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2016年12月27日 (火)

歴史から飛び出せば失うものはなにもない(成海璃子)

人間から自由を奪うものは時間である。

時間は人間を寿命という監獄に閉じ込めている。

人間には生れる前のことには手を触れることさえできない。

人間には死んだ後のものを見ることはできない。

時間旅行とは・・・つまり、そういう束縛からの脱出である。

時間から自由になった人間が不自由であると考えるのも・・・人間が時間の虜となっているからに他ならない。

「物語」の時間は・・・空想の時間である。

そこでも・・・共通理解を得るためにいくつかの「お約束」があるが・・・そういうお約束にあまり縛られず・・・自由に描いているわけである。

拙さを感じないではないが・・・いっそ清々しい・・・とにかくビジネスをしているわけだからな。

で、『リテイク 時をかける想い・第4回』(フジテレビ201612242340~)脚本・長田育恵、演出・植田尚を見た。脚本家は第19回鶴屋南北戯曲賞受賞者である。劇作家の起用が本シリーズのチャレンジらしい。セリフ重視と言えば聞こえはいいが・・・未来の出来事をお見せできないという予算とスケジュールの制約があるからだよな・・・。

ある意味・・・セリフで全部説明しなければならないので・・・地味だ・・・。

それでもそこそこ楽しめるのは・・・俳優陣の奮闘ということになるのかもしれない。

今回のゲストは連続テレビ小説「風のハルカ」の主人公を演じて以来、あまり役に恵まれているとは言えない村川絵梨と「エリートヤンキー三郎」で主人公を演じて以来、あまり役に恵まれているとはいえない石黒英雄の顔合わせである。

一部お茶の間にとっては豪華なゲストなのだった。

そして子役としてはスターと言える五十嵐陽向が花を添えるのだった。

未来人を保護するのが任務の戸籍監理課課長・新谷真治(筒井道隆)は法務省の入り口ゲートでIDカードが誤作動してしまうのだった。

警備員に囲まれたところに法務大臣政務官の国東修三(木下ほうか)と秘書の大西史子(おのののか)が通りかかる。

「不具合の原因を調査します」

のののののは新谷課長のIDカードを入手した。

真意は不明だが・・・大西史子は・・・戸籍監理課の業務内容に不審を感じているのだった。

基本的に「好奇心は猫を殺す」パターンだが・・・まだ安全である。

国東政務官と新谷課長の密談。

「増員をお願いします」

「秘密保持のために・・・それはできない」

「しかし・・・相手は過去に何が起こるか知っている未来人なんですよ」

「だからこそ・・・秘密の存在であることが大切なのだ・・・未来人は君たちのことを知らないわけだからね」

「どうして・・・そんなことがわかるんですか」

「とにかく・・・君たちには相手の意表をつくというカードがあるわけじゃないか」

「・・・」

新谷が退出した後で・・・秘書の史子は政務官に問う。

「このIDカードは機密度の高い設定になっているそうです・・・戸籍管理課はそれほど重要なセクションなんですか」

「戸籍の管理は大切だよ・・・江戸時代の古い戸籍がそのままになっていて・・・生存していることになっていたら・・・いろいろと不都合だろう・・・あそこは・・・そういう古い戸籍を調査する任務を担っているんだ」

