拓(志尊淳)が現れる。

前日、危ないところを助けてもらった緑谷との再開に運命を感じる莉子。

しかし・・・王道は「最悪の出会い」なのである。

続いて現れた・・・「TIMEIS」の社長・黒川壮一郎(高橋一生)こそが「本命」なのだった。

「徳川将軍家全員と恋をするって・・・時代考証どうなってんの・・・こんな品性に欠けるゲームはわが社に相応しくない・・・こんなのするやつはブスでバカだろう・・・もっと現実を見るべきだ」

「現実の男が不甲斐ないから・・・女たちは妄想するしかないんです・・・自己中心的で視野狭窄で他人の存在を認めることが出来ないから恋愛すらできない。そういう男であふれかえった現実を見るべきでしょう」

「う・・・」

「この人誰ですか」

「・・・社長です」

「え」

見知らぬ女に罵倒されて「あんなプランナーはクビにしろ」と叫ぶ黒川社長。

しかし・・・企画者が桃瀬はるかと知って態度が急変するのだった。

「マーケティング結果もかなり好感触です」

「・・・」

優秀な部下である緑谷に数字を見せられて納得した体裁を整える黒川だった・・・。

だが・・・恋愛ゲームのプロフェッショナルとして人間観察を続ける莉子は・・・たちまち・・・黒川が桃瀬に恋をしていることを見抜くのである。

しかも・・・プログラマーとして優秀な黒川が・・・「女心を全く理解していないこと」にも気がつくのだった。

甘いものが苦手の桃瀬にシュークリーム攻撃、お弁当持参の桃瀬をランチに誘い、さらにモンブラン攻撃もスルーされて・・・好意を示すことさえできない不甲斐なさだった。

見るに見かねた莉子は敵に塩を送るのだった。

「イケメンオフィス・・・シンデレラは残業中・・・第二章」

莉子の残した謎の言葉を検索した黒川は・・・。

恋愛シミュレーションゲームの俺様上司にはまるのだった。

そして・・・残業中の桃瀬にラジコンカーで差し入れのチョコレートをお届けする「おちゃめな一面」を披露する黒川・・・。

「社長・・・何やってるんですか」

「女性をバカにするつもりはなかった・・・謝罪したい」

「ありがとうございます」

黒川は昇天した。

莉子は黒川の「神」となったのである。

莉子を待ち伏せた黒川は・・・灰原源次郎(田中要次)が店主を務めるブックカフェマスターに連れこむのだった。

「俺に・・・恋愛を指南してくれ」

「あなたは・・・女性にやってはいけないことしかしない・・・あなたに恋愛は無理です」

「なんだって・・・」

「待ち伏せ行為・・・相手の都合を考えない・・・お店のドアは自分のためにだけ開ける・・・連れの注文を待たずに勝手に席につく・・・人の目を見て話さない」

「う・・・」

「桃瀬さんを好きになってどのくらいですか」

「三年前・・・彼女の作った玉子焼きが・・・母親のと同じ味付けだった」

(その上マザコンかよっ)

「俺の母親は俺が小学校三年生の時に病死したんで・・・なんだか懐かしくて」

(そりゃ・・・なんだかすみませんでした)

