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2017年2月10日 (金)

傷だらけの用心棒(綾瀬はるか)生きて虜囚の辱めを受ける(板垣瑞生)

架空の世界で架空の歴史を紐解くことは格別に無意味なことである。

しかし・・・無意味なことにはそれなりの醍醐味がある。

ナンセンスは「笑い」の基本要素なのである。

たとえば・・・連合国が東京を大空襲し広島と長崎に原爆を投下した後で・・・大日本帝国が奇跡の逆転勝利を掴んだ世界の話。

敗戦国となった米国で行われる「ワシントン裁判」では一体、何が裁かれることになっただろう。

少なくとも・・・原爆開発関係者は全員、死刑になっただろうか・・・それとも新兵器開発のために帝国の奴隷となったのか。

あるいは人民共和国によって朝鮮半島が統一された近未来の世界。

日本国は核攻撃の脅威にさらされ・・・友愛を示すために大河ドラマは「従軍慰安婦物語」をオンエアし、全国にくまなく少女像が作られる。

一部の市民団体は「拉致被害者の像」を全世界に作ろうとするが激しい弾圧に遭う。

そういう幻想の世界に・・・私たちは誘われます。

で、『精霊の守り人II 悲しき破壊神・第2回』(NHK総合20170128PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・中島由貴を見た。目に見えない力により・・・作られた世界にはいくつかの特徴がある。たとえばこの世界には共和国はない。共和国とはそもそも王権と市民権が和する国家である。その原動力は民主主義である。しかし・・・「守り人」シリーズに登場する国家は・・・新ヨゴ皇国(ドラマでは見えない力によって新ヨゴ国)、カンバル王国、ロタ王国、サンガル王国、タルシュ帝国であり、帝や王という血統による権威が民を支配する国家ばかりである。これはそういう潜在意識に基づく幻想世界の物語なのだ。

Seireimap022 ロタ王国の港町・ツーラム・・・。

謎めいた男・ヒュウゴ(鈴木亮平)は少女海賊のセナ(織田梨沙)とともに密偵の報告を受ける。

「新ヨゴ国はサンガル王国に援軍を送るのか・・・」

「戦闘帆船一隻・・・しかし・・・その船には皇太子が乗船しているらしい」

「せっかく皇国から皇の字を省略したのに皇太子って言っちゃてるし」

「まあ・・・そういうもんだ」

「国王は陛下、王族は殿下、将軍は何だっけ」

「閣下だ」

「大提督様は」

「閣下だな」

新ヨゴ国を出港した戦闘帆船は海洋国家サンガル王国を目指し南に進路をとっていた。

ナユグ(精霊)が見える皇太子・チャグム(板垣瑞生)は甲板にいた。

チャグムの母・二ノ妃(木村文乃)の父親でもある新ヨゴ国の海軍大提督・トーサ(伊武雅刀)は孫の健康状態を気遣う。

「殿下・・・御気分はいかがですか・・・船酔いなどは・・・」

「おじいさま・・・お気遣いなく・・・私にも海の男の血が流れているらしい」

「これは頼もしい」

「戦の前に・・・寄り道をしたいのです」

「寄り道・・・」

「帝の許しを得ずに・・・ロタに密使をさしむけました」

「なんと・・・」

「タルシュ帝国に対峙するために・・・ロタ王国と新ヨゴ国の同盟締結は・・・譲れない安全保障政策です」

「帝がお許しになりますまい」

「だから・・・ロタ国王と皇太子による秘密条約を結びたいのです」

「・・・」

「おじいさま・・・私と共に謀反人になっていただきたい」

「承知つかまつった」

トーサは補給を理由に進路へと変えた。

ロタ王国のヨーサム(橋本さとし)国王は王弟のイーハン(ディーン・フジオカ)とともに優雅に狩を楽しんでいた。

鹿のようなものを射抜くヨーサム国王。

イーハンは喝采するが・・・直後に馬上から落下するヨーサム。

ヨーサムは病んでいた。

「兄上・・・無理をなさってはいけませぬ・・・」

「イーハン・・・新ヨゴ国の皇太子の提案をどう思う?」

「帝と皇太子の意見が違うのでは・・・まともに応じるわけにはいきますまい」

「しかし・・・わが国とて・・・分裂の危機は常にある」

「・・・南北問題ですか」

「そうだ・・・南の領域は豊かだが・・・北の領域は貧しい・・・経済格差はいつだって内乱の火種だ・・・特に北には・・・タルの民がおる・・・」

兄の言葉にイーハンは処刑されたタルの民の女・トリーシア(壇蜜) の死に顔を思い浮かべる。

「タルシュ帝国は確かに脅威だ・・・しかし・・・南の領域ではタルシュとの貿易を歓迎するものもいる・・・わが国の危機に・・・やがて・・・お前が対峙することになるだろう」

