玄関マットじゃすまないのよ!(深田恭子)先生、小学生は児童です(小芝風花)
受験戦争は終わったのか・・・。
それは終わらないさ・・・。
永遠戦争だからな。
戦場から逃れたものだってそれなりに幸せになる。
しかし、戦わずに逃げれば一生、卑怯者と呼ばれるのだ。
いや・・・言われないだろう。
それは・・・陰口叩かれていることに気がつかないだけだよ。
まあ・・・そのうち・・・誰もAIに敵わない時代が来るんだけどな。
それはそれでスリリングなんだけどな。
で、『下克上受験・第2回』(TBSテレビ20170120PM10~)原作・桜井信一、脚本・両沢和幸、演出・福田亮介を見た。父親・桜井信一(阿部サダヲ)・・・スマイベスト不動産勤務。中卒。母親・香夏子(深田恭子)・・・専業主婦。高校中退。祖父・一夫(小林薫)・・・大工。中卒。中卒一家に生まれた公立・大江戸小学校の五年生・佳織(山田美紅羽)はたまたま受けた共通学力テストの結果が20000~/25000であったために・・・このままでは「中卒」なのかと不安を感じる。職場の後輩の楢崎哲也(風間俊介)が名門・東西大学を卒業していると知った信一は胸に秘めている学歴格差劣等コンプレックスに魂を揺さぶられ・・・偏差値72を要する桜葉学園中等部を目指して・・・娘を戦場に送り出す決意を固めるのだった・・・。
書店員(ぼくもとさきこ)が怯えるほど・・・中学受験の参考書を購入する桜井父娘である。
ざっと・・・二十万円ほどに見えたが・・・サイフにそんなに入ってなかっただろう。
クレジットカードの請求額を見て・・・香夏子がパンチを繰り出すのか!
「なにこれ・・・」
「すべては佳織のためなんだよう」
「お金は?」
「ポケットマネーで・・・」
「わかってる?・・・ウチはギリギリなのよ」
香夏子は・・・信一の無謀なチャレンジを思い知らせるために・・・抜き打ちテストを行うのだった。
参考書から抜きだした問題をチラシの裏に書いて・・・父と娘をテストする。
娘はなんとか解答するが・・・全問不正解。
信一に至っては・・・解答すらできないのである。
「明日・・・全部・・・書店に返品しますから」
「お願いだから・・・やめてくれ」
「お金どうするのよ」
「マンションを売って売って売りまくるから」
しかし・・・顧客夫妻(山田明郷・梅沢昌代)への対応を楢崎にまかせ・・・参考書に熱中する信一だった。
「かなり・・・わかってきた」
「完全に変なおじさんですよ」
「今度は十問中・・・二問正解だったぞ」
「道が遠すぎます」
中卒仲間の溜まり場・居酒屋「ちゅうぼう」で・・・意見を求める信一・・・。
「中卒が小学生を教えるなんて無理だろう」
「愛があるのにか」
「それは単なる親馬鹿だろう」
「どうして・・・塾じゃ・・・ダメなんです」
もちろん・・・信一には「塾」に嫌な思い出があるのだった。
佳織が通う大江戸小学校に転校生がやってくる。
「有栖川小学校から転校してくるんだって・・・」とコマツコになれそうなリナ(丁田凛美)・・・。
「ありすがわ小学校?」
「すごいお嬢様学校で、お金持ちしか行けないんだよ」と相武紗季の少女時代を演じられそうな美少女のアユミ(吉岡千波)・・・。
やってきたのは・・・徳川直康(要潤)が経営する大企業「トクガワ開発」の社長令嬢・麻里亜(篠川桃音)である。
お約束で佳織のとなりの席に落ちつく麻里亜だった。
直康は娘に変わって教室で挨拶をするが・・・娘は父親を追い払う。
「パパ・・・余計なことはいわないで」
国語の授業で「吾輩は猫である」の朗読中に・・・小山みどり先生(小芝風花)は麻里亜が算数の受験勉強をしているのに気がついて注意する。
「他の児童に迷惑をかけていないと思いますが」
「今は国語の時間でしょう」
「授業中に受験のための勉強をすることについては校長先生に話が通ってるはずです」
「そんな話・・・聞いてません」
「では・・・校長室で確認してください」
「わかりました・・・しばらく自習していてください」
小学生に言い負かされる担任教師だった・・・。
「麻里亜ちゃんも・・・中学受験をするの」
「あなたも・・・この間の共通テストを受けたの」
