永禄八年、高瀬姫現る(髙橋ひかる)
ええと・・・戦国時代ですよね。
少なくとも・・・井伊直親の血をひく娘である以上・・・井伊家の姫である。
演じる高橋ひかるの実年齢が15歳なので・・・天文十九年(1550年)生れとなる。
井伊直親が天文五年(1536年)生れなので十四歳の時の子供ということになる。
天文十三年(1544年)に井伊谷から信濃国に亡命した直親が井伊谷に帰参するのが弘治元年(1555年)である。
まあ・・・演じる人の実年齢と役の年齢は必ずしも一致しないので・・・基本的に亡命中に現地の女との間に出来た姫ということになる。
その登場が・・・そんなに驚くようなことなのか。
そもそも・・・高瀬姫の存在は隠すようなものではないし・・・周知の事実ではないのか。
だが・・・そういうドラマにしているのだから・・・お茶の間がああだこうだ言っても無駄なのだな。
ただ・・・茫然とするしかないのである。
で、『おんな城主 直虎・第19回』(NHK総合20170514PM8~)脚本・森下佳子、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。さて・・・2017年春ドラマを待ちながらという記事もなく・・・冬ドラマの延長線上として大河ドラマのレビューのみの体制に移行してクール(季節単位)の半分を消化したわけである。名手・森下佳子にちょっと期待しすぎて・・・キッドとしては微妙な気分である。ある種の女の愚かさ、したたかさ、それでもなんとか生きて行く感じは・・・持ち味である。馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な女の恨み節が炸裂しているとも言える。愚かな女とそれを生み出す残酷な世界の対比は・・・「白夜行」であろうと「わたしを離さないで」であろうと「平成夫婦茶碗」であろうと「ごちそうさん」であろうと一巻しているといえる。しかし・・・キッドの愛する戦国時代が舞台となると・・・かなりの違和感を感じるわけである。まず・・・農民たちが・・・なんとなく江戸時代の百姓風である。徳川家康が構築した究極の封建制度の下における向上した生産性と重厚な身分制度下の百姓風なのである。綿花の生産に着手したりして・・・それなりに上を向いて歩いているらしい。そういう意味で・・・おんな城主直虎は・・・雪穂の憧れた「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラなのかもしれない。つまり・・・南部の女農園主である。そしてなんといっても・・・永禄八年の遠江国は動乱の真っ只中にあるわけで・・・こんなにまったりしてもらっては困るとも思うのだった。永禄三年の桶狭間の敗戦から五年・・・織田徳川連合軍の圧迫は日増しに強くなり・・・家康が三河一国を制した永禄八年・・・駿河本国の今川家と遠江国の国人領主たちの関係は微妙なものとなり・・・今川家当主は・・・遠江国の国人領主たちに疑惑の目を向けて・・・謀反と称して領土の直轄化を目論むわけだが・・・そこを徳川家につけ込まれるわけである。井伊家を率いる中野直由はこれに便乗し勢力拡大を図るが曳馬城主・飯尾連龍を攻めてあえなく討死。事実上の討伐失敗である。今川氏真は一旦、連龍と和睦するが・・・結局、この年の暮れ・・・謀殺で手を汚すことになる。そういう殺伐とした雰囲気がないわけである。山賊たちは・・・村々の女たちをかどわかし・・・刹那的で享楽的な日々を過ごしていないとな・・・。泥棒貴族じゃないんだから・・・。
さて・・・2017年の春ドラマもいろいろと面白い・・・。なんといっても「フランケンシュタインの恋」があるからな。「ヤング・フランケンシュタイン」「シザーズ・ハンド」そして「フランケンシュタインの恋」である。
「事件をもみほぐすマッサージ探偵」とか・・・「どんな気持ち」と聞いてくる携帯執事の仲間由紀恵とか河童の念力でパンチラを披露する山本舞香とか・・・変な女子行員とか・・・最初誰だかわからなかった桜子さんとか・・・まあ・・・いろいろと楽しいぞ~。できれぱ・・・これをやめてそっちをレビューしたいくらいだよ。
ドラマなのでフィクションなのである。しかし、歴史を題材にしている以上・・・ある程度は本当らしさも求められる。まことしやかに語られてこその虚構なのである。もちろん・・・虚実というものは曖昧なものである。キッドが大河ドラマのレビューをするにあたって構築しているこの記事は四段構成になっている。前フリとしてドラマで語られるフィクションについての雑感。次にドラマの放送年月日や脚本家や演出家などの基礎データとともにレビュー仲間であるikasama4画伯へのメッセージの体裁をとったドラマ全体へのとりとめない感想。そして年表的にふりかえることにより、歴史そのものが一種の虚構であることを皮肉るこのコーナーなのである。さらに最後にはドラマという妄想に対するキッド自身の妄想で返礼するという形式になっている。しかし・・・今年は去年が抜群であったためか・・・ドラマそのものの嘘っぽさに・・・なんていうか・・・年表で応ずることが馬鹿馬鹿しくなってきている。なにしろ・・・主人公が大活躍するためにあれやこれやと騒動が起きすぎなのである。そして・・・あまりにも乙女チック展開なのである。なんだか真面目に応ずるのが・・・とても恥ずかしいのだった。
「まあ・・・おもしろなんだよな」
「そもそも・・・井伊直虎そのものがおもしろだからな」
「歴史こぼれ話的な」
「囲み記事的な」
「おもしろなんだよね」
「桜田門の変で有名な井伊直弼の先祖の徳川四天王の一人・井伊直政の養親・井伊直虎は実は女だった」
「そういうウソのような本当の話的なおもしろにすぎない」
「それをお話し上手の脚本家がおもしろおかしくふくらまそうとしているんだよね」
「そして・・・主人公は・・・自意識過剰で・・・乙女チックで・・・少しおバカさんにしたてあげられている」
「でも・・・ひとりよがりでも・・・根性あればなんとかなるんだよね」
「そういう朝ドラマのヒロインに記憶があります」
「まあ・・・いいんじゃないのかな」
「これはこれでええええ」
「ごちそうさん」
関連するキッドのブログ→第18話のレビュー
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