人知れず仕事を終えたコピーロボ変らぬ鼻の色ぞ哀しき(堤真一)
(金)の深田恭子ママに癒され、(土)の小泉今日子ママに萌える・・・あくまで個人的な感想です。
今季の週末は二夜連続キョンママ祭りなのである。
深キョンママはママにしたい女優ナンバーワン系だが・・・キョンキョンママは結構面倒臭い系である。
それはある意味、リアルな女房のプロトタイプだが・・・キョンキョンでなくても面倒くさいのが普通である。
それがキョンキョンなので萌えるわけでございます。
その辺りの微妙な匙加減に逆上する人もいるだろうし・・・未婚の男性たちは・・・もしも自分の相手がああだったらどうしようと恐怖するわけである。
大丈夫・・・大抵の人はキョンキョンではないし・・・大抵の人はあんな感じで面倒くさいものです。
それに耐えて生きていく・・・それが人生というものだから。
で、『スーパーサラリーマン左江内氏・第4回』(日本テレビ20170204PM9~)原作・藤子・F・不二雄、脚本・演出・福田雄一を見た。このドラマの左江内氏(堤真一)には名前はない。左江内家の事実上のボスの円子(小泉今日子)の夫であり、都立源高校に通うはね子(島崎遥香)と公立骨川小学校に通うもや夫(横山歩)の父親・・・それが左江内氏。フジコ建設営業第三課の係長であるサラリーマン左江内氏。家庭と職場・・・左江内氏はすでに両手がふさがっているのにさらに「ヒーロー」という第三の荷物を背負わされる。これが趣味だったらよくある話である。ヒーローなんて嫌だ嫌だと言いながら・・・スーパーサラリーマン左江内氏は・・・かなり公私混同していくのである。人間というものはそういうものなのだ。
桟橋に小池刑事(ムロツヨシ)と警察官刈野(中村倫也)が現れる。
洋上に小型クルーザーがあり、船上で若いと言えなくもない男(笠原秀幸)と若いと言っても差し支えない女(生越千晴)が手を振っているのが見える。
「手をふってますね」
「ふりかえしてやろうか」
風向きが変わり船上の二人の声が桟橋の二人に届く。
「助けて~」
「燃料切れで~」
「漂流してます~」
「助けて~」
刈野が事態に気がつく。
「救助を求めています」
「これは・・・カイホを呼ぶ他はないな」
「小池刑事・・・海上保安庁に救援を要請しますか」
「いや・・・俺だって海の猿だ・・・しかし・・・ここはカイホすな」
小池刑事が逡巡しているとスーパーサラリーマン左江内氏がクルーザーに舞い降りるのだった。
「どうしました・・・」
「あなた・・・今・・・飛んできましたよね」
「そこ・・・気になりますか」
「だって・・・」
「私・・・ランチ・タイムだったのに・・・呼ばれてやってきたわけで」
「はあ・・・」
「昼飯食べたいわけで・・・なんなら帰りますけど」
「助けてもらえるんですか」
「もちろん」
「どうやって?」
「船ごと持ち上げて桟橋まで運びます」
「そんなことできるんですか」
「その確認・・・必要ですか」
「いや・・・このまま彼女と漂流して無人島に漂着して青い珊瑚礁的な冒険生活も悪くないかなって」
「彼の戯言はどうでもいいのでお願いします」
「いいんですね」
「君もブルック・シールズになれるのに」
「きゃあああああ」
クルーザーは空中を飛んで桟橋付近に着水する。
スーパーサラリーマン左江内氏が去ると忘却光線の威力で残された人々はヒーローの存在したことだけを忘れてしまう。
「あれ・・・いつの間に」
「助かった~」
「俺の海賊王の夢が・・・」
この男・・・わざと燃料切れにしてたんじゃないか・・・。
「お手柄ですね・・・小池刑事」
「そうだね・・・私・・・小池警部はほら・・・海の猿だから・・・」
「警部じゃなくて巡査部長ですよね・・・だけど少しも濡れていませんね」
「ウォータープルーフだから」
オフィス街に戻った左江内氏はフジコ建設の屋上に着地する。
部下の蒲田(早見あかり)と下山(富山えり子)の二人が左江内氏に気がつく。
「係長・・・何してたんですか」
「お昼休み・・・終わっちゃいますよ」
「頭・・・びしょびしょじゃないですか」
「ちょっと寝ぐせを直してた」
「今朝・・・寝ぐせの印象なし」
「俺なりのこだわりだ」
「係長が髪型に拘っている印象なし」
「・・・」
凸凸コンビから凹凹コンビへリレーされてオープニングコントがのほほんと終了する。
