下剋上受験(深田恭子)先生は格差を認めません(小芝風花)お母さん、娘をやめていいですか?(波瑠)できるものならば~(石井杏奈)
激戦の金曜日である。
もうなんだか殺意に満ちているわけだが・・・思わず「なんどめだナウシカ」に逃避しそうになったよ。
「連続ドラマ」で見たいよね。
毎週、巨神兵をナウシカが撃破するバトルアクションファンタジーで・・・。
予算がいくらあっても足りんわっ。
はまるとこわいベテラン作家の激突である。
「お金がない!」(1994年)と「白い巨塔」(2003年)みたいな・・・。
どこまでさかのぼってんだよっ。
結局、初回では絞り切れなかった・・・。
・・・単に深田恭子と波瑠をどちらも捨てられなかっただけだろうが。
まあ・・・そうなんだけどね。
で、『下克上受験・第1回』(TBSテレビ20170113PM10~)原作・桜井信一、脚本・両沢和幸、演出・福田亮介を見た。親が中卒だから受験に不利ではなくて・・・合格するために勉強するノンフィクションが原作である。ある意味で「勉強しない子供たち」や「すでに普通の中学生」に真っ向からケンカを売って行くわけである。実に清々しいぞ。平和な社会では普通の能力の人々は学歴に頼るしかないわけである。人工知能が人間の労働分野をどんどん狭めていく時代なのだ。偏差値が低くても生きていけるが・・・それだけだと厳しいぞという話なのである。それが嫌なら革命とか戦争に逃避するしかなくなるからね。
スマイベスト不動産の営業マン・桜井信一(阿部サダヲ)は元気が取り柄の働き者である。
営業部長の長谷川(手塚とおる)から後輩の楢崎哲也(風間俊介)と共に「タワーマンション」の販売を命じられる。
面倒見のいい信一は楢崎の世話を焼く。
楢崎も素直な好青年だった。
顧客は安西夫妻(神保悟志・山下容莉枝)である。
会話の流れで出身大学の話となり・・・安西夫妻と楢崎が同じ東西大学出身とわかって盛り上がる・・・しかし・・・信一は中卒なのである。
信一の心に何か・・・毒々しいものが滴り落ちる。
信一の地元の仲間たち・・・居酒屋店主の松尾(若旦那)、理容師の竹井(皆川猿時)、酒屋の梅本(岡田浩暉)、そして大工の杉山(川村陽介)もみな・・・中卒だった。
和気藹々の仲間たちに囲まれて・・・特に不満のない信一。
信一には美人の妻・香夏子(深田恭子)がいる。元ギャルで趣味は韓流ドラマをレンタルして視聴すること。気立てのいい素晴らしい妻である。そして中卒なのだった。
小学校五年生の佳織(山田美紅羽)は信一の目から見て賢い子だった。
たまたま受けた全国一斉学力テストの結果を見るまでは・・・佳織が一位になるのではないかと・・・信一は期待していたのだった。
しかし・・・結果は・・・最下位の方に近かったのである。
またしても・・・信一の心に何か・・・毒々しいものが滴り落ちる。
大工の杉山の師匠は・・・信一の父親の一夫(小林薫)である・・・六十五を過ぎても現役の一夫だったが・・・現場で足を滑らし骨折し・・・入院中である。
入院中のテレビで大企業二代目社長の徳川直康(要潤)の姿を見た一夫は何故か癇癪を起こし・・・テレビを破壊しようとして強制的に退院となる。
香夏子は義父を迎えてすき焼きで退院祝いを行う。
テレビでは・・・レンタルDVD店の店員が誤認逮捕されたというニュースが流れていた。
「六人は逮捕されなかったんだな」
「六人は逮捕されなかったんですねえ」
父親と妻の会話に・・・違和感を覚えた信一は・・・娘にスマホで確認させる。
「五人逮捕ではなくて誤認逮捕だよ」
「だから六人じゃなかったんだろう」
どうしようもなく・・・信一の心に何か・・・毒々しいものが滴り落ちる。
顧客の指名でタワーマンションの営業から外された信一は駅前の物件を若い夫婦に売りこむ。
タワーマンションとの落差は明確なお安い部屋なのである。
しかし・・・若い妻(村井美樹)は「凄く素敵ね・・・でも高卒の私たちには少し贅沢かも・・・」
信一の心にとてつもなく毒々しいものが突き刺さるのだった。
佳織が通う小学校の担任の先生・小山みどり(小芝風花)は「差別的な発言は哀しい」というのが口癖である。