「兄上・・・」

「あの女に・・・こだわりすぎるな」

「・・・わかっております」

運命に導かれ・・・バルサ(綾瀬はるか)と薬草使いのタンダ(東出昌大)はトリーシア(壇蜜) の遺児たち・・・チキサ(福山康平)とアスラ(鈴木梨央)の兄妹を保護していた。

ロタ王に仕えるカシャル(猟犬)の呪術師たちはアスラに憑依したノユーク(悪霊)を警戒していた。

カシャルの長であるスファル(柄本明)がバルサの宿営地に現れる。

用心棒としてスファルを威嚇するバルサ。

「バルサよ・・・あの兄妹を・・・何から守っているつもりだ・・・あの兄妹を・・・何から救うというのだ」

「・・・」

「アスラは・・・ただの子供ではない・・・王都の祭儀場で・・・アスラの母親は処刑された・・・禁断の罪を犯したからだ・・・その場にいたものどもは・・・皆殺しにされた・・・残された子供の足跡を追って・・・私は・・・二人を発見した」

「あの子を殺せと・・・命じられたのか」

「バルサよ・・・アスラに宿りしものは・・・チャグムに宿りしものとは違うのだ」

タンダが口を挟む。

「しかし・・・ナユグなのでしょう」

「ナユグ(精霊)ではない・・・ノユーグ(魔物)だ・・・この世に破壊をもたらす邪悪な悪霊だ・・・タルの民は神と崇めるが・・・恐ろしい邪神に他ならないのだ」

「異界のものに正邪をつけるのは人間の都合ではないのか」

「バルサ・・・惧れを知らぬものよ・・・」

バルサとスファルの口論に怯えるアスラ。

危険を察知したチキサが飛び出す。

「争わないでください・・・妹が怖がります」

「私たちは争っているわけではない・・・私はこれで失礼しよう・・・バルサよ・・・よくよくお考えなされ」

スファルは去り・・・タンダは食事の用意を整える。

「これから・・・どうするんだ」とタンダは厄介事からの解放を願う口調になる。

「どこに逃げても・・・追いかけてくるでしょう」とチキサ。

「大丈夫よ」とアスラは無邪気に言う。「私たちは神様が守ってくれるもの」

「アスラにとって神様は・・・お母さんのようなものなんです・・・恐ろしさから逃れるために恐ろしいことをしてしまう・・・」

「とりあえず・・・食事にしよう」とタンダは気まずさをごまかすためにスープを口にする。「う・・・ダメだ・・・食べるな」

スファルは食材に一服盛って行ったのだった。

強烈な催眠効果に昏睡する一同・・・。

スファルの娘・シハナ(真木よう子)が現れ・・・アスラの身柄を確保する。

バルサは全身を襲う倦怠感と戦いながら身を起こす。

しかし・・・周囲は猛火に包まれていた。

「バルサ・・・」

バルサはタンダの声にふりかえる。

「これは・・・幻影だ・・・毒消しを飲め・・・」

バルサはタンダの薬を服用した。

たちまち・・・静寂が戻ってくる。

「行け・・・バルサ・・・」

バルサは騎乗し・・・シハナを追いかける。

シハナは森を抜けていた。

「スター・ウォーズ エピソード6のいただきね」

「かなり・・・温い感じだけどね」

バルサは馬をシハナと並行して走らせ、アスラに飛びついて奪還する。

「物理的にどうなのよ」

「相対速度の問題よ」

二人は短剣と短槍で対峙する。

「力量が同じなら武器の長い方が勝つ」

「つまり・・・私の方が腕が上ってことよ」

バルサはシハナに追いつめられるが・・・覚醒したアスラに驚愕するシハナ。

「去れ」

「・・・」

シハナは撤退する。

「お兄ちゃんたちは・・・」

「おそらく・・・捕まった・・・二人は私たちをおびき寄せる餌として簡単には殺されない」

バルサはアスラを連れてロタ王国と新ヨゴ国の国境を目指す。

トーサの戦闘帆船はツーラムに寄港する。

草の市でにぎわう港町。

「世界各地から・・・草が集まっています・・・南の旧ヨゴ国の物産もあるという話です」

チャグムは草使いのタンダを連想する。