喜劇女優としての早見あかりの凄腕が冴えるのだ。
謎の老人(笹野高史)におでん屋で愚痴る左江内氏。
「どうしたの・・・その傷」
「妻がね・・・珍しく弁当を作ってくれたんです」
「よかったじゃない」
「だけど・・・昼休みに人命救助をして昼飯食べそこなったんですよ・・・弁当があることをすっかり忘れて帰宅して・・・妻が手をつけていない弁当を発見して・・・殴る蹴るですよ」
「今度は愛妻弁当は残さないようにね」
「・・・」
オフィスでは簑島課長(高橋克実)とお調子者の池杉(賀来賢人)が左江内氏を待ち受ける。
「例の栃木のリゾートホテルのプレゼンテーションなんだけど」
「あれは池杉の担当では・・・単独での受注が決まりかけてたんじゃないですか」
池杉は簑島に過剰にすり寄るのだった。
「そうなんだけどね・・・結局、三社によるプレゼンテーションになったよ」
「裏切られたんです」
「ああ・・・」
「それで・・・君にプレゼンをまかせたいんだ」
「つまり・・・尻拭いということですか」
「頼むよ」
「仕方ありませんね・・・でプレゼンはいつですか」
「二日後だ・・・」
「え」
「明らかに意地悪なんだよ・・・」
「うちにやらせる気がないわけですか・・・どんだけ嫌われたんだ」
「ウフン」
なんらかの工作があったらしく凹凹コンビが出動する。
「係長・・・栃木出身ですよね」
「すごいアドヴァンテージじゃないですか」
「案外、逆転できるかもしれませんよ」
「契約とれたら部長に昇進しますよ」
凹凹コンビに耳元で囁かれ揺れる左江内氏・・・。
「そうかな・・・とにかく・・・設計部に行ってくる」
敗戦処理を見事なチームワークで左江内氏に押しつけることに成功した営業第三課一同だった。
「トレビアン・・・ウインブルドン」と意味不明の快哉を叫ぶ池杉である。
設計課の諸星(尾上寛之)たちは・・・左江内氏の状況説明を聞いてやっつけ仕事を開始するのだった。
「とにかく君たちにまかせるよ」
「とにかくやっつけます」
帰宅した左江内氏をガメラと化したコタツ司令官が待ちかまえる。
「あ・・・炬燵出したのか・・・ダメじゃないか」
「ダメだって言ったんだけど」とはね子。
「それなのにどうして・・・」
「ママ・・・なんかいろいろあったみたい」
「えええ」
説明しよう・・・円子は一度コタツに入ると立ち上がれなくなってしまうのだ。
「ママ・・・風邪ひくよ」
「ほっといて・・・」
翌朝もコタツでガメラとなり朝の指図をする円子だった。
「アタシも食事食べるからおなしゃす」
「脱水するぞ」
しかし・・・ピタゴラスイッチ的水分補給装置を完成している円子である。
「明日・・・もや夫・・・保護者同伴遠足だからね」
「高尾山か・・・いい天気らしいね」
「何・・・他人事みたいに・・・」
「え」
「パパが連れてって」
「君が行くって言ったじゃないか」
「龍兵くんママとケンカしちゃったのよ・・・サッカー教室の話になってもや夫のことディフェンダー向きとか言うもんだから」
「ディフェンダーだって大切じゃないか・・・長友とか」
「長友じゃ嫌なの・・・香川・・・岡崎っていうより本田・・・」
「内田だって・・・ディフェンダーだし」
「・・・」
「顔かっ」
「とにかく・・・ツートップがいいの・・・顔合わせたらケンカになっちゃうから・・・行けないの」
「困るよ・・・明日・・・大切なプレゼンが」
「休めばいいじゃん」
「そういうわけにはいかないよ」
「パパっていつもそう・・・自分の都合ばっかり」
「・・・」
「もや夫がディフェンダー呼ばわりされたんだよ」
「お義母さんに頼めないかな」
「バアバに・・・じゃ・・・電話して」
しかし・・・バアバ(青木和代=ジムシィ)はジイジとワイハーでアサイーなのだった。
万事休すの左江内氏・・・。
「あの・・・パーマンのコピーロボットみたいなのないですか」
「そりゃ・・・同じF先生の原作だけどさ」
「原作?」
「とにかく・・・そんな都合のいいものないよ」
怪しい老人にも見放され・・・家庭の事情を職場に持ち込む左江内氏である。
「とにかく・・・長友じゃダメなんです」と左江内氏。
「わかるよ」と課長。
「わかるのかっ」と池杉。
「とにかく・・・動かざること山の如し・・・風林火山です」
「武田信玄か・・・」
「山だけだしっ」