香織のクラスメートで広末涼子の少女時代を演じられそうな美少女のアユミ(吉岡千波)やコマツコになれそうなリナ(丁田凛美)は陰口を言う。
「先生・・・また同じ話をしてるよ」
「もう・・・聞き飽きたよねえ」
「そういえばDVD屋の店員・・・逮捕されたって」
「五人逮捕だって」
「へえ・・・一人じゃなかったんだ・・・」
「五人も逮捕するのは大変だよねえ」
香織の心にも何か・・・毒々しいものが滴り落ちるのだった。
香夏子は乗り気ではなかったが・・・信一は進学塾の入学テストを受けることを香織に奨める。
その気になった香織だが・・・結果は偏差値41という判定である。
学習塾の担当者(野間口徹)は微笑む。
「大丈夫ですよ・・・今から基礎をやりなおせば」
「東大に行けますか・・・」
「東大?・・・ふはっ」
父と娘の心にはそれが嘲笑に感じられた。
「ねえ・・・塾に入らないの」
「・・・そうだなあ」
「香織・・・勉強しなくていいの」
「・・・そうだねえ」
「そしたら・・・香織・・・中卒かな」
信一の心は何かに撃ち抜かれる。
信一は悪夢を見た。
香織は中卒の男と結婚していた。
「そのお金だけはやめて・・・ミルク代なの」
しかし・・・中卒の男は家を出る。
乳飲み子をかかえて・・・ミルクを万引きする香織。
警視庁の特殊部隊が出動し・・・包囲される香織。
「やめてくれ・・・その子は・・・悪くないんだ・・・中卒なだけなんだ」
特殊部隊の隊長は哄笑する。
「ははははは・・・六人逮捕してやったぞ・・・ははははは」
信一は父親と妻と娘に宣言する。
「中卒だって・・・真面目に働けば幸せになれるって・・・信じて生きてきた・・・でも・・・本当はガラスの天井があって・・・中卒の幸せの世界は狭いんだ・・・俺たちはもうやり直せない・・・でも・・・香織ならまだ・・・一流中学を目指せる」
「塾に行くの」
「いや・・・お父さんが教える・・・お父さんは・・・香織と一緒に勉強したい」
「・・・」
娘は答えなかった。
信一は・・・その理由に思い当たる。
(そうだ・・・俺は娘のためにではなく・・・自分自身のために・・・それを求めたのだから)
信一は・・・中卒の日常に戻ろうと決意した。
しかし・・・娘の中で「それ」はゆっくりと膨れ上がって行く。
下校の時間・・・。
「今日は・・・何して遊ぶ」
「ごめん・・・今日は・・・」
香織は走り出す。
香織は街中でポスティング中の信一に走りよる。
「お父さん」
「香織」
「私・・・一流中学に入りたい」
こうして・・・父と娘は一流中学を目指すのだった。
何やら・・・因縁のある徳川直康のゴージャスな住居で・・・娘の麻里亜(篠川桃音)がスタンバイ中である。
「お嬢様・・・制服をこんなところに脱ぎっぱなしですよ」
「もう着ないから捨てちゃって」
何やら・・・不敵なライバルらしい・・・。
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で、『お母さん、娘をやめていいですか?・第1回』(NHK総合20170113PM10~)脚本・井上由美子、演出・笠浦友愛を見た。妄想的には軽いタッチに挑もうとして加減がわからない感じになっている脚本家だが・・・十歳年上の人が結構、好調なので波のようなものがあるのかもしれない。今回はねっとりといい感じに立ち上がっているような気がする。母と娘、娘と彼氏の三角関係の方向の方が好みだが・・・ミセス・ロビンソンをやりたいような気配も感じる。やるなら父と息子を一人での方向が転換しているわけだが・・・すでに娘の恋人である松島太一(柳楽優弥)がいかにも上司の立原真紀(壇蜜)と性的交渉があるニュアンスが漂っていて・・・危うい感じもするのだった。
まあ・・・基本的には悩める早瀬美月(波瑠)が見たいわけなので・・・。
冒頭・・・水族館デートをする美月のお相手は年上の男性(眞島秀和)である。
交際三ヶ月で三回目のデートなのだが・・・美月は性的接触を避ける。
手を握られるのも嫌なので・・・一種の潔癖症・・・あるいは二十五歳の処女なのかもしれない。
(やっぱり合わないみたい)
美月は母親の顕子(斉藤由貴)にメールを送る。
(そうだと思ったわ)
すかさず母親から返信がある。
なにしろ・・・母親は変装して・・・娘のデートを尾行していたのである。