そこへロタ王国の南部を束ねる大領主・スーアン(品川徹) が現れる。

「他国の兵をみだりに上陸させるわけにはいかぬ」

「我こそは新ヨゴ国の皇太子である・・・ロタ王に御目通りしたく参上しました・・・早急にお取り次ぎ願いたい」

「皇太子とな」

ロケによっては広大な感じのこの世界だが・・・セットや・・・都市間の距離感はかなり脱力する。

たちまち・・・ロタ王宮にワープする皇太子一同である。

「お父上はいかに思し召しかな」

ヨーサム国王はチャグムに問う。

「父に背いてここにおりまする。しかし・・・単独でタルシュ帝国に応じるのは無謀と推察いたしました」

「同盟というものは・・・そなたの考えるような容易いものではない」

「無礼は承知の上・・・しかし・・・国王陛下のお口添えがあれば・・・我が父の考えも変わると心得ます」

「わが国には・・・タルシュ帝国から・・・ツーラム開港の要請もある」

「それは・・・タルシュ帝国に侵略の口実を与えるようなものです」

「しかし・・・わが国には開港を望む声もある・・・したがって・・・皇太子殿の望みに即答はできかねる」

「・・・」

「されど・・・皇太子殿と余の絆は深まった・・・再び会いまみえることを心より願う・・・ご武運を御祈り申し上げますぞ」

「・・・ありがたき幸せにございます」

交渉は決裂した。

チャグムは船上で空を渡る精霊の群れを見る。

「こんなものが見えても何の役にも立たない」

「しかし・・・ファンタジーっぽさは演出できますぞ」

新ヨゴ皇国の星読博士・シュガ(林遣都)は教育係としてチャグムを慰めた。

やがて・・・戦闘帆船はサンガル王国の大船団に遭遇する。

「我こそはサンガル王国司令官オルランである」

「私は新ヨゴ国海軍大提督ソーサ・・・サンガル王の要請により参りました」

オルラン(高木亘)は嘲笑する。

「それはありがたいが・・・たった一隻では助けにはならん」

「これなるは・・・精鋭部隊でござる」

「つまり・・・新ヨゴ国は・・・サンガル王国を最初から信じていなかったということだな・・・されば・・・武装解除し・・・虜囚となられよ」

「すでに・・・タルシュの軍門に下ったと申されるか・・・」

「さよう・・・タルシュ帝国に服従を誓わねば滅びの道をたどるまで・・・それほどまでにタルシュ帝国は圧倒的な実力を持っているのです・・・新ヨゴ国も忠誠を誓うがよろしかろう」

「新ヨゴ国は・・・けして他国に服従しない」

「ならば・・・海のもくずと消えるがよろしかろう」

「・・・兵たちの命を保証してくださるか」

「いかにも」

「降伏の旗を掲げよ」

チャグムは怒りを示す。

「一戦も交えずに捕虜となるのですか」

「無駄死にはなりませぬ」

「皇太子としてこのような恥辱に耐えられぬ」

「殿下・・・身分を偽り兵士となっていただく・・・」

「そのようなこと・・・兵が一人でも裏切れば」

「私の部下にそのような不心得者はおりませぬ・・・」

「大提督・・・」

「たとえ国が滅んでも・・・皇宮の血統を絶やしてはなりませぬ」

「おじいさま・・・」

捕虜の移動は終了した。

「さあ・・・大提督閣下もこちらへ」

「船と運命を共にすることが提督の務め・・・」

「さようか」

戦闘帆船は自沈し・・・海のもくずと消え去った。

バルサとアスラは放牧民の集落で一夜の宿を得た。

「明日になったら、お兄ちゃん達を助けに行く」

「アスラ・・・」

「神様がきっと助けてくださる。私・・・お母様の代わりに神様を招くことができるようになったの。だから・・・お兄様達を探しましょう」

「アスラ・・・神様を招いてはいけない」

「どうして」

「招けば人が死ぬ」

「それは・・・悪い人だからでしょう」

「相手が悪いかどうかは・・・アスラが決めることではない・・・向こうから見ればこちらが悪いのかもしれない・・・どちらが悪いかなんて・・・神様でも決められないことだ」

