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2017年3月 9日 (木)

上には上があり下には下がある幸せ(綾瀬はるか)

行間というものがある。

行間には不確実な何かが含まれている。

そもそも言葉というものは不確実なものだ。

「愛している」と言われてもそれがどういう意味なのかは漠然としている。

そもそも言う方も言われる方も愛をなんだと思っているのかわからない。

そういう言葉を使って「小説」を書いた時に作者と読者の意志疎通が成立しているのかどうかよくわからない。

まして・・・行間となると相当に謎である。

小説を映像化する場合・・・多くの読者が主人公の顔が思っていた感じと違うと思ってもおかしくはない。

コミックをアニメ化すれば作画はともかく・・・声が全然違うと思う人も多いだろう。

とにかく・・・それぞれの思う理想の世界と現実には食い違いが生じるのが前提である。

そういう個人的な違和感を味わう上では・・・理想的なドラマなのかもしれないなあ。

で、『精霊の守り人II 悲しき破壊神・第7回』(NHK総合20170304PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・加藤拓を見た。谷間にするつもりだったが・・・よく考えてみたら繰り上げるところだった・・・先が読めなくなりつつあるのだな。「殺人者」というものを描くことは非常に困難なことだと思う。それを悪と描くことはたやすいが・・・「死刑」や「戦争」の制度を持つ国では・・・それは法的には「悪」とは限らないのである。合法的な「殺人」が公認されている以上・・・それを「悪」と決めつけるのは稚拙だと言えるからである。もちろん・・・稚拙な読者のために・・・それを「悪」と決めつけるのも一種のビジネスなのだが・・・それが面白いとはどうしても思えない一部の人格があります。

「なぜ・・・人を殺してはいけないの」

「その答えは・・・自分で探すしかない」

「なぜ・・・人は人を殺すの」

「殺すことができるからだ」

「人を殺したら・・・どうなるの」

「それは人それぞれ」

「よくわからない」

「そういうものなのだ」

どの程度の人口がいるのかよくわからない世界で・・・大きいのか小さいのかも定かではないロタ王国。

漠然としているが・・・現在のロタ王家の祖先は南部からの侵略者で北部のタルの民を征服した過去を持つのだろう。それは先住民ヤクーを支配した新ヨゴ国の帝の一族と同じである。国家的な弱肉強食は普遍的な出来事なのである。大国の脅威が強まれば小国は廃止した徴兵制を復活させたりするものだ。

それが安全保障というものなのである。

今・・・南の大陸にタルシュ帝国という巨大な国家が出現し・・・北の大陸に脅威が迫っている。

北の大陸の諸国家は・・・団結して闘うか・・・各個撃破されるかの瀬戸際に立たされている。

もちろん・・・戦わずに平和的に降伏する選択も可能である。

しかし・・・敗者は勝者に隷属するのが必然である。

南部ロタ人には北部タル人に対する優越感がある。

支配者は被支配者の間にある対立を統治のために利用するのが一般的である。

王権を脅かすほどに民が団結せず・・・内戦に発展して国を乱すほど民が対立しないこと。

それが生かさず殺さずということである。

少数民族を下位に置くことは大衆の心の安定には有効な方策なのだ。

そして・・・大衆というものはそういうことを好むのである。

信じられないような「フクシマ」関連のニュースがそれを物語るだろう。

絶対的平等の実現が理想に過ぎない以上・・・上には上があり・・・下には下があることでバランスがとれるならば・・・それは善政の一種なのである。

北大陸の諸国家を動揺させるタルシュ帝国の脅威は・・・ロタ王国の王位継承の問題に波及する。

南部ロタ人はロタ王権からの独立を視野にタルシュ帝国との接近を画策する。

ロタ王国の南部を束ねる大領主・スーラン(品川徹)はロタ王国が滅んでもタルシュ帝国での一定の地位を確保しようとする売国奴なのである。

王位継承の儀式でもある「建国ノ儀」を前にヨーサム(橋本さとし)が逝去したことにより・・・王弟のイーハン(ディーン・フジオカ)は遺言に従い・・・王の死を秘して王位継承の儀式に臨む。

ロタ王権の維持のための密偵組織・カシャル(猟犬)で穏健派の長老・スファル(柄本明) の娘・シハナ(真木よう子) は急進派として王権の強化を目指す。

シハナはイーハンの王位継承を確実にするために・・・強力な殺傷力を持つ・・・破壊神サーダ・タルハマヤの復活を計画する。

イーハンはタルの民であるトリーシア(壇蜜) を愛したために階級制度を乱す罪人として一部の貴族たちに蔑まれていた。

シハナは逆にタルの民を利用し・・・タルの巫女であるイアヌ(玄理)を支配下において・・・タルハマヤ(タルの精霊)を宿した少女アスラ(鈴木梨央)を手中に収め・・・催眠術による洗脳を試みた。