母親は娘に気付かれぬように一足先に帰宅するのだった。
五十歳の母親と・・・二十五歳の娘・・・その関係は・・・異様にも感じられる種類のようだ。
美月は・・・ファッションについて・・・母親の言うなりのコーディネートを行う。
ワンピースはあまり好きではないが・・・母親が似合うと言うので着用するのだ。
母親の顕子は大学時代からの友人である牧村文恵(麻生祐未)の主宰する「人形教室」でアシスタントをしている。
早瀬家には作りかけの人形が見え隠れする。
それは・・・美月が顕子の人形であることの象徴なのだろう。
美月は母親に支配されることに表面的には満足している。
しかし・・・心のどこかで解放を求めているのか・・・あるいは・・・母親の手が届かない現実のストレスからか・・・円形脱毛症を発症している。
美月にとって・・・それが唯一の母にも言えない秘密だった。
顕子には老人ホームに入居中の母親・川端玲子(大空眞弓)がいる。
玲子は顕子を呼び出して・・・「美月を連れてきなさいよ」と言う。
玲子は明らかに顕子を支配してるが・・・さらに孫の美月も支配しようとしているのだった。
「あんたには・・・裏切られたから・・・私には美月しかいないのよ」
顕子の裏切りとは食品会社に勤務する早瀬浩司(寺脇康文)との結婚を意味するのかもしれない。
浩司はマイホームの建設に着手しているが・・・実は職場ではリストラ寸前の立場にある。
退職を促すための閑職に追いやられているのである。
嫌がらせのような単純作業をする仲間たちは「この状況でよく思いきったな」と言う。
「だからこそさ」と嘯く浩司なのである。
早瀬邸新築を担当するハウスメーカー「オアシスハウジング」の工事部主任が松島太一である。
「字は違うのですが・・・母と同じアキコという名前なので・・・なんだか他人事とは思えないのです」と顕子に媚びる太一。
さらに「幼い頃に両親が離婚して母とは疎遠になってしまったので・・・仲睦まじいご家族に憧れます」などとサービスを追加するのだった。
「またサービスしてるのね」と設計技師の立原真紀は太一を揶揄する。
美月は私立女子高の英語教師である。
受け持っているクラスの生徒・後藤礼美(石井杏奈)の無断欠席が気にかかっている。
そういうことも母親に相談する美月である。
(もう・・・どうしていいのかわからない)
(家庭訪問してみれば・・・)
母親に言われるままに・・・後藤家を訪ねる美月。
礼美は幼い弟がいて・・・土産のドーナツを美味しそうに食べる。
そこへ礼美の母親(池津祥子)が帰宅する。
「なんだい・・・あんた・・・勝手に」
「担任の早瀬と申します」
「何しに来たんだ」
「娘さんのことで相談が・・・」
「あんたに何がわかるんだ・・・綺麗な顔しやがって」
「お母さん・・・やめて」
「生意気な口を聞くんじゃないよ」
粗暴な礼美の母親に恐怖を感じる美月だった。
母親のアドバイスに従って・・・問題が生じた時・・・美月のストレスは最高潮に達するのだ。
母親への依存に現実が介入してくる不安が生じるのである。
太一が美月をデートに誘い・・・顕子は賛成する。
「あの人はあなたに合うな気がするわ」
人形にボーイフレンドの人形をあてがうように太一を推す母親・・・。
美月は母親のコーディネイトしたファッションに身を包み「奇妙な写真展」にやってくる。
「君の部屋の壁紙だけど・・・本当は君が選んだ方が・・・素敵なんじゃないかな」
「え」
「君とお母さんは・・・面白い・・・奇妙な関係じゃないかと思ってね」
「・・・」
美月は・・・反発するべきところで・・・太一に吸引されるのだった。
その時・・・美月は・・・変装した母親が自分を監視していることに気がつく。
それはまるで・・・後頭部の円形脱毛症を母親が見透かしているような不安を美月に与えるのだった。
突然・・・美月は太一の手をとって・・・逃避行を開始する。
逃げなければいけない・・・そうでなければ・・・美月は顕子に食われてしまうのだ。
顕子は・・・娘が自分以外の誰かに奪われるのではないかと恐怖した。
そういう方向の三角関係だといいなあ・・・。
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