「だったら殺されるのを待つしかないの・・・お母さんは何もしていないのに殺された・・・それなのに神様に助けを求めちゃいけないの・・・タルの民はロタ人に殺されるのが当たり前なの・・・」

アスラは泣きじゃくる。

バルサはアスラを抱きしめる。

「もう・・・わかった」

「絶対に許さない・・・お母さんを殺した人たちを・・・私の敵は・・・みんな悪よ」

炎の中で沈む船を見つめ・・・チャグムは誓う。

「おじいさま・・・あなたの命を・・・無駄にはしません・・・」

しかし・・・チャグムに何ができると言うのだろう・・・。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

で、『精霊の守り人II 悲しき破壊神・第3回』(NHK総合201700204PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・西村武五郎を見た。二本立てはつらいよ・・・最終コーナーである。谷間にも続く変則編成とか・・・いい加減にしてもらいたいよね。もはや・・・お茶の間は季節のない空間となりつつあるのだよ。いや・・・暖房切ったら結構寒いぞ。切るなよ。少なくとも「守り人」シリーズの世界に空調設備はないと思うぞ。だからってレビュー書く時に体感する必要はないだろう。

銃火器はないようだが・・・火薬はどうなんだろう。

花火はでてきたっけ?

思い出せない・・・。

戦闘帆船はなぜ・・・大量の油を搭載していたのか・・・謎だよな。

・・・まあ・・・いいじゃないか。

アスラはバルサに問われ・・・母親の最後について語る。

アスラの母親・トリーシアは禁断の神域にアスラを連れこんだ。

「森林の外で・・・お母様は・・・お兄様に待つように言ったわ。そこはとても恐ろしい場所だった。私は帰りたかったけれどお母様に励まされ・・・奥へ続く神域の通路を進んでいった。すると首のない屍が横たわる聖なる台があったの。そこで私は神様を見たの・・・私は屍の首から光る蔦が伸びているのを見た。怖かったけれどとてもきれいだった・・・私が人には見えないものを見ると・・・お母様はとても喜んでくださった・・・お母様は呪文を唱えながら・・・私に光の輪に触れるように言ったの・・・ヤドリギの輪に触れ・・・ノユークのタルハマヤを受け入れよ・・・そんな呪文だった・・・そして私はサーダ・タルハマヤになったのよ」

「ロタの人々はタルハマヤは恐ろしい破壊の神だと言っていた・・・」

「いいえ・・・タルハマヤは・・・タルの民を救う神様よ・・・お母様はそう言った・・・その時・・・ロタの兵士たちがやってきた。お兄様は兵士たちに捕まっていたわ。兵士たちはお母様を祭壇の十字架にかけて・・・槍で刺した・・・お母様は神様を呼べと私に言った・・・すると神様がやってきて・・・悪い人たちをみんな罰したのよ」

「・・・」

バルサが推測したように・・・タンダとチキサはスファルたちに囚われていた。

「バルサたちは・・・新ヨゴ国の国境に向っているようだ」

「鷹の目で追うにも限界があるでしょう」

タンダは揶揄した。

「自分たちに人質の価値はないと言うのかな」

「少なくとも・・・あなたたちから逃げた方が俺たちも安全でしょう」

「愚かな・・・」とシハナが蔑みの目を向ける。「お前はタルハマヤの何たるかを知らない」

「しかし・・・ナユグの・・・いやノユークの精霊に善悪はないでしょう・・・こっちの世界から見れば・・・恐ろしい振る舞いをするのかもしれないが・・・」

「タルに昔・・・一人の美しい乙女がいたという・・・美しさに魅かれた盗賊たちがやってきて・・・乙女をかどわかそうとした・・・抵抗した乙女の両親は殺された。逃げ出した乙女は川辺で光の大樹を見た。救いを求めた乙女に応え・・・タルハマヤは光の枝を伸ばした。そして・・・破壊神サーダ・タルハマヤが降臨した。タルの民は神と一つになった乙女の力を利用して・・・この地を恐怖で支配した」

