嘘の戦争(草彅剛)騙されたら地獄行き(山本美月)
さて・・・火曜日は先攻フジテレビである。
「草彅剛・復讐シリーズ」というバカっぽいネーミングで・・・前作は韓国ドラマのリメイクを展開したのだが・・・今回はオリジナルである。
国をあげて復讐に燃える韓国とは違い、復讐なんて虚しいというのが日本の風潮である。
それでも・・・「復讐」というエンターティメントは万国共通のものという考え方もある。
悪には悪の報いがないとやりきれないと思う人も多いのだろう。
複雑な人間関係では善と悪は判別しにくいのが基本である。
憎むべき相手を愛してしまうことはよくあることだ。
愛すべき人を憎んでしまうことなど日常茶飯事である。
だから・・・フィクションの世界でわかりやすく悪に報いることはそれなりに面白いということだ。
で、『嘘の戦争・第1回』(フジテレビ20170110PM9~)脚本・後藤法子、演出・三宅喜重を見た。1987年、家族で行ったバリ島旅行から帰国した小学生の千葉陽一(小林颯)は床に倒れた父(迫田孝也)と覆面の二人組に遭遇し驚愕する。男たちは母と弟を刺し、陽一も刺される。意識を失う前に陽一は自分を刺した男の腕の痣を見た。病院で意識を取り戻した陽一は事件が父による一家心中だったと決めつける刑事(六平直政)の言葉に驚く。陽一は家族が殺されたことを証言するが・・・それは「嘘」とされてしまう。執拗な刑事の取調に陽一は「嘘」を認めてしまう。
そして・・・三十年の月日が流れた。
陽一(草彅剛)は・・・一ノ瀬浩一を名乗る詐欺師となっていた。
タイのバンコクにやってくる日本人は一ノ瀬にとってすべてカモだった。
日本から移住してきた三枝(佐戸井けん太)に「合法的なバー」の経営権を買わないかともちかけ・・・フェイクの警察による摘発をしかけて契約金を騙し取るのである。
まんまと八百万円を騙し取られた三枝だが・・・ありもしない犯罪容疑を揉み消してくれたと一ノ瀬に感謝する間抜けぶりを・・・タイで知り合った日本人女性の十倉ハルカ(水原希子)に晒すのだった。
ハルカは・・・女詐欺師で一ノ瀬のアシスタントだった。
新たなカモを求めて・・・バンコクのホテルに出かけた一ノ瀬は・・・腕に痣のある男と邂逅する。
一ノ瀬の復讐劇の幕開けである。
ハルカとともに日本に帰国した一ノ瀬は・・・詐欺師の師匠である百田ユウジ(マギー)を尋ねる。
百田は甥のハッカーである八尋カズキ(菊池風磨)を詐欺師見習いとして紹介する。
「何故・・・詐欺師になろうと思った」とカズキに問う一ノ瀬。
「嘘が好きだから」
「俺は嘘は大嫌いだ」
「詐欺師のくせに・・・」
「騙すか騙されるか・・・それだけだよ」
「こいつの言うことを信じるな」と百田は嘲笑する。
唖然とするカズキだった。
一ノ瀬は少年時代を過ごした養護施設「宮森わかばの家」を尋ねる。
経営者はかっての父親の友人である三瓶守(大杉漣)である。
医師だった三瓶は事件後・・・何故か養護施設の経営者となったのである。
二人組の犯人の一人が・・・慶明医科大学病院の准教授である五十嵐久司(甲本雅弘)であることが判明した以上・・・もう一人の候補者として三瓶は限りなく怪しい。
しかし・・・一ノ瀬も三瓶もそういう気配は一切示さない。
三瓶はニューヨークを拠点に「経営コンサルタント」をしているという一ノ瀬に・・・日本での宿泊施設として空き部屋を提供するのだった。
五十嵐の周辺に盗聴器を仕掛け、五十嵐のCPにウイルスを侵入させた一ノ瀬はたちまち、五十嵐の隠しごとを暴いていく。
教授になるための運動資金、株式投資の失敗の補填などで五十嵐は多額の借金を抱え、妻や娘には内緒で海外で買春ツアーを重ねている。
復讐の準備を整えた一ノ瀬は宣戦布告である。
「お待ちしていましたよ」
「君は誰だ」
「三十年前に・・・あなたに御世話になったものです」
「・・・陽一くんなのか」
