就活家族~きっと、うまくいく~(三浦友和)パパからお小遣いをもらったよ(前田敦子)嫌われる勇気(香里奈)ナチュラル・ボーン・アドラーだよ(桜田ひより)
予定通り・・・谷間が濃厚な木曜日である。
呪われたように不吉な出来事に襲われ続けるがオカルトものではないホームドラマ。
目的達成して自己実現することだけが正しいような自己啓発的刑事ドラマ。
どちらも・・・エンターティメントとは言えないのではないかと思う。
(個人の感想です)
金銭目的のために周到な計画を実践して詐欺を完遂するのも全体的な個人が相対的マイナスから相対的プラスに向かって行動するアドラー的枠組みの中に納まってしまうからな。
ナチュラル・ボーン・キラーズはナチュラル・ボーン・アドラーだと言っても過言ではないのである。
まあ・・・ほどほどにしておけよ。
ポジティブ・シンキングなんてくそくらえなんだから。
おいおいおい。
で、『就活家族~きっと、うまくいく~・第1回』(テレビ朝日20170112PM9~)脚本・橋本裕志、演出・秋山純を見た。大手鉄鋼メーカー・日本鉄鋼金属の人事部長・富川洋輔(三浦友和)は人事担当常務・織部和久(山田明郷)から「リストラ」の手腕を認められ役員昇進の内定を伝えられる。私立中学校の国語教師を勤める妻・水希(黒木瞳)、宝飾メーカーに勤める長女・栞(前田敦子)、三流大学の学生で就職活動中の長男・光(工藤阿須加)という家族のために地道に働いてきた洋輔は「マイホーム購入」という男の夢に手が届くところまで昇りつめたらしい・・・。
しかし・・・突然、富川家の前途には暗雲が立ち込める。
結婚退職をする予定だった品質管理部社員・川村優子(木村多江)が「破談になったので・・・退職のとりけしを願いたい」とやってきたのが恐ろしい呪いの始りだったのである。おそらく優子は貞子的な何かだと思われます。
少し愚鈍なところのある光は次々と就職面接に失敗。
就職活動に疲れた帰り道・・・母親の水希がホストクラブから出てきたところを目撃してモヤモヤするのだった。
しかし・・・これについては水希は「ホストクラブに出入りしている生徒のための生活指導のため」とまことしやかに説明する。
一方で・・・電車の中で痴漢を発見した光は女性を助けようとして逆に痴漢の疑いをかけられてしまう。
「僕はやってません」
「でも・・・現行犯ですから」
駅員と被害者に責められて絶句する光である。
駆けつけた水希は「状況を確認しましょう」と強気の姿勢で臨み・・・光には犯行が難しいことを立証してしまう。
「冤罪じゃないですか・・・名誉棄損で訴えますよ」
母の迫力に圧倒される光なのである。
栞は配置転換を希望して外商部一課の真壁雄斗(渡辺大)に接近する。
外商部一課の課長は中原綾子(山本未來)であり・・・いかにも恐ろしそうなのだった。
就職活動が上手くいかない光の前には就職活動アドバイザーで「国原就活塾」の塾長・国原耕太(新井浩文)が現れる。
勧誘ではなくアンケートに答えてもらうだけでパンフレットが無料で入手できるというキャッチ・セールスに簡単にキャッチされる光だった・・・。
もう完全に恐ろしいわけである。
洋輔は社長の的場(中丸新将)に呼び出される。
「君が面接で落とした息子の父親からクレームが入った」
「しかし・・・縁故入社は避けるというのが社長の方針でした・・・」
「事情が変わったのだ・・・ヤマト銀行の融資が打ち切られたらわが社は経営上の危機に陥る・・・君が落したのは頭取の息子なんだよ」
「・・・」
「再面接したまえ」
再面接を拒む「ヤマト銀行」頭取の息子・加藤誠(柾木玲弥)に縋る洋輔である。
「君の事情にも配慮するべきだった」
「事情って・・・」
「面接に遅刻したことだよ」
「単に寝坊しただけですよ」
「・・・」
「どうしても・・・というのなら土下座してください」