「それは・・・ロタ人たちの勝手な言い草だ」

タルの民であるチキサが反駁する。

「そうかもしれぬ・・・しかし・・・サーダ・タルハマヤの存在は不安定なものだ・・・ロタの人々が勝利し・・・サーダ・タルハマヤの復活を禁じたことは仕方のないことだったとも言えるだろう」

「お前も・・・アスラの恐ろしい力を見ただろう・・・」

「・・・」

「我々・・・ロタ王に仕える猟犬カシャルは・・・呪術をもって・・・タルの民を監視するのも役目・・・お前の母のように・・・神を信じるあまりに・・・災いを解き放つものが現れるからのう・・・」

「タンダよ・・・すでに追手はバルサに追いついておる・・・しかし・・・相手は短槍の使い手じゃ・・・できれば先廻りがしたいのじゃ・・・」

「バルサはおそらく・・・四路街を目指している・・・しかし・・・それ以上は言えない・・・知りたければ俺たちを同行させろ」

「・・・よかろう」

「何か・・・道があるはずだ」

「滅びに続く道でないとよいがのう」

殺気を感じたバルサは放牧民のテントを出る。

殺到するカシャルの戦士たち。

バルサは戦士たちの戦闘力を奪うが矢傷を受けてしまうのだった。

「殺せ・・・」

「殺しはしない」

「みんな・・・この女は・・・化け物を連れている・・・その子供はサーダ・タルハマヤだぞ」

遊牧民たちの目に怯えが浮かぶ。

「黙れ」

バルサは戦士の口を封じた。

「殺したの・・・」

「気絶させただけだ」

しかし・・・遊牧民たちの視線は冷たかった。

バルサとアスラは石を投げられテントを追われた。

「どうするの・・・」

「誰かを頼るしかない時は・・・必ず来るものだ」

バルサの心には・・・国境の町・四路街に住む昔馴染みの顔が浮かんでいた。

新ヨゴ国には戦闘帆船の敗報が届いていた。

「サンガル王国より・・・タルシュ帝国に従うべきだという親書が届きました」

星読博士のガカイ(吹越満)が告げる。

「・・・」

帝(藤原竜也)は微笑んだ。

「トーサ閣下は戦闘帆船とともに自決なされ・・・乗員は捕虜になったようです」

「皇太子もか」

「皇太子については・・・触れられていません・・・いかがいたしましょう」

「捨てておけ」

「しかし・・・」

「こちらが何もしなければあちらが動くしかない・・・」

「・・・」

「陸軍大提督・・・国境の警備を厳重にするのだ」

陸軍大提督ラドウ(斎藤歩)は命令に従った。

二ノ妃(木村文乃)は帝に訴える。

「チャグムはどうなったのです」

「安心しろ・・・チャグムは捕虜になったりはしない」

「・・・」

聖導師(平幹二朗)は帝に意見を述べる。

「おそらく・・・皇太子の行方が知れぬのは・・・トーサ閣下のご配慮であると」

「ふふふ・・・身分を偽っておるのだろう・・・新ヨゴ皇国の皇太子たるものが・・・虜囚の憂き目に遇うなど・・・あってはならぬことだ・・・」

「・・・」

「手は打ってある」

「まさか・・・狩人にご命令を・・・」

「戦死こそが名誉・・・皇太子の死に・・・臣民は一丸となるであろう・・・皇太子はなぜ死んだか・・・立てよ・・・新ヨゴ国の・・・民草よ・・・ジーク・ヨゴ!」

「陛下・・・」

サンガル王国の捕虜収容所。

「殿下・・・もう少しお食べください」

「いらぬ・・・もはや・・・これまでだ」

シュガは落胆したチャグムに言葉を失う。

「すっかり・・・腑抜けになったもんだな」

護衛のために随行している狩人ジン(松田悟志)は嘲笑する。

「殿下に対して言葉が過ぎるぞ」

狩人頭のモン(神尾佑)が嗜める。

「そのような態度では・・・せっかくのトーサ閣下の計略が無駄になります」

「・・・」

「かって・・・精霊を宿したお前を見上げた男と思った俺が馬鹿だったよ・・・めそめそしやがって・・・単なるガキじゃねえか・・・こんなガキのために・・・トーサ閣下は命を捧げたのか・・・その命を無駄にしないと誓った言葉は世迷いごとか」

