永禄十一年、足利義栄に室町幕府第十四代将軍宣下(柴咲コウ)
このドラマでは遠江国は常春の国のようにも感じられる。
いや・・・冬もあって春がきて・・・田植えをしたり・・・夏っぽかったりもするのだが・・・じゃあ・・・それが永禄何年の春なのか・・・夏なのか・・・よくわからないわけである。
永禄四年の早春に生まれた虎松こと井伊直政は永禄十一年には数えで八歳になっている。
虎松を演じる寺田心の実年齢はまもなく満九歳になり・・・概ね・・・そういう年頃なのだろう。
虎松の父・井伊直親は井伊直盛の娘・次郎法師にとって五親等の叔父であり・・・虎松は六親等の再従弟(またいとこ)ということになる。
井伊一族としては本家の娘と・・・分家の叔父を娶わせて総領とするつもりが紆余曲折あったわけである。
虎松の父親は・・・一応、総領家の養子となっているので・・・虎松は後継者として申し分ない資格を有している。
しかし・・・その後ろ盾となるのが・・・誰であるべきなのかは錯綜するわけである。
実際の処がどうだったのかは・・・謎に包まれている。
そのあたりのことを・・・のほほんと描いていくわけである。
もう・・・そういうドラマなんだと思って受け入れるしかないよねえ・・・。
で、『おんな城主 直虎・第17回』(NHK総合20170430PM8~)脚本・森下佳子、演出・藤並英樹を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。歴史に集合と離散はつきものです。大陸でも列島でも大集団・・・帝国が成立しては滅び・・・内戦状態になって・・・やがて統一されて・・・また分裂する。いわゆる・・・歴史はくりかえすというやつで・・・くりかえされることは本質でもあるといえるし・・・悲喜劇の温床でもございますねえ。権力で言えば集中と分散・・・。現代という情報社会では・・・情報の浸透と拡散というところでしょうか。情報の流行やトレンド・・・教養とリテラシー・・・そういうものも無縁ではない気がいたします。知識も経験もない人々が・・・知識や経験を嘲笑したり・・・勝者に敗者が追従する・・・実力と人間的魅力とは必ずしも一致しない。そういう様々な知恵の宝庫である歴史なんてどうでもいいというスタンスの大河ドラマも過去にありましたが・・・今回のは歴史は歴史として尊重するけれど・・・歴史だけがすべてじゃないでしょうというニュアンスが漂ってきますねえ。どちらかといえば・・・せせこましい・・・人間関係のもつれのリフレイン。まあ・・・そういうロマンもあってもいいと思う今日この頃です。
天文十二年(1543年)、
種子島時堯がポルトガル人より鉄炮2挺を購入する。
1挺が根来寺杉坊・津田算長に譲られ、
根来僧による鉄砲隊が組織される。もう一挺は室町幕府第十二代将軍・足利義晴に献上されたとされる。種子島氏は鍛冶職人・八板金兵衛らに命じ火縄銃の開発に着手する。天文十四年(1545年)、種子島氏は国産火縄銃を完成する。天文十八年(1549年)、織田信長は近江国国友村に火縄銃五百挺を発注する。天文二十三年(1554年)、伊集院忠朗は島津貴久による岩剣城攻めで鉄砲隊を実戦に投入して戦功をあげる。この頃、紀伊雑賀衆も鉄砲隊を形成開始したと推測される。永禄三年(1560年)、桶狭間の戦いに際して信長軍は今川義元軍強襲において鉄砲隊による先制を行ったという説がある。永禄四年(1561年)二月、虎松こと井伊直政誕生。永禄五年十二月(1563年)、井伊直親暗殺。永禄八年(1556年)、虎松の後見人である中野直由(井伊氏)と新野親矩(今川家臣)が戦死。次郎法師が女地頭となったという説がある。永禄十一年(1568年)二月、足利義栄に室町幕府第十四代将軍宣下。三月、寿桂尼死去。
「すると・・・外記殿は・・・瀬名様とともに岡崎におられるのか・・・」
「織田家と徳川家の縁組が整い・・・ようやく・・・信康殿も岡崎の城に入られ申してござる」
「徳川・・・」
「松平の殿は・・・徳川を名乗られ・・・朝廷より三河守を賜れました」
「瀬名様の夫が・・・徳川三河守に・・・」
龍譚寺の月船庵は・・・井伊次郎法師直虎の陰の密会所である。
井伊谷の地頭としての井伊谷城とは別に・・・名目上の支配者である今川家に憚りのある要人はここに案内されることになっている。
龍譚寺には・・・治外法権の認可が与えられているのである。
事実上の徳川家康の密使である関口外記は・・・井伊谷の隠し目付の目にとまり・・・忍びの僧たちによって・・・月船庵に導かれたのだった。
「瀬名様はお元気か・・・」
「今川家の没落ぶりに・・・少し気落ちしておられましたが・・・嫡子・信康殿が・・・徳川家の世継ぎと決まりましてからは・・・生母として・・・御正室として・・・処遇され・・・今は落ち着いておられます」
「瀬名様も・・・苦労多きことよ・・・」
家康の独立の責を負い・・・瀬名の実母と養父は・・・自害して果てたのである。
「関口親永様は・・・わが義理の伯父でござった」
「さようか」
「関口家も・・・所領を失い・・・ほとんど離散したようなもの・・・」
「氏真公も惨いことをなさる」
「今川のお家も・・・しまいでござろう」
「さようかのう・・・」
次郎法師は言葉を濁す。
「盛者必衰でござる・・・勢い衰えれば豺狼の餌食となるばかり」
「おそろしきこと・・・」
「もはや・・・今川につくか・・・徳川につくかではござらぬ・・・」
「・・・」
「北の武田につくか・・・西の徳川につくかでございます」
「武田・・・」
「甲斐・・・信濃を制した信玄公は・・・父親を追放し・・・嫡男を幽閉した・・・油断ならぬお方・・・」
「やはり・・・今川と武田は手切れになるのかのう」
「武田家は・・・海を求めて・・・北へと向い・・・上杉家に行く手を塞がれました・・・南に・・・獲物があるとなれば・・・手を出さずにはおられますまい」
「で・・・あろうかのう」
次郎法師は言葉をはぐらかす・・・。
「瀬名様と次郎法師様の父御は・・・従兄妹同士・・・縁あさからぬことでございます」
「元康・・・いや・・・家康公にお味方せよ・・・と申されるか」
「それが井伊家のおためと心得る・・・」
関口外記は・・・顔を伏せた。
次郎法師は・・・無言でその姿を見つめている。
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