動揺した五十嵐は・・・仁科という男に連絡をする。
「彼が・・・やってきました」
盗聴していた一ノ瀬は新たなターゲットの名前を知った。
ニシナコーポレーション会長の二科興三(市村正親)は会長秘書の七尾伸二(姜暢雄)に調査を命じる。
しかし、「千葉陽一」はオーストラリアに在住していた。
「どういうことだ・・・」
「五十嵐医師は・・・騙されているのかもしれません・・・あるいは・・・五十嵐医師が会長を騙そうとしている可能性もあります」
「金か・・・」
ニシナコーポレーションは巨大企業だった。
「三十年前は倒産の危機にあった医療器具メーカーだったらしい」
カズキの報告に遠い目をする一ノ瀬。
「三十年前・・・か」
ハッキングによって盗み出した「買春の記念写真」で五十嵐を揺さぶる一ノ瀬。
「お前・・・本当は誰なんだ」
「あんた・・・終わりだよ・・・あんたの裏口座での不正な取引や・・・多額の借金などすべて把握している・・・あんたの家族はどう思うかね」
「やめてくれ・・・一体、何が目的だ」
「謝ってほしいんだよ・・・俺から家族を奪ったことを」
「すまなかった・・・でも・・・やったのは俺じゃない」
「もう一人・・・いたのは誰なんだ」
「知らない・・・仁科さんの手配した男だ・・・俺は金に困っていて・・・千葉先生の家を訪問する手引きをしただけで・・・あんなことになるなんて・・・」
「なぜ・・・父を殺す必要があったんだ」
「わからない・・・ただ・・・先生は何か知ってはいけないことを知って・・・それを明らかにしようとしたらしい・・・」
「教授になるのはあきらめた方がいいよ・・・あんたの不正はすべて・・・警察にたれこんでおいたから」
「ええええええ」
一ノ瀬は新たなターゲットの調査を開始する。
「会長はすでに表向きには引退していて・・・公の場には姿を見せないみたいよ」
清掃員としてニシナコーポレーションに潜入したハルカが報告する。
「会長には三人の子供がいて・・・そこが攻め口ね」
後継者として社長に就任している次男の隆(藤木直人)は医療ロボット市場に参入を目論むやり手だった。
子会社の仁科カテーテルの社長となっている晃(安田顕)は出来が悪いらしい。
兄弟の妹である楓(山本美月)は慶明医科大学病院の医師だった。
「アオイホノオの庵野ヒデアキと森永とんこが兄妹なのか」
「何の話?」
「なんでもない」
自転車事故を装って楓に接近する一ノ瀬・・・。
巧みな話術で「兄弟の不仲」を聞きだす一ノ瀬である。
事情を知らない楓は「天使」のような存在だが・・・一ノ瀬の目的は仁科一族を「地獄」に叩き落すことなのである。
「また・・・兄たちが仲良くしてくれたらいいのに」
怪我の治療のついでに楓に「願いを叶える指輪」をプレゼントした一ノ瀬だった。
「どうして・・・」
「私は幼い頃に家族を失ったので・・・あなたの家族が幸せになることを祈りたいのです」
どうやら・・・楓は見知らぬ男に好意を抱いたようだ。
一方・・・ハーバード大学出身の経営コンサルタントとして・・・ガードの甘い晃に接近する一ノ瀬である。
フェイクの「東南アジアでの事業」を餌に・・・晃の信頼を勝ち取るのだった。
会長への紹介を頼む一ノ瀬だったが・・・社長と社長秘書の四谷果歩(野村麻純)が立ちはだかる。
「本当にハーバード出てるのか・・・名簿で確認するし・・・ニューヨークの本社がペーパーカンパニーでないか電話で確かめる」
「どうぞ」
名簿にあるから一ノ瀬浩一を名乗り、ハルカがニューヨークに出張済みなのである。
だが・・・愚かな兄の見つけてきた男を信用できない弟だった。
ニューヨークから戻ったハルカは霊能力のある弁護士として・・・五十嵐に接近していた。
茫然自失の五十嵐の心理を操作し・・・ヒットマンに仕上げるハルカである。
なんでもありだな・・・。
父親が出席する・・・どこかで見たようなパーティーに現れた晃は一ノ瀬を伴う。