「しかし・・・すべて私事でした・・・お忘れください」
「忘れよう」
「忘れんのかいっ・・・ていうか・・・何故、半沢直樹風!」
設計課の諸星チームは・・・。
「なんか・・・ダラダラとやるより・・・いい設計に仕上がりました」
「え」
「まかせるって言われた時・・・この人ダメだと思ったんですが・・・なんだかほっておけなくて・・・ダメ元でやったら・・・なんだかスムーズにアイディアが出て・・・これ・・・手応えありますよ」
「はあ・・・」
こうなったら・・・もや夫に泣いてもらおうと決意した左江内氏・・・。
「明日・・・パパが来てくれるんでしょう・・・高尾山・・・天狗が出るかもよ」
とても言い出せたものではない。
こうなったら・・・早めに出勤して準備をして・・・プレゼンは諸星チームに委ねるしかないと結論する左江内氏である。
寿司職人(佐藤二朗)は問いかける。
「何故に河童巻きばかりを・・・」
「河童だからさ・・・」
「通ではなく・・・」
「通はこはだとか卵焼きとかだろう」
そこへ・・・怪しい老人が現れる。
「一回だけということで原作的にもOKが出たよ」
「原作的って・・・」
「これだろ」
その手にはクレーンゲームでキャッチできるようなコピーロボットが握られていた。
「やった」
「ただし・・・三時間限定だからね」
「会議を終えて高尾山に飛べば交代できます」
「絶対だよ・・・人間が・・・コレになっちゃうとこ誰かにみられたらトラウマになる人もいるかもしれないから・・・気をつけてよ」
「はい」
プレゼンの準備を終えて・・・コピーロボットは鼻のスイッチで・・・何故かハイキングスタイルの左江内氏に変身する。
まあ・・・なんでもありの笑いだな。
いざ・・・プレゼンへと出発する左江内氏だが・・・明らかに挙動不審の池杉・・・。
プレゼン会場で設計図が紛失していることに気がつく左江内氏。
「データも消えています」
「会社のPCに残っているはずです」
「間に合いませんよ」
しかし・・・左江内氏は弾丸より速いのだ。
けれど・・・会社のPCのデータも消去されていた。
スーパーマンの登場に驚く一同。
池杉は逃げ出す。
思わず追いかける左江内氏。
「すみません・・・なんだか・・・プレゼンが思ったより上手く行きそうで・・・自分が失敗したのに係長に手柄立てられたら・・・カッコ悪すぎて・・・たえられませんでした」
「なんてことを・・・」
お茶の間では池杉のクズっぷりに卒倒する人続出である。
会議場に戻った左江内氏・・・。
正直にデータが紛失したことを話すのだった。
「ただ・・・一言言わせてもらうと・・・私は栃木県出身です・・・皆さんのプレゼンを聞いていていくつか・・・思いついたことがありました」
「クレームをつける気か」
「いえ・・・栃木県人として・・・よりよいホテルができればいいなあと思いまして」
真摯に改良点を述べる左江内氏に一同は耳を傾ける・・・。
「敵に塩を送りすぎですよ」と諸星。
「ですねえ・・・」
「でも・・・楽しいプレゼンでした」
「そうですか・・・あっ」
うっかり・・・遠足のことを失念していた左江内氏である。
「これは・・・ギリギリだ」
しかし・・・高尾山には円子が来ていた。
「え」
「あら・・・パパ・・・帰っていいって言ったでしょう」
「いや・・・どうして・・・」
「ディフェンダーに向いてるっていうのも一つの才能だと思いなおしたの」
「そうか」
左江内氏は飛び去り・・・人々は忘れた。
左江内氏は・・・空からコピーロボットを探索する。
人気のない林の中に横たわる任務を終えたコピーロボット。
「こんな寂しいところで・・・流石は私のコピーだ」
社に戻った左江内氏は池杉に二度謝罪される。
「やったぞ・・・リアリティー建築と共同開発に決まった」と喜ぶ課長。
恐ろしいほどのハッピーエンドである。
炬燵は仕舞われていた。
「炬燵・・・片付けたのか」
「でも・・・私は芯から身体が冷えたので一切の家事ができません・・・よろしくおなしゃす」
ギクシャクと階上に去って行く円子。
「いつもと・・・同じだけどな・・・」
平和な日常に苦笑する左江内氏なのです。
ついにハッピーエンドに仕上がったよ・・・凄いぞ。
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