トリーシアとイーハンの「愛」と・・・チキサ(福山康平)とアスラの兄妹の狼に殺された父親の存在・・・そして破壊神を召喚することに執着した処刑前のトリーシアの変貌・・・すべてが曖昧で謎に包まれているが・・・最初からシハナの仕組んだ陰謀と考えればそこそこ辻褄が合う。

シハナはイーハンの王位継承後・・・王権を強め・・・独裁体制を作ることでタルシュ帝国に対峙しようとしているのである。

そのために・・・トリーシアを洗脳し・・・古のサーダ・タルハマヤ(佳野)の首なしミイラに宿る精霊をアスラに寄生させ・・・トリーシアを処刑させることで破壊神サーダ・タルハマヤの復活を促したのだった。

シハナの想像を越えた破壊神の殺傷力により・・・一度はアスラを見失い・・・バルサ(綾瀬はるか)の介入で事態は複雑となったが・・・穏健派からカシャル組織の主導権を奪った急進派は・・・アスラを奪還し・・・南部の売国奴に・・・「王の死」を知らせることで反乱の口実を与える。

「建国ノ儀」でイーハンに王位を継承させ・・・同時に南部の反乱分子を破壊神サーダ・タルハマヤによって粛正する・・・神と一体化した国王イーハンの誕生・・・。

シハナの計画は実現の一歩手前に迫っていた。

シハナは軟禁しているチキサの元へアスラを導く。

「アスラ・・・」

「お兄ちゃん・・・」

「バルサさんは・・・どうした」

「バルサは死んでしまった・・・私が助けられたかもしれないのに・・・私が悪い人たちを殺すことをためらったから・・・」

「・・・」

「タンダさんは・・・どうしたの」

「アスラたちを捜しに出かけて・・・それきりだ」

タンダ(東出昌大) はバルサとともに・・・ロタ王国の祭儀場を目指していた。

「タンダ・・・呪術でアスラの居場所を探れないのか」

「バルサ・・・無理なことを言うなよ」

「トロガイなら・・・きっとできるのに」

「トロガイ師は・・・人混みが嫌いなんだよ・・・鬼人を見たような目で見られるから」

「鬼人なんだから・・・仕方ないではないか」

「明日・・・建国ノ儀・・・祭儀場にアスラは姿を見せるだろう」

「スファル・・・私の背後に黙って立たれると・・・串刺しにしちゃうことがあるから・・・気をつけろ」

「恐ろしい奴だな」

翌朝・・・スファルは穏行の術をバルサとタンダに施して・・・三人は祭儀場に潜入する。

祭儀場の石像の内部には空洞があり・・・シハナはアスラ共に潜伏しているのだった。

王宮の兵士と・・・カシャルの衛兵が・・・警備の配置に着く。

護衛兵を伴った南部の領主たちが列席する。

そして・・・王弟イーハンが登場する。

生贄の羊を屠るのが王位の証である。

王の命により屠殺を代理で行うことは王位継承の証となる。

イーハンが羊を屠れば・・・新王が誕生するのである。

「病床の国王の命により・・・私が神に羊を捧げる」

「待たれよ」

大領主スーアンが異議を唱える。

「国王に逆らうのか」

「国王陛下は崩御なされたのであろう」

「・・・」

「これは王弟殿下の反逆でございましょう」

「これは兄の遺言である」

「遺言であることを証明していただこう」

「・・・」

「国王陛下の命を奪った反逆者・・・イーハン殿下」

「馬鹿なことを言うな」

「反逆者イーハン」

武装した領主の一人がイーハンに矢を放つ。

イーハンは矢を斬り払う。

「神聖な儀式を汚す気か」

「反逆者イーハン」

「イーハン殿下をお守りしろ・・・」

殺気立つ場内・・・。

石像は目に見えない世界の精霊の大樹と重なっていた。

姿を見せたアスラは・・・精霊の大樹を昇りはじめる。

「鎮まれ・・・」

シハナが石像の前に立つ。

「あの方こそ・・・サーダ・タルハマヤである」

どよめく・・・場内の人々。

多くのものが祭儀場での虐殺の噂を耳にしていた。

「聴け・・・サーダ・タルハマヤは邪悪な存在ではない・・・ロタの地に豊穣をもたらす神なのだ」

「・・・」

「しかし・・・その力は・・・国を乱すものには容赦なく死の炎となって降り注ぐ」

「タルの邪悪な教えではないか」

「そんなことを我々は信じない」

アスラはすでにあの世の精霊の大樹の洞(うろ)にたどり着いていた。

それはこの世の石像の聖なる玉座と重なっている。

「信じぬものは死ぬがよい・・・サーダ・タルハマヤよ・・・お力をお示しください」

アスラは威嚇射撃のように・・・周囲に精霊の触手を放つ。

この世に介入したあの世の物理力が祭儀場の壁を砕く。

「おお・・・」

「殺せ・・・邪悪な巫女を殺せ」