「ジン・・・すまなかった・・・お前の言う通りだ・・・泣きごとを言うために生き延びたわけではない・・・みんな・・・今日から私はただのチャグムだ・・・さあ・・・食べるぞ・・・腹が減っては戦が出来ぬからな・・・」

しかし・・・その夜・・・帝の密命を受けたモンは・・・チャグムの息の音を止めにかかるのだった。

四路街で衣装店を営む女主人・マーサ(渡辺えり)はバルサを歓待した。

マーサと息子のトウノ(岩崎う大)が行商をしていた頃・・・今は亡きジグロ(吉川晃司)とバルサは用心棒として雇われていたのだった。

ジグロはマーサの思い人だった。

「マーサはねえ・・・あんたぐらいの年から・・・用心棒だったよ」

マーサの言葉に驚くアスラだった。

マーサはアスラを入浴させ・・・アスラに残るヤドリギの輪の痣に驚く。

「あんた・・・怪我していたのかい」

「いいえ・・・これは生れつきです」

「そうかい・・・変なこと言ってすまなかったね」

しかし・・・バルサの矢傷は熱を持っていた。

マーサは医術死を呼んで手当をさせる。

「長居はできないんだ・・・」

「追われているんだね」

「迷惑はかけられない」

「何を水臭いこと言ってんだ・・・あんたを用心棒として雇うからね・・・契約が終わるまで逃げられないよ」

「・・・」

バルサは意識を失った。

夢の中でバルサ(清原果耶→綾瀬はるか)はスマル(野村将希)を短槍で貫く。

バルサが初めて殺した相手・・・。

「殺さなければ殺される・・・それでも殺すな・・・と言うのか」

バルサは己に問うのだった。

マーサはアスラに機織りの術を教え・・・美しい衣装を与える。

目覚めたバルサはアスラの笑顔を見た。

ロタ王国の宮廷では南北の領主たちが論争をしていた。

「何故・・・南にだけ増税が行われるのだ」

「北は今・・・疫病が流行中で支援が必要なのだ」

「北のことは北でまかなえばいいではないか」

「北のものに死ねと言うのか」

「・・・陛下」

南部を束ねる大領主スーアンが立ち上がる。

「申せ」

「増税のことは了承いたします・・・しかし・・・ツーラムの開港もご了承願いたく申し上げます」

「それとこれとは話が違うではないか」

イーハンが口を挟む。

「イーハン殿下・・・北の地の疫病も北の地にタルの民が多いことと無関係ではないでしょう・・・祭事場での惨劇の噂がございます・・・この際・・・タルの民をこの国から一掃してはいかがでございましょう」

「なんと・・・」

イーハンがタルの民に同情的な態度であることは周知の事であるらしい。

タルの民問題もまたロト王国分裂の兆しであった。

スファルはタンダを問いつめる。

「そろそろ・・・教えてもらおうか」

「しかし・・・どうなさるつもりです・・・バルサは素直に従ったりしませんよ」

「殺せる時に殺せないものなど・・・どうにでもなる」とシハナ。

「殺せる相手を殺さない・・・その優しさこそがバルサの強さではないか」

「そんなのはただの役立たずさ・・・」

「まずは話し合いだ・・・」とスファル。

「バルサはおそらく・・・マーサの店にいる」

「ああ・・・そうかい」

シハナは態度を豹変させる。

カシャルたちは・・・タンダとチキサ・・・そしてスファルまでも拘束するのだった。

「シハナ・・・お前・・・どうするつもりだ」

「父さんのやり方は手ぬるい・・・ここからは私が仕切るよ」

「なんだと・・・」

「私はね・・・アスラの力を使い・・・この国を一つにまとめるつもりなのさ」

「えええ」

シハナの使い猿は手紙をバルサに届けた。

「何て書いてあるの・・・」

「アスラを連れてこなければ・・・タンダとチキサを殺す・・・とさ」

アスラの力をめぐり・・・陰謀が渦巻き始めていた・・・。

支配者たちは常に力を欲する。

より強く支配するために。

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