隆は一ノ瀬を排除しようとするが・・・いがみ合う兄弟に割って入った楓によって断念する。
ついに・・・会長に名刺を渡す一ノ瀬。
「優秀な男なんです」と長男は口添えする。
「私には・・・経営コンサルは無用」と無関心な態度の会長・・・。
そこへ・・・ハルカにコントロールされた五十嵐がナイフをもって乱入する。
「やっちまいな」
「おおおおおお」
会長に向ってナイフを振りかざす五十嵐・・・。
しかし・・・そのナイフを身体で受けとめる一ノ瀬だった。
「救急車」と叫ぶ楓・・・。
だが・・・隆は負傷して横たわる一ノ瀬の口元に注目する。
「なんで・・・笑ってるんだ・・・」
一ノ瀬は・・・会長の命の恩人になったらしい・・・。
・・・馬鹿馬鹿しくて楽しいぞ。
関連するキッドのブログ→銭の戦争
| 固定リンク
コメント
じいやちゃま、あけましておめでとうございます。
今年もドラマをアレコレ楽しみましょう♪(ニカっ)
ラストで楓に「救急医」としての腕を確認して
五十嵐のナイフを受けた浩一でしたね。
刺されてもしっかりと薄笑いをしていたのがすごかったです。
まさに草彅さんのドラマでした。
面白かったですし幸先良いスタートだったと思います。
今日は鏡開きですからね。
海苔巻きや大根おろし、小豆セットも用意しましたわ。
お餅に意外と合うのがワインなのよ。
今年の無病息災を祈っていただきましょうね。
じいやちゃま本年もよろしくお願いいたします!
投稿: エリ | 2017年1月11日 (水) 22時59分
✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
エリお嬢様、あけましておめでとうございまする。
今宵は本年最初の満月でございますので
平成財閥鏡開きの宴がございます。
特製みそラーメン雑煮をお召し上がりくださいませ。
まこお嬢様が一句御作りになられました。
「鏡もち たらふく食って 太鼓腹」
さすがでございます。
じいやバカレベル3発動中。
まさにB級ドラマのお手本のような仕上がりでございましたね。
この脚本家は職人芸に磨きがかかってきましたな。
そして、草彅剛の存在感が抜群でございましたね。
子供には優しいのが微笑ましゅうございました。
美人女優の山本美月を美しく撮っている点も
好感が持てましたぞ。
個性派女優の水原希子の配置も澱みなかったですな。
基本的に自傷しつつ相手を騙すのが
主人公の常套手段のようですねえ。
生傷絶えない詐欺師でございまする。
騙し騙される世界では
ずるい、汚い、卑怯者は
敗者の戯言と申します。
本年度も抜かりなくお嬢様たちのお世話をさせていただくことを執事一同肝に命ずる今日この頃でございます~。
投稿: キッド | 2017年1月12日 (木) 01時43分
おひさしぶりです。元気にしてはりますか。
最近ドラマもなかなかゆっくり見る時間なくて
自分は今回は嘘の戦争しか。。^^;
結構更新がなくなっちゃったところもあったりして
月日が経つのは早いですね~
投稿: いっち(ろーじー) | 2017年1月29日 (日) 11時47分
☎aiko☎~ろーじー様、いらっしゃいませ~☎aiko☎
お久しぶりでございます。
いかがお過ごしでしょうか。
今季はキッドめにとってのキラーコンテンツが多く
せっかく山本美月がヒロインなのに
レギュラーレビューもれしてしまった「嘘の戦争」
ベタですが面白いですよねえ。
エリお嬢様がレビューしておられますぞ~。
じいめも加齢で
作業能力が落ちてるので
昔のようになんでもかんでもとは参りません。
まあ・・・人生とはそのようなものでございましょう。
愛とはメモリーでございますからねえ。
今季のろーじー様は
ごっこガーデンでレギュラー出演中でございますけれど~。
投稿: キッド | 2017年1月29日 (日) 17時36分