「やめろ」

バルサが祭壇に飛び乗った。

「邪魔をするな」

「アスラ・・・人を殺してはいけない」

「神様が・・・力を示してくれるの」

「ダメだ・・・自分で考えろ・・・神のせいにするな」

「お母様が・・・殺されても・・・」

「マーサが・・・どう思うと思う?・・・アスラが人を殺したことを喜ぶと思うのか」

「・・・」

「バルサ」とシハナが両手剣を抜く。「余所者が戯言を言うな」

「幼きものを道具にするな」

「笑止」

シハナはバルサに襲いかかる。

二人の激闘に人々は圧倒される。

イアヌはタルの巫女たちを率いて神に捧げる歌を唱和する。

「サーダ・タルハマヤ・・・力をお示しあれ・・・サーダ・タルハマヤ・・・民をお救いあれ」

「アスラ・・・自分の心を誰にも渡すな」

「黙れ・・・バルサ・・・お前のような下賤のものが口出すことではない・・・この国の行く末が懸っているのだ」

「犬が吠えるな」

「・・・」

本気を出したバルサに圧倒されるシハナ。

「バルサを殺してしまいなさい」

「誰も殺してはいけない」

幻影のトリーシアと用心棒バルサの板挟みとなったアスラは空中に身を投げる。

「アスラ」

バルサは宙に跳んだ・・・。

空中でアスラを受けとめると背中から落下する。

衝突の激痛を感じ・・・バルサは意識を喪失する。

「建国ノ儀」は台無しになった。

意識を取り戻したバルサをタンダが見下ろしている。

「ここは・・・」

「まだ動くな・・・あと数分で・・・骨折が治癒する」

「アスラは・・・」

「無事だ・・・眠っている」

「アスラの姿を見たい」

「動けるようになるまで待て」

バルサは気合で起き上がった。

「お前・・・無茶をするなよ」

天幕の中でアスラは眠っていた。

「精霊を呼び出した後はいつもこんな感じだ」

そこにシハナが現れる。

「もう・・・目覚めないだろう」

「なんだって・・・」

「息はしているが・・・魂を感じられぬ」

「・・・」

「アスラは死んだのだ」

「馬鹿を言うな」

「それならば・・・終わったと言ってもよい・・・タルハマヤを宿らせたものは・・・神となるか・・・死ぬかなのだ」

「最初から・・・それを知っていたのか」

「私はアスラを神にしようとした・・・お前が邪魔をしてアスラを殺したのだ・・・野良犬のために何もかもめちゃくちゃになった」

「出て行け」

「出て行くさ・・・役立たずの残骸に用はないからな」

「・・・」

「この国が滅ぶとしたら・・・それはお前のせいだよ・・・バルサ」

シハナは去った。

「タンダ・・・」とバルサは救いを求める。

「できるだけのことはするよ・・・」

「頼む・・・」

「落ちついたら・・・ここから離れた方がいい・・・」

「大丈夫なのか」

「アスラの身体には問題がない・・・問題なのは精神だ・・・ここには邪な気が強い・・・もっと・・・陽気な場所に移さないと・・・」

バルサはアスラを背負い・・・王都を離脱した。

タンダがアスラの療養の地として選んだのは・・・ロタ・新ヨゴの国境の町・・・四路街のマーサの店だった。

昏睡を続けるアスラに薬湯を飲ませ続けるタンダ。

「眠っているのに・・・飲めるんだね」

マーサ(渡辺えり)は感心する。

「アスラの肉体が生きようとしているのです・・・」

その時・・・アスラが咽かえる。

「やはり・・・不味いのか」とバルサ。

「いや・・・意識が戻った」

「え」

アスラは目覚めた。

「あの世に留まっていた魂を・・・この世の肉体が呼びもどしたのだ」

「バルサ・・・」

「アスラ・・・私はここだ」

「バルサ・・・よかった」

「アスラ・・・」

「私・・・長い夢を見ていたわ・・・」

「へえ」

アスラは回復した。

「もうしばらく・・・ここでアスラを預かってもらいたい」

アスラはマーサの息子のトウノ(岩崎う大)に願い出る。

「いつまでいたって・・・構わないさ・・・ただ」

「何だ」

「この辺りも物騒になってきた・・・新ヨゴ国の帝は・・・タルシュ帝国に弔い合戦を挑むとかで」

「弔い合戦」

「サンガル王国に派遣された皇太子が・・・殺されたらしい」

「・・・チャグムが・・・殺されただと」

風雲急を告げる北の大陸なのである。

ロタ王国の王位継承がどうなったのかも気にかかるところだが・・・無国籍者であるバルサには国家の存亡など知ったことではないのだった。

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