「それから・・・彼女のことがどんどん気になって・・・しかし・・・三年間で彼女と話をしたのはトータルで三十分くらい・・・そのうち三分は君の作戦が勝ちとったものだ」

「・・・」

仕方なく・・・王道キャラ設定で黒川を桃瀬にアタックさせてみる莉子だった。

だが・・・王子様作戦で・・・頭ポンポンも・・・俺様キャラで壁ドンも・・・甘えんぼキャラで・・・おねむ攻撃も・・・やや狙いを外す。

「最近・・・社長が情緒不安定なのです」と桃瀬につぶやかれる莉子だった。

「全然、ダメじゃないか」

「そもそも・・・キャラが定まってないんですよ・・・」

「何故だ」

「黒川さんに照れがあるからです」

「だって・・・照れるだろう・・・王子とか俺様とか年下甘えん坊キャラとか・・・俺は十歳も年上なのに!」

「いいですか・・・決める時は決めるんです」

「こんな・・・通俗的で類型的なことをか・・・」

「歌舞伎という伝統芸能にもカタがあります」

「?」

「横綱土俵入りで雲龍型を披露する時に・・・類型的とか・・・いいますか」

「・・・」

「キタキタキターッてなるんですよ」

「・・・わからん」

「仕方ない・・・習うより慣れろです」

どうやら莉子の聖なるテキストであるらしいトレンディドラマ「東京とラブの真ん中で」をオールナイトで鑑賞する二人。

もちろん・・・ドラマ「東京ラブストーリー」(1991年)のパロディーである。

主人公はケンジ(忍成修吾)である。

「ケ~ンジ」なのだった。

結局、爆睡してしまう黒川だったが・・・莉子は夢中で視聴するのだった。

つまり・・・黒川と莉子の絆はどんどん深まっているのだった。

「東京とラブの真ん中で」で「噴水に落ちたカップルは結ばれる」を学習した黒川は・・・チャレンジしてみるが・・・自分だけ落ちて風邪を引いてしまうのだった。

一方・・・莉子も・・・「心の傷」を黒川に打ち明ける。

「なんだか・・・俺たちって・・・親友みたいだな・・・」

「親友・・・か」

「ぼっち同士・・・心が通い合っている」

つまり・・・シラノがロクサーヌではなく・・・クリスチャンに惚れちゃうパターンなのである。

まあ・・・実在のシラノは同性愛者だったからな・・・。

そして・・・同窓会。

「過去の自分にケリつけてこいよ」

親友の黒川に送り出された莉子は・・・心ない同級生にラップ攻撃を仕掛けるのだった。

レンタル救世主かっ!

「成長しないお前ら・・・不甲斐ないお前ら」

「お前・・・男いないだろう」

昔、好きだった男に苦い言葉を浴びせられ立ちすくむ莉子。

そこへ・・・黒川登場である。

「俺の女に・・・触るんじゃねえよ」

「え」

キラキラ黒王子の誕生である。

「お前って最高だ」

秘密の隠れ家である・・・釣り堀で・・・頭ポンポンである。

「なんで来たのよ」

「だって・・・親友だろ?」

女心のわからない黒川に落されてしまった莉子だった。

一方・・・桃瀬の仕事上の失敗をダンディーな上司モードでフォローする黒川。

ようやく・・・桃瀬も・・・黒川の好意に気が付き・・・「恋」をするのだった。

変則的だが・・・ここからは・・・桃瀬がクリスチャンのポジションとなる。

連続ドラマなら・・・緑谷を加えた男女四人の心の遍歴がもう少し緩やかに語られるのだろうが・・・緑谷→莉子→黒川→桃瀬というベクトルが完成する。

桃瀬と黒川が両思いとなって・・・莉子は失恋モードである。

「あのもしかして・・・白野さん・・・社長と・・・」

「ないない・・・百パーセントない」

莉子は奈落の底へ・・・。

親友として・・・黒川の桃瀬へのプレゼント選びを手伝う地獄である。

師走である・・・。

風邪を引いて寝こむ莉子を親友として案じて看病に来る黒川だった。

「やめてよ・・・」

「ぼっち同士じゃないか」

「もう・・・ぼっちじゃないでしょう」

「だけど・・・風邪をひいたらすりおろし林檎だろう」

「私が良くても彼女が嫌なのよ」

「・・・」

「女心がわからないにも程がある」

「でも・・・親友じゃないか」

「親友じゃない・・・私はあなたが好きななの」

「えええええええええ」

もちろん・・・女を親友と思うほどに・・・黒川は莉子を愛しているのだが・・・。

突然・・・緑谷が牙を剥くのだった。

経営方針を巡り対立した二人は・・・緑谷の社長解任動議に役員会一同が賛成し決着する。

黒川は「父親の運送会社の勤務シフト作成アプリ」に始った起業が・・・「ネット販売を基軸とした別会社」に変貌したことに驚くのだった。

「黒川さんの居所を知りませんか」という桃瀬のメールに・・・隠れ場所巡りをする莉子。

釣り堀で黒川を発見するが・・・その時、黒川から着信があったことで・・・声をかけられなくなってしまう。

「私・・・心当たりがある」

桃瀬に黒川の居所を教える莉子だった。

一方・・・緑谷は・・・やや唐突だが・・・莉子に告白する。

「僕は黒川さんを越える男になりますよ」

「でも・・・私・・・他に好きな男がいるから」

「よかったです・・・莉子さんの本心が聞けて・・・」

桃瀬も・・・黒川の意中の人が・・・自分ではないことを察するのである。

「別れましょう・・・あなたにとって・・・一番そばにいてもらいたい人は・・・私じゃないみたいなので」

「え・・・」

マスターは告げる。

「彼女がクリームが苦手だって・・・いい加減気がつけよ」

「えええええ・・・そうだったの」

「甘いのが好きなのは・・・あの子だよ」

「・・・」

莉子は・・・素晴らしいインターネットの世界で話題のクリスマス限定SNSにアクセスする。

「Bocci De Xmas」である。

莉子に友達申請がある。

「サーモン黒川」・・・。

それは生魚が苦手なので釣り堀で魚を釣らない「彼」だった。

イルミネーションの海で・・・サーモン黒川とリリック白野は邂逅する。

「お前のせいで・・・ふられちゃった」

「ふがいない」

「わかってる・・・王道が大切なんだろう」

「・・・」

「君がいてくれたら・・・僕は笑顔になれる」

「私も・・・あなたの側にずっといたいわよ・・・そして不甲斐なさを責め続けたい」

片膝ついて・・・指輪を提示する黒王子である。

しかし・・・サイズは合わないのだった。

「痛い」

「がんばれば入る」

「大体、順序が違うのよ・・・プロポーズの前にやることあるでしょう」

「え」

莉子はサンタ黒川にキスをするのだった。

グッドエンド・・・。

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