大人しく土下座する洋輔である。
「くそったれな面接官ですみませんと謝ってください」
「くそったれですみません」
「日本鉄鋼金属なんてくそだまりだと」
「私はクソですが・・・会社はクソではありません」
「そうですか・・・僕は・・・プロのミュージシャンになろうと思います」
「え」
やけくそになってドラムを叩く洋輔だった。
富川家から現金三十万円が紛失するという事件が起きる。
「国原就活塾」への三十万円の領収書が見つかる光。
「お前ってやつは・・・」
「違うよ・・・自分でローンを組んだんだよ」
「・・・」
「もう一度探しましょう」と栞がとりなす。
しかし・・・三十万円を着服していたのは栞だった。
「パパからお小遣いもらっちゃった」
「えええ」
真壁とのデート費用に三十万円を使い、腰をふる栞だった。
蒼ざめた顔で・・・出勤した洋輔・・・。
「よくやった・・・ヤマト銀行の頭取から息子が世話になったと電話があって融資もしてもらえる」
「え」
「だが・・・もう一つ問題がある」
総務部長の綿引(神保悟志)がバーで撮影した洋輔と優子のツーショット写真を見せる。
「川村優子が君をセクハラで訴えると言ってる・・・彼女は君の子供を堕胎したそうだな」
「そんな・・・事実無根です」
「君は・・・それを証明しなければならん・・・とにかく・・・川村優子を説得しろ」
「・・・」
洋輔は顔色を失った。
洋輔は優子に電話をかける。
「・・・私に何か御用ですか」
これは・・・遊園地の嫌なアトラクション的な何からしい・・・。
一難去ってまた一難の連打・・・テンポがあって面白いと言う人もいるかもしれません。
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で、『嫌われる勇気・第1回』(フジテレビ20170112PM10~)原案・古賀史健(他)、脚本・徳永友一、演出・池澤辰也を見た。過去の出来事に囚われず目的達成のために何をするべきかを考える未来志向で事件を解決するという・・・明らかに頭がおかしいことになっている刑事の物語である。ある意味で一同爆笑するしかないわけである。アドラーは「他人と協力する共同体感覚」を重視しているが・・・生れついてのアドラーであるらしい主人公は「私をどう評価するか」は「私の役割ではない」と排他的とも言える言動を展開する。もちろん・・・主人公のライフスタイルとミステリ部分はほぼ無関係である。人間関係で悩まない最大の秘訣は人間関係などないと考えることだからな・・・おいおいおい。
警視庁捜査一課に異動してきた青山刑事(加藤シゲアキ)は相棒が携帯電話を携帯しないタイプと聞いて戸惑う。
「雑誌モデルが殺害された現場に迎え」と半田係長(升毅)は青山刑事に指示を下す。
青山のパートナーとなる庵堂蘭子(桜田ひより→香里奈)は断定的な口調で他者の推測を否定するタイプの刑事だった。
他人の顔色を窺うことが社会人としての常識と信じる青山刑事は庵堂の言動に戸惑うのだった。
二人目の殺人が起こり・・・現場の様子から「雑誌の表紙に関連性がある」と推理する刑事の浦部義孝(丸山智己)は殺された二人のモデルのライバルである真紀(南野陽子)を疑うのだが・・・庵堂蘭子は明確に否定するのだった。
「出た」と鑑識課の梶準之助(正名僕蔵)が呟くほどに庵堂蘭子は常に明確に否定するのである。
そんな庵堂蘭子をかわいい鑑識係の村上由稀菜(岡崎紗絵)は敬愛しているらしい。
遺体を検死した帝都大学医学部助教の相馬めい子(相楽樹)の見解も「妄想」と断定する庵堂蘭子なのである。
すでに・・・庵堂蘭子は真紀の主宰する美容教室に入会し・・・独自の潜入捜査を開始しているのだ。
同行した青山刑事も巻き込まれて入会しているのだった。
「何故・・・こんなことを・・・」