「麻里亜ちゃんも・・・」
「今回は三桁だったけど次は二桁の順位を目指すわ・・・あなたは」
「同じようなものよ・・・」
「へえ・・・」
麻里亜は100~999/25000である。
佳織は20000~/25000である。
桁違いにも程があるだろう。
下校に際しては車でお迎えがくる麻里亜だった。
「毎日送り迎えか・・・いいなあ」とリナ。
「でも・・・あの親子うまくいってないみたい・・・」とアユミ。
「ウチだってうまくいってなけど・・・送り迎えもナシだよ」とリナ。
「ねえ・・・佳織ちゃん・・・中学受験するって本当?」
「うん」
「え~・・・無理だよ・・・バカが受験したって失敗するだけだよ」
「私・・・バカじゃないもん」
「え~・・・それって私たちみたいなバカとは付き合えないってこと」
「そんなこと・・・」
そこへ・・・チビの大森健太郎(藤村真優)が割り込むのだった。
「なによ~チビ~」
「うっせえ・・・ブース」
チビもまた・・・中学受験の戦友なのだった。
麻里亜は父親にクレームをつける。
「受験勉強に専念するために転校したのに・・・担任の先生に話が通ってなかったわよ」
「すまない・・・それから・・・進学塾に通う件だけど」
「それはパパに任せるわ」
娘に絶対服従の父だった・・・。
一方・・・中高一貫教育の名門校・・・開徳出身でもある楢崎は「進学塾」の必要性を信一に説くのだった。
「学校の勉強と・・・受験勉強はまったく違うんですよ」
「そうなの・・・」
「体験入学だけでもしてみればいいじゃないですか」
「体験入学・・・」
信一は香夏子に相談を持ちかけるのだった。
「とにかく・・・体験入学はタダなんだよ」
「風水チェックと同じで最初は玄関マップとかを買わせてから・・・物凄い金額の水晶とかを売りこんでくるのよ」
「変な商売と一緒にするなよ」
「同じようなものでしょう」
「香夏子・・・じゃ・・・お前・・・3/5と4/5どっちが大きいかわかるのか」
「アーアーアー聞こえない~」
父親の信一は・・・弟子の杉山(川村陽介)にギブスの解体を命じていた。
「勝手に外しちゃっていいんですか」
「痛くないからもう治ったんだよ」
「しょうがないなあ」
「他の若い衆はどうした」
「トクガワ開発の下請けしてますよ」
「あの社長も変わっちまったよなあ」
「え・・・徳川さんのこと昔から知ってたんですか」
「あれは・・・息子の同級生で・・・昔はウチによく遊びにきたもんさ」
「すげえ差がついちゃいましたね」
「うるせえよ・・・この足の怪我だって・・・工期短縮をせっつかれて・・・足場の確認が不十分だから・・・このザマじゃねえか」
「・・・」
居候の父親がいないので・・・合体に及ぼうとした信一だが・・・香夏子はご機嫌ななめである。
そこへ・・・帰宅する一夫。
「邪魔してすまん・・・」
「お父さん・・・足・・・」
「おう・・・もう治ったから自分の家に帰ろうと思ってな・・・ちょっと孫の寝顔を見にきたんだ」
「もっと養生してくださいよ」
「いいや・・・そうも言ってられねえよ・・・」
一夫は可愛い孫の顔を見てうっとりするのだった。
一夫が去った後で香夏子は信一に告げる。
「本当に香夏子のことを思ってのことなんでしょうね」
「そうだよ・・・」
「あの子が嫌だと言ったら・・・やめさせるわよ」
「わかった」
怪しい窓口の男・山之内(野間口徹)のいる「羽柴進学塾」にやってくる桜井父娘だった。
「ついに決心なさいましたか」
「体験学習はタダなんでしょう」
「ええ・・・一度体験したらヤミツキになりますから」
「なんか・・・ヤバイクスリをやらせるんじゃないでしょうね・・・」
「お客様は運がいい・・・今日の講師はあの樋口先生ですから」
「ハーイ!イッツユアターン!今度は君の番だ」でお馴染みのカリスマ講師らしい・・・。
そこへ・・・徳川父娘もやってくる。
塾の職員たちは総出で歓迎するのだった。
「徳川くん・・・」
「お父さん知ってるの・・・」
「小学校の同級生だよ・・・向こうは覚えてないだろうけど・・・」
体験教室は・・・予備試験の成績を参考にした算数の授業だった。
