増山超能力師事務所(田中直樹)燃やしてやろうか(中村ゆり)
超能力と妄想力はほぼ同じ概念である。
原子で爆弾を作ろうなんてひどい妄想だが・・・実現すれば原子爆弾である。
そういうものを作ってしまう科学者、技術者、軍事関係者はものすごい超能力者と言える。
民族というものも妄想の一種である。
民族的な遺恨というものにほぼ無関係な人々が妄想に酔いしれ嫌がらせを続けるエネルギーもまた超能力的なものである。
しかし・・・そういう悲惨な出来事に対する国家的な責任というものが存在しないとは断定できないので条理を尽くして対応する必要もある。
謝罪しても相手が赦免しないというのであれば謝罪し続ける必要がある。
だが・・・どんどん・・・言いがかりに近いものになっていくと一方で理不尽さが生じる。
いい加減にしろよなと思うわけである。
もしも・・・パイロキネシス能力があれば・・・全世界のあの像を燃やしてしまいたくなる人もいるだろう。
それに対する報復が始ればすばらしき超能力戦争の時代が幕開けするのである。
で、『増山超能力師事務所・第1回』(日本テレビ201701052359~)原作・誉田哲也、脚本・櫻井剛、演出・櫻井剛を見た。別に田中直樹が悪いわけではないのだが・・・ホットパンツはいて笑いを醸しだしている男が二枚目の主人公をやっている違和感に時々、耐えられない気持ちになる。そういう気持ち悪さを乗り越えればそこそこ面白いファンタジーである。
理由は明示されないが・・・この世界では突然、いわゆる超能力者が増加し、一般人と超能力者が共存する時代に突入した。超能力は「足が速い」「頭がいい」などと同様の個性にすぎないわけである。
昔、なつかしいジュニアSF「すばらしき超能力時代/北川幸比古」(1967年)のように「誰もが超能力者になれるわけではない」が「超能力は日常茶飯事」なのである。
しかし・・・個性的な能力というものには負の側面がある。
たとえば・・・すばらしき瞬間移動(テレポーテーション)も転移先の物質と融合することで恐ろしい大量破壊兵器になる可能性があるわけである。
自爆兵器としてこれほど恐ろしいものはないだろう。
まして・・・身近に超感覚的知覚能力者(テレパス)がいれば絶対に迫害されるのである。
ところが・・・この世界ではある程度、一般人側が自制的である。
個性を尊重する社会が実現しているらしい。
それが・・・素晴らしきユートピアなのか・・・恐ろしいディストピアなのか・・・物語は始ったばかりなのでわからないのだった。
政府が認定した一級超能力師の増山圭太郎(田中直樹)は日本超能力師協会専務理事の高鍋逸雄(鹿賀丈史)が所長を務める「高鍋リサーチ」で超能力者のスカウトマンとして勤務している。
在野の超能力者にアプローチして登録を推奨し、超能力を活用した職業を斡旋するのが仕事である。
相棒はまだ善悪定かならぬ河原崎晃(忍成修吾)である。
二人には「超能力者が関与していると思われる事件」の調査も命じられている。
対象者が犯罪に関与している場合もありえるからである。
スカウト対象者である住吉悦子(中村ゆり)には「放火犯」の容疑がかかっていた。
悦子には発火能力(パイロキネシス)があるのだった。
圭太郎は・・・超能力者に対しては慎重なアプローチが必要だと考えるが・・・高鍋所長にはどこか謎めいた部分があり・・・悦子に特別な関心を寄せる。
悦子は不良少女あがりであり・・・交友関係は反社会的な匂いがする。
圭太郎は悦子に執着する高鍋所長の本心を探ろうとするが「心のフタ」を閉じられてしまう。
圭太郎には・・・人の「心を読む能力」があるが・・・一級の超能力師ともなれば・・・「心を読ませない能力」も身につけているのである。
就職活動中の大学生・中井健(柄本時生)は自分の超感覚的知覚に悩まされている。
周囲の人々の思考が流れ込み・・・容姿に劣等感のある健の心を苛むのである。
人々は・・・健を見ると反射的に「醜い」と思うのである。
「できれば・・・誰もいない世界で暮らしたい」
「そうか・・・君はフタの仕方を知らないのか」
圭太郎は・・・健に「心にフタをする方法」を手紙で伝授する。
健は・・・静寂を感じた。
超能力を使った大道芸人への接触を試みた圭太郎は観客の中に犯罪的素質を持った超能力者を発見し追跡するが逃げられてしまう。
そこへ荒川中央警察署の刑事・榎本克己(六平直政)が現れる。
「逃げられちまったようだな」
「ええ・・・あなたも」
「たまたまだよ」
超能力師協会と警察機構は協力関係にあるのだった。
超能力者の情報が「証拠」となるのかどうかは別として・・・ある程度の有益性があるのは確実である。
相手が一般人なら・・・「犯意を隠すこと」は不可能なのだ。
圭太郎は・・・サイコメトリー(痕跡知覚)能力を持つ高校生・高原篤志(浅香航大)を監視していた。
触れたものの残留思念を感知できる篤志は・・・邪悪なクラスメートの玩具となっていた。
友人の成田史哉(雨野宮将明)と二人でいじめの対象者なのである。
邪悪なクラスメートたちは成田を監禁し、篤志を警察犬に見立てて監禁場所を捜させる遊びに熱中していた。
邪悪なクラスメートの言うがままに・・・監禁されている友人を捜すことに疲弊する篤志。
人の心に直接、メッセージを送ることができる圭太郎は「会いたい」と呼びかける。
「僕の能力なんて何の役にも立ちませんよ」
「しかし・・・君はいつも・・・友達を探すことができる」
「それは・・・いいことですか」
「少なくとも・・・君が捜してくれることを・・・君の友達は待っているだろう」
「・・・」
篤志は邪悪なクラスメートと対峙する。
「もう・・・やめてくれ」
「嫌だよ・・・俺に逆らうのかよ」
「そうだ」
篤志はクラスメートに戦いを挑むが集団で暴行を加えられてしまう。
そこへ・・・圭太郎が現れる。
「何をしている」
「おっさん・・・誰だよ」
「君たちがしていることは傷害罪だぞ」
「何もしてないよ」
「じゃあ・・・なんでポケットの中にナイフを隠しているのだ」
圭太郎は透視能力も持っているのだった。
「化け物だ」
邪悪なクラスメートたちは身の危険を感じて逃げ出すのだった。
「なんでもできるんですね」
「僕も高校生の頃は君と同じだったよ」
「・・・」
圭太郎は高鍋所長に辞表を提出する。
「何故だ」
「あなたの方針には如何わしい部分がある」
「そんなことはないぞ」
「じゃあ・・・何故・・・心を隠すのです」
「超能力者を管理するためには必要なことだ」
「私も・・・あなたに管理されているということですか」
「・・・」
圭太郎は・・・探偵会社を発足した。
所長は圭太郎。
経理担当の大谷津朋江(平田敦子)は一般人である。
所員は・・・二級超能力師の悦子と健、そして超能力師見習いの篤志である。
相棒の河原崎は別の道を歩むようだ。
「超能力を使って人助けをする」と圭太郎。
「ちゃんと給料出るんだろうな」と悦子はつぶやいた。
彼らの活躍は・・・これかららしい。
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