「犯人を発見するためです」
「?」
真紀は会員たちに「美容のための飲料」などを高額で売りつけていた。
とりまきの一人はマキラー(石田ひかり)であり、真紀のファッションを追従しているのだった。
「素敵なコートね」とマキラーを褒める真紀。
「寒いのにファーをしないのは貧乏くさい」と庵堂蘭子。
「なんですって・・・」
「私は嘘が嫌いなので」
「あなた面白いわね」
とりまきの一人はランラー(青山倫子)になるのだった。
「はっきりものを言えて素敵ですね・・・私にはとても真似できないわ」
「それはあなたがそのように決心しているからです」
「え」
「はっきりものを言わないことを・・・自分が素敵にはならないことを・・・自分自身で決めているのです」
「・・・」
庵堂蘭子の言動に違和感を覚える青山刑事。
「でもな・・・あれがうちのエースなんだよ・・・詳しいことが知りたかったら帝都大学文学部心理学科の教授に会ってこい」
半田係長のアドバイスに従い・・・可愛い助手の間雁道子(飯豊まりえ)のいる部屋を訪ねるのだった。
「彼女はナチュラルボーンアドラーなんだよ」と解説する大文字教授(椎名桔平)である。
「生れついての・・・アドラー?・・・突然、レストランで発砲するんですか」
「アルフレッド・アドラーは個人心理学の創始者だ」
「個人心理学?」
「すべての人間がそれぞれがマイナーと感じる場所からメジャーと感じる場所へ動いていくということが前提の前世紀の心理学だ」
「どういうことですか」
「つまり・・・勇気があれば人間には不可能はないという心の話だよ」
「勇気があれば・・・」
「そうだ・・・たとえば・・・ブサイクだからもてないと思いこんでいる人間がいるとする」
「はあ・・・」
「勇気を出して整形してブサイクでなくなればもてるわけじゃないか」
「なるほど」
「君・・・ちょろいね」
「え・・・つまり・・・彼女は先生に教えられて・・・」
「だから・・・彼女は生れついてのアドラーなんだって」
「・・・」
やがて・・・容疑者だった真紀は毒を飲んで死ぬ。
「自殺だな」と断定する浦部刑事。
「明確に否定します」
「なんだと」
「彼女を殺したのはストーカーですよ」
「ストーカー」
「被害者はストーカーの届けを出していて・・・ストーカーを事情聴取したところ・・・犯行を自供しました」
「じゃ・・・前の二人も・・・」
「明確に否定します」
「ああ・・・そうですか」
庵堂蘭子は真紀に対して損害賠償請求をしているマキラーの会に乗り込むのだった。
「何しに来たの」
「あなたを逮捕しに」
「なんですって・・・」
「あなたは・・・真紀さんを高く評価することで自分自身の存在を高めようとした。しかし、他に人気モデルが現れて・・・真紀さんの人気は降下する・・・このままではあなた自身の評価も下がってしまう・・・だから・・・邪魔ものを殺した・・・しかし・・・ライバルが消えても真紀さんの評価はあがらなかった・・・そこであなたは真紀さんを亡きものにして・・・自分の不幸を売り物にしようと考えた・・・かわいそうな私・・・特別な人に騙された特別に可哀想な私・・・」
「なんの証拠があるって言うの」
「あなたは死体の周囲を羽毛でデコレーションした・・・それは・・・あなたが殺人を為した時に被害者があなたのコートの毛皮のファーを引きちぎったから」
「・・・」
「現場から・・・毛髪が採取されているの・・・すでにDNA鑑定済みよ」
「真紀さんがいけないのよ・・・永遠に人気者であるべきだったのに」
「あなたを逮捕します」
ランラーは庵堂蘭子をうっとりと見つめるのだった。
毎度、お馴染みの・・・主人公の秘められた過去をかわいい子役で仄めかし・・・物語はつづく。
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