「今日は・・・過不足算について授業をします」
「過不足算・・・」
黒板に信一にとっては謎の出題がなされる。
「わかる人はいるかな」
数人の児童が挙手をする。
「じゃあ・・・君・・・」
「わかりませ~ん」
「そういうのは学校では受けるかもしれないけど・・・ここでは通用しないぞ」
過不足算はある個数のものを何人かに分けた場合の過不足の情報から人数と全体の個数を求める問題である。
最初の問題は女児の一人が正解を出す。
「正解です・・・エクセレント!」
塾側としては・・・出来る子がいることを見せつけて・・・出来なかった子に塾の必要性を感じさせる戦略なのだろう。
「さあ・・・次は・・・もう少し難しいよ」
麻里亜は無反応だが・・・佳織は挙手をするのだった。
「え・・・君には少し難しいんじゃないかな」
予備試験の結果から・・・判断するカリスマ講師。
「徳川さんなら・・・できるんじゃないかな」
「私は挙手していません」
「だけど・・・君は」
たまりかねて・・・口を出す信一である。
「ウチの子が手をあげてるじゃありませんか」
「そこまで言うのなら・・・」
佳織は黒板に解答を書き始めるが・・・途中で躓くのだった。
(できると思ったのに・・・)
「やはり・・・少し難しかったみたいだね」
「ウチの子が食べてる・・・解いてる途中でしょうが」
しかし・・・佳織は立ちすくむ。
すると・・・麻里亜が立ち上がり・・・解答を完成させるのだった。
信一は思い出した。
自分も塾で・・・解答できずに立ちすくんだ過去があったことを・・・。
(だから・・・塾は嫌なんだ)
信一は佳織の腕を掴むと学習塾から撤退するのだった。
麻里亜の父親は娘を褒めた。
「さすがだな」
「大した問題じゃなかったもの」
「でも・・・できない子もいたじゃないか」
「あの子だって・・・半分はできてた・・・もう少し時間があれば」
「時間には限りがあるものだよ」
「・・・」
「お父さん・・・いたい」
公園で信一は佳織の腕を放した。
「ごめん・・・」
「塾には戻らないの」
「お父さんはもう大人だから・・・塾には入れない・・・佳織が困っていても助けることはできない・・・だから・・・佳織と一緒に勉強しようと思うんだ」
「私と一緒に・・・」
「そうだ・・・佳織がわからないことがあったら・・・一緒に解き明かしたい」
「いいよ」
「お父さんと一緒に勉強してくれるかい」
「うん」
その夜・・・佳織は香夏子と入浴した。
「お母さんはどうして受験に反対なの」
「勉強することに反対じゃないのよ・・・でも友達がいなくなるかもよ」
「・・・」
「それに・・・何かを目指して・・・それが手に入らなかったら・・・がっかりするかも」
「友達は・・・いなくなるかも・・・だけど・・・新しい友達がみつかるかかも」
「・・・」
「それに・・・私は・・・もっと勉強してみたいんだ」
「そうなんだ」
信一は居酒屋「ちゅうぼう」で仲間たちと飲み明かしていた。
そこへ・・・突入する香夏子である。
「何時だと思ってんのよ」
「・・・」
「佳織と一緒に勉強するんじゃなかったの」
繰り出されるヤンキー拳である。
「だから・・・今日が最後です」
「え」
「明日から・・・俺はビールも焼酎も飲まない・・・パチンコも競馬もやらない」
「・・・」
「仕事以外はずっと・・・受験勉強をします」
しかし、香夏子の打撃が効いてダウンする信一だった。
翌朝・・・目を醒ますと・・・大工仕事の音がした。
「なんだ・・・」
「おじいちゃんが・・・リフォームだって・・・リフォームって何?」
「親父・・・何してんだ・・・」
「勉強部屋だよ・・・お前の机もあるぞ・・・」
「ここにあった・・・荷物は」
「銀シャリだ」
「断捨離じゃないの・・・」
「看板はお前が打ちつけろ」
「看板・・・」
こうして・・・「俺塾」はスタートしたのだった・・・。
中卒一家は・・・中卒には届かない幸せを目指す佳織に・・・夢を託したのである。
子供が何とかしたいと思ったら何とかしてやりたいのが親の情なのである。
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