「・・・」

IDカードがないので入室も困難な課長だった。

「何やってるんですか」

呆れる正規職員・那須野薫(成海璃子)である。

パートタイマー・パウエルまさ子(浅野温子)が現代に漂着すると衣装が何故か漂白されることからオバケと呼ばれる未来人についての情報を提示する。

「都内某所で天気雨が発生した後・・・都内某所付近で火災が発生・・・屋上からアパートの最上階にある部屋に侵入した白い服の男が・・・小学生を救助しました・・・」

「まるで・・・火事が起こるのを知っていたみたいだな」

「オバケですかね」

「この人・・・脱出の際に足を負傷したみたいですね」

「よし・・・俺は少年に会ってくる・・・君は病院関係を探ってくれ」

少年・生嶋アキト(五十嵐陽向)は小学校の低学年で・・・高学年の児童に・・・からかわれているところだった。

「下級生をいじめたりして恥ずかしくないのか」

「変態だ・・・逃げろ~」

「クソガキめ」

いじめの原因は・・・父親の形見の結婚指輪で作られたネックレスだった。

アキトを尾行をする課長。

お菓子を万引きするアキト。

「こら」

「お母さんには言わないで」

「・・・」

アキトの空腹に気付いた課長は・・・小料理屋「へのへのもへじ」に連れこむのだった。

微かに漂う育児放棄の匂い・・・。

薫からの緊急連絡が着信する。

「オバケらしい・・・入院患者を発見しました」

病院で薫と合流する課長だった。

「当日、火傷と捻挫で入院しています・・・名前は・・・本間篤志ですが・・・保険証を提出しています」

「とにかく・・・面会してみよう」

しかし・・・本間を名乗る男は同室の入院患者の衣料品を盗み逃亡していた。

「オバケですね」

「オバケだな」

「監視カメラに残された男の顔認証システムによる解析によると・・・生嶋アキトの可能性が高いそうです」

「自分で自分を助けにきたか・・・」

「顔に大きな火傷の跡がありますからね・・・」

「その点をあまり突っ込むとウルトラセブンの第12話的なことになるぞ」

「しかし・・・目的を達成したのに何故、逃げたのでしょうか」

「他にも何かしでかすのかもしれない」

手掛かりであるアキトと母親の美咲(村川絵梨)をマークする二人・・・。

どう考えても人手不足である。

夫に先立たれた美咲はキャバクラ嬢で生計を立てていた。

課長はキャバクラに潜入する。

「御指名ありがとうございます」

「・・・」

「こういうお店初めてですか」

そこへ・・・恐ろしい偶然で義理の弟の警視庁の柳井刑事(敦士)が常連客として現れる。

「また・・・お前か」

「お義兄さん・・・」

「那須野に言うぞ」

「それだけは勘弁してください・・・これはパトロールの一環です」

「おっぱいパトロールかっ」

店を出た課長は店内を窺う未来人を発見する。

未来人は逃げ出すが追跡する課長。

未来人が足を負傷していたために追いつく課長である。

「生嶋アキトさんでしょう」

「・・・お前、何者だ」

「戸籍管理課です・・・未来人を保護しています」

「俺は・・・誰にも迷惑をかけていない」

「本間篤志さんの保険証を盗んでいますよね・・・それに・・・現代に介入して・・・少年時代の自分自身を救助したりして・・・困るんですよね・・・勝手なことをされては・・・」

「何が困るんだ・・・」

「歴史が変わります」

「それで誰かが困るのか?」

「とにかく・・・そういうルールなんですよ」

「俺は・・・自分自身を救い出す・・・あいつから」

「あいつ?」

「・・・」

未来人は逃げ出した。

お約束で課長は保護に失敗するのだった。

柳井刑事の知り合いと称して美咲に接近する薫。

「女手ひとつで・・・息子さんを育てるのは大変でしょう」

痛々しい火事の傷跡が残る部屋に居住を続ける美咲である。

「とにかく・・・損害賠償もしなければならないし・・・稼げるだけ稼がないと・・・」

「素晴らしいお母さんだと思います」

「素晴らしい・・・とんでもない・・・私は最悪の母親なのよ・・・」

「最悪・・・?」

言葉を濁す美咲。

一方、課長はアキトの身体に無数の傷跡が残っているのに気がつく。

虐待の事実が浮上した・・・。

「あいつって・・・母親のことか・・・」

課長は複雑な気持ちを抱くのだった。

課長と薫はキャバクラに張り込んだ。

もはや・・・刑事だよな。

警察官としての訓練なしで警官やってるようなものだよな。

未来のアキトがやってくる。

「あなたの目標がわかりました」

「あなた・・・クローンじゃないですよね」

「え」

「美咲さんの亡くなったご主人と瓜二つだから」

「母親の遺伝子どこにいったですよね」

「年齢を重ねると親に似るってよくあることじゃないですか・・・それに人間の顔認証システムには個人差がありますからね」

「デッサンが狂っていてもわからない人もいる的な・・・」

「タイムスリップものでは息子にそっくりな父親って・・・よくある手法だと思うのですが」

「そうでもないですよ」

「本題に入りましょう・・・あなた・・・まさか・・・お母さんに復讐を・・・」

「ですよ・・・あいつは・・・結局、あの火事を乗り越えられなかった・・・あの日、俺はあいつの・・・お母さんの作った玉子焼きにチャレンジして・・・火事を起こした・・・ひどい火傷を負った俺は・・・あの女に虐待されて・・・おかしくなっちゃったんだ・・・」

「しかし」

「あんた・・・母親に虐待されたことありますか」

「・・・」

「母親に虐待されたことのない人間にこの気持ちを説明するのは難しい・・・愛と憎しみのコンプレックスが育つんですよ・・・」

「・・・」

「自分でも・・・そんなことはわからない・・・俺が父親が死んだ年になった時・・・こんな俺を愛してくれる女が現れた・・・女は俺の子供を身ごもった・・・それなのに俺は・・・些細なことで喧嘩して・・・女に暴力を・・・女は流産して・・・赤い血が流れた・・・自分で自分がわからなくなりました・・・そして・・・自分がそうなったのは・・・あいつのせいだと」

「だからといって・・・今さら・・・自分の母親を殺してどうするんです」

「自分自身を解放してやるんです」

「でも・・・現代のあなたは・・・あなたの母親を・・・愛しているんですよ」

「だから・・・愛しているうちに・・・」

「ダメです」

しかし・・・課長は未来人のナイフで手負いとなった。

「課長!」

店の外に美咲が現れる・・・。

未来人は・・・過去の母親の首に手をかける。

驚く・・・美咲。

「あなた・・・来てくれたのね」

「え・・・」

「私・・・もうダメ・・・連れてって・・・そうでないとあの子を不幸にしてしまう」

「・・・」

「今ならまだ間に合うわ・・・」

「・・・」

未来人は思わず母親を抱きしめる。

「幽霊でもいいの・・・いつも側にいて・・・」

未来人は闇に消えた。

「あなた・・・」

課長は未来人を保護した。

「とにかく・・・あなたが火傷を負わなかったことで・・・あなたの辿った未来とは違う歴史が書かれるかもしれない・・・私たちとしては困ったことなのですが・・・」

「これだけはわかったよ・・・俺は・・・母さんを殺したりはできないってことが・・・」

「何かがわかるのは楽しいことですね」

「・・・」

まるで肉親のように課長の傷を気遣う薫である。

「課長大丈夫ですか・・・運転できますか・・・」

「だから・・・君も早く免許とってくれよ」

「・・・」

課長のぼやきに・・・意味ありげな表情を一瞬見せる薫・・・。

運転免許をとれない理由が・・・薫にはあるのかもしれない。

課長が疑う政務官の背後にいる未来人とは・・・。

そして・・・どことなく・・・似ているような気がする課長と薫・・・。

三人は・・・別荘へと向う。

その頃・・・秘書は・・・課長のIDカードを使い戸籍管理課に侵入していた。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

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受信: 2016年12月28日 